大日本帝国と末期ドイツ召喚   作:鎌森

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いよいよロデニウス戦争も佳境。


緑作戦その3

ロウリア王国 王都ジン・ハーク

ㅤロデニウスの西方を支配する王国、ロウリア王国。

ㅤ列強からの支援を取り付け、万全を期して侵攻を開始したこの国はクワ・トイネ等4カ国を滅ぼしロデニウスを統一する・・・筈、であった。

ㅤロウリア王国王都ジン・ハークにある城、ハーク城では軍事会議が開かれようとしていた。

ㅤ司会進行係が始めの挨拶をして会議の開催を宣言する。

ㅤその次は司会に促され将軍パタジンが現状説明のために立ち上がった。

「・・・皆の衆。会議に集まっていただき感謝致す。

・・・クワ・トイネ公国侵攻作戦の現状を説明する・・・。」

ㅤいつもの自信に溢れた彼は消え去り、疲れ切って憔悴した様子のパタジン。

「今回の戦争において、我が国はクワ・トイネ公国のギムを占領した。そして、東方征伐海軍合計4400隻が経済都市マイハークを目指して出撃した。そこまでは良かった・・・。」

「・・・そこにおいて姿を現した、日本艦隊20隻により我が軍の艦隊は半数以上が沈められワイバーン250騎も同時に失った。

ㅤ更にその後、東方征伐軍はエジェイ攻略に向けた先遣隊として東武諸侯団を差し向けた。

ㅤ・・・だが、展開して数日で日独軍による攻撃を受けたと悲鳴のような報告が入ってから通信が途絶。

ㅤギムに残っていた本陣も、日独軍の猛攻により損耗しパンドール将軍以下残存将兵の多くが降伏した・・・。」

ㅤここまで聞いただけですでに会議室はお通夜のように静まり返っている。・・・しかし、まだ凶報は残っているのだ。

「更には先遣隊の通信途絶と同じ日にビーズルが謎の攻撃を受けて灰となった。・・・今でも、復旧の目処はついておらずこれ以降は軍需品も不足するだろう。

ㅤ・・・そして、南部だが・・・。」

ㅤパタジンは説明をすることを躊躇い、一旦呼吸を挟む。

ㅤそして、意を決して報告を続けた。

「クイラ王国軍は総勢3万ほどの軍勢と謎の鉄竜を動員して電撃的に南部を占領。第二防衛ラインも突破されリパ陥落も時間の問題だろう。

ㅤ・・・自らの手勢とともに帰還したアデム将軍は東方征伐軍予備隊招集の後に再編成を主張しているが、我が国は侵攻するどころか逆に侵攻を受けている。

ㅤ・・・もう、クワ・トイネ公国に侵攻する力は残っていない。」

『力は残っていない』

ㅤこの言葉を聞いて多くの参加者が悔しさのあまり唇を噛む。

ㅤ特に弱貧国であるはずのクイラ王国にここまでしてやられているということが気に入らなかった。

ㅤそれから、会議はお通夜の雰囲気を通り越した重苦しさを持つも今後の防衛計画についてに話が移行した。

ㅤ二正面作戦を強いられる事になったロウリア王国は戦力をどうしても2つに分けねばならず、なかなか方針が定まらない。

ㅤ1つの案が出たと思えば反対意見が出てその案が立ち消える。

ㅤあーでもないこーでもないと延々繰り返した結果、東部はビーズルに次ぐ大きな街、ルーマを中心として、南部はリパを中心として強固な防衛線を築く事に決定した。

ㅤしかし、この作戦は失った戦力を埋める為王国西部・北部の戦力を東側に多く移動させてしまうこととなってしまう。

ㅤこの事の不味さに気づいたのはもう少し時が経ってからだった。

 

 

 

 

 

約一ヶ月後の日の早朝

ロウリア王国ナズミ浜付近の草むら

ㅤロウリア王国王都ジン・ハークより西に凡そ5キロほどの場所に位置する広い広い浜、ナズミ浜。

ㅤこの浜は遠浅の海であり、干満の差が激しいことでも知られる。

ㅤロウリア王国の農村に住むとある少女はそんな浜の近くの草むらで草かんむりを作っていた。

(すぐに終わると言われていた戦争は拡大の一途をたどっている・・・ビーズルの方では何やら恐ろしい出来事があったというし・・・。)

