クワ・トイネ公国 城塞都市エジェイ
「これはマズイな・・・。」
クワ・トイネ陸軍将軍ノウは焦っていた。
それは別に兵糧が尽きそうだとか、城壁が突破されたとかそう言うことではないのだが、確かに戦闘に影響を与えるもの。
そう、兵の士気がどんどんと低下しているのだ。
その理由は、今朝もやってきたロウリア軍の300程度の騎馬隊である。
ロウリア軍は大挙して押し寄せる事はせずに少数の騎兵隊を繰り出しては挑発行為を繰り返すのだ。
そのせいで兵はろくな休息も取れず、どんどんと士気と体力を消耗しており、このまま行けば敵本隊到着まで兵がもたないだろう。
「くそっ!卑怯な真似をしおって・・・。」
膠着状態に陥り、ろくな打開策も思い浮かばない。
ノウがイライラとしていると突然ドアがノックされる音が部屋に響いた。
「失礼します。日独軍から連絡が入りました!」
「読め!」
「はっ!『これより我が軍は支援を開始する。支援にクワ・トイネ兵を巻き込まぬ様に城内に待機するように願う』との事です!」
快く思っていない日本とドイツからの連絡。しかし、彼からすればまさに天から垂らされた蜘蛛の糸だった。
「ふんっ!やはり手柄が欲しいのか。・・・まあ良い。彼奴等の戦い様を見るのもまた一興だろう。許可すると伝えろ!」
胸中の感情は全く出さずにノウは日本の支援攻撃を許可する旨を伝令兵に伝えるのであった。
クワ・トイネ公国 エジェイ後方 日独軍野営地
「クワ・トイネ軍の伝令兵によると『許可する』だそうです。」
大日本帝国陸軍三枝中将はドイツ国防軍イーベル中将と共に伝令兵の報告を聞く。
「後は実行するだけですね。」
「うむ。そうですな。」
2人の中将はそう少しだけ言葉を交わすとエジェイの奥にいるであろうロウリア王国軍の方向を見据える。
「・・・合同作戦本部からは?」
「すでに作戦実行許可は下りています。閣下達の命令が下り次第緑作戦は開始されます。」
「そうか。」
そう短く返すとイーベルは三枝の方を見る。
三枝は無言で頷いた。
「・・・よし、では作戦開始!自走砲大隊は砲撃を開始せよ!」
「了解!」
通信士が急いで通信機に駆け寄り、自走砲大隊に命令を送る。
それから少し経つと、後ろの小高い丘から砲撃の重低音が木霊した。
こうしてロウリア王国を滅亡に追い込んだ侵攻作戦、『緑作戦』の火蓋は切って落とされたのであった。
ロウリア王国軍 野営地
その日は雲が少ないいい天気であった。
朝は少し肌寒く空気は乾燥しているが澄み渡り、遠くの空まで見渡せる。
ジューンファルファは少し高い丘から、二万の兵がたむろする野営地を見て、深呼吸する。
空気がうまい。
士気旺盛な二万の兵に加えギムで奪った潤沢な兵糧。唯一の脅威のワイバーンもなぜか使ってこない。
後は本隊が到着するまで待つだけの簡単なお仕事だ。
と、彼は思っていた。
しかし、次の瞬間にはその想いは覆される。
『ズドーン』
文字で表すならばこの様な感じか。
まるで巨大な爆裂魔法が発生したかの様な轟音が静かな朝のクワ・トイネ公国に響いた。
「?何だ?」
ジューンファルファは辺りを見渡して音源を探そうとするが、それらしき物は見当たらない。
「?」
不思議に思っていると、突然野営地の真ん中付近で爆発が起こったのであった。
「エンジンあっためろ!」
「全員乗り込んだか⁉︎」
ドイツ国防軍第六装甲師団第六戦車連隊は今、進撃に向けて急ピッチで用意を進めていた。
事前の計画では自走砲大隊が10回斉射をした後は装甲擲弾兵・日本軍と共に前進を開始する手はずになっている。
既に二回斉射され、現在は3回目の準備中だ。
シュトロハイム率いる中隊も現在急ピッチで進撃への最終確認をしている。
「今回の稼働率は60%・・・まぁまぁいい方・・・かな?」
車長用ハッチから頭を出して中隊を見渡す。
数両が足回りのトラブルで出撃できそうになかったが、大半がこれから始まるギムまでの進撃に向けてエンジンをあっためていた。
「あ、日本軍の戦車大隊じゃないか。」
自分の中隊に属するⅣ号戦車H型の奥に小さめの緑色の戦車が見える。
5号戦車を知るドイツ軍内では『あれが中戦車?』ともっぱらの噂だった日本軍の九七式中戦車がお行儀よく整列していた。
「なんか・・・Ⅱ号とかⅢ号を思い出しますね・・・。」
「そうだねぇ。」
そんなこんな砲手のディータと雑談をしていると三度目の自走砲大隊の砲撃音が辺りに木霊するのであった。
「な、なんだアレは!!」
シュトロハイム達が雑談をしていた頃、ロウリア王国野営地は大混乱だった。
なんせ、何処からか爆裂魔法の様な音がしたと思えば何故かいきなり野営地で大爆発が起こるのだ。
エジェイからの攻撃と一時は考えたが爆発の規模からして魔導師が何人いれば事足りるのかわからない。
「くそっ!くそっ!なんなんだアレは!」
その謎な爆裂魔法は一度爆発するたびに屈強な兵士を何人も吹き飛ばす。
