大日本帝国と末期ドイツ召喚   作:鎌森

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終戦

ロウリア王国北方海上 南雲機動艦隊

ㅤ風上に向けて全力で進む巨大な空母の一団。

ㅤ周囲では彼女達を護衛するために何隻もの艦艇が随伴している。

ㅤそれらは皆マストに旭日旗を掲げており、日本海軍に所属していることを示していた。

ㅤロデニウス沖大海戦を含む数多の作戦に参加した歴戦の猛者たちが揃う、世界最強の艦隊。南雲機動艦隊。

ㅤこの艦隊は今、陸軍支援の為に発艦を開始しようとしていた。

「各種計器よし!各部異常なし!」

ㅤ航空母艦加賀制空戦闘機隊の中隊長である安室少佐は出撃に備え愛機の最終確認をしていた。

ㅤ計器や翼に異常がないかを確かめ終えると、風防を閉じて発艦の時を待つ。

ㅤ栄二一型の腹に響く重低音をBGMに出撃前の高揚した気分を落ち着かせる。

ㅤそうこうしていると、水兵の合図を受けて艦隊旗艦である巨大空母赤城から一機の零戦が飛び立って行った。

ㅤそれを皮切りにここ加賀を含めた艦隊の各空母からも鋼鉄の龍は大空へと羽ばたき始め、少し経つと艦隊上空には見事な大編隊が出来上がっていた。

ㅤ安室少佐を含む航空隊は美しい編隊を組みつつこの戦争に終止符を打つためにロウリア王国の王都を目指すのであった。

 

 

 

 

ロウリア王国 王都 ジン・ハーク

ㅤロウリア王国の首都にしてロデニウス最大の都市、ジン・ハーク。

ㅤロウリア王国において最も重要なこの都市の防衛の要である第2、第3竜騎士団は王都上空を警戒する為に旋回をしていた。

ㅤ新人騎士であるターケナインも先輩たちに混ざって王都上空の警戒をしていた。

ㅤ眼下の街から向けられる憧れの視線。それを全身に受けて自らの仕事を誇りに思いながら先輩に続いて哨戒する。

「ん?」

ㅤその時、ふと北の方角を見た時に何やら遠くに黒い点々が見えた気がした。

ㅤすると、今度はその点がどんどんと大きくなり数を増やしていく。

ㅤその不思議な光景にしばし絶句していたが、その瞬間日本海軍と戦闘をした海軍兵士の言っていたことを思い出した。

『日本のワイバーンはな、なんかちっさい黒い点があるなーと思って見てたらすっげえ勢いで大きくなっていくんだ。

ㅤそんな不思議な黒点が何個も何個も。そんでそいつらがみんなみんな・・・』

ㅤあの時は話半分にしか聞いていなかったが、今は違った。

「まさか・・・あれは日本軍・・・⁈」

ㅤその時、日本軍らしいワイバーンの翼のあたりが小さく爆発したと思うと先程まで目の前を飛行していた先輩が飛竜ごとミンチになって消えた。

「ッ!」

ㅤ突然の攻撃に動揺するが海軍の証言をもとにある程度訓練を積んでいた彼らは日本軍の攻撃に対処する。

ㅤ多くの竜騎士が事前の訓練通りに出来るだけ予測不可能な動きをした。

ㅤ・・・それなのに、先程すれ違った際に更に3騎が消し飛んだ。

その光景を見た瞬間、彼の愛騎は勝手に行動を開始した。

「わわっ!おい!どうした!」

ㅤ新人騎士ターケナインは突然急降下を開始した愛騎を止められずどんどんと地上に近づいていた。

「おいっ!相棒!何を勝手に・・・!」

ㅤ無様に地面に墜落してから、相棒を問い詰めようとする。

ㅤその時にふと上空を見上げて、叱る気が失せるほどの衝撃を受けて唖然とした。

ㅤ彼の視線の先には、日本軍と交戦してはミンチとなり消えていく仲間たちの姿があった。

ㅤ100騎いた編隊は既に半数近くになっており、今も現在進行形でどんどんと数を減らしている。

ㅤ日本軍の巨大ワイバーンは不気味な唸り声をあげながら驚異的な速度で飛び回り味方たちをミンチにしていた。

 

 

 

ㅤおおよそ10分が経った頃には竜騎士団は全滅し、空からその姿を消した。

ㅤこれにより王都上空の制空権は日本の手に渡ることとなる。

 

 

