鬼人達のドタバタ物語   作:ポストマン

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yesコメディ


失言が導くは

~???~

 

とある薄暗い一室にて、二人の人影が何事かを話し合っていた。

「失敗か」

「申し訳ありません……様」

「まぁいい。どうせ探りと嫌がらせがメインだったんだ。それに、」

「それに?」

「簡単に終わったらつまらない、だろ?」

 

 

 

~閻魔庁 審判の間~

 

裁判が終わって書類整理をしていたら、鬼灯君が何かを眺めていた。

「黒いローブの人物で顔は不明、声から性別はおそらくは男。会話内容から、私に何らかの個人的な恨みがある、ある程度以上の情報収集能力の持ち主か…」

「鬼灯くん、それって先日の事件の?」

「はい。奴らから引き出した情報とプロファイリングによって出した結論です」

「そうなんだ。でも、それだけで犯人を特定できるもんなの?」

「普通は無理ですね。該当者は三桁はいます。オマケにこの事で烏天狗警察は動いてもらえそうにありませんし」

「そうなんだ。大変だねぇ」

「いえ、そうでもありません。犯人に目星はついていますから」

え、そうなの?

「大王もご存知でしょう。あの方ですよ」

「あの方?」

「ほら、以前『なんであの世の統治者が母上じゃないんだ!』とか『どうして母上が補佐官を辞めさせられるんだ!』とか言ってきた方ですよ」

「ああ、スサノオさんね」

確かに個人的な恨みはあるよねぇ。

「厄介だねぇ。あの人何人か部下も居るから、そっちも警戒しなきゃなんないしさ」

「ええ、本当にそうですね。それよりも大王、書類はできましたか?」

「え、あ、ちょ、ちょっと待ってね。すぐに終わらせるから」

「はぁ。もうすぐ唐瓜さんたちが来ますから、彼らに渡してください。私は私でそろそろ視察に行かなければなりませんので」

「わかったよ。ごめんね鬼灯君」

「いえ、では失礼します」

鬼灯君が退席して、こっそりとため息をつく。

「やっぱり少し丸くなってるよね。それもこれもピーチ・マキちゃんのおかげかな?」

 

 

 

「鬼灯様~、書類もって来ました~」

「おい馬鹿、そこはお持ちしましただろ!」

まったく、少しは敬語を使えよな。

「ああ、ご苦労様。そこにおいといてくれるかな?」

「あれ?鬼灯様はいらっしゃらないんですか?」

「さっき視察に出掛けたんだよ。あ、これ終わったから持ってってくれる?」

「そうなんですか?残念だな~」

「わかりました」

鬼灯様は視察に行ったのか。惜しかったな、もう少し早く来てればついていけたのに。

「それはそうと二人とも、ちょっといいかな?」

「あ、はい、なんでしょう?」

「最近の鬼灯君って、少し丸くなったと思わない?」

「あ~、確かになってますね」

「俺もそう思います」

お香さんの話だと、厳しい時は相変わらず厳しいけど、それ以外では愛想が出てきたらしいもんな。

すんげぇ解りづらいけど。

「二人は理由知ってる?わしの予想だと恋人でも出来たんじゃないかなって思ってるんだけど」

「恋人ですか?」

『あの』鬼灯様に恋人?

……………だめだ、全然想像できない。

「俺はあるとおもうな。鬼灯様の周りって結構女の人いるし」

「たとえば?」

「お香さんとか?」

「いやいやいや、それはないと思うぞ。鬼灯様とお香さんに何かあったらわかるはずだし!

 

……何引いてるんだよ茄子」

「唐瓜、必死過ぎてちょっと怖い」

「今の言葉、ちょっとストーカーっぽいから気を付けなよ?」

ほっといてください大王。

「まあいいや。んじゃ唐瓜は誰だと思う?」

「うーん?」

考えてはみるけど、やっぱり思いつかない。

「まあ、いくらなんでも座敷わらしの二人はないと思うな。鬼灯様ロリコンじゃないし」

「そりゃそうだ」

 

 

 

後日、

「ロリじゃない」ゲシッ

「訂正しろ」ゴスッ

「ロリじゃない」ガスッ

「訂正しろ」ドゴッ

「鬼灯様は私達の婿」ゴガッ

「覚えとけ」ゲスッ

「痛っ、ちょっ、足蹴らないで痛いから!」

「ねえ唐瓜、今何かさらっと凄いこと言ってなかった?」

「そんな事より助けてくれよ茄子!」


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