秘封倶楽部(仮)   作:青い隕石

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京都秘封お疲れさまでした。
信貴山、法隆寺、平等院鳳凰堂、橋姫神社、上品蓮台寺などなど東方聖地巡りを満喫できた数日間でした。また来年も行きたいなあ・・・。

それと、明日からガラル地方へと旅立つために今回は(も)急ピッチで作成しました。いつも以上に早足&駄文&誤字脱字の三冠王っぷりを発揮してしまうこと、お先にお詫び申し上げます。


お願い

 相容れない存在、というものがある。互いの主張や立場が相反し、両立し得ない、受け入れられないことを指す言葉である。

 

 国籍、性別、思考、宗教など様々など理由は千差万別であり、どれだけ言葉での議論を尽くそうとしても分かり合えない相手はいる。あるいは水と油のように、近づこうとしても絶対に交わらない相手というものもいる。

 

 

 さて、それでは目の前の人物は?

 

 

 初めて顔を合わせて30分も経っていないが、会話や仕草を通じて簡潔ながら彼女・・・四季映姫さんのことが分かってきた。

 

 まず、ものすごく真面目な人である。品行方正、清廉潔白という言葉は彼女のためにあるのだと言われれば、心から納得できる程には。優雅さ、美しさといったものは皆無で、愚直なまでに真っ直ぐな佇まいをしている。動作の一つ一つに無駄がなく、極限まで研ぎ澄まされたような・・・そんな出で立ちだ。

 

 人と話す時は目を見て話しなさい、という言葉は誰しも親から、先生から言われたことがあるだろう。私も極力相手の目を見ながら話すよう心がけているのだが、時間が経過するとその視線が風景に移ってしまう。

 話の合間合間など、全ての時間を相手に向けることが出来るのか?意識すれば多少は可能だろう。しかし長時間やろうとなれば話は別だ。どんなに注視していても集中力が途切れる瞬間、相手から眼を、意識を逸してしまう。それは普通のことなのだ。

 

 なのに、四季映姫さんは違う。これだけ私達二人相手と言葉を交わして、一度も眼を、意識を逸していない。話の途中、私は何度か意識を青空や彼岸花に向けている。それは会話の最中のふとした瞬間だったり、相方が話をリードしている時だったりする。

 

 そんな時でも、彼女は真っ直ぐに話す相手を視ていた。口を開いているときも、耳を傾けているときも、蒼色の双眸が私を射抜いて離さない。『私という存在』を見極めようとする眼差しを受けると、こちらも目を離せなくなる。

 

 ここまでの紹介だと杓子定規な印象を与えるが、話してみると良い意味で裏切られる。実直な話し上手、と言いべきか、話の内容がスラスラと頭に入ってくる。こちらの話も最後までしっかりと聞いてくれ、その上で共感したり、話どんどん広げてくれる。

 

 一言で表すなら、完璧な善人だ。私なんかより遥かに素晴らしい人だ。

 

 なのに何故だろうか。

 

 

 

 『私と四季映姫さんは相容れない存在』であると認識してしまったのは。

 

 

 

 先に言っておくが、私が悪人だからという理由ではない。確かに善人ではないが、それなりに勉学に励みつつ真面目に生きてきたつもりではいる。

 

 いや、違う。そんな性格の違い、といったちっぽけなものではない。もっと大きな、お互いの根源に関わる何かが相反している。

 

 そう、それこそ・・・

 

 

 (私の・・・境界を把握する力によるものかもしれない)

 

 

 蓮子と会話をしている四季映姫さんを見ながら、私は想像を巡らせる。

 

 境界の裂け目を見つけるこの瞳。その先に繋がる世界は時間も、場所も、全く異なる場所かもしれない。

 

 今という事象を絶対的に確定させる蓮子と、今という事象をどこまでも曖昧なものにする私の能力。二人で一つの秘封倶楽部とはよく言ったものだ。

 

 前にも言ったが、この目はオカルトに興味がある人ならどんな手を使ってでも手に入れたいものだろう。結界を越えた、神隠しに遭った、という報告はいくらでも見つかるが、実際に確認するとすぐにボロが出たり嘘だと判明したり・・・本物はあるかもしれないが、生憎今まで他人からの体験談に当たりはなかった。

 

 結界の綻びをヒントなしの自力で見つける作業は、大海から目的の貝殻を見つけることに等しい。まずこの作業で大半、というよりほぼ全員が挫折する。はるか遠くにあるかもしれないし、目の前にあるかもしれない。

 

 奇跡の累乗によって綻びを見つけることが出来たとしても、その綻びが『開いている』かどうかの関門がある。

 

 考えてみれば当然のことだが、世界中に散らばっている結界の裂け目が全て完全に開いているのなら神隠しどころの騒ぎでは済まなくなる。歩いているだけでいつの間にか異世界に飛ばされていましたなんて笑えない。

 

 小さな綻びが裂け目となり、あちら側へ引き込まれるタイミング、それを待たなければならないのだ。現代に生きるもの、全員が様々なしがらみや職という社会の役割を抱えているため、永遠にその場で待ち続けることが出来ない。肉眼では見えないものを、どうやって根気よく粘れるだろうか。

 

 そんな気の遠くなるような捜索を、この目はショートカットできるのだ。蓮子も時々言っているが、確かにこれほど便利な異能は早々ないだろう。・・・私自身がどう思っているかは別として。 

 

