物足りなかったらゴメンネ
「いい景色だ。美しい。」
ㅤ帆いっぱいに風を受けて力強く進む合計4400隻からなる超大艦隊。
ㅤロウリア王国東方征伐海軍海将シャークンは旗艦の甲板上で自らの率いる艦隊の勇壮たる佇まいを眺めていた。
ㅤ6年の歳月をかけて建設されたこの艦隊ならクワ・トイネ公国など恐るるに足らず、むしろ列強パーパルディア皇国ですら征服できそうだ。
(いや・・・しかし、列強には砲艦なる船ごと破壊する兵器があるそうだな・・・。)
ㅤちらりと顔を覗かせた野心を封じ込める。
ㅤそして、彼はこれから征服する東方の海を見据えた。
「・・・?何だあれは?」
ㅤすると、彼の目が彼方の空に浮かぶ一つの黒点を捉える。
ㅤそれは灰色で『ブーン』と不思議な音を立てつつ超高速でこちらに向かって来る。
「なんだ?新種のワイバーンか?」
ㅤ周りの兵士や士官達も異常に気づいたのか盛んにその謎のワイバーンについて議論する。
ㅤその不思議な鳴き声を出すワイバーンは羽ばたいておらず、微動だにしない大きな二つの羽根には見たことのない赤い正円が描かれていた。
「索敵中の艦爆より入電!『ワレ、敵船団ヲ発見セリ。位置・・・』」
ㅤ突然艦橋内に飛び込んできた敵発見の報に俄かに騒がしくなる赤城艦橋内部。
(敵船団を発見せり・・・成る程。先程飛び立って行った飛行機械は索敵をしていたのか。)
ㅤ騎馬戦ができそうなほど広い甲板と、大量に搭載された驚異の飛行機械。
ㅤそれらを見て十二分に驚き疲れたブルーアイは一周回って寧ろ冷静に日本海軍を視察していた。
ㅤ先程のカンバクという飛行機械からもたらされた情報は瞬く間に艦内に広がって行く。
ㅤこの情報を元に出撃命令が下され、整備兵たちにより甲板に並べられた大量の飛行機械のハツドウキとやらが起動されけたたましい音を立てる。
ㅤ甲板の前で赤い小旗を持った水兵が合図をすると先頭の飛行機械がゆっくりと移動を開始し、大空へと羽ばたいて行った。
ㅤ先頭が飛び立ってからは線を抜かれたかのように次々と後続もそれに続いて飛び立って行く。
ㅤブルーアイは周りに立っている日本海軍高官達と共に発艦した大量の飛行機械の一糸乱れぬ編隊飛行をしっかりと目に焼き付けるのであった。
「何だったのだ・・・?」
ㅤ甲板に立って疑問の声を誰にでもなく上げるシャークン。
ㅤその疑問は言わずもがな先程まで艦隊の上空を旋回していた謎のワイバーンである。
ㅤあの後、数回艦隊の上空を旋回したかと思うとそのワイバーンは攻撃するでもなく再び東方へと去っていった。
ㅤ中には旋回中に弓を射かけた兵士もいるようだが全く届かなかったようだ。
「・・・なにやら嫌な予感がするな。」
ㅤなんとなく感じた寒気を怖気付いただけだと無理矢理振り払う。
ㅤそして、今度こそ征服するべき東方の海をしっかりと見据え・・・。
「・・・今度はなんだと言うのだ?」
ㅤ今度は先程とは比べ物にならない数の黒点が見える。
ㅤその数はおおよそ100をこえるのではなかろうか。
ㅤ瞬く間にそれら黒点は大きくなって行き、段々とその輪郭が鮮明になってくる。
ㅤそれらはあの謎のワイバーンと酷似しており、同様に羽ばたかない大きな翼に赤い正円をつけていた。
「あれは、一体・・・。」
ㅤ不気味とさえ思える謎のワイバーンの大群を見据えてシャークンが疑念の声を発した時。
ㅤ同時にロウリア艦隊の一隻が凄まじい閃光と爆炎に包まれた。
ㅤまず最初に攻撃したのは霧雨少佐率いる赤城急降下爆撃第一中隊であった。
ㅤかつての世界では米軍の戦艦を撃沈するために血の滲むような努力と訓練を繰り返していた彼らは正確に一機ずつ爆弾を投下していく。
ㅤ本来ならば鋼鉄の城のような戦艦や重巡を沈めるために作られた爆弾は容易く木造船を粉砕する。
ㅤロウリア軍の軍船は爆弾が命中する度にびっくり箱のように破裂し、燃える木片を辺りに散布する。
彼らに続いて他の艦爆・艦攻隊が攻撃を開始し、零戦隊が銃撃を喰らわせる。
ㅤ爆発の轟音・閃光と航空機のエンジン音により恐慌状態に陥ったロウリア艦隊の旗艦でシャークンは必死に声を張り上げる。
「何だ!何が起こっている⁉︎」
ㅤ艦隊を立て直すために状況報告をさせようとするがその努力もむなしく混乱は広がる一方で全く収束する気配を見せない。
ㅤそうこうしているうちに近いところを航行していた軍船が灰色のワイバーンが投下した黒い糞のようなものを受けて大爆発する。
