大日本帝国と末期ドイツ召喚   作:鎌森

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大日本帝国は1941年12月下旬、ドイツは1944年下旬です。


序章:転移
それぞれの転移


ㅤ薄暗く、冷たい空。ブリザードが吹き荒ぶ北の海。まるで墨のように黒く染まった海面は全てを飲み込んでしまうような荒れ模様である。

 

ㅤ極東の大国、大日本帝国の北の端。択捉島単冠湾。

ここにとある艦隊が停泊していた。

ㅤ航空母艦6隻、戦艦2隻を含むその大艦隊の名は日本海軍第一機動艦隊、又は南雲機動艦隊と呼ばれる。

その中でも一際大きな存在感を醸し出す大きな空母。

旗艦赤城艦橋の作戦室の中で数人の男が話し込んでいた。

「中止⁉︎作戦は中止なんですか⁈」

ㅤ司令長官である南雲に詰め寄る1人の男。

数ヶ月前から山本五十六の命を受け、今まで必死にこの作戦のために邁進していた源田実中佐である。

「何故!何故ここまで来て中止するのですか!!」

まだ天皇陛下のご聖断の結果とか対米交渉に成功したとかなら納得できる。

しかし、南雲が作戦中止の理由を聞いた際にはぐらかそうとしたことが源田を激しく興奮させていた。

ㅤそして、源田の隣からも南雲に向けて厳しい視線がビシビシと飛んで来ている。その痛い視線の主は淵田美津雄中佐。

ㅤ彼もまた源田と同じく米艦隊に必殺の一撃を与えるべく必死に努力していたうちの一人だ。

彼は源田のように詰め寄ってはこないもののその目は冷たく鋭い。彼がその目で訴えていることも源田と同じことだろう。

「わ、わかったわかった。源田君。少し落ち着きたまえ。」

淵田中佐の視線や怒気迫る源田の物言いに怖気付いたのか南雲は源田を諌める。

ㅤすると、彼も頭に血が上っていたことに気づいたのか姿勢を正してから深く深呼吸をした。

暫しの静寂が作戦室を支配する。

・・・どうやら少し落ち着いたようである。

ㅤしかし、未だその目は鋭く南雲を貫いておりはぐらかすことは許さんと目で語っていた。

助けを求めるように後ろに待機している草鹿参謀長に顔を向ける南雲だが、草鹿にも視線を逸らされてしまった。

ㅤ八方塞がりとなってしまった南雲は一つ大きくため息をつき、『絶対に口外しないように』と前置きをしてから作戦中止の理由を述べた。

「なんでも、外洋に展開していた船と陸さんの第25軍が内地に出現したんだそうだ。」

『は?』

その子供の妄想のような言葉を聞いた2人の男の呆けた声が作戦室に響いた。

 

 

 

今から少し前

ㅤ現在、日本政府と大本営は大騒ぎであった。

何と、各国の日本大使館やマレー作戦の為に移動中であった陸軍第25軍・海軍南遣艦隊と何の前触れもなく連絡が途絶したのである。

ㅤ陸海軍の部隊に関しては無線機の故障や英軍の先制攻撃など様々な理由が考えられたが、諸外国の大使館との連絡途絶は全くもって原因不明であった。

ㅤそれから少したち、単冠湾の艦隊に作戦中止命令を下してから今回の責任のなすりつけ合いを始めていた頃に横須賀鎮守府から突然無電が送られてきた。

その内容は突然目の前に大量の輸送船とそこに満載された陸軍兵士や物資が現れた、と言う物であった。

 

 

 

 

ベルリン 総統地下壕

ㅤ千年帝国を自称していた第三帝国こと大ドイツ国総統、ちょび髭伍長はじっと地図を睨みつけていた。

「・・・何とかならんのか?」

ㅤぽそりと小さく出された声。だがその声は部屋の中で反響し、この場にいる全員にキチンと届けられる。

前に立っている将校達は彼がまた癇癪を起こさないかとハラハラしながらその様子を見守っている。

彼が睨みつける地図にはドイツを中心にした欧州が描かれていた。

しかし、その地図から読み取れる戦況はかなり劣勢である。

同盟国のイタリアは既に降伏し、遠いアジアの友邦たる日本も体勢を立て直した連合軍の手痛い反撃を受け旗色が悪い。

そして、ここドイツにも西側からはフランスを奪還した連合軍が。東からは共産主義者共がバルカン諸国に手をのばし、着々とここベルリンへと迫りつつある。

万事休す。絶体絶命。そんな言葉が似合う戦況だ。

ㅤちょび髭自身も負けを察しているのか最近は老け込み外に出ることも少なくなっている。

反ナチ者の中には気が狂ったという者までいる程だ。

「くそっ!」

ちょび髭が手に持っていた鉛筆を机に投げつける。

勢いよく机に打ち付けられた鉛筆は小気味のいい音を立てながら地図の上を転がる。

多くの者がああ、また癇癪が始まるのか。と思ったその瞬間。

『ッ!!!』

突然、世界が真っ白に染まる。

・・・そう、真っ白なのだ。

眩しい、などという次元ではなく視界に真っ白のペンキをぶちまけられたかのようだ。

「な、何だ!何が起こっている!!」

ヒトラーが吼えるが誰一人としてその言葉に返答する事は出来ない。

10秒ほど経った頃に漸く視界から白が退場し始め、30を数える頃には視界は元に戻っていた。

しかし、彼らの動揺は続く。

「て、敵の照明弾か⁈」

「い、いや。敵機や敵軍が近づいているなどという報告は入ってきていないぞ⁉︎」

「というか今は昼だ!照明弾を使う必要がない!」

混乱する将校達。騒めく室内で、大きな声が発せられた。

「皆落ち着け!状況を確認しろ!まずはこれが連合国の攻撃なのかどうか調べるのだ!」

ちょび髭の号令を受け、将校たちは急いで状況確認に走るのであった。




ドイツの技術力と日本の海軍力が合わさって最強に見える(アメリカとソ連を除く)
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