大日本帝国と末期ドイツ召喚   作:鎌森

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ドーモ、ドクシャ=サン。オヒサシブリデス。


フェン王国沖大海戦②

ㅤそれは、まるで巨大な魔導砲の攻撃のようであった。

ㅤ付近を航行していた竜母『クース』の乗員は後にそう証言したと言う。

ㅤ上空7500mから急降下した日本海軍の彗星艦上爆撃機は500kg航空爆弾を真下の目標に向けて投下した。

ㅤ爆弾は彗星の胴体から青空に放り出されパーパルディア竜母艦隊旗艦『ミール』に吸い込まれるように向かっていき、甲板を貫いて大爆発を起こす。

ㅤ脆い木造の船体は頑強な海上要塞である戦艦を撃沈する為に開発された500kg爆弾の圧倒的な破壊力に耐えきれず、瞬く間に四散する。

ㅤその皮膚を焦がすような熱波が過ぎ、周りの艦の水兵がミールの方を見た時には既に遅し。

ㅤそこには燃え盛るミールだった物が浮かんでおり、原型をとどめていない船体の半分は海中に没していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何だ!な、何が起こっている!?」

ㅤ艦隊副司令のアルモスは先程までやれ素晴らしいだの機能美だのと賞賛していた最新鋭竜母、ミールのあまりにも不甲斐なく呆気ない最期を目の当たりにして軽く混乱していた。

「き、旗艦との通信が途絶!」

ㅤアルモスが混乱して甲板で狼狽えていると、艦橋の通信手から焦った声で報告が入る。

ㅤ・・・既にほぼ全てが海中に没した旗艦に指揮能力を期待する方がおかしいだろう。

ㅤ最新鋭である期待の竜母が沈んだことで取り乱していたが、アルモスも伊達に皇国主力竜母艦隊の副司令を務めてはいない。

ㅤ何度か深呼吸をして落ち着きを取り戻すと、直ぐに『艦隊司令は戦死』と判断し命令を下す。

「通信手!艦隊司令戦死につき私が臨時指揮をとる!」

ㅤアルモスは身を翻して艦橋内部へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おおー・・・派手に吹っ飛んだなぁ・・・。」

ㅤ一番槍の彗星の爆撃をみて呑気に感想を述べる零戦三二型に乗るこの男。

ㅤ名を松浦と言い、この編隊では護衛の戦闘機隊に属する。

ㅤ彼の属する部隊の任務は上空6000m付近に待機し、爆撃隊の迎撃に上がってきた敵騎を逆に撃退することである。

ㅤ・・・だが、敵の残った竜母から新手が上がってくる気配もないし、敵直掩機は既に他の味方に葬られて肉片へと姿を変えている。

ㅤ彼としてはさっさと降下して敵船団に20粍をぶち込みたいのだが、敵迎撃騎が登ってこないとも言い切れないので仕方なく上空に待機しているのである。

ㅤそうこうしていれば遥か下方の海面からまた爆弾が炸裂する轟音が響いてきた。

ㅤ何事かと下を見やれば今度は少し小さめの空母・・・いや、竜母と言ったか?が派手に爆発していた。

「こりゃあ俺たちの出番はないかもしれんな・・・。」

ㅤ彼は上空から戦局を見守りつつ、敵迎撃騎に備えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『敵機直上ーー!!!』

「回避!面舵!」

ㅤ見張所から放たれ、甲板上に響き渡る敵機来襲を知らせる見張員の絶叫。

ㅤその必死な声を聞いたアルモスは素早く回避行動を操舵手に指示する。

ㅤその次の瞬間には先程まで当艦が進む予定だった海面に敵の黒い何かが落下し、轟音と共に巨大な水柱を立てた。

ㅤ戦闘開始から約30分以上たった今。

ㅤアルモスは自らの座乗する竜母クースを守り抜くべく脳味噌をフル回転させて必死に回避行動を取っていた。

ㅤ既に二回の敵の攻撃の回避に成功しており、この船が速度性能で空母に劣る竜母である事を考えるとこの回避数は奇跡に等しい。

ㅤ大戦初期の帝国海軍の急降下爆撃の命中率が8割であったことを考えるとアルモスは目覚しい活躍をしているのだが、そんな事を知らない彼の胸中は悔しさでいっぱいである。

(くそっ!第三文明圏の覇者たる列強パーパルディア皇国の竜母艦隊がこんな無様な負け方をしてなるものか・・・!)

ㅤあの後、数騎の迎撃騎が何とか飛び立ったものの待ち構えていた日本軍騎に早々に迎撃され全滅。今やこの艦隊の上の空は日本の独占状態となっている。

ㅤ日本軍騎の攻撃により竜母とその護衛艦は瞬く間に姿を減らし、今や竜母は当艦のみだ。

(絶対に、逃れきってみせる・・・!)

