《リメイク》とある科学の確率操作   作:々々

1 / 10
とある3期が来ますし、ニコニコ動画に時系列をまとめた動画が上がったり、ハーメルンの方でも更新する作品があったりと、作者のとある熱が高くなったのでリメイクしました。

二年前の文章を読み返すのは恥ずかしいネ。






第0章 存在 〜Existence〜
とある木原の後輩思い


「暑いし、怠いし、面倒くさい。飾利、代わりにこれをやってくれよ」

 

 残り少しで夏休みだという今、気温は天井を知らないのかという程上がっている。エアコンは調子が悪く、冷風ではなく温風が出る南半球ならば喜ばれるであろう現状となっている。

 ここは風紀委員(ジャッジメント)本部所属、現第一七七支部臨時所属の木原(きはら)分数(ぶそく)は自分に割り当てられた机の上で溶けたように突っ伏している。

 

「そんなのでどうしますの先輩。それに初春はここにいませんのよ」 

 

 悪態をつく彼に白井黒子が活を入れる。木原は第一七七支部に4月に所属となったため、この支部の先輩は白井であるものの、風紀委員の先輩は木原である。

 しかし今となってはそんな事は関係なく、数多くの仕事を共にこなして来た彼らの絆は強固な物となっている。

 そんな彼女の言葉が気に入らなかったのか、力の入っていない体で冷蔵庫から冷えた水を取り出しながら愚痴をこぼす。

 

「それもこれも飾利が『私超電磁砲(レールガン)に会ってみたいです』なんて言うからだろ。そこに黒子も乗っちゃってさ『紹介しますの』なんて言っちゃってさ」

 

 支部のミーハー代表と言っても過言ではない飾利は木原とほぼ同時期に入っており、この支部の中での地位的なものは一緒のはずだった。

 

「固法が『それなら分数くんに全部の仕事回しちゃっていいわよ』ってなんなんだろうな。暇っちゃ暇だけど、やんなきゃいけない事はそこそこあるんだけどな」

 

「落ち着いてくださいまし木原先輩。それは本当に申し訳ないと思っていますの、私もエアコンがこんな事になってるなんて思ってませんでしたの」

 

「まぁいいさ。先輩の甲斐性をここで発揮したと思えば溜飲を下げるさ」

 

 ペットボトルの水を飲み干しゴミ箱に投げ入れる。

 

「ってか『木原先輩』は止めてくれ。あんまり『木原』って呼ばれるのは好きじゃないんだ」

 

「あら、またやってしまいましたわ。これから気をつけますの」

 

 学園都市の暗部を知らない白井にとって『木原』の名前は他の名前とさしたる違いはない。

 だが少しでも暗部に触れたものなら、『木原』という名前はあまりにも大きな意味合いを持っていた。

 

「ほら白井、時計見ろ。お前から聞いてた時間にそろそろなりそうなんだが」

 

「え!? お姉様を待たせる訳にはいきませんの!! それでは先輩、後のことはよろしくお願いしますの!!」

 

 空間移動(テレポート)で支部から出ていく白井に手を振ると、再び席に着き初春から回された書類に手を付ける。

 半分くらい終わった頃、ふと後輩達の事が気になって演算を(おこな)ってみた。

 

「彼女らが事件に巻き込まる()()は100%か。ちゃっちゃっと仕事を終わらせて、可愛い可愛い後輩達に会いに行きますかね」

 

 木原一族の中で最も異端とされた青年は、優しく言の葉を紡いだ。

 

 

 

 

 

 

 御坂と黒子と初春、そして佐天の四人は広場で仲良くクレープを食べている。黒子は御坂と佐天が仲良く食べさせ合いをするのを見て、自分も御坂と食べさせ合いをしようと無理矢理迫っていた。

 そんな二人を尻目に、初春と佐天は話をしてる。

 

「レベル5って言っても私達とあんまり変わらないんだね。なんか拍子抜けって感じ」

 

 残り少なくなったクレープを一気に口の中に放り込む。思ったよりも大きく、ほっぺが膨らむ。

 

「佐天さんの言うとおりですね。私ももっと近寄りがたいのかなって思ってたんですが、そんなことありませんでしたね」

 

 御坂よりもレベルが1つ下な白井や木原も、初春と仲良くしている。あんまりレベルによる違いなんて無いのかもしれないと初春は思う。

 

「どうせなら分数さんも一緒に紹介したかったですね」

 

「その分数さんって初春の支部にいる人だっけ?」

 

「そうです!! 本部から派遣されてきた人なんですけど、ネットとかでは『本部から来る人は支部の人を馬鹿にしている』とか悪い印象しか書かれてなかったんですが、実際会ってみると優しい人なんです!分数さんだけかもしれないんですけど、私達のことを気にかけててくれて、お兄ちゃんがいたらこんな感じなのかなって思ってるんですよ!!」

 

 クレープをベンチに起き、少し興奮気味に話す初春に佐天は少しだけ引いていた。思えば初春がこんなにテンションを上げるのは珍しい気がする。

 

「そ、そうなんだ。お兄ちゃんみたいな人か、あたしちょっと気になるなー」

 

「ならこの後支部に行きますか? お仕事を押し付け……お仕事をしている最中なのでいると思いますよ」

 

 初春はどんな風に木原を紹介しようか、佐天は木原がどんな人かを想像していると、二人は近くの銀行のシャッターが降りていることに気がつく。

 

「ねえ初春。こんな真っ昼間からシャッターを降ろす銀行ってあるのかな?」

 

「分かりません、何かあったん…」

 

