モンハンのゴア娘のフィギュアがリアル美少女になってた【完結】 作:屍モドキ
もしも先程まで狂喜の笑顔浮かべながら遊び半分で殺りにきていた人物を自分の住居に上がらせるだろうか。
「お夕飯はどうするの?」
「なんで着いてきたの」
「アナタは私のご主人様なんだもの」
「ごめんよくわかんない」
あの後なんやかんやあってあの娘をウチに連れてきてしまった。
ていうかあの娘が自発的に着いてきた。
「賃貸だから壁に傷とかつけんなよ」
「言われなくてもそんな粗相しないから安心してちょうだい」
「どうだか・・・・・・」
自信満々に胸を張って言い張っているがどうだろうか。
張っても少しだけじゃんとかは言わない。
「今失礼なコト考えたでしょ」
「全然」
何故ばれたし。
それはさておき遅めの夕飯の準備をする。
と言っても今から料理をしようとも思わなかったのでインスタントで済ませよう。
俺は台所のインスタント食品のストックから二つのカップ麺を取り出してきてビニールを破いて蓋をあけ、ポットでお湯を注いでまた蓋をする。
「まだ出来ないのー?」
「まだだよ、あと三分で出来るから待ってて」
「じゃあ此処で暇つぶしさせてもらうわ」
「ご自由に」
暇そうに足をパタパタと泳がせて寛いでいるこの少女。
改めて見るととても整った顔立ちをしている。少し釣り目で瞼は二重、紅色の瞳はずっと見ているとなんだか引き込まれそうになるほど魅力的だ。
頭には細長い角のようなものが二本前で交差しているようなヘアバンドだかカチューシャだかをしていて髪は漆黒の長髪で、今は前髪で右側の目が隠れている。
首元にフリルのような飾り物を巻いており、服装は紫色のラインが通っていてドクロの意匠が特徴的な黒いミニワンピース。腕には紫色のリボンがあしらわれている二の腕まである手袋がはめられていたが今は脱ぎ捨てられている。
同じように外で履いていたロングブーツも玄関口でへ垂れていて今彼女は裸足だ。
「なぁに? ヒトの事をそんなにジロジロ見て」
「いや、可愛いのかキレイなのか分からねぇなぁー、と思って」
「なッ!? ななな、なかなか嬉しいこと言ってくれるじゃない・・・・・・」
何故か彼女は顔を赤らめてそっぽを向いてしまった。
ちょっと耳まで赤いのは大げさではないだろうか。
そうこうしていたら三分が経過した。
「ん、もう出来たかな」
「あら、やっと出来たのね」
俺は箸を取ってきたがこの娘は箸が使えるかどうか怪しかったのでフォークを手渡す。
「はい、これ食ったら帰れよ」
「帰れって言われてもねぇ・・・・・・」
「どうしたんだよ」
「何でもないわよ」
少しバツが悪そうな表情を浮かべカップ麺の蓋を剥がすが、その中身を見た途端に表情が変わった。
そんなこといいでしょ、と吐き捨てて容器に注目する。
「へぇ、美味しそうね、さて味のほうは・・・・・・」
「あ、冷まさないで食うと・・・・・・」
珍しそうに一口分すくっておもむろに口に運んだ少女。
だが。
「あづッ!!?」
「あぁー」
すぐに容器を口から離してカップをテーブルに置いてエビ反りになりながらごろごろとのた打ち回って悶絶しだした。
え、そんなに・・・・・・?
「な、
「いや冷まさないとって言おうとしたら食べたから」
出してあった飲み物をチビチビ飲みながら抗議の目をぶつけてくるが、俺はあまり悪くないと思う。
しかしコイツかなりの猫舌だぞ。
先ほどのあのちょっとで今の反応なのだからよほどだろう。
「ホント最悪だわ・・・・・・」
「ちょっと冷まして食えよ」
「食べさせたのはアナタでしょ!?」
逆ギレされた。
いや、逆ギレなのか分からんがキレられた。
ちょっと面倒くさくなってきたな・・・・・・とか思てたら彼女はカップを俺に手渡した。
「なんだ、返品か? まぁ流石に無理に食わせることもしないからいいけど」
「違う、そうじゃないわよ」
不貞腐れながら俺の予想を否定する。
では何だろうか。
頬をほんのり紅く染め、口籠りながら続ける。
「その、アナタが冷まして私に食べさせて」
「んー、まぁそれぐらいならいいけど」
自分で冷ましたほうが温度調整出来るから良いと思うのだが、それを言うとまた怒られそうなので控えておこう。
俺は彼女から渡されたカップから一口分掬って息を掛けて熱を取る。
ある程度冷ましたところで彼女に向けてフォークを向けると、彼女はあーんと口を開けて待っていた。
「ほれ」
「あー、ん」
少しの租借の後んく、と飲み込んで訝しげな表情は変わりぱぁ、と明るい顔に変わった。
すぐさま俺からカップをひったくりさっき俺がやってやったように一口掬ってふぅふぅと冷まして食べる。
「んー! 美味しい!」
「そうかそうか、良かった良かった」
なんとか機嫌を直してもらえてよかった。
さて俺も自分も分を食べよう。のびてしまう。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「ご馳走様」
「ごっそうさん」
空の容器が二つ、卓上に並び立つ。
俺としては腹八分かそれ以下だが寝るには丁度いいぐらいの満腹感だ。
視線を横に向けて少女に目をやると恍惚の表情を浮かべていた。
「美味しかった・・・・・・」
ご感想が零れている。
たかだかインスタント食品にここまでの感動を覚えることがあっただろうか。
しかしこの娘にとってはそれほどだったのだろうか、うむ、わからん。
「よし。飯も食ったし、俺は風呂入って寝るからお前は帰れ」
「あぁ、そのことなんだけど」
「なんだ?」
ちょっとアレ見て、と少女が指差すのは俺がフィギュア等を飾っている棚のところ。
よく見て、と言うのだから目を凝らすと、ゴア娘のフィギュアが消えていた。
「な、え、ちょ、嘘ォ!?」
思わず駆け寄って辺りを探すがどこにも見当たらない。
本体も台座も武器も装飾品も何もかもゴア娘の存在だけがキレイさっぱり消えていた。
振り返ると澄まし顔で鎮座する消えたゴア娘のフィギュアに似ている少女。
まさかと思っていたがずっと否定していた事が、本当の事になって俺の目の前で起きていた。
「まさか、此処にいた俺のゴア娘さん・・・・・・?」
少女はニコリと微笑んで肯定を示す。
「えぇ、そうよ。私はつい昨日までそこに居たアナタの大事な大事なゴア娘ちゃんよ」
認めたくなかった事実というだけあって、突きつけられた時の絶望感に似た何かに襲われ膝から崩れ落ちた。