ㅤ彼女の住む村でも男衆が徴兵され軍人となり前線へ向かっていった。

ㅤ今日も彼女の幼馴染を含む5人の青年が軍人となる。

ㅤその為、彼女は幼馴染の安全と武運長久を願い草かんむりを作るのであった。

「はぁ・・・早く戦争なんて終わってしまえばいいのに・・・。」

と、呟いて彼女は海の方を見る。

ㅤそこにはいつもと変わらない雄大かつ美しい大海原が・・・。

「・・・あれ、何かしら・・・。」

ㅤしかしこの日の海は遠くの方に、黒い何かが浮かんでいるのが見えた。

 

 

 

 

 

『王都防衛本部!王都防衛本部!こちら偵察騎!敵は凡そ50隻の船団を構成し進撃中!繰り返す!敵はおよ・・・っ!あ、アイツら、船からワイバーンに攻げ』

ㅤその後、爆音がした後に偵察に出たワイバーンとの通信は途絶えた。

「これはマズイぞ・・・。」

ㅤちょうどパタジンがいない時に送られてきた恐ろしい報告。

ㅤその後、防衛のために緊急展開した部隊からも悲鳴のように報告が上がってくる。

『ダメだっ!敵の数が多すぎる!』

『王都防衛本部!このままでは持たない!援軍を!』

「ぱっ!パタジン将軍を呼べ!」

ㅤ通信隊の熟練兵が叫ぶと1人の若手兵が飛ぶようにパタジンを呼ぶために通信室を飛び出して行った。

 

 

 

 

 

大日本帝国陸軍第1師団

ㅤ帝都東京に駐屯する帝国陸軍第1師団。

ㅤかつての東京鎮台を祖先と持つ帝国陸軍最古参のこの師団は上陸戦に勝利後に大急ぎで支度を整えていた。

「急げ急げ!」

ㅤ揚陸艦から多数の自動車や大砲を荷揚げする。

ㅤ彼らがこんなにも焦る理由。それはこの師団の請け負う任務が緑作戦の要となるからである。

ㅤそれほどまでに重要なこの師団の任務。それは早急な王都の包囲、攻略である。

ㅤ偵察機からの情報によると既にロウリア王国軍はルーマなどの都市近郊に軍を集め要塞化しており、第14師団と第6装甲師団では突破に時間がかかる。

ㅤその為、手薄な後方に上陸し王都を急襲し陥落させる。それがこの作戦の要だ。よって、何よりも移動速度が大事になる。

ㅤその為、帝国陸軍で現状最も機械化が進んでいる第1師団がこの任務に選ばれたのである。

ㅤ又、この作戦では護衛として南雲機動艦隊が近海に展開しており王都ジン・ハークを空襲し敵のワイバーンを叩き落とす事になっている。

ㅤその後、各種物品の揚陸を終えた帝国陸軍第1師団は大急ぎで王都ジン・ハークを目指すのであった。

 

 

王都 ジン・ハーク

ㅤ日本軍が王都よりわずか5キロの地点におよそ1万人も上陸した。

ㅤその事実は王都防衛本部を震撼させていた。

「すぐにビーズルに展開していた部隊を戻らせろ!」

ㅤ吠えるパタジン。しかし、通信士からの返答は芳しくない。

「そ、それが・・・『日本軍上陸とほぼ同時に敵の攻撃が始まり撤退しようにもできない』との事でして・・・。」

「な、何・・・?」

ㅤフラフラとよろめきながら体を壁に預ける。

「くそっ!」

ㅤ思いっきり机を殴るパタジン。その顔は焦りにまみれていた。

「不味いぞ・・・このままでは王都が危ない・・・!」

ㅤここ数日間ルーマ近郊で日独の偵察が活発化していたため敵の目標はルーマと確信していたパタジンは酷い喪失感に襲われていた。

ㅤ部隊を引きもどそうにも南にはクイラ王国。東には日独。しかも攻撃まで行われているのだから、どこからも部隊は割けそうにない。

ㅤ四面楚歌。万事休す。これらの言葉がとても似合う状況だ。

「なんという事だ・・・。」

ㅤ呆然として呻くパタジンであった。




いやー。漸くここまできましたか。そろそろロデニウスでの戦争も終わりそうです。
閑話ネタはいくらでも思いつくのに戦闘の文は思いつかない・・・。
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作中登場組織・地名紹介
・東方征伐軍予備隊
アデムが言っていた10万の兵士のこと。だが、これは予備役・一般人を多数動員するため発動される可能性は極めて低い。本作オリジナル。
・ルーマ
ビーズル近郊に位置する大きめの都市。本作オリジナル都市。名前は適当。
・帝国陸軍第1師団
日本陸軍最古の師団。祖先は東京鎮台。この世界線では装甲車やトラックが配備され、日本陸軍で最も機械化が進んでいる。
・とある村の少女
本作オリジナルキャラ。今後の出番はゼロ。
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