特に野営のために密集していたこともあり被害はどんどん拡大していた。
「ぬ、ぬぅ・・・!」
命令をしようにもここから見える限りでも兵士は完全に恐慌状態になっており、命令が何処まで通るか・・・。
その時、エジェイのさらに奥に土煙が見えた。
「突撃ぃぃぃぃぃ!!!」
勇ましく鳴り響く進軍ラッパは兵達の士気を鼓舞する。
大日本帝国陸軍第14師団総勢15000人はドイツ国防軍第六装甲師団所属の装甲擲弾兵と共にⅣ号戦車H型やパンター、そしてチハに護衛されつつロウリア王国軍の野営地を目指す。
その大きな歓声は大地を震わせ、鋼鉄の騎馬隊はその巨大な車体とエンジンの重低音でロウリア兵を威圧する。
「装填手!次弾装填!弾種榴弾!」
シュトロハイムは装填手に榴弾の装填を指示した。その命令を聞いた装填手は急いで狭い車内で7.5センチの砲弾を詰める。
辺りを見渡すと先頭付近の歩兵や装甲車がロウリア軍に突っ込み、混戦になろうとしていた。
「あちゃーこれじゃあもう砲撃は無理かもしれんね。」
砲手のディータに告げつつもう一度先頭の方を確認するのであった。
「ウグァッ!」
「ぎゃあっ!」
ロウリア王国東方征伐軍先遣隊は日独陸軍により攻撃を受けていた。
三八式歩兵銃やMP40で武装した日独軍の兵士は鎧や兜、剣に弓矢で武装したロウリア兵をどんどんと殺戮する。
後方からの突入してきた戦車隊もまだ歩兵が突入していない場所に砲撃を加える。
その恐ろしい光景をノウはエジェイの城壁から見ていた。
「な、何だあれは・・・?」
鋼鉄の馬に魔導師が何人集まれば良いのかすらわからないと本職を混乱させるほどの爆裂魔法。
更には鍛え抜かれた強敵であったはずのロウリア王国兵がまるで赤子の手をひねるかの様に日独軍の兵士に屠られていく。
その光景はまるで悪夢の様だ。
「あの馬は・・・爆裂魔法を、発射できるのか・・・?」
爆裂魔法を発射する。そんな超兵器を搭載した鋼鉄の馬を何匹も有する日独軍。
ノウの中に日独軍に対する畏怖の感情が芽生えてきていた。
「アレは、一体何なのだ・・・?」
そして、ロウリア王国東方征伐軍先遣隊はノウ達エジェイの軍人、市民に見守られつつ日独軍に大敗するのであった。
同じ頃 クイラ王国 日本陸軍航空隊基地
荒野が広がり、食料をクワ・トイネ公国に依存していた弱小国家。クイラ王国。
しかし、今は日独の支援の下近代的なインフラが整えられ今や弱貧国クイラは過去の物となっていた。
そんなクイラ王国の西の大都市、ルーモス近郊に設置された日本陸軍飛行場。
立派な兵舎に大きな格納庫。更には内地で科学者が死にそうになりながら開発した試作型電探も配備されているこの基地の飛行場には多数の飛行機が駐機されていた。
それらはエジェイから送られてきた作戦開始の報を受けて片翼一基ずつ搭載されたエンジンに火が灯り、轟音を発する。
その名も九七式重爆撃機という。
段々と速度を上げて滑走路を進み、澄み渡った青空へ次々と飛び上がっていく重爆は護衛の一式戦闘機を携えてロウリア王国へ向かうのであった。
ロウリア王国 ビーズル
ロウリア王国近辺に位置する都市、ビーズル。
この都市はロウリア王国の兵器を生産する重要拠点である。
それだけにインフラ整備も優先して行われていたため人口も多く活気に溢れていた。
「?何だアレ?」
そんなビーズルの主要街道を歩いていた1人の男が何かの異常に気づき、空を指差す。
彼につられて多くの人々が空を見上げた。
眩しい太陽と澄み渡る青い空。その中に浮かぶ、大きな大きなワイバーンの影。
「王国軍か?」
と、誰かが呟いた時。
その巨大なワイバーンは黒い何かを大量に投下し始めるのであった。
その日の午後にはビーズルの街は燃え上がり、街として、軍需品生産拠点としての能力を失なった。
焼けた街には煉瓦造りの建物だけが虚しく聳えているのであった。
ビーズル大炎上(物理)
そして二日間連続二回投稿!効果!書き溜めは死ぬ!
さて、皆様。今回魔帝戦に関する結構重要なアンケートを活動報告にて取っております。
参加しない!という方でも一応現在の方針も書いてありますので閲覧していただければ幸いです。
10/21
コメントで突っ込まれたのや自分でもちょっとマズったかなぁと思ったのでシュトロハイム率いる戦車を4号H型に変更。
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登場兵器紹介
・パンター
豹戦車と言われる。西部戦線では米英軍に局所的に出現する重戦車だと思われてた。そんぐらいでかくて強い。
・チハたん
可愛い。以上。強いていうならば知波単学えn大日本帝国の主力戦車。
・フンメル
ドイツ軍の自走砲。某戦車ゲーではお世話になった。Gパンマダー?
・九七式重爆撃機
日本軍の重爆撃機。史実では重慶爆撃に使用された。
・一式戦闘機
隼。陸軍の主力戦闘機。某ゲームでは初期は火力不足に悩んだ。