ㅤ零戦隊より敵迎撃機殲滅の報を受け取った艦爆・艦攻隊は王都上空に侵入し攻撃を開始した。

「ここが異界の王国の王都・・・。」

「結構綺麗なところっすね。」

ㅤ眼下に広がる大きな城塞都市を見ながら会話を交わす2人の男。

ㅤ操縦席に座り九九式艦上爆撃機を操るのは高木少佐で、後席に座り自衛用機銃を構えているのが渡辺兵曹である。

「それにしても、なかなかに熱烈な歓迎だな。

ㅤと言いながら常に自分たちの後ろに飛んできている火の玉の線を見る。

ㅤそれは地上の城壁のようなところから飛ばされており、全く脅威には感じないものの邪魔ではあった。

「・・・よし、目標はあそこにするか。」

ㅤと呟いて一気に高度を下げ始める高木機。

ㅤ彼の機に異変があったことに気づいたのか敵の対空砲火が徐々に集まってくるが遅すぎて当たらない。

ㅤそして、とある高度に達した時に胴体に抱えた爆弾を投下した。

ㅤ吸い込まれるように対空砲火が集中している地点に落下した爆弾は轟音とともに熱線や炎を生み出し、そこにいた魔術師達を吹き飛ばす。

「・・・命中したかな?」

ㅤ多くの魔術師が死亡したことなどつゆ知らず彼は次の攻撃目標を求め索敵を開始するのであった。

ㅤその後、敵の対空砲火が沈黙したことを確認した編隊は次の攻撃目標を竜騎士の飛行場と軍の駐屯地へと変えた。

ㅤ空を縦横無尽に駆け回る日本軍機は王都の防衛機能を壊滅させ、王都の市民に多大な恐怖を植え付けてから帰還するのであった。

 

 

 

 

 

 

ロウリア王国 軍部の緊急会議

「・・・。」

「・・・。」

「・・・。」

ㅤ多くの軍関係者が集まり、王都防衛の方策を練る緊急会議。

ㅤ今朝方顔を見かけた、又は話をした者が居なくなっているこの会議では誰1人と言葉を出さなかった。

ㅤ全員が気まずそうにお互いに視線を逸らし、黙っている。

ㅤ今回の攻撃において王都防衛騎士団は運良く墜落していた一騎を除き全滅。

ㅤ防衛ラインとなる城壁もズタボロに破壊され、あちこちに穴が空いている。

ㅤ陸軍基地も激しい攻撃にさらされてしまい、復旧の目処は立っていない。

ㅤ敵は、入念な準備の元本気で王都を落としにきている・・・。

ㅤ誰もがそう察した。

「・・・現在、歩兵部隊を非常召集中です。」

ㅤ1人の幹部が報告を告げる。

ㅤその声は虚しく静かな部屋に消えた。

「・・・そうか。ご苦労。」

ㅤパタジンも労いの言葉をかけるが、はっきりいってもうどうしようもないのではないか、とも思う。

ㅤ陸軍部隊も無傷かというと兵舎が攻撃されたことで甚大な被害を被っており、はっきり言って当てにならない。

ㅤ加えて日本軍は降伏・投降を呼びかけるビラを上空からばら撒いており、士気の低下まで招いていた。

ㅤ全力で迎撃しても、日本軍を撃退するのには力不足ではないのだろうか・・・。

ㅤそんな気分が各人に芽生え出していた頃、バタバタと走る音がしたと思えば扉を凄い勢いで開けながら伝令兵が転がり込んできた。

「・・・どうした。」

ㅤパタジンが半ば予想はついているという表情のままその伝令兵に要件を問うと伝令兵はパタジンに自らが伝えるように命じられた情報を告げた。

「に、日本軍およそ1万人が王都を包囲するように展開しようとしています!」

 

 

 

 

大日本帝国陸軍第1師団 師団司令部

「何とか間に合ったか。」

ㅤ帝国陸軍第1師団長、泉中将は味方航空隊の攻撃を受けて燃え上がるジン・ハークの軍事施設と穴だらけでボロボロな城壁を見て呟く。

「これで降伏してくれたら楽なんですけどねぇ・・・。」

ㅤ参謀がそう泉に話しかける。

「そうだなぁ・・・。」

ㅤ仮に彼らが降伏せずにあの城塞都市に立て籠もったら泥沼の市街戦に突入するだろう。

ㅤそうなればこちらにも多大な犠牲が出るかもしれない。

ㅤその為、彼らはロウリア王国が降伏してくれることを望んでいた。

「・・・まぁ、降伏してくれる可能性は低そうだな。」

ㅤと、彼はボロボロな城壁の上で防衛体制を整えるロウリア兵を見ながら呟くのであった。

 

 

 

 

 