ㅤもしも、自分が生きて帰れば後から他の皇軍の指揮官たちから弱腰だの逃げ腰だのと後ろ指をさされるだろうがそれでも構わない。

ㅤ誇り高き皇国軍の一司令官としてこれ以上文明圏外国如きに遅れを取るわけにはいかないのだ。

ㅤそう決意を新たにした時、

『敵騎『正面』!真っ直ぐ突っ込んでくる!』

ㅤ再度甲板上に響き渡る敵機発見の報。

ㅤアルモスは『またか!』と思いながら半ば条件反射的に上空を向き、コンマ数秒後に『正面』という単語を認識した。

(上空・・・ではなく、正面・・・⁉︎)

ㅤ大慌てで上空を向いた顔を正面に向けた時。彼の目に映ったのは先程からこの船に上空から突っ込んでくるワイバーンとはまた違った種類の物である様に見えた。

「なっ!新手・・・!」

ㅤと、アルモスが言った後で

『ドガガガガガガッ!!!』

ㅤという、鳴き声とは到底思えない重く、速く、大きく、そして何よりも無機質な音がした。

「おごっ!」

ㅤすると、周りに立っていた水兵たちが突然摩訶不思議な声を立てつつ血を吐き糸が切れた操り人形のように膝から崩れ落ちる。

「な、何が起こった!」

ㅤ突如として血飛沫となった部下を目の当たりにしてアルモスは動揺する。

ㅤ・・・そして、その動揺が命取りとなった。

「敵機直上ーーーっ!」

ㅤ見張員の絶叫が混乱したアルモスの頭に響き、アルモスは自分の使命ーーー敵の攻撃を避けることを思い出す。

「しまった!」

ㅤ大慌てで上空を確認すると、超高速で本艦上空から離れていく敵ワイバーンと凄い勢いで大きくなっていく黒い点が見えた。

 

 

 

ㅤこの空襲により、皇国竜母艦隊は数隻の戦列艦を残して全滅。

ㅤ艦隊司令・副司令や旗艦ミールなど多数の戦力が海の藻屑と化した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「りゅ、竜母艦隊と通信が途絶。ぜ、全滅したものと思われます・・・。」

ㅤ艦隊旗艦であり、皇国の持ちうる最新鋭の技術を惜しみなく投入した文句なしの最強艦ーーー120門級戦列艦、パールの魔信室から送られてくるあり得ない報告。

ㅤそれは、『文明圏外国のワイバーンによる空襲で皇国竜母艦隊が全滅』と言うものである。

「ば、バカな・・・。」

ㅤ普段であれば『ありえん』として切り捨てるような情報だが、今回は違う。

ㅤなんせ、もう何十分も前からずっと当艦に向けて竜母艦隊の副司令が乗る艦から救援要請が届いていたのである。

ㅤその救援要請はまるで断末魔のようであり余程逼迫した状況であった事が伺える。

(ぶ、文明圏外国ごときの軍勢に、皇国主力が敗北・・・。)

ㅤ現在、当艦隊は反転し竜母艦隊から最後に魔信が発せられた地点を目指して進んでいる。

ㅤ・・・一体、竜母艦隊に何があったのだろうか。

(まさか、敵も戦列艦や竜母を保有して・・・?いや、まさかな。)

ㅤ脳内で今回の敵の戦力を想像していると、またもや魔信室から緊急の報告が入った。

『戦列艦ロプーレより入信!艦隊後方に多数の船影を確認!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おー・・・あれがパーパルディアの戦列艦隊か。」

ㅤ日本海軍第二水雷戦隊旗艦、神通艦長の東堂大佐は呑気にパーパルディアの戦列艦を見てそう呟いた。

「何だお前は。物見遊山じゃないんだぞ。もっと緊張感を持たんか。」

ㅤ東堂の緊張感のない声を三条が嗜める。

ㅤ神通の周囲には二水戦に属する駆逐艦16隻が展開しており、白波を立てて海上を進んでいた。

「三条長官。そろそろ敵艦隊が射程距離内に入ります。」

「うむ。」

ㅤパーパルディア艦隊は突然の我々の出現に慌てたのか必死に旋回しようとしており、側背面をこちらに晒していた。

「各艦砲撃用意!」

「各艦砲撃用意!」

ㅤ三条の命令は神通の無線機から各艦に送られ、周りの駆逐艦も前方の戦列艦に照準を合わせるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし、速いな・・・。」

