大日本帝国と末期ドイツ召喚   作:鎌森

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(やべぇ・・・気づいたらもう前回の更新から9日経ってるじゃないか・・・)


勝利の影響

パーパルディア皇国 皇都エストシラント 第1外務局

「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

ㅤ第一外務局に響く若い女性の怒声。

ㅤその声はまるで拡声器でも使ったのかと思うほど大きく、部屋に置いてある物は彼女の声でビリビリと揺れていた。

ㅤ外務局鑑査室に属しており、日独の外交担当官でもあるパーパルディア皇国の皇族、レミールはあらん限りの力を振り絞って怒鳴った。

「皇国の!皇国の力と技術を結集した!戦列艦183隻の大艦隊と!!最新鋭の竜母を含む竜母艦隊が!全滅か!」

ㅤ彼女の前ではなるべく彼女の怒りの矛先が自分に向かないように出来るだけ体を小さくする男達がいる。

「さらにはフェン王国侵攻の為に用意した陸戦隊も乗っていた船と共に全て沈められたそうだな!」

ㅤギロリと皇国軍最高司令官であるアルデを睨みつけるレミール。

「敵の戦力の正確な分析ができんとは何事かっ!貴様ぁっ!それでも誇り高き皇国の指揮官かっ!!!!」

ㅤ今回の作戦にあたり、パーパルディア皇国軍はフェン王国を落とす為に文明圏外国が数個束になってきても鎧袖一触なほどの戦力を用意していた。

ㅤその力は圧倒的であり、それこそ列強でもなければ対抗できないはずであったのである。

ㅤ・・・だが、大日本帝国の存在が全てをひっくり返したのだ。

「軍を再編成して万全を期します。もう皇国が負けることはありません!今すぐに準備に取り掛かります!!」

ㅤアルデはそれだけいうと大慌てで退室した。

「おのれぇぇぇぇぇ・・・文明圏外の蛮族風情がぁぁぁぁぁ・・・!!!!」

ㅤレミールの目は血走っている。口は力の限り噛み締め、歯茎から血が出てきそうなほどだ。

ㅤ・・・皇国軍。それも、旧式の寄せ集めの監査軍ではなく正規の、それも最新鋭の戦力が悉く潰されたのだ。

ㅤパーパルディア皇国は73という膨大な数の属領を持つ。

ㅤその全ては宗主国であるパーパルディア皇国の圧倒的な軍事力と技術力差を背景とした恐怖政治で支配しているため、文明圏外国ごときに正規軍が負けるという事がどれだけ重大な事かをレミールは正しく理解していた。

「蛮族がぁぁぁぁぁ・・・もう、もう絶対に許さんぞぉ・・・。」

ㅤまるで般若か鬼神のような威圧感を発する皇女レミール。

ㅤ・・・しかし、そこにさらにレミールの怒りを増幅させる特大の燃料が投下されようとしていた。

「会議の最中失礼します!」

ㅤ突如として開け放たれる扉。伝令役の兵士はどうやらとても焦っているようであり余程重大な事件であるということがうかがえる。

「どうしたっ!」

ㅤレミールが多分に棘を含んだ口調で報告を促すと伝令兵は萎縮しつつも、皇国からすれば信じられない事実を口にした。

「ムーが大日本帝国とドイツ国へ観戦武官を派遣することを決定しました!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大日本帝国 外務省の一室

ㅤかつての世界同様にカラッとした寒い晴れである冬の帝都東京。

ㅤ開戦に伴い一時は緊迫した空気が流れていたこの街も新しい1日を迎え、人々が活動を開始しようとしていた。

ㅤ大日本帝国に保護され、東京市内に住んでいたルミエスは日本の外務省から『話がしたい』と呼び出されていた。

ㅤ送迎の車に揺られて外務省を目指し、来賓室に向かう。

ㅤ外務省の職員が来賓室の扉を開けると、中に居た日本の外務省の官僚たちが一斉に起立した。

(只事ではない)

ㅤそう察したルミエスはお付きのリルセイドとともに日本の外交官の前に立ち、外務省次官に促されて椅子に座る。

「ルミエス様、お待ちしておりました。お忙しい中急に呼び出してしまい、誠に申し訳ありません。」

「いえ、保護していただいている身ですし、今日も送っていただきました。」

ㅤルミエスと次官の挨拶が終わると、外務省の役人である町田が話を切りだした。

「外務省の町田です。先日、我が国がパーパルディア皇国と開戦した事はご存知だと思います。」

「はい。聞き及んでいます。」

ㅤルミエスは記憶の中から数日前の新聞の一面を引っ張り出す。

『神国日本、鬼畜波皇に宣戦す』

ㅤと、新聞に大々的に書かれたその文字を見てルミエスはリルセイドと共に瞠目したものだ。

「そこで、ルミエス王女には君主、つまりアルタラス女王としてアルタラス王国の正当政府を名乗っていただけないでしょうか?

