大日本帝国と末期ドイツ召喚   作:鎌森

11 / 36
一応、念のため言っておきますが当作オリジナルキャラの名前は適当につけています。深い意味はありません。・・・要するに、どこかで聞いたことがあっても気のせいということです。


轟く砲声と航空支援

日本海軍戦艦比叡

ㅤ1912年に大日本帝国横須賀海軍工廠にて建造された戦艦比叡。

ㅤ竣工から27年が経過し巡洋戦艦から戦艦、高速戦艦、練習戦艦と様々な名前に変更されつつも幾度かの改装を経た今。

ㅤ日本海海戦の様な艦隊決戦での華々しい活躍は期待されずとも30ktに迫る高速性を生かして次世代の主力、空母機動艦隊に随伴する。

ㅤそんな老嬢、比叡の艦橋にて艦長の田所大佐は前方のロウリア艦隊をじっくりと見据えていた。

「航空隊がかなり削ったみたいだが・・・それでもまだまだわんさかいるな。まるで海が茶色に染まったみたいだ。」

ㅤ素直な感想をこぼす田所。

「出撃前は4400隻の大艦隊と聞き、少し怖気付きましたが蓋を開けてみれば砲すら持たない木造船とは・・・。」

ㅤ田所の感想を聞いた副艦長の遠野も同じく自らの感想を漏らす。

ㅤその感想を聞いてクワ・トイネ公国海軍を見る限り薄々感づいてはいたがな、と思いながら田所は砲術長の三浦に命令を下す。

「一番・二番砲塔砲撃用意。」

「了解!一番・二番砲塔砲撃用意!よーそろー。」

ㅤ命令を復唱する三浦の声を聞きながら少しだけ思いに耽る。

ㅤ数ヶ月前はアメリカに痛烈な一撃を加えるために単冠湾に集結したかと思えばいつの間にやら異世界に飛ばされ、異界の大船団へ砲撃しようとしている。

ㅤ・・・文字にしてみればアホらしくなるような奇天烈さだ。

ㅤ現実は小説よりも奇なりとはいうが、幾ら何でも奇すぎるだろうと思いながら何とは無しにちらりと当艦の右隣の方を見る。

ㅤそこでは当艦と同じく砲撃用意をしている重巡利根が見えた。

ㅤ我らが比叡の35.6センチ砲には及ばないがこの世界においては比類なき大火力を有する20.3センチ砲4門を勇ましく振り上げて前方のロウリア艦隊に照準を合わせている。

ㅤその姿は美しく、勇ましい。

ㅤそうこうしているうちに砲術長から砲撃用意完了の報告が上がってくる。

ㅤ後は砲撃命令を下すだけだ。

ㅤ艦橋内がしんと静まりかえり、ピンと空気が張り詰める。

ㅤ今回は当艦比叡の砲撃を合図に霧島・利根・筑摩が砲撃をする手はずになっている。

ㅤ自ずと身体に力が入るのを感じる。

ㅤ艦橋内と自らの緊張が最高潮に達した瞬間、一気にその力を解き放ち、一言大きな声で命令した。

「撃ェッ!」

ㅤ閃光と爆音。

ㅤ艦攻の投下する800キロ爆弾とは比較にもならない轟音と大閃光が艦橋を白く染める。

ㅤ全長222メートル、排水量32516トンにも及ぶ比叡の巨体も砲撃の衝撃で少しばかり揺れる。

ㅤ閃光と轟音が景色に溶けて消えると、眼下には真っ黒な砲煙が見えた。

ㅤその砲煙は風に乗り、次第に後方に流されていく。

ㅤ艦橋要員全員が砲撃の余韻に浸りつつ砲弾の着弾を眺めていると、遠くから幾つかの轟音がこの世界に再び響いた。

 

 

 

