《リメイク》とある科学の確率操作   作:々々

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それでは始めようか

なに、失敗しても世界が消える程度だろ?





第1章 認知 〜Perception〜
降臨または落下


 

 

「そっちも忙しいのにありがとう」

 

『私とあなたの仲じゃない。それに私の改竄力を簡単にできちゃうから』

 

「貸し(いち)ってことで、何かあったら言ってくれ」

 

『わかったわぁ。とっても大切な仕事があるから、その時お願いするわね☆』

 

「あぁ」

 

『さっきから後ろが騒がしいようだけど、大丈夫かしら?』

 

「俺が垣根を連れて行くのを阻止しようとして、コイツを寄越したらしくてな」

 

「よけんなぁ!!」

 

 放たれる原子崩しを半身逸らすことでかわし、余裕綽々の様子で会話を続ける。

 

「まぁここさえ乗り切れば後は直ぐさ。夜遅くなのにごめんね」

 

『はぁい。がんばってねぇ』

 

 携帯をポケットに仕舞い込む。

 そして相変わらず、子供が見たら泣き出しそうな顔をこちらに向けている麦野を見る。

 

「なにかしら?」

 

「何年経っても変わんないなと思ってさ」

 

 アイテムにいる時は見せない、偶に仕事で木原の妨害をする為に現れる際に見せる表情だ。初めて会った時はこちらの様子をうかがって、ツンケンとした態度だった。が、そのような態度は時が解決し、年下ながらも木原に頼る事が多くなった。

 どれだけ顔が大人びて、体が魅力的になっても変わらない。

 

 構ってほしい、愛されたいという表情は。

 

「ちっ」

 

「だから、俺はそれを他のやつにも知ってほしいって思ってるんだ」

 

 ポケットで操作をした画面を麦野に見せる。

 同時送信で送られたメールには、何処かで見た少女が写っていた。

 そしてプルプルと麦野の携帯が鳴る。木原に攻撃する意志がないと分かると、携帯を開くとメールと着信が来ていた。

 

「なによ。こっちは任務中よ」

 

『結局、麦野は強がってても昔は可愛かったってわけね』

 

「はぁ?」

 

『メール超見てください』

 

 絹旗に言われるままメールを開く。差出人は目の前にいる木原、そしてメールに添付された写真を見る。

 

「なななななによっ!!」

 

 かつて能力開発を頼まれた木原は、麦野の自分だけの現実の構成の結果に満足し、麦野を次の研究者に任せることにした。だが、それに納得出来なかった麦野は大好きなぬいぐるみを抱いて大泣きした。

 その時に撮られた写真だ。

 

「木原分数ゥゥ!!」

 

 特大の原子崩しを木原に撃とう、照準をつけようとして気づく。木原がその場から姿を消していた。

 

 

「ちっ。時間を取られた」

 

 ここ最近位相が揺らいでいる。衝突とは違う、今まで経験した事が無い事象だ。可能ならばその現場に垣根を連れていきたい。

 別の位相からこの位相へ何かが落ちてきそうになっている。木原の能力を使っても分かるのはその程度のことであった。

 

「会って最初の言葉がそれかよ」

 

 麦野から離れ、辿り着いた部屋の主が不機嫌そうな声をあげる。

 

「時間がない。外から一切干渉されない物質を作れ」

 

「はぁ?」

 

「あと数十秒で完成させろよ」

 

 急速に何かがこちらの位相へやって来ている。バカでかいエネルギーを持っているソレがやって来れば、この位相は大きく乱れる。

 対処するにはこの影響を受けないようにしなくてはならないのだ。

 木原に命令され、少しイライラしながら能力を発動し――真っ白な羽を生やし、指示通りの未元物質で部屋を埋める。

 完了した刹那、部屋が大きく揺れる。

 

「なっ!」

 

「ギリ間に合ったか」

 

 部屋の外にあった自分が作り出したモノが消失し、この部屋が何かによって攻撃された事を理解する。自分達がいる部屋以外が大きくズレたことを。

 木原は安堵する。なんとか間に合ったことを。これからのプランに大幅な変更が要らないことを。

 

「今のは何だ?」

 

「別のところから何かが落ちてきた、ってのが真実なんだけど。納得できるわけないよな」

 

 ここから先は魔術の領域だ。そんな科学と真反対の物を信じさせる為には、言葉を幾重も紡ぐよりも本物を見せた方が納得するだろう。

 

「取り敢えず外に出るか。そうすれば何か説明できるものがあるかもしれないし」

 

「今話せ」

 

 部屋の扉を開け、自分の予想通りに世界が変わっている事を確認した。外に出るように提案し、垣根を振り返る。

 そこで目にしたのは、真っ白な羽を広げ臨戦態勢を取る垣根だった。

 

「まじか!」

 

 レベル5なんて化け物が自分の思惑の中で動かせない存在であることを木原は忘れていた。先程麦野の件で体験していたのに。

 次の瞬間、ドンッと建物の一角が崩壊した。

 

 

「ちっ」

 

 手応えが無かった。それどころかこちらの方が後手になっていたと舌打ちをする。相変わらず先手先手を打ってくる木原に苛立ちを隠せない。

 なんせ、攻撃が当たる前に木原の姿が目の前から消えた。そして視界がクリアになる前に、別の場所へと移動させられた。

 かすかに揺れる室内。そして静かだが耳に届くエンジン音。ここが車内であることは簡単に分かった。

 

「レベル5ってみんなこんな感じなのか?」

 

 自分だけの現実を確固たるものにするために、()を強くする影響でレベル5は性格破綻者と呼ばれる事はある。それでも普通にできる者もいる。

 だが、最たる例である第二位第四位と連続で会うとなると、愚痴をこぼしても仕方ないだろう。

 

「盗聴するやつが居ない所で話したかったからなんだが、こんな事になるなら話しときゃ良かった」

 

「早く言え」

 

「さっきのは『魔術』、俺たちとは違う方法で現実に干渉する技術だ」

 

「はぁ? ふざけてんのか?」

 

「だよなぁ。そうくるよな」

 

 ゆっくりと噛み砕いて、理解へ落とし込むつもりだったのだが、今となってはなんの意味をなさない。いきなり魔術の存在を突き出してもこんな反応にもなる。

 

「百聞は一見に如かずだ」

 

 車に備え付けたテレビをつける。日本は時間帯は深夜だが、海外は昼間のところもある。生放送をやっているイギリスの番組をつける。

 画面には様々な人種、様々な年齢の男女が行き交っている。それも、ありえないくらいに統一感がない。

 

「なんで、子供がキャスターをしてやがる」

 

 他にもおかしな点がある。キャスターの脇を通る道路で信号待ちをしている運転手は齢90近い老人で、少年と少女がバカップル顔負けの雰囲気を醸し出している。

 

「こんなのが今世界中で起きている。学園都市の中だったら、またイカれた実験ってことになるが。今回はそうはならない」

 

「ちっ」

 

「なに。目的地までは長いんだ、ゆっくり説明するよ」

 

 科学で最も魔術と性質が似ている垣根に魔術の存在を伝える。魔術と科学の不可侵の線を超える行為だが、そんなものは関係ない。

 どうせ裏や闇の方では知ってる奴らがいるんだ。触りじゃなくて、存在や成り立ちを伝えるだけでは大きな問題にはならない。

 

 




説明は苦手です。時間かかりました。
結局話と話の間で誤魔化す感じにし、次の話である程度出していきます。

お気に入り登録、評価や誤字脱字報告などありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。


まだ木原の能力について、きちんと説明してないですね。たしか。
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