ㅤ勿論、我が国はこれを承認すると共に現在我が国と国交がある国にも承認するように働きかけます。」

ㅤルミエスとリルセイドは少し驚いた表情を浮かべるが、すぐに平静に戻った。

ㅤわざわざ皇国に正々堂々と喧嘩を売るような国のすることでは一々驚かなくなったのかもしれない。

「それは私にとって願ってもなく、ありがたい事です。・・・しかし、私は何をすればよろしいのでしょうか?」

「はい、具体的には・・・。」

ㅤパーパルディア皇国の知らないところで話は着々と進んで行く・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

パーパルディア皇国領アルタラス島 ル・ブリアス

「軍長!日本から通信が入りました!」

ㅤ通信室から出てきた若い男は大急ぎで軍長ことライアルに東方の新興国・・・もとい日本から通信があった旨を報告する。

「どうやら今回の定期便はガラタ入江に来るようです!」

「そうか。」

ㅤライアルは自分の得物・・・日本製の二六年式拳銃を手入れしつつ部下からの報告を聞く。

ㅤこの定期便とは、日本海軍の伊号潜水艦やドイツ海軍のUボートにより行われているアルタラス島の地下組織への援助のことである。

 

 

 

 

 

ㅤアルタラス王国の王女ルミエスが大日本帝国に保護された頃。

ㅤ大日本帝国とその情報を掴んだドイツ国はすぐさま諜報員をアルタラス島へ派遣した。

ㅤ・・・すると、案の定パーパルディアに反感を持った者達が集まった地下組織があることが判明したため両国の諜報員はすぐに接触した。

ㅤ最初は警戒していたアルタラス島の地下組織だが、魔信を通じてルミエスの肉声を日本が聞かせ、ルミエスに『時が来るまで待つように』と聞かせられてからは日本とドイツを信用するようになった。

こうして地下組織の信用を得た日本とドイツは隠密性の高い潜水艦を使い大量の武器を輸送しているのである。

ㅤそうした結果、ドイツにおいて軍縮で余った型落ち品や日本製の旧式兵器などが多数アルタラス島に流れ込み、アルタラス島の地下組織は並みの文明圏内国を凌ぐ武装を有していた。

「今日はカスプタの支部に受け取らせろ。」

「はっ!」

ㅤライアルの指示を聞いた伝令役は返事をすると通信室に駆けて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神聖ミリシアル帝国 港町カルトアルパス

ㅤ今日も今日とて酔っ払いたちが跋扈する港町カルトアルパスの酒場。

ㅤ様々な人々が集まり、様々な情報を交換するこの場で多くの人々が酒場に設置された平面水晶体に注目していた。

ㅤそろそろ週一回で予定されている主だった世界情勢の動きが報道される番組が始まる時間だ。

ㅤ貿易で働く者たちにとってこの情報は大きい。

やがて平面水晶体から導入の音楽が流れ始め、ニュースキャスターが画面に映った。

『こんにちは。世界のニュースの時間です。本日は驚くべきニュースをお届けします。』

『最初のニュースです。先日、大日本帝国及びドイツ国・フェン王国と戦争状態に突入した第三文明圏の列強パーパルディア皇国がフェン王国沖で日本軍と衝突。パーパルディア皇国派遣軍は壊滅しました。

ㅤパーパルディア皇国は今回の戦闘により海上戦力の三分の一を失った模様です。

ㅤ今回日本軍が使用した兵器は不明ですが今回の戦闘が第三文明圏に与える影響は極めて強いものとなると予測されております。』

『次のニュースです。グラ・バルカス帝国こと通称〈第8帝国〉は・・・。』

ㅤニュースを聞いた酔っ払いたちが興味を惹かれた話題は1つであった。

「おい!聞いたか?まさかパーパルディア皇国が敗れるとはなぁ。」

「列強が文明圏外国にやられるだと?信じられん。実はパーパルディア皇国が大したことがないだけじゃないのか?」

「またあれか、東方の新興国の日本とドイツが絡んでるな?全く、最近は話題に事欠かないな。レイフォルが崩壊したり、列強が文明圏外国に局地戦とはいえ敗北したり。」

「・・・でもまぁ、なんにせよ中央世界は安泰だ!日本とかドイツがいくらすごかろうと帝国は別格だからな!」

「そうだな!」

ㅤ酔いどれの話は続く・・・。




若干タイトル詐欺な気がしないでもない。
タイトルが思い浮かばなかったんや・・・許してヒヤシンス
作中用語解説
・ガラタ入江、カスプタ
無論本作オリジナル。ガラタ入江はとても小さく、周囲は森に包まれている。
カスプタはそのガラタ入江付近にある小さな町という設定。
・二十六年式拳銃
昔の日本ではお手頃価格で売られていたらしい。
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