「くそっ!次から次へと!」

ㅤロウリア王国東方征伐艦隊海将シャークンは誰にともなく悪態を吐く。

ㅤ欄干を思いっきり拳で殴りつけて前方を睨む。

ㅤその血走った眼の先では灰色の巨大船が悠々と進んでいた。

ㅤ謎の高威力爆裂魔法を次々と起こしていくワイバーン軍団に突如として現れた超巨大船だけで構成された艦隊。

ㅤそれだけでも頭が痛いというのにその船に載せられた巨大な棒が何やら稼働を開始していた。

「これ以上何をするつもりだ・・・!!」

ㅤと、疑問の声を発した時、遠く離れたこの場でも全てを震わせられるような大轟音が前方の超巨大船の中の一隻から発せられた。

ㅤどうやらその船の前方で凄まじい大爆発が起こったようだ。

「ひゃっはぁぁぁ!!あいつら、事故しやがったぜ!!」

ㅤ水兵たちは絶望の中にかすかな希望を見つけたとばかりに大喜びする。

ㅤしかし、シャークンはなんとも言えない嫌な予感に苛まれながら爆発した巨大船を見つめた。自らの予想が正しければ・・・。

「ッ!!やはり・・・!!!」

ㅤぬるりと、黒く大きな爆炎の中から姿を現したのは大破して沈みゆく巨大船・・・ではなく、悠々と大きな棒を4本天に向けて掲げながら航行する巨大船であった。

ㅤ艦隊のあちこちから絶望と恐怖の声が上がる中、シャークンは重要なことに気づいた。

(先ほどの爆裂が自爆ではないのだとしたら、何故あの様な事を?・・・まさか!!!)

ㅤその次の瞬間、シャークンの乗る軍船の斜め前方から直径35.6センチの巨弾がうなりをあげながら飛来する。

ㅤそして、柔らかい木造の甲板を打ち破った榴弾は炸裂を起こす。

ㅤ轟音とともに発せられた火炎と衝撃波はシャークン以下、多数の将兵と10隻以上の軍船を吹き飛ばす。

「な、なんだぁ?!」

ㅤ合計4か所で起こったその豪炎をみて困惑する生き残った将兵たち。

ㅤその時、前方から今度は多数の轟音が聞こえ、あたりの空気を震わせるのであった。

 

 

ㅤこの時の比叡の攻撃によりシャークン以下主要な指揮要員を一気に失ったロウリア王国東方征伐艦隊は後に退却しようにも退却ができず、被害を拡大させることとなる。

 

 

 

 

ロデニウス北側海上

ㅤロウリア王国竜騎士団長、アグラメウスは海軍救援のために王国史上最大の250騎ものワイバーンを引き連れてロデニウス沖の空を飛ぶ。

ㅤ彼はようやく下された出撃の命令に喜び勇んでいた。

ㅤ・・・今回の敵は大日本帝国の主力ワイバーン隊ということだが、所詮農民に安全保障をしてもらう様な弱小国。恐るるに足りない。

ㅤだが、それでもワイバーンはワイバーンなのだ。いくら弱兵が扱う少数編隊とは言え海軍だけでの対抗は厳しいのだろう。

ㅤそこまで考えたアグラメウスはもう一度自らが指揮をする編隊を見回す。

ㅤ250騎。

ㅤ言葉にすればとても短なものだが、これだけのワイバーンを一度の作戦で動員するのは史上初である。

ㅤおそらくは後世の歴史書にも王国史上最大のワイバーンによる作戦行動としてその雄姿は永遠に刻まれるだろう。

ㅤそして、蛮族にも関わらず、『大』やら『帝国』と調子に乗っている者共を教育してやる。

ㅤアグラメウス以下全ての竜騎士がそう思っていた。

ㅤその時である。

「・・・?何か変な音がしないか?」

ㅤアグラメウスの耳がなにかを補足した。

ㅤその音は『ブーン』という聞きなれない重低音であり、どこか不安になる音だ。

「・・・前方には敵影なし、後方、左右も異常なし。」

ㅤ慌てて周囲を確認するも、敵騎は見えない。

ㅤ敵の攻撃を警戒してあたりを見回すが、何も見えない。

ㅤそれにもかかわらず、音はどんどんと大きくなって行く。・・・おかしい。ここはワイバーンの上昇限界高度のはずだ。

「この感じは・・・まさか、上?」

ㅤにわかには信じられないといった風にアグラメウスが上空を見上げるのと、編隊前方からくぐもった悲鳴が聞こえてくるのはほぼ同時であった。

 