ジン・ハーク 作戦会議

ㅤ非常時に使用されるこの作戦室。

ㅤここではパタジン以下各方面の幹部が集結し、対抗策を練っていた。

「現状、第1城壁は20カ所以上大穴が開いており防御力の発揮は不可能。

ㅤ第2、第3城壁も同様に損害を受けており王都防衛隊も宿舎を攻撃され多数の死傷者が出ています。」

ㅤ若手の軍幹部がパタジンにに現状を伝える。

「現状、出撃可能な兵力は?」

「現在重装歩兵隊、歩兵の八割の招集が完了しています。

ㅤ騎兵も当直の400騎と招集が完了したものを合わせて500騎でしたら何とか出せますが・・・。」

「・・・ただでさえ戦力が不足している中で無作為に出撃させるのは良くないな。今は待機させておけ。」

ㅤパタジンはアデム将軍が提出した日本軍の戦い方を思い出していた。

(確か、日本軍は恐ろしい規模の爆裂魔法を投射して歩兵を吹き飛ばしてから個人個人が携帯可能な謎の武器を使用するのだったな。

ㅤ・・・東方征伐軍の騎兵隊も謎の攻撃によりなぎ倒されたと聞く。今出撃させたところで焼け石に水だろう。)

「他方面から戦力の抽出はできないか?」

「現在南部ではクイラ軍による一大攻勢が開始されており、部隊の引き抜きは不可能です。

ㅤ同様に東部でも日独軍の激しい爆裂魔法を受けて撤退は困難とのことで・・・。」

「成る程な・・・。」

ㅤつまり、南部も東部も敵の攻撃を受けて撤退不可能。

ㅤ更には西部、北部も東部や南部へ大量に援軍として送ったため纏まった援軍を呼ぶ事は不可能だろう。

ㅤかといって王都防衛隊も大きな損害を受けており、自力での撃退は不可能・・・。

ㅤそこまで考えてパタジンはとあることに気づいた。

(まさか・・・もう、詰み、か?)

ㅤ祖国の敗戦。

ㅤその恐ろしい響きの言葉を考えてパタジンの背中から汗がどっと吹き出す。

(いやいや。そんな筈・・・いや。ワイバーンは全滅し、王都防衛隊も自力では敵軍の撃退は不可。それでいて援軍を呼ぶこともできない。・・・それならば、自分は何を使って王都を防衛すれば良いのだ?)

ㅤその後、しばし塾考した後彼は若手幹部に短くこう告げた。

「・・・少し、陛下にご相談してくる。」

 

 

 

 

ロデニウス一の大都市である、ロウリア王国王都ジン・ハーク。

ㅤ三重の防壁に囲まれていた豪華な城の最深部に位置する王の間。

ㅤそこでパタジンは自らの仕える王であるハーク・ロウリア34世に謁見していた。

「・・・以上の事から、我が国には最早クイラ王国、ひいては日独を止める事ができる戦力は残されておりません。」

ㅤパタジンは先程考えた事を包み隠さず、王に告げる。

「・・・で、パタジンよ。お主は余にどうしろと言うのだ。」

ㅤロウリア王国の王であるハーク・ロウリア34世は内心怯えながらもそれはおくびにも顔に出さず、パタジンに問い返す。

(まさか、あの日パタジンにロデニウス沖大海戦の結果報告を聞いたときに夢想した王都の惨劇が事実となるとはな・・・。)

ㅤまだ自らが夢想した王都の未来よりもマシなことは民の住まう市街地への攻撃が極めて少なかった事か。

ㅤ・・・パタジンは先程自分が言った言葉を受けて何やら遠慮しているようだが、何を言いたいのかは先程の報告を聞けばわかる。

ㅤ・・・いよいよ、腹をくくる時が来たか。

「・・・パタジンよ。お主が何を言いたいか、余にはわかる。

ㅤ・・・降伏、だ。日本がばら撒いたビラが本当ならば民の未来は安寧だろう。

ㅤ余1人の命で民が助かるならば安いものよ。」

ㅤと、パタジンを前に威厳があるように喋る。しかし、内心は恐怖でおかしくなりそうだ。

ㅤ今も体の震えを抑えるのに精一杯である。

ㅤ王の言葉を聞いたパタジンは頭を下げて静かに泣いていた。

 

 

 

ㅤその後、ロウリア王国は王都前面に展開する日本軍に降伏する事を伝えた。

ㅤ王都より降伏の指令を受けたロウリア王国軍は各地で戦闘行動を停止し、各地で日独、クイラ軍に投降することとなる。




ロウリア王国降伏。
今後は少し長め(予定)の閑話章に入ります。
まあその前に戦後処理の話があるんですけどね。(戦後処理も閑話章に組み込まれるかも知れませんが)
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