時間が遅くなってしまいすみません.
夕飯を作るのに手間取っていました.
「んっ……」
満月に照らされる浜辺で,一人の女性が目を覚ました.
流れる様な黒髪は頭の後ろで一つにまとめられ,腰のあたりまで伸びている.
その肌は,体調があまりよくないのか少し青白い.
華奢とは言わないまでも決して丈夫には見えない身体は,鳶色の和服と紺の袴に包まれ,足には白足袋とシンプルな草履をはいてる.
彼女の名は,鳳翔.
本来,先ほど行われた儀式により,皇居に召喚されるはずだった一人目の空母型艦娘である.
「ここは?……っ!」
鳳翔はゆっくりと辺りを見回すと,突然ひたいを抑えて小さくうめいた.
目覚めたばかりでぼんやりとしていた頭の中に,突然,膨大な情報が流れ込んできたのだ.
自分が誰なのか.
これら何をしなくてはいけないのか.
そして,身に宿る小さな光.
「そう言うことなのね….また,争いが始まってしまうのですね….しかし,…どなたかはわかりませんが,大切なものを守る力と機会をもう一度与えて頂いたことに感謝しなくてはいけませんね」
そう言って,鳳翔はうつむいていた顔を上げた.
顔色は変わらず血の気が無かったが,海を見つめる瞳に曇りはなく,慈愛のなかに確かな決意の光が宿っていた.
「とは言え,このままここにいても仕方ありません.誰か人がいないか探してみましょう」
鳳翔はそう言って立ち上がると,人を探すため歩き出した.
目的のものはすぐに見つかった.
鳳翔のいた場所のすぐそばに小さな桟橋とボートがあったのだ.
そこから森の中へと小さな道が伸びており,月明かりを頼りに道を歩いて行くとすぐに一軒の民家が見つかった.
夜も更けており,家に明かりは消えていていた.
「こんな夜遅くに申し訳ないのだけれど……」
そうためらいながら,鳳翔は扉をノックした.
「すみません.どなたかいらっしゃいませんか」
声をかけてしばらくすると,物音がして扉にはまったガラス越しに明かりが近づいてきた.
「どちら様ですかな」
そう言って扉を開けたのは,ランプを持った二人の年老いた男女であった.
「夜分遅くに申し訳ありません.私は鳳翔と言います.どうか一晩ここにおいては頂けないでしょうか」
そう言って,鳳翔は二人に頭を下げた.
「鳳翔…か…….まあ,とりあえず中に上がりなさい.事情を聴きましょう.由希子,お茶を出してもらえるかな」
「ええ,わかりました」
男性は鳳翔の名をつぶやいたあと,自分の後ろに立つ女性のほうを見て頷いた後に,そう言った.
「ありがとうございます」
お礼を言って,鳳翔は男性の後について家に上がった.
今回も読んでくださり,ありがとうございます.
鳳翔さんのあの和服は「鳶色」でいいんでしょうかね?
次の投稿は,1週間後の10/7(日)です.
どうでもいい話題ですが,まさかハンバーグにあんなに手間取るとは…….だいぶ悲惨なハンバーグになってしまいましたが,おいしかったです.
皆さんもパン粉の代わりにすり下ろした玉ねぎを使う際には,よく水を切ったほうがいいと思いますよ.ほんと,パン粉って大切ですね.