鬼人達のドタバタ物語   作:ポストマン

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不穏な影が導くは

~地獄テレビ 楽屋~

 

「マキちゃん、最近何かあった?」

「へ?何かって?」

ある日のお昼時、一緒にご飯を食べていたミキちゃんからの一言に思わず首をかしげる。

「最近のマキちゃん、少し雰囲気が優しく感じるんだよね」

そうなのかな?自分じゃわからないけど。

最近あった事といえば…

「あ…」

そう、鬼灯様の事だと。

もしかして気付かないうちに母性に目覚めた?

「え?ホントに何かあったの?」

「う~ん、たぶんあったのかな?」

そういって、私はあの日のことを曖昧に伝えた。

「…っていう事があったんです」

「へえ、そんなことが~」

「それでひょっとしたら母性に目覚めたのかな、と」

思い当たる節はそれくらいだから。

「ねえマキちゃん、それって男の人にしたの?」

「う、うん、そうだけど?」

…ミキちゃん、なんでそんな顔をするのかな?

「…ちなみに、その人の名前を聞いてもいい?」

「さすがにそれは…(私も命が惜しいし)」

 

 

 

~閻魔庁 食堂~

 

「鬼灯くん、鬼灯くん!ねえ鬼灯くんってば!」

「何度も呼ばないでください大王。聞こえてますから」

「じゃあ何で返事してくれないんだよぉ」

「鬱陶しいからです」

食事時に少しうざったいので真っ向から切って捨ててみる。

まあ、大して堪えないだろうが。

「お昼時くらいいいじゃないか。それよりも君ってさぁ、最近少し丸くなったよね?」

「いつも大王をぶっ飛ばしているので余分な肉はついてないはずなのですが?」

「ワシってダイエット感覚で殴られてたの?!いやそうじゃなくて、性格面の話だよ」

私が丸くなった?

「自分じゃ気づいてないかもしれないけど、ワシはそう感じているよ」

「ふむ…、ひょっとしてあれですかね?」

最近変わったことといえばあの事しかない。

「少々知り合いに愚痴をこぼしてしまったんです。向こうは以前のお返しだと笑って許して下しましたが」

「愚痴?君が?いっつもワシに文句を言ってる君が?」

「何が言いたいんですか大王。いいではないですか。私だって言いづらい愚痴のひとつやふたつはあります」

まあ、さすがにもう言う気はありませんが。

「まあいいや。でもほんとにそれだけ?まだ何かあるような気がするんだけど」

「ありませんよ。それよりそろそろ午後の開廷時間です。行きますよ」

まったく、きちんとしていれば尊敬できる上司なのに。

……父親、か…

「どうしたの鬼灯くん?」

「いえ、何でもありません」

 

 

 

~大焼処 伊邪那美殿~

 

「いったい昨日の騒ぎは何だったのじゃ」

イザナミは昨夜に起きた騒ぎを思い出しながら自らの寝床を抜け出す。

「ま、おそらくはどこぞのはねっ返りが、わらわの屋敷で度胸試し「失礼します、イザナミ様は居られますか!」を、何じゃ騒々しい」

「失礼いたします。私は鴉天狗警察の義経と申します。昨夜の事件についてお話を伺いに参りました」

「ふむ、昨夜の事件、と申してもわらわは何も知らぬのじゃ。屋敷に勝手に入ることはできぬようになっているのでな、少々の騒ぎでは動きたくないのじゃ」

「え?!で、では屋敷の入り口が今どうなっているのかも?」

「知らぬ」

 

後に入り口の外にイザナミが見たものは、何者かによって破壊された数本の柱の残骸だった。

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