大日本帝国と末期ドイツ召喚   作:鎌森

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どうも、1話辺りの文字数が少ないことに定評がある(かは知らない)鎌森です。


パーパルディア監査軍vs.日本海軍

同日 昼 フェン王国

ㅤフェン王国の応接の間で待機する大日本帝国外務省の一団。

ㅤこの応接の間は派手さや豪華さはないものの奥ゆかしさや趣のある部屋で質素だが居心地がいい。

ㅤ・・・しかし、そこに座っている外交使節団の顔は厳しい・・・というか、無表情だ。

ㅤ一団に茶が出されてしばらくすると、フェン王国武将マグレブが現れた。

「日本の皆様、今回はフェン王国に不意打ちして来た不届き者共を、真に見事な武技で退治していただいたことにまずは謝意を申し上げます。」

ㅤ深々と頭を下げたマグレブ。しかし、日本側の反応は良くない。

「いえ、我々は貴国を守ったつもりなど毛頭ありません。我々が攻撃を受けたので正当防衛をしただけです。」

ㅤ大日本帝国外交使節団の長である森近は冷淡に告げる。

「早速、国交開設の事前協議を・・・実務者協議の準備をしたいのですが・・・。」

ㅤ我が国を戦争に巻き込むために敢えて戦争状態である事を黙っていたのではないか、という疑惑が生まれ日本の心証が悪いフェン王国。

ㅤどうやら本当に兎に角早く日本を戦争に巻き込みたいようだ。

ㅤ森近は無表情のままで返答した。

「そもそも貴国は戦争状態にあるのではないですか?・・・午前中とは状況が変わりました。

ㅤ本国からの指示です。先ずは貴国が置かれている状況と、我々に攻撃を仕掛けて来た不届き者達の詳細を説明願いたい。」

ㅤ静かながらも、極めて威圧感のある森近の要求。

ㅤ武将マグレブは冷や汗をかきながら察した。

 

 

 

ㅤ日本人はとても怒っている、と。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・以上で報告を終わります。」

ㅤ日本海軍フェン王国派遣艦隊旗艦、長門艦橋に響いていた1人の男の声が止まる。

ㅤ大日本帝国外務省使節団長、森近はフェン王国との会談で手に入れた情報を内地の外務省に報告し終えた。

ㅤその内容は

・フェン王国は第三文明圏列強、パーパルディア皇国と紛争の危機に瀕しており、今回の攻撃はその紛争関連と思われる。

・我が国を攻撃した飛竜はパーパルディア皇国所属である。

・恐らくは我が国を主敵としておらず他国への見せしめの一環で攻撃したと思われる。

・パーパルディア皇国のみならず列強と言うものはプライドが高く傲慢である

ㅤ・・・と言うものであった。

「さて、どうなるかねぇ。」

ㅤフェン王国派遣艦隊司令長官、菅原少将は森近に話しかける。

「さぁ・・・どうなるでしょうか。・・・まぁ、あとは内地の方々の役目でしょう。」

ㅤ短い会話を終えた彼らは艦橋から見えるフェン王国の街を眺めつつ内地からの返答を待つのであった。

 

 

 

 

ㅤその後、現地の職員と長門を通じて情報を仕入れた内閣は緊急会議を開催。

ㅤ首相や外務大臣はまずはパーパルディア皇国への問い合わせを主張したものの陸海軍両大臣が猛反発。

ㅤ日本は現地へ派遣されている陸軍部隊保護を名目にフェン王国へ侵攻中とみられるパーパルディア皇国監査軍を迎撃する事になったのであった。

 

 

 

 

 

 

同日夕方

「フェン王国から通信。フェン王宮直轄水軍がパーパルディア皇国監査軍と交戦、全滅したとのことです。」

「そうか。」

ㅤ大日本帝国海軍フェン王国派遣艦隊臨時旗艦、秋月は配下の三隻の駆逐艦を引き連れてフェン王国沖を進んでいた。

ㅤ現状、フェン王国から伝えられた情報によればパーパルディア皇国監査軍はフェン王国より西に100キロ程の場所にいるとのことだ。

ㅤこれは秋月に試験搭載されている対水上レーダーでも確認できている。

ㅤ現在当艦隊はフェン王国より西側80キロ程度の場所にいる為そろそろ会敵する頃だろう。

ㅤ艦長の大隅大佐は宣戦布告もなく攻撃を仕掛けて来て自らの部下を傷つけ、殺したクソ野郎共がいる遠くの水平線を睨みつけた。

 

