「イギリス清教の聖人って、魔術側との初戦は随分とビッグネームが相手になったな」
「先程の口調からもしやとは思っていましたが。やはり私の事を知っていましたか」
「当然だろ? そっちが俺や上条を調べる時間があったんだ、伝手さえあれば同程度の情報は手に入るさ」
インデックスはここから離脱する事に成功した。インデックスは科学と魔術が完全に不干渉であり、それぞれの領域については無知であり、不干渉である事を前提としている。
そんなインデックスにほんの少しとはいえ、それぞれの暗部を見せるのは
「聖人――神の子の偶像崇拝なんてものでどの位強化されてるかと考えていたんだが。どうやら馬鹿に出来ないものらしいな」
しばらくの間『木原』から離れていたが、身体の構造についての見識は頭にこびり付いている。破かれたジーンズからスラリと伸びる脚は、これまで見た中で最高峰の物だ。
爆発的な力を出しながらも、高速での戦闘にある程度の時間耐えられるようにと持久性を持たせている。並の鍛錬ではこれ程の筋肉は身につかない。
「身体に溢れるよく分からない力。
「
「悪いな、つい考えてることが口に出ちまう。」
またこれだとため息を吐く。
いつまで経っても消えない悪癖に嫌気が差しながらも、対人の際は重宝する。これまで何千何万という人を見てきたのだ、一連の会話で今回の相手が酷く真面目なことが分かる。
「というか、さっさと手をだしたら良かったじゃないか。俺のくだらない戯言なんかを聞くよりも、魔法名を名乗ってぱっと倒してインデックスを追うべきだろ」
「私達はあなた達と敵対する事は望んでいません。出来るだけ穏便に、インデックスを……回収したいだけです」
「なら、俺を素通りして追えばいいだろ?」
「そんな殺気立った目で見て来る相手に背を向ける事はできません」
科学と魔術どちらが先に手を出すか、それによって他の勢力の印象が大きく変わる。ましてや科学の本拠地、学園都市での表立った魔術との衝突は初めてだ。世界中が注目していると言っても過言ではない。
「つまんないな」
だからこそ、そんな程度のしがらみに行動を――自分の信念を曲げてしまう神裂のことを、どうしようもない愚者だと思った。
現に神裂は木原に集中しながらも、インデックスが行った先を気にしている。
魔術側が手を出してきた方が角が立たず、後処理が楽だからと受け身の体制になっていたが、このままでは何もせずに睨み合ったままだ。
「ちっ」
結局その場はただ互いに牽制し合うのみで、それぞれの相方から連絡が来るまでそれが続いた。
◆
この出会いに意味があったのかと聞かれると難しい。だが木原の目的が魔術側に、科学の者でありながら魔術を知っている者がいる、と認識してもらうことであった現状としては大いにあったと言えよう。
ではどうしてこのタイミングなのか、と問われると答えは一つだ。全ては『プラン』の為。プランが無ければ木原は殆どの事件に全力を尽くしただろう。
例えば
例えば
例えば
いずれにしても、皆が納得し満足する結末へと導ける程の力を持っていた。
だが、それぞれの件にほんの少しばかり関わっただけで中核へと至る事は無かった。
「木山春生との契約も終了と。データは然るべき時に送るとして、そろそろ俺も大きく動きたいよな」
現状、メインプランはほぼ全て流れが定まっている。そこに横槍を入れれば、流石の自分でもアレイスターから何かしらの嫌がらせがやってくる事は理解していた。
となると、出番になるのは昔から温めておいた人物。前もって人脈を作っておいた、アレイスターとのプランではスペアプランだが、木原単独のプランではメインを張る大物。
他の何処とも関わりを持たず、木原が手を付けても何処からも文句が入らない人物。
「俺だ、垣根に近い内に遊びに行くって伝えといてくれ」
レベル5の影には『木原』が存在する場合がある。第一位
あの爺は邪魔だ。百害どころか千害位面倒事を持ってくる。近々徹底的に叩きのめしたいと考えている所だ。
閑話休題
第四位
当時は『木原』としての教えを貫き、その全てを持って最高傑作と呼ばれる程まで下地を作り上げたが、如何せん、木原分数自身を麦野の
乱暴性と他者を気にしない豪胆さはここに由来する。さらに、現状において自分だけの現実の木原と現実の木原は大きく乖離している。
それも不安定な能力を更に不安定にさせている要因である。魔術に対しても絶対的な破壊力がある点では有能だが、精神的な脆弱さが選ばれない理由となった。
「俺の名前を出せば殺されはしないさ」
第六位は言わずもがな、第七位もこちらの思うように動くわけがない。
「となると、残ったのが第二位になる訳だが。それは只の後付の理由にしかならない」
仲介役との電話を切って一人ごちる。
第二位
「木原の裏切り者が干渉してるとかで粛清はされない……よな? 木原の手法を取ってないし、うん」
粛清が怖いわけではない。粛清しに来た刺客に対応する為に意識を割くのが面倒なのだ。
「さてと、パーツの1つ目はこれでいいとして。残りはどうしようか」
最後に魔術側のピースが欲しい。
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