 閑話休題。そんな私の力だが、事象の綻びがあって初めて役に立つ異能と言える。言い方を変えれば、不完全なものに対して力を発揮するものである。

 

 不完全さ、曖昧さ・・・彼女、四季映姫さんとは対極にある言葉だ。この瞳を通して見ても一寸の歪みも見当たらない。

 

 彼女は今、そこにいる。絶対的で確定的に存在している。

 

(うらやましい・・・・・・)

 

 私と違い、何者にも影響を受けない彼女のことが。旗幟鮮明の如き性格が。

 

 彼女の瞳には、世界はどう映っているのだろうか。

 

 

 「・・・ハーンさん?」

 「メリー?」

 

 はっと気づけば、四季映姫さんと蓮子がこちらを見ていた。考え事に没頭しすぎて、周りが見えなくなる癖が出てしまった。

 

 二人に謝罪の意を示しながら頭を下げた。これでは、瞳云々以前の問題である。

 

 「ごめんなさい、少し考え事をしてしまって・・・」

 

 「・・・あなたの能力と、八雲紫についてですか?」

 

 「・・・ええ。それもあります。」

 

 蒼色の瞳を真正面から見返しながら、質面に答える。

 

 八雲紫。私の能力の完全上位互換といえる異能を持つ女性。別れて半年たった今でも、忘れられるはずがない。

 

 夢のような現実。短い巡り合わせの中で、私が得たものは何だったのだろうか。

 

 境界の向こうから招かれ、様々な対話の終わりに受けた質問。私はまだ、その答えを出せていない。

 

 足りない。

 

 あの短時間では、とてもではないが足りなかった。もっと八雲さんのことを知りたかった。

 

 私と『ほぼ同じ』彼女のことを。笑顔という無表情に隠された素顔を。八雲さんの本質を。

 

 もっと知りたい。もっと理解したい。

 

 「四季映姫さん。一つ、お願いがあります」

 私は改めて、四季映姫さんを見つめた。

 

 蓮子が放った一言で、彼女と八雲さんが知り合いだということが判明している。境界を操れる八雲さんと知己であるなら、映姫さんも普通の方ではないだろう。

 

 それなら・・・・・・

 

 「もう一度、八雲さんに会いたいです。四季映姫さんの力で、会わせていただけませんか」

 

 無茶なお願いということは承知している。会って間もない人にこんな頼み事をするなど、無礼極まりないことだと自覚している。

 

 それでも、この場で言わなければ後悔する気がした。頭を下げ、懇願する。

 

 生まれつきのこの力。蓮子と出会うまでは疎ましいとさえ思っていたこの異能を解明できるならば。それによって、より未知なる神秘を追い求められるならば。

 

 どれだけ論文を読んでも、ネットの海に潜っても手がかりすら掴めなかった私の眼の正体。一度目の邂逅では畳み掛けるような展開が続き、聞きたかったことの1割も聞けなかった。

 

 もし、『もう一度』があるなら今度こそ全てを打ち明けたい。

 

 蓮子が息を飲む声がしたが、無視した。

 

 「・・・ふむ、可能かと言われれば可能ですが・・・少し時期が悪いですね」

 

 返答は、思ったよりも早く返ってきた。それも、想像していたより遥かに良い内容の返事が。

 

 顔を上げると、映姫さんが思案顔になっていた。無理なお願いをして不快感、いや、怒りを買うことも覚悟していただけに予想外だ。

 

 「もちろん、紫が許可した場合に限りますが。私からも一度話をしておきましょう」

 

 「ほ、本当ですか!・・・あ、でも四季映姫さんとはどうやって連絡を取れば」

 

 「必要ありません。その時になれば紫が呼び寄せてくれるでしょうしね。ただ、実際に会ってくれるかどうかは分かりません。それは心に留めておいて下さい」

 

 何気なく話す彼女を見て、僥倖だと思った。

 

 「ありがとうございます!無理なお願いを聞いていただきまして・・・」 

 

 「いえ、構いません。そんなに手間になりませんし、実際動くのは紫ですからね。いつも人の動くさまを見て笑ってる方ですからね。少しは動く側に・・・っと失礼」

 

 何やらブツブツと黒い言葉が聞こえて気がしたが、四季映姫さんに限ってそんな事は言わないだろう。

 

 頼んでみるものだと思った。今更ながら、未だ目を白黒させている蓮子に悪いことをしたなと思った。幻想の向こう側から来た人と触れ合う機会を、私の勝手なスタンドプレーで台無しにするところだったかもしれない。

 

 後でお詫びしないと・・・いやその前に四季映姫さんにお礼を何か送れるだろうかと考え始めてしまう。また私の悪い癖が出た。

 

 

 そのせいで、四季映姫さんが呟いた小さな言葉を半分聞き逃してしまった。

 

 私をしっかりと見据えながら零した、その声を。

 

 

 

 「似ていますね・・・その真っ直ぐさが」

 

 

 そんな、過去を振り返るような一言を。

 




前書きにも書きましたがポケモンについて。

SMで一旦離れたので、久しぶりの冒険となります。ネタバレも極力回避してきたため、メガシンカ廃止は分かりますが、リストラ組が誰なのかが未だにわからない状態です・・・。

レート対戦では

サーナイト
フライゴン
クチート
ランターン
エアームド
+1体

で頑張ってきましたが、環境が変わってどう対応していくか・・・今から楽しみです。
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