 

 

 

 

パーパルディア皇国 監査軍東洋艦隊

「船影らしき物を確認!こちらに向かって来ます!」

ㅤ頭上の見張員から発せられた大きな声が甲板に響いた。

ㅤパーパルディア皇国監査軍東洋艦隊司令長官、ポルトアールはすぐさま望遠鏡を構える。

「大きいな・・・少なくともフェンの物とは思えない。ーー不味いぞ、総員、戦闘用意!」

ㅤと、彼が命令を出した瞬間に大型船に搭載された巨大砲が旋回を開始した。

「ッ!ま、まさかこの距離から届くのか⁈」

ㅤ彼が驚きの言葉を発した直後、辺りに大きな発砲音が響いた。

 

 

 

 

 

 

「次弾装填急げ!」

ㅤ艦隊臨時旗艦、秋月の前部合計二基の主砲は最前列にいたパーパルディア皇国の戦列艦に向けて砲撃を加えた。

ㅤ唸りを上げて飛翔し、パーパルディアの戦列艦の左右に着弾した4発の10センチ砲弾は巨大な水飛沫をあげる。

ㅤ後続の照月や夕雲も攻撃を開始し、辺りは砲撃音に包まれた。

「修正射!撃ェ!」

ㅤ再装填が完了した秋月も修正射をパーパルディア艦隊に向けて発射した。

 

 

 

 

「戦列艦パオス被弾!」

ㅤ雷鳴のような敵弾の炸裂音の少し後に悲鳴のような報告がポルトアールの耳に入って来た。

ㅤ慌ててパオスの方を見れば、敵の砲撃が船体中央部に命中したのかパックリと中央から半分に割れて沈みゆく戦列艦、パオスがそこにいた。

「ッ!」

ㅤその余りにも予想外すぎる光景を見てポルトアールや船員達は息を飲む。

ㅤしかし、敵の攻撃は止まらない。

ㅤ再び砲撃音と砲弾の飛翔音がしたと思えばパオスの最後を再現したかのような光景があちこちで起こっていた。

「戦列艦ガリアス被弾!マミズ被弾!」

ㅤどんどんと増えて行く戦闘不能になり沈みゆく戦列艦達。

ㅤ監査軍将兵の中にはその圧倒的な力の差に怯え、戦えなくなる者まで出始めた。

ㅤいくら旧式の寄せ集めとはいえ、列強パーパルディアの監査軍が文明圏外国如きに手も足も出ない。

ㅤしかも、相手はたったの4隻である。

「ば、バカな・・・。」

ㅤポルトアールはその地獄のような光景を見つつ、頭の中でこれが悪夢ならどれほど良かっただろうか。と思う。

ㅤ気がつけば既に22を数えた艦隊は10にまで数を減らしていた。

「て、敵艦当艦に向けて発砲!」

ㅤ見張員の絶叫が甲板に響く。その瞬間ポルトアールは大慌てで命令を出した。

「か、回避っ!回避だっ!」

ㅤ舵を取り、風神の涙を使用して何とか敵弾を回避しようとする旗艦。

ㅤしかし、現実は非情である。

ㅤ敵艦より飛来した驚異的な威力を持つ砲弾は旗艦前方部に着弾。ポルトアールは海に放り出され意識を失った。

 

 

 

 

 

ㅤその後、パーパルディア皇国監査軍東洋艦隊は日本海軍駆逐艦の手により全滅した。

ㅤ後にフェン沖海戦と呼ばれたこの戦闘の結果はパーパルディア皇国の支配に大きな影響を及ぼすこととなる。




長門がハブられたのは駆逐艦だけでも勝てると判断されたからです。
戦闘シーンのボリュームがない気がするけど許してください。



それにしても列強はプライドが高く傲慢って日本とドイツも結構耳が痛・・・おや?誰か来たな。誰だろう?

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