妖怪が実在する世界で妖怪を否定するだけの話 作:すねこすりすり
この衝動を抑えきれなかった。
因みに作者の一番好きなキャラはねずみ男であり、一番好きな妖怪はすねこすりである。
「妖怪ってのを学問的には民俗学に分類される。実際にはそんなモノはこの世に存在せず、彼らは人類の歴史や文化の中で人類の意識の中にのみ生み出された架空のモノだ。もし妖怪が現実に存在することを肯定したならば、それは人類の否定に他ならない。だから妖怪なんてモノは決して存在しないし、存在してはいけないんだよ」
妖怪は本当にいると思うか、というクラスメイトからのよくある質問に対して俺はいないとはっきりと断言する。そりゃあそんな不思議な存在が実際にいればきっとワクワクしてしまうことは否定できないが、彼らは決して現実には存在してはいけない。
「でもそれってなんだか寂しくない?」
「寂しい?」
「うん、目に見えるものだけを信じて、見えないものを忘れちゃうような気がする」
成程、曖昧だけど言いたいことはなんとなく理解出来た、けど彼女どうにも誤解している。
「それは違うよ、存在しないからこそ、見えないからこそ、妖怪は妖怪として形を保っていられるんだよ。見えてしまえばそれは妖怪でもなんでもなくて珍しい動物に成り下がるんだよ。そして珍しいだけのただの動物なんていつかは絶滅して忘れられて記録だけの存在になる。けど妖怪は違う、彼らはいつだって人間の中から生まれて人間の中で常に存在しているんだ」
「でもそれだっていつかは忘れちゃうんじゃないの?」
「確かに今の形のまま人間の中にあり続けることはないだろうけど、人間が人間である限り、意思と感情と文明を持っている限りは形は変わっても彼らを忘れることは決してありえないよ」
「成程ね、そんな考え方もあるのね。 ありがとう参考になったよ」
「こんな嫌味みたいな話でも役に立つならよかったよ」
「嫌味だなんて、全然そんなことないよ!」
「そりゃあどうも、ところで急に妖怪の話なんてどうしたの? 民俗学とか文化人類額とかに興味を持ったなら関連する本とか貸してあげるよ?」
どうにも妖怪が好きだなんて言っていると、オカルト好きに間違われやすい上に、ちゃんと説明してもあまり興味を持つ人は少ないから、同好の士が増えるのは大歓迎だ。
「あ、えっと興味ないわけじゃないけど、そういうのじゃなくてちょっといろいろあってね」
「なんだ、言いにくいことか? あれか、もし悪質な宗教の勧誘とかならはっきりと断るべきだぞ。目に見えないけれど神様は確かにいるんです~とか、あなたには悪い妖怪が取り付いています今ならこのなんちゃらが格安で解決して差し上げます~、なんて言う怪しい奴らに付きまとわれてるんだろ」
「ち、違うよ……、というかやけに現実的だね……」
そりゃあ実体験だしな。
「まあ、違うならいいや」
しかし本格的に興味があるわけでもなくて、ヤバい宗教勧誘でもないなら一体なんだろうか、気になるとこではあるがそこまで親しいわけではない彼女にあまり深く聞くのも失礼か。
「大丈夫だよ、そんな危ないことじゃあ……いやちょっとは危ない事だけどそういうのじゃないから。最近ちょっと妖怪の知り合いが出来ただけだから!」
「は?」
妖怪の知り合いってなんだよ、それ本当にヤバい宗教の信者とかじゃあないのか? もしかして彼女は既にその宗教の信者で今までの会話も全部俺を引き込むためのセールストークだったのか?
「あ、授業始まるから席に戻らないと! ありがとね!」
とまあ俺の頭の中の疑問符を解消することもなく、無情にも授業開始のチャイムに彼女との会話は遮られてしまった。
「……
この後、彼女に度々妖怪について聞かれ、その度に怪しい壺のセールスとかお布施の依頼とかをされるのではないかと戦々恐々とする事になるとは今の俺には知る由もなかった。
皆も鬼太郎ssを書こう。
むしろ書くべきである。