 

 

 

「目標捕捉!!敵西洋竜!!」

ㅤ航空母艦加賀制空戦闘機隊中隊長、安室少佐は愛機の零戦二一型を唸らせながら急降下する。

ㅤその目標は下方で余裕綽々といった様子で悠々と飛行する西洋風の龍の一団。

「まだまだ・・・今っ!!」

ㅤ編隊の中の一人の男がこちらを見た様な気がした瞬間に20mm機関銃の引き金を引く。

ㅤダンダンダンという子気味のいい音とともに射出された20mm弾は竜騎士に迫り、その柔らかい肉体を文字通り粉砕する。

ㅤ竜騎士の体を貫通した弾はワイバーンにも迫り、鱗を砕く。

ㅤ一人と一匹が無残な肉片と化したのを切る暇もなく安室少佐は敵編隊の中をくぐり抜け、体勢を立て直す。

ㅤ少し後方を見て見ると、中隊各機も続々と敵騎を撃墜しており、晴れ渡る蒼空に紅い花が咲いていた。

 

 

 

「な、なんだ?!」

ㅤ半信半疑ながらも上空を確認したアグラメウスは信じられない事態に直面した。

ㅤなんと、右前方を飛行していたはずの竜騎士が、国の女房がそろそろ赤ん坊を産むと、出撃前に笑っていた彼が愛騎と共に肉片と血しぶきとなりこの世から消え去ったのだ。

ㅤしかも、その数瞬後には何やら大きく奇怪な色をした大型ワイバーンが編隊の中を突っ切っていったのだ。

ㅤその速度は異常なほどに早く、急降下しているとは言え、600キロは出ていたのではなかろうか。

「さ、散開!!散開しろ!!」

ㅤとっさに散開する様に命令するが間に合わず、第二撃、第三撃を次々と食らい、被害が拡大する。

「クソっ!!敵はどこにいる!!」

ㅤ敵の連続攻撃が終わり、10名と10匹が生命活動を停止させた頃。

ㅤロウリア編隊は必死の索敵を開始した。

ㅤ10騎を失ったとは言え母数が多いロウリア編隊は未だ240騎が作戦行動中であり、索敵は極めて素早く行われる。

『敵ワイバーン隊発見!!前下方を凄まじい速度で上昇中!!』

ㅤ魔信をつうじて 編隊に敵の位置情報が共有される。

ㅤ大慌てで前下方を見ると、羽ばたかない大きな羽に大きな赤い正円をつけたおおきなワイバーンが凄まじい勢いで上昇するのが見えた。

「あれほどの速度で上昇できるのか・・・?!」

ㅤその脅威的な上昇力を目にして瞠目するアグラメウスだが、彼に安息は訪れない。

ㅤ遠くから今度は20の黒点が彼らを目指して飛んできていた。

 

 

 

 

大日本帝国海軍 南雲機動艦隊 旗艦 赤城

『我、敵ワイバーン隊に遭遇。戦闘を開始セリ。位置・・・』

ㅤ赤城制空戦闘機隊隊長、郡山少佐から赤城に向けて送られてきた無電が通信士によって読み上げられる。

ㅤクワ・トイネ公国とクイラ王国によってワイバーンについて教えられていた艦隊上層部は万が一に備えて対空戦闘の用意をさせる。

ㅤこの命令を受けて艦隊各艦の機銃座や高角砲に人員が配置され、敵が来襲するのを待つ。

ㅤまぁ加賀や二航戦から送られてくる情報も含めて考えると艦隊に到達するまでに全滅しそうだが。

ㅤしかし、今各空母飛行甲板上には帰還した艦爆・艦攻が多数駐機されており、今火炎放射など食らったら瞬く間に甲板が火の海となるだろう。

ㅤそれだけはなんとしても避けなければならない。

ㅤまぁ、要するに備えあれば憂いなしということだ。

ㅤ司令長官の南雲はブルーアイと共に今も零戦隊が戦闘を続ける西方の空をじっと見つめるのであった。

 

