パーパルディア皇国 国家戦略局
ㅤ薄暗い部屋に灯されるオレンジ色のロウソクの炎。
ㅤその炎はゆらゆらと揺れながらこの部屋に立つ2つの人の影を映し出す。
「随分と簡単に言ってくれるな・・・!」
ㅤ男は冷や汗をかきながら報告した部下を威圧するように喋る。
「ロウリアに一体いくら支援したと思っているのだ⁈もちろん隠蔽工作はするが、皇帝のお耳に触れたら国家戦略局そのものが危機にさらされるぞ!」
ㅤ上司は今回の失敗を嘆き、部下は地面につくほどに深く頭を下げる。
「しかし、ロウリア王国ほどの規模の国が我々の支援もあったのに文明圏外国家ごときに負けるのか?」
ㅤしばしの静寂の後で話題は彼らの暗い未来からロウリア王国を下した国についてに移行した。
「それが、諜報員には捜査を指示したものの有効な情報が得られる前に戦闘に巻き込まれ死亡したようでして・・・。」
「戦闘を見ていた民間人からも一部くらいは聞き取れるだろう?」
「それが、民間人から聴取するとあまりにも現実離れした意見がでるばかりで。なんでも日本は爆裂魔法を起こせる鉄竜を大量に有しているとか、鉄の獣を有し、その獣は大きな爆発魔法を連射する・・・などです。」
「それは流石に情報統制が入っているな。小賢しい・・・。」
ㅤその後、彼らはロウリア王国に関する資料を全て焼却し、国家戦略局とロウリア王国との関係を徹底的に隠蔽した。
第八帝国ことグラ・バルカス帝国 情報局
「閣下。ロデニウス大陸での戦闘について現地から報告が届きました。」
ㅤ電子式受信機に通信音が鳴り響く。
ㅤこの世界では異色の国家、グラ・バルカス帝国の情報局にてロデニウス戦争の情報が伝えられようとしていた。
「概要は?」
「はっ!ロウリア王国のクワ・トイネ公国並びにクイラ王国への侵攻は、大日本帝国及び大ドイツ国の軍事介入により失敗に終わった模様。
ㅤロウリア王国は分割され完全に消滅する見込みです。」
「何⁈」
ㅤ閣下と呼ばれた男はその報告を聞いて片眉を釣り上げる。
「我が国の分析によれば、ロウリア王国の圧勝に終わりロデニウス大陸全土がロウリアになると思っていたが・・・。大日本帝国に大ドイツ国。聞いたことのない国だな?」
「はっ!この二国が介入した、と言うよりは全面参戦したことで戦局は一変。
ㅤロウリア王国の4400隻に及ぶ大艦隊は日本海軍の手により壊滅的被害を被っております。
ㅤ地上でもロウリア王国は日本、ドイツに傷を負わせることもできずに敗退しております。」
報告は続く。
「ですが、日独の戦力は目撃証言がなく詳細は不明です。
ㅤしかし、ビーズルで連絡が途絶したスタッフが最後に『日本軍はばく』と送ってきています。
ㅤ途中で文章が途切れているためあくまで推測ですが、日本軍は爆撃機を保有しているのかもしれません。」
「そうか。・・・まずは現地で死亡したスタッフの冥福を祈ろう。」
ㅤそういうと閣下と呼ばれた男は黙祷を捧げる。
ㅤしばしの黙祷が終わると彼は日独についての分析を開始した。
「それにしても、爆撃機を保有していると断じた場合は少なくとも航空分野に関してはこの世界最高レベル。少なくともムーやミリシアルに匹敵する技術は有していると見るべきか。
ㅤ・・・詳細はわからんが陸海軍戦力もそれに比例したものを持つとした方が妥当、か。
ㅤ・・・大日本帝国とドイツ。まだ戦力の詳細はわからんが警戒しておくに越したことはないな。」
ㅤこうしてグラ・バルカス帝国は日本とドイツを要注意国家とカテゴリーした。
ㅤこれはミリシアル帝国に次いでムーと同等のレベルであり、グラ・バルカス帝国において日本とドイツは明確に『脅威』と捉えられたのである。
ㅤそれから少し後、日本の方でもはるか西方の一大事について情報が入ってきていた。
大日本帝国 陸軍情報局
ㅤ大日本帝国においてドイツの情報を探る為、ひいては余りにも情報が足りないこの世界を調べる為転移後陸軍省所轄として設立された陸軍情報局。
ㅤこの場では遠い第2文明圏で発生した一大事について話されていた。
「扇町閣下。レイフォルに展開していた諜報員から緊急連絡が届いております!」
「読め!」
ㅤ扇町閣下こと扇町芳樹少将は何やら嫌な予感を感じつつ報告を聞いた。
「昨日、第二文明圏の列強レイフォルが西方の新興国である第八帝国と交戦。第八帝国はレイフォル側の戦列艦43隻を沈めた後で首都レイフォリアを完膚なきまでに消しとばしたとの事です!」
「な、何だと⁉︎」
ㅤ扇町は心底驚いたという風に言葉を発する。
「この世界の新興国といえば原始的な大砲すら有さない筈だ。それが、末席とは言え列強の有する戦列艦が薙ぎ倒せるのか?」
ㅤ扇町の質問に対して部下は一枚の写真を取り出した。
「閣下。これを見てください。
「・・・⁈こ、これは⁉︎」
ㅤそこに写っていたのは、海軍の誇る世界最大最強の戦艦、大和・・・ではなく、それに酷似した巨大戦艦だった。
「これは件の第八帝国の有する戦艦で主砲は大和と同じく46センチ級と予測されております。
ㅤ・・・ですが、この艦は大和と比較して対空兵装が充実しており、艦橋を見るにレーダーが搭載されていると思われます。 又、我が国では実用化されていない近接信管らしき物を使用しているという報告も・・・。」
ㅤその報告を聞いて絶句する扇町。
ㅤ少しの静寂の後、扇町は考察を始めた。
「大和並みの戦艦を作れるとなれば、我が国と同じほどの技術力を有していると見るべきだろう。・・・それに、あまり認めたくない事だがどうやら電子面においては我が国よりも進んでいるようだ。
ㅤ・・・となれば、我が国で試行錯誤中の対空電探や射撃管制装置も実用化している可能性はあると見るべきか。
なんにせよあまりにも技術がこの世界と隔絶している。間違いなく『転移国家』だな。」
ㅤそう断じる扇町。
「むう・・・これはちと不味いな。これは我が国の大きな脅威となるだろう。これからは要注意だな。」
ㅤこの情報はドイツにも届いており、両国はグラ・バルカス帝国を脅威と断定し最重要注意国家に認定した。
ㅤこうして、違う世界から転移してきた3つの帝国は互いを認知したのである。
ㅤそして、日本では第八帝国なぞよくわからん国に遅れてなるものかと技術者陣は今まで以上に働き詰めになるのはまた別の話。
さて、次回からは最近影の薄い日独についてのお話になります。
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作中登場兵器紹介
・グレートアトラスター
愚帝の誇る偽大和。だけど性能的には大和の上位互換。
ぼくのかんがえたさいきょうのやまと。
こいつのせいで日本海軍が超大和型戦艦作り出しそうで怖い。