ㅤ将軍シウスは敵艦隊を観察し、その感想を素直に述べた。

シウスは望遠鏡で日本の艦を注視する。

ㅤムーの機械動力艦と同様に帆が無く、今見える限りでは砲は2門しか積んでいない。

ㅤ・・・だが、その形状と大きさからしてムーの回転砲塔と同じか似たようなものなのだろうと推測する。

ㅤ・・・とても、嫌な予感がする。

それから少し時間が経ち、皇軍の旋回もあらかた終わった頃。

ㅤ両軍の先頭の距離が10キロに迫った時に日本艦隊に大きな変化があった。

「日本艦隊発砲ーーー!!!」

ㅤ日本艦隊の大砲から発砲炎と黒い煙が吐き出される。

ㅤそして、少し遅れて大砲の発射に伴う爆音が海域に木霊した。

「・・・まだ10キロほど離れているな。何のつもりだ?」

「儀式か・・・威嚇のつもりでしょうか?」

ㅤ決して、それこそパーパルディアの技術をもってしても届かない距離からの発砲。

ㅤシウスとダルダは日本軍の意図を測りかねた。

ㅤその時である。

ㅤ突如として艦隊の先頭、100門級戦列艦が水柱に包まれた。

ㅤ戦列艦のマストよりも高い水柱はたっぷり数秒かけて霧散する。

ㅤ水柱が霧散して見えるようになったそこには、大破して沈みゆく戦列艦の無残な姿があった。

「戦列艦ロプーレ轟沈!」

ㅤその光景を見て皇軍将兵のみならず、シウス達も驚愕する。

「な・・・ど、どういう事だ⁉︎」

ㅤシウスとデルタは突然のあまりにもあり得ない出来事に混乱していた。

(どうして皇国よりも射程距離が長い魔導砲を有しているのだ!?)

ㅤ未だ敵艦隊は我が方の艦隊の射程圏外におり、こちらから攻撃を仕掛けることはできない。

「て、敵艦隊再度発砲!」

「な、何という装填の速さだ・・・!」

ㅤ日本艦隊から飛来した多数の砲弾は艦隊の前方にいた各艦に向けて襲いくる。

『戦列艦ミシュラ轟沈!戦列艦レシーン中破!戦列艦クション轟沈!戦列艦パーズ大破!』

ㅤ沈んだり損害を受けたりする船の数が多すぎて報告が追いつかない。

ㅤこの頃になると初めは皇国の圧勝を前提に話していた参謀達も顔を真っ青にしていた。

『敵艦隊、進路変更!』

ㅤパーパルディア艦隊が敵の予想外の攻撃に戸惑っていると、日本艦隊は大砲をこちらに撃ちつつ、腹を見せる。

ㅤ射線が通った後部砲塔とパーパルディア艦隊を射程に収めた日本艦が増えたこともあり、射撃の密度はどんどんと上がる。

『戦列艦トグル轟沈!戦列艦ミシルス大破!戦列艦ドンタ轟沈!』

ㅤ敵艦隊が近づくにつれてどんどんと被害が増えていく。

ㅤ始めは外れたり致命傷にまで至らない砲弾もちらほらと見受けられたが、今は大半の砲弾が一撃で戦列艦を沈めるか戦闘不能にまで追い込んでいた。

「こ、こんな事があり得るものかぁぁぁぁぁ!!!」

ㅤ旗艦である120門級戦列艦『パール』の甲板で叫んだシウスは強烈な衝撃と顔を焼かれるような熱波を受けて甲板に倒れた。

ㅤ駆逐艦巻雲の放った12センチ砲弾が容易くパールの装甲を突き破り、艦内で炸裂したのである。

ㅤ大穴が開き艦内に海水が流れ込んだ『パール』は徐々にバランスを崩し始める。

「い、いかん!総員退艦!」

ㅤなんとか生きていたシウスはパールの艦長として最後の務めである『総員退艦』を命令する。

ㅤその十数分後、パーパルディア皇国の武力の象徴の1つであった120門級戦列艦、パールは大東洋に沈んだ。

 

 

ㅤこうして、パーパルディア皇国の戦列艦大艦隊183隻はものの数時間で海の藻屑となった。

ㅤ戦列艦大艦隊殲滅後、戦列艦隊の後ろを航行していた揚陸艦なども含め日本艦隊はパーパルディア皇国艦隊を殲滅。

ㅤこうして歴史に残る大海戦、『フェン王国沖大海戦』は日本の圧勝で幕を閉じた。




久しぶりの更新な気がする。

作中登場兵器紹介
・零戦三二型
大体史実と同じだが(史実と比べて)高性能な無線がわりと普及してきている。
・神通
5500トン級軽巡洋艦の川内型三姉妹の2番艦。
1927年に美保関事件を起こしている。
・巻雲
夕雲型駆逐艦2番艦。空母ホーネットを雷撃処分している。
ガダルカナル島からの撤退作戦であるケ号作戦に従事中に触雷。
雷撃処分された。
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