 

 

 

『いけーっ!!』

『囲め囲め!!』

『ダメだ!数が多すぎる!!』

『ああっ!!後ろ!後ろに!!た、助け』

ㅤロウリア王国竜騎士団は今、大混乱に陥っていた。

ㅤあれから何度も攻撃を仕掛けてくる敵ワイバーン隊に対してロウリア側は散開して五騎1組で応戦していた。

ㅤしかし、その被害は拡大の一途をたどっている。

ㅤなにせ、敵はこちらよりも高威力な魔法を連発できる上に速度もこちらより上なのだ。

ㅤ中には敵の弱点を見切り、できるだけ予測不可能な動きをすることで敵の攻撃を避けている者もいたが、何回も何回も攻撃を受けてはたまらない。

ㅤそれに、いくら精鋭が集まるといっても混乱の中未知なる敵を前にして対処法をあみだせれる者は少ないのである。

ㅤその為、多数の騎士が愛騎と共にその身を散華させていた。

ㅤしかも敵ワイバーンの数はどんどんと増えていっており、それに比例するかの様にこちらの損害も右肩上がりになっていた。

ㅤ最初は250を数えた大編隊も今では80程度にまで消耗してしまっている。

「クソっ!!』

ㅤ未だなんとか生き残っていたアグラメウスは敵ワイバーンの攻撃を何とかかわしつつ作戦を思案する。

(このままここに止まったところでジリ貧でこちらの負け。かといって逃げるわけにもいかない・・・。)

ㅤ先ほどから予測不可能な動きをして敵の判断を鈍らせる様にと指揮下の竜騎士に命令しているが、リアルな死と未知の敵という二重の恐怖の中でどこまで伝わったか。

ㅤ先ほどから敵の攻撃が自らの横をかすめる音がする。

ㅤ正に生と死の狭間の中でアグラメウスの思考はいかに犠牲を減らすかではなくいかにして敵を少しでも多く道連れにするかというものに変わっていた。

ㅤされども、いくら思案したところでいい案は全く浮かばない。

(クソッ!!どうすれば・・・!!)

ㅤと思いながら前方を確認した。

ㅤその時に見たこちらに機首を向ける敵ワイバーンが彼が最後にその記憶に焼き付けた光景となった。

 

ㅤその後、ロウリア王国竜騎士団は日本海軍南雲機動艦隊所属の零戦隊によりアグラメウス以下250騎の全騎が肉片と血しぶきとなって消えた。

 

 

ㅤこれにより、ロウリア王国マイハーク侵攻は海将シャークン、竜騎士団長アグラメウス以下将兵多数、軍船約2800、ワイバーン250騎を失う大損害をだして歴史上稀に見る大敗北となり失敗したのであった。




お気に入り90件突破!!ありがとうございます!!
__________________________
不定期(じゃなくなってきた)作中登場兵器紹介
・霧島
比叡の姉妹艦。昭和天皇が乗艦する御召艦に指定された。
・利根・筑摩
日本海軍重巡洋艦。前方に主砲を集中させ、後方は水偵の待機所にするなど当時にしては珍しい形をしていた。
・二航戦
飛龍と蒼龍のこと。
・加賀
色々とけっかn問題を抱える空母。かわいい(重要)
・零式艦上戦闘機(二一型)
みんなご存知日本海軍の代名詞的存在。太平洋戦争緒戦で活躍するも状態がいいままでの米軍による鹵獲からの調査や新鋭機の登場、徹底的に切り詰めた防弾性などの弱点の露呈、後継機開発の遅延などが相まって戦争中盤、後半にはかなり押されていた。特攻にも使用された。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。