Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
陳留での日常編その2です。
今回は雑談回ですね。2つに分けております。


陳留での日常2

391

 

 

「りっかー!!」

「この声は?」

 

庭を歩いていると何処からか声が聞こえる。

 

「マスターこっちだ」

 

聞きなれた声は2人。

 

「荊軻、霞さん」

 

少し離れた芝生の餓えられた一角。荊軻と霞はそこの木の根元に少し幹に寄り掛かるように座っていた。

このまま立ち去るわけはなく、藤丸立香は彼女たちの方へと歩み寄った。

 

「昼間から酒盛り…見つかったら怒られるんじゃない?」

 

主に曹洪や夏侯淵に。

 

「へへーん、今日は非番やもんねー」

 

そう言って霞は手にした盃を揺らしてみせた。

非番。休みならば特にいう事は無い。

休みの日くらい自由に酒を飲んでも誰も文句は言わないからだ。しかし、人に迷惑をかける飲み方はいけない。

 

「…こく。く~、うまいなぁ」

 

見せ付けるように盃を傾け、霞は満たしていた酒を一気に飲み干した。

 

「っくぅー、おてんとさんの下で飲むお酒はこれまた格別やな!!」

「全くだな」

 

荊軻も盃を傾けて酒を喉に流し込んでいた。

 

「どや、立香も飲むか?」

「まだ飲めないんで」

「なんやて…って前にもそう言ってた気がしたなぁ」

「私もマスターと酒を一緒に酌み交わしたいものだが…それは楽しみに待っているさ」

 

荊軻だけでなく、酒を嗜む他の英霊たちもいずれ藤丸立香と一緒に酒を酌み交わしたいと思っているのだ。

藤丸立香も酒が飲めるようになったら一緒に飲みたい思っている。叶う約束かどうか分からないが楽しみの1つなのだ。

 

(オレっていつ酒が飲めるんだろ)

 

藤丸立香がいつ酒を飲めるようになるか。それは色々と分からない。

 

「酒は飲めへんとも飯は食えるやろ」

「うん。飯は食う」

 

藤丸立香は霞と荊軻の前に座る。

 

「色々あるね。どれも美味しそうだ」

 

昼から酒盛りをしているのでツマミはある。点心というやつだ。

中華料理屋で出てくる一品料理と言った方が分かりやすいかもしれない。藤丸立香は焼売を選んで口に放り込んだ。

焼売を噛むと口の中に肉汁が溢れる。「美味しい」と一言。

 

「美味いやろ。ここの厨房んのは腕が良いみたいやしな」

「酒が進むな」

 

点心を食べては酒を流し込む。その繰り返しで止まる事は無い。このまま止めなければ飲んだくれの完成だ。

 

「飲み過ぎは注意だからね」

「分かっている」

「分かってるって」

 

本当に2人が分かっているのか不明だ。そもそも飲んだくれに「飲みすぎ注意」と言っても聞きはしないはずである。

 

「…曹操さんの所では上手くやれてる霞さん?」

「ん、勿論や。これでも上手くやれてるんやで」

 

元々、霞は曹操と敵対していた。反董卓連合では霞の部隊と曹操の部隊が戦ったのだ。

戦いの結果は曹操軍の勝利。そして霞は曹操軍に降った。

 

「最初はどんな扱いを受けるかと思ってたけど…まさか将を任せてくれるなんて思いもしなかったわ」

 

霞はもう曹操軍で立派な将を任されている。曹操は敵だった者でも実力がある者ならば重宝する。

そもそも彼女の性格からしてすぐに仲良くなったというのも1つだ。

 

「上手くやれているようなら心配も無いな」

 

荊軻はクイっと盃を傾けて酒を流し込む。霞は曹操軍で上手くやれている。それだけで安心できるというものだ。

この安心はそのまま月に報告が出来る。月は反董卓連合が終わってから霞の心配をずっとしていたのだから。

 

「……霞さんは月が無事だと思ってる?」

「…急になんや」

「霞さんの事だから月の事を心配してるかなって」

 

藤丸立香の思った事は正解だ。霞は月の事を心配しているのだ。

霞は月や詠たちと仲が良かった。月たちだけでない、恋や音々音、華雄とも仲が良かった。

仲間が離れ離れになってしまったら心配するのは当然である。特に反董卓連合では月を守るために戦っていたのだ。

行方不明となってしまえば心配するのは当然だ。

 