「くそッ!通信手、至急司令部に上空支援を要請しろ!」
王都ジン・ハーク
ㅤ王都ジン・ハークの王都防衛騎士団司令部において将軍パタジンは東方征伐艦隊よりもたらされた悲鳴のような上空支援要請を受けて敵主力ワイバーン隊殲滅の為に250騎全騎を差しむけることを決定するのであった。
ロウリア王国東方征伐艦隊 とある軍船
「なんなんだよこれはぁっ!」
ㅤパーパルディア皇国より派遣されて来た観戦武官、ヴァルハルは船の甲板上で弱々しい叫び声をあげる。
ㅤその声は船の上空を飛び回る謎のワイバーンに向けて放ったが、返答など帰ってくるはずもない。
ㅤ今の所彼が乗る船は運良く敵の攻撃に当たっていない。
ㅤしかし、周りの軍船は多くが敵の高威力爆裂魔法や高威力の何かを高速連射する魔法をモロに喰らい四散した。
「ヒイッ!」
ㅤ飛んできた零戦の20ミリ機関銃の流れ弾をみて悲鳴をあげるヴァルファル。
ㅤ現在はそれら謎のワイバーンも魔力が切れたのか多くが撤退した為若干余裕を取り戻したもののまだ爆裂魔法が何発も何発も炸裂していた頃は危うく粗相をする所だった。
「くっ・・・くそっ!」
ㅤ先程までの恐慌状態を恥じる程には落ち着きを取り戻した頃。
ㅤ彼をさらに驚かせる、というか世界の常識を根底から覆す事態が発生した。
「今度はなんなんだよ・・・。」
ㅤ遠くに見える幾本もの黒煙。
ㅤそれらは風にたなびき、蒼空に消えてゆく。
ㅤその根元から現れたのは、彼らの想像を絶していた。
「うっ!嘘だろぉ⁈‼︎」
ㅤそこに現れたのは、灰色の超巨大船舶で構成された謎の艦隊。
ㅤ恐らく、あの最も小さそうな船でもざっと見積もって100mを超えるだろう。
ㅤだが、彼の目を引いたのはそんな地味なものではなかった。
「なんだあの船の魔導砲・・・!デカすぎだろ‼︎」
あの巨大船艦隊の後ろの方。
ㅤ天を貫くかのような巨大な艦橋とマストを持つあの超巨大船。
ㅤその船の前部に載せられたあの4本の太い棒。
ㅤ間違いなく魔導砲である。
ㅤ蛮地に無いはずの魔導砲があるだけでも驚きなのにその大きさときたら、キロ単位で離れているここからでもわかるくらいには巨大だ。
ㅤどれくらい巨大かというと、威力を推察することすら嫌になるほどに。
「しかも、ありゃあもしかして鋼鉄製の軍艦か?そりゃあ皇国でも研究中の最新技術だぞ⁈」
ㅤだんだんと近づくにつれて彼は最悪の事実に気づく。
ㅤなんと、あの巨大船は鋼鉄製なのだ。
ㅤ現在、この世界において木製以外の軍艦を実用化し大量に配備しているのは世界広しといえど2カ国しかいない。
ㅤ一つは機械文明の列強、ムー。
ㅤそしてもう一つは、この世界最強の魔法帝国。
ㅤ神聖ミリシアル帝国。
ㅤ彼の祖国たるパーパルディア皇国も近年その仲間に入ろうとしており、現在鋼鉄製軍艦一番艦が建造中だ。
ㅤだがその大きさはあれほど大きく無いし、搭載砲もはっきり言って戦列艦と大して変わらない。
「嘘だろ・・・。」
ㅤ蛮族が文明圏内国にして三大列強の一角、パーパルディア皇国よりも進んだ技術を有する。
ㅤそのありえない事実を知り、愕然として船縁にもたれかかるヴァルハルであった。
いやー。やっとここまできましたか。ていうかこのままだとロウリア戦争終わるまでに15話とか行きそうなんで1話あたりの文字数を増やしていこうと思います。ハイ。
ㅤ後、不定期開催作中登場兵器解説を常設化しようかと思ってるんですよね。
ㅤだけどこんな底辺小説読みに来てるドクシャ=サンなら架空兵器はともかく史実兵器は(私よりも)知ってるかな?とか思うんですよねぇ。どうしましょ。
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不定期開催 作中登場兵器解説
・空母赤城
ㅤみんなご存知一航戦の赤い方。史実では巡洋戦艦から改造され三段甲板とか一時は迷走するも日本海軍空母機動艦隊旗艦を務める。
ㅤ史実では慢心によりミッドウェーに沈んだ。
・艦爆
ㅤみんなご存知九九式艦爆。少し古い固定脚だが太平洋戦争の序盤戦にて日本海軍の活躍を支えた。
・鋼鉄製軍艦一番艦
ㅤパーパルディアの秘密兵器でオリジナル兵器。スペックは考えてない。ついでに出番も・・・あるかもしれない。
・霧雨少佐
ㅤ艦爆はパワーだぜ!
ㅤ完全にオリキャラです本当に(以下略