 ですかね、と言葉は続かなかった。

 防犯シャッターは内側から激しい爆発と共に吹き飛ばされる。初春は携帯を取り出し、支部と警備員(アンチスキル)に連絡をする。

 黒子は持っていたクレープを急いで食べ、学生鞄から腕章を取り出し腕に付ける。

 

「初春は怪我人の確認! お姉様はそこにいてください」

「えー」

 

 レベル5といっても血気盛んな中学2年生。自分に力がありながら現状をを見ているだけという後輩の言葉は面白くない。

 

「風紀委員ですの! 器物破損および強盗の現行犯で拘束します!」

 

 黒子は犯人グルーブに手も足も出させないまま一方的に拘束した。だが、そんな彼女にも見落としがあった。一人が逃げていることに気が付かなかった。

 その男は、近くで学園都市の見学に来ていた一人の幼児を連れて行こうとしていた。

 それに唯一気が付いた佐天は単身でその男の元へ駆けていく。

 

「ちょっと待ちなさいよ。その子をどうするつもり?」

 

「うるせえな、なんだ?邪魔するつもりか?」

 

 自分よりレベルの高い人が自分と変わらない事に気がついたのか、それによって自分も出来ると思ったのかは、佐天自身にも分からない。

 ただ気がついたら足が動いていた。

 

「そ、そうよ。だからその子から手を離しなさい!」

 

「どうしたんだ嬢ちゃん声も足も震えてるぞ」

 

「ふ、震えてなんかないわよ。あなたが手を離さないなら、あたしはここから動かないから!」

 

 強がっている事は自分にも分かっている。それでも佐天は自分の言葉を言い放つ。

 

「ちっ、面倒だな。殴ってやらなきゃ分からねえのか?なら殴ってやるよ」

 

 啖呵を切るのは良かったが、迫り来る拳を見てこんな事言わなければ良かったと後悔した。もうどうにでもなれと、硬く目を瞑る。

 だが、佐天の虚勢で作り上げた震える心を包むような優しい声が聞こえる。

 

「『殴れる』なんて事象が『起きる筈がない』」

 

 ピーンと糸が張られたような、初めて聞く音が辺り一帯に響く。いつまでたっても衝撃が来ない佐天は、閉じていた目を開く。

 男の拳は佐天に当たるギリギリで止まっている。男は自分の拳が動かない事に戸惑いを覚える。どんな風に動かそうと目の前の佐天を殴ることは出来なかった。

 

「オマエの覚悟は中々の物だ。けど向こう見ずな勇気は自分を傷つけるぞ」

 

「へ?」

 

 声の正体、分数は佐天の頭を撫でながら優しい言葉をかける。頭から手を離すと、男に近寄り殴る方とは逆の方の手で掴まれていた子供を男の手から解いた。

 そのまま男の脚を払い、地面に叩きつけポケットから取り出した手錠で拘束する。

 

「これにて一件落着っと。悪いけど、この子を保護者か先生の元まで送り届けてくれないか?」

 

 分数はそのまま男を俵のように肩に担いで白井の方へと歩いていく。

 言われた通り親の元へ子供を連れて行くと、頭を下げられ感謝されてしまった。自分はただ止めようとしただけだったのに、しかしそれは心地のいい物だった。

 

 

 

 

 

「本当に申し訳ありませんの。この白井黒子がすべて悪いんですの」

 

「だからオマエはいつまで経っても半人前だって言われるんだ。ただ制圧するだけなら訓練を受けてない奴でも可能なんだぞ?」

 

 佐天が皆のもとに戻ると白井が分数に叱られていた。先程までの凛々しい彼女とは違った表情は、それはそれで合っていると思った。

 

「「佐天さん!!」」

 

 御坂が駆け寄り、初春が佐天に抱きつく。

 

「心配しましたのよ佐天さん!!」

 

「そうです!! いきなりいなくなって!! あの時も先輩がいなかったと思うと」

 

 説教が終わり悩ましげな表情をする白井と木原もやって来る。

 

「申し訳ありませんの佐天さん。わたくしの不注意であんなことに」

 

「いいのいいの白井さん。ほら私は無事だし、ね?」

 

「よかったな黒子。まあ、始末書は書かされるだろうがな」

 

「あの! 先程は助けていただきありがとうございました。なんとお礼を言ったらいいのか」

 

「別にいいよ、後輩の面倒を見るのも仕事っちゃ仕事だし。好きなことだから」

 

「佐天さん、さっき私が言ったこと覚えてますか?」

 

 何だったかなと考える。少し前の事なのに、次にあった事が大きすぎて何だか思い出せない。

 

「先輩を紹介するって言ったじゃないですか」

 

「あぁ、そうだった!」

 

「ってことで先輩!」

 

「え?」

 

 いつ買ってきたのか、クレープを頬張っている木原は話を聞いていなかったようで、きょとんと初春の方を見る。

 

「あんたの紹介をしろって言ってるのよ」

 

「自分が何も出来なかったからってビリビリするなよ」

 

「なによ?」

 

「なんでもごぜーません」

 

 ハンカチで口を拭き。こほんと咳払いをして。分数は自己紹介を始める。

 

「風紀委員本部所属、第一七七支部臨時所属の木原分数だ。能力は確率操作(フェイズセキュリティ)大能力者(レベル4)だ。こうして会ったのも何かの縁だし、これから頼ってもいいんだぜ後輩」

 

 ニヒルな笑みを浮かべて彼はそう言うのだった。




今後共よろしくお願いします。
感想や誤字脱字、評価お待ちしてます。

会話文と地の文の割合って難しいよね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。