「ああ、心配しとる。でもどっかで必ず生きとると思ってる」

「そっか」

「つーか、何処にいるかは予想できてるんやけどな」

 

ニカっと笑う霞なのであった。

彼女は月が何処にいるか当たりをつけている。高確率である陣営に居ると思っているのだ。

最初は分からなかったがある事件の情報を得てから月が無事だと分かったのだ。

確定はしていないがある陣営の人物の事を考えると月に対して悪い事をしているとは思えないという予想である。

 

「なら、言いたい事があるんだ」

「ん、なんや?」

「月は無事だよ」

「っ、そっか。そうかぁ。立香がそう言うんなら安心や」

 

可能性の話が確定した瞬間であった。

 

「うん。月は無事なんだ。まあ、それ以上は何も言えないけど」

 

桃香たちは月たちを保護して、隠している。これ以上は言えない。

本当は先ほどの会話自体もしてはいけないが、これは月のお願いでもあるのだ。

反董卓連合で月と分かれる際に彼女は「もしも霞さんや恋さんに出会ったら私たちは無事だと伝えてください」と言ったのだ。

恋は自ら徐州に来たので言う事は無かったが、霞は曹操軍にいるので恋みたいな行動は出来ない。

藤丸立香はせっかく曹操の元に来たのだから霞に伝えたいと思っていたのだ。最も月が何処にいて、無事だというのは分かっていたようだが。

 

「んく」

 

盃を傾けて酒を喉に流し込む。

 

「くぅ~~。なんや酒のうま味が上がった気がするわぁ」

「そうか?」

「そや荊軻」

 

理由が分かっていながら荊軻は疑問形を口にして微笑するのであった。

 

「うんうん。今日はいつもより酒が美味しく飲めそうやで」

 

彼女は景気よく荊軻の盃に酒を注ぐ。そして自分の盃にも注ぐ。そしてグイっと飲み干した。

 

「今日は飲んで飲んで飲みまくろう。立香は食いまくれ!!」

「そうだな。飲んで傍若無人にでもなるのも悪くないだろう」

「いや、駄目だからね荊軻」

 

この後、飲み過ぎて本当に傍若無人になった。

 

「ところで華雄の行方は?」

「ごめん。知らない」

 

 

392

 

 

晴れ渡る日。今日は日光浴日和である。

こういうポカポカした日はお昼寝がしたいものである。タマモキャットならすぐに日向ぼっこをするはずだ。

タマモキャットでなくとも日向ぼっこをしたいと思う人はたくさんいる。この陳留でも例外はない。

「姉さん!?」

日向ぼっこしているはずだが、何故か悲鳴にも似た声が響くのはおかしい。

悲鳴にもあげた声を出したのは曹純であり、原因は曹仁である。

 

「今日は良い天気っすー!!」

 

原因が曹仁であるが、なぜ原因になっているかと言われれば彼女の恰好が問題なのだ。

 

「何で裸!?」

 

曹仁が全裸であったからだ。

 

「見ちゃ駄目です藤丸さん、燕青さん!!」

「ごめん。もう見ちゃった」

「あんだけ堂々としてりゃあ目に入っちまうわな」

 

裸エプロンのタマモキャットよりも露出が多い。

 

(いや、全裸だから比較も何も無いか)

 

流石にカルデアでも全裸の人はいない。露出が多すぎる人物はたくさんいるが全裸は流石にいないのだ。

 

「ね、姉さん。早く服を着て!!」

「えー、何で?」

「何で、じゃないわよ姉さん。というか何で服を脱いでるの!!」

 

曹仁は自分が裸だということを全く気にしていない。

 

「太陽がぽかぽか気持ちいから脱いだだけっすよ」

 

どうやら理由らしい理由は無いようだ。

 

「柳琳も脱ぐといいっすよ。あ、立香と燕青もどうっすか」

「え…」

「一緒に日向ぼっこするっす。裸で太陽の光を浴びるのはとっても気持ちいいっすよー!!」

 

まさかそのような提案をされるとは思わなかった。

全裸で屋根の上に座った曹仁はニコニコと人懐っこい笑顔である。

 

(見えてる見えてる)

 

タマモキャットでも隠す所は確実に隠しているというのに曹仁は丸見えだ。

戦闘では絶妙な角度、謎の光なのでタマモキャットの危ない所は見えないというのに今回はそういうのは無い。

 

(もっともマイルームじゃ…おっとこれ以上はいけないな)

 

マイルームでのタマモキャットについてはマスターだけの秘密である。

 

「そんな事するわけないじゃない!!」

 

あの御淑やかな曹純ですらこんな有様だ。更には冷静な夏侯淵ですら匙を投げているらしい。彼女は曹操軍の中で一番の自由人のようだ。

 

「なんつーか羞恥心の欠片もないんかねぇ」

「うん。無いのかも」

 

最初は裸の曹仁を見てしまった時は流石に目を伏せたが、ああも堂々と晒しだしていると此方が目を伏せている方が馬鹿らしい。

ここにマシュがいれば両手で目を隠される事になるのだが。

 

「いいから服を着て姉さん!!」

「えー」

「えー、じゃなくて!!」

 

色々と曹純も大変そうだ。そろそろ手助けをした方が良いと思って藤丸立香も曹仁に声を掛ける。

 

「曹仁さーん。服を着てください」

「えー、立香もそう言うっすか?」

「そのままだと風邪を引いちゃうよ」

「え、でも今日は暖かいっすよ」

「暖かくても全裸だと風邪を引いちゃうんだよ」

 

どんなに暖かくても全裸のままで外にいると風邪を引くものだ。

 

「引かないっすよー」

「いや、普通に風邪引くから」

 

馬鹿は風邪を引かない、健康でいれば風邪を引かない。それは嘘だ。

風邪を引くときは引くものである。特に全裸で外にいれば風邪を引く可能性は高確率だ。

 

「風邪を引いたら辛いよ。それに妹の曹純さんにも迷惑をかけてしまうかもしれない。それでもいいの?」

「柳琳に?」

「うん。まあ、風邪を引いたら引いたらで仕方ないけどさ…それはちゃんと気を付けていた場合のみだよ」

 

風邪を引くときは引くものだ。しかし、予防しても引いてしまったら仕方ないと思うしかない。

予防もせずに全裸で外にいて、風邪を引いたら仕方ないとは思えない。寧ろ家族に迷惑をかけているものだ。

 

「曹仁さんだって曹純さんに迷惑をかけたくないでしょ」

「んー…確かに柳琳に迷惑はかけたくないっす」

「なら服を着よう。そして屋根から降りよう」

「分かったっすー」

 

分かってくれたのか曹仁はその場で服を着てくれた。目の前で生着替えなので色々と見えてしまう。

 

「着替えたっす。じゃあ、降りるっすー!!」

 

着替えた次に屋根から飛び降りようとする曹仁。

 

「ちょっ、危ないから窓から降りて!!」

「大丈夫っすよ。てやっ!!」

「姉さん!?」

「燕青お願い」

「はいよぉ」

 

曹仁が屋根から飛び降りた瞬間に燕青が下で受け止めた。

 

「ありがとうっす。燕青っち」

「燕青っち?」

「呼びやすいように考えたっす!!」

「文字数が増えてるぞ」

 

呼びやすいようにと言うが、逆に呼びにくい気がする。

 

「ありがとうございます燕青さん」

「いいって事よ」

 

やっと服を着て、屋根から降りてきたのでホッとしたようだ。先ほどまで少し冷静さが失われていた曹純も落ち着いている。

 

「もうこんな事しちゃ駄目だからね姉さん」

 

「気をつけるっす!!」

 

本当に分かってくれたのか怪しいものだ。

 

「それにしてもお腹空いたっす。ご飯っすー!!」

「主も腹減ってねえか?」

 

そろそろ昼時だ。お腹の虫も鳴き始める頃である。

 

「確かにお腹が減ってきた」

「なら厨房に行って何か貰ってくる」

「アタシもいくっす。柳琳も食べるっすよね?」

「そうね。私もいただくとするわ」

 

昼食タイムだ。

 

「じゃあついてくるっす。燕青っちー!!」

「へいへい」

「はい、は一回っすー!!」

「へーい」

 

曹仁と燕青はそのまま厨房に向かうのであった。

 

「まったく姉さんは…」

「元気なお姉さんだね」

 

元気で自由な姉だ。

妹の曹純を心配ばっかさせて、困った姉であるが嫌っているわけはない。大切で大好きな姉と思っている。

大切で大好きだからこそ口を酸っぱくさせながら何度も何度も曹純は姉に対して注意をしているのだ。

 

「藤丸さんも姉さんに注意してくださり、ありがとうございます」

「これくらいお礼を言われる事じゃないよ」

「いえ、藤丸さんの言葉が届いたからですよ。まさか屋根から飛び降りるとは思いませんでしたけど…」

 

流石に屋根から飛び降りたのは予想外だったようだ。思い出しただけで乾いた笑いが口から出ている。

 

「全く姉さんはいつもつも…」

 

ブツブツと文句を言っているが、その顔は怒っていない。寧ろ手の掛かる子に対して文句を言いながらも優しく思っているのだ。

 

「曹純さんは本当に曹仁さんの事を大切に想っているんだね」

「藤丸さん…そうですね。姉さんは大切な家族なんです」

 

無茶やって、迷惑かけて、心配させる。それでも大切な姉、家族なのである。

 

「家族は大切にね」

「はい。そうですね」

 

家族。その言葉は藤丸立香にとって遠くなっている。

カルデアに来てからもう家族と会っていない。声も聞いていない。

時折、家族に会いたいという気持ちがおし寄せてくるのだ。家族に会いたいと思えば思う程、現実が突き刺さる。

 

「藤丸さん?」

「大丈夫。何でも無いよ」

 

生きる為、家族に会いたい為、汎人類史を救う為に藤丸立香はカルデアの皆と前に進むしかない。

 

「それにても曹純さんって色々と大変なんだね」

「え、それって?」

 

曹純は様々な仕事をしている。

部隊の編成から武具の手配までしている。更に相談役のように将軍たちへの的確なアドバイスや指示を出したりもしているのだ。

中にはそれも曹純の仕事なのかと思う微妙な案件も含まれているのだ。

便利屋というのは言葉が悪いが、それでもみんなが信頼しているからこそ彼女に相談をしているのだ。

 

「いえ、そんな大したことは」

「色んな仕事をしているみたいだけど本当は何をやっているんですか?」

「そうですね…お姉さまがご対応なさるほどの件ではなくても、将軍それぞれの判断では決めかねることの相談に乗ったり…他にもお姉さまの代わりに会合などへ出席したりしてます」

「曹操さんの名代みたいなもの?」

「は、はい。大それた言い方になりますけれど」

「それって凄いことじゃないですか。曹操さんから信頼されてるからこそできる役職ですね」

「そんな…凄いだなんて」

 

まさか褒められるとは思わなかったようで彼女は照れた。

本当ならばそれは姉である曹仁がやるべきものだが、性格的に曹純が適任だったようだ。自由人である曹仁では難しそうだ。

 

「姉さんのあの自由は美徳の1つであると思います。ただ、曹家の一員として自覚があまりに希薄なのがちょっと…」

「曹仁さんは自由人だしね。…よければその辺り、オレからも話をしてみましょうか?」

 

余計なお世話かもしれないが、つい言葉に出してしまった。

 

「そ、そんな。姉のことで、藤丸さんにお手をわずらわせるだなんて」

「そっか。でも曹純さん大変そうだからさ。余計なお世話でなければ何か手伝うよ。気軽に声を掛けていいからさ」

「藤丸さんに手伝っていただくなんて、ますますとんでもないことです。藤丸さんはお客様なんですから」

「そう? 色々な場所でお客様とか関係無く色々と手伝った事はあるけど」

 

閻魔亭とかだ。最も、手伝うしか他にないという状況であったのだが。

それでも曹純は恐縮した表情で首を振る。

 

(姉と妹でこんなに違うんだ)

 

姉は遠慮無しな自由人。妹は真面目で御淑やか。こうも姉妹で違うもので正反対だ。

顔をジッと見るとやっぱり姉妹とは思う。

 

「え……あ、あの?」

「ああ、ごめん」

 

ジロジロと顔を見られていて、恥ずかしかったようだ。これには謝罪。

 

「顔に何かついてますか?」

「ついてないよ。綺麗だなって」

「ふぇ!?」

 

こういう事を普通に言えるのが藤丸立香である。他にいるとすれば北郷一刀だ。

 

「それに曹仁さんと似ているなって」

「ふふふ、そうですか。自分ではあまり似ていないと思うのですが」

「そういうのは自分じゃよく分からないよね。でも似