「ねえ.そういえば,なんで赤城さんたちは鳳翔さんをお母さんって呼ぶの?」
鎮守府にある甘味処間宮で,白玉あんみつを食べながら大間春乃は目の前で白玉あんみつキング盛りを食べている赤城に尋ねた.
春乃は始まりの五提督の一人,戦艦の提督である大間春幸の娘である.
彼女自身は提督ではないが,たまに父にくっついてこの鎮守府を訪れては,艦娘たちと交流するのを楽しんでいる.
「それはお母さんだからですよ」
「それでは,春乃さんもわからないと思います.私が,答えましょう」
答えになっていない赤城の返答に春乃が首をかしげるのを見て,赤城の隣で白玉あんみつを食べていた加賀が答えた.
「春乃さんも知っているとは思いますが,艦娘は通常同じ艦種の艦娘をベースにして召喚されます.しかし,私と赤城,龍驤,飛龍,蒼龍は違います.人と同じようにこの世に生まれました.そして,私たちを生んだ母が鳳翔です」
「え?どうゆうこと?」
加賀の説明を春乃は理解することができなかった.
艦娘が艦娘を生むなどということを,聞いたことが無かったからだ.
そして,加賀の説明は続く.
「驚くのは仕方ありません.艦娘の中でも空母型だけは少し特殊な事情がありましたから…」
「特殊な事情?」
「ええ.最初の召喚の儀式により戦艦は金剛,重巡は古鷹,軽巡は天竜,駆逐艦は睦月,潜水艦は伊168が5人の提督のもとに召喚されたのは知っているわね?」
「うん」
「これが始まりの五提督とその艦娘になるのだけれど,ここに空母がいないことに気がついていたのかしら?」
「あ….そういえば空母の提督の佐伯提督は始まりの五提督じゃない」
「そう.最小の召喚時に空母だけが召喚されなかったの.正確には,正しく召喚されなかったなのだけれど」
「…」
まったく,話についてこれていない様子の春乃に,どこまで話そうかと加賀が考え込んだ時,横から3人に一人の艦娘が話しかけた.
「あら.3人で真剣な顔して何のお話をしているの?」
「「お母さん!」」
「鳳翔さん!」
話しかけてたのは,話題の人物である鳳翔その人であった.
「あらあら.そんなに驚かなくても.うふふ」
「鳳翔さん.ちょうど鳳翔さんの事を話していたんです」
「私の話?」
「はい.なんで赤城さんたちが,鳳翔さんをお母さんって呼ぶのか聞いていたんです.そしたら,鳳翔さんがお母さんだからって赤城さんが言うので,どうゆう意味なのか加賀さんが教えてくれていたんです」
「そう….それで理由はわかったの?」
「いいえ.それで,最初の召喚の時に空母だけ正しく召喚されなかったってどうゆうことなんですか?」
春乃は鳳翔に尋ねた.
すると,鳳翔は少し悲しそうな顔で微笑むと話し始めた.
「そうねぇ.じゃあ,少しだけ昔.と言っても20年くらいだけれど,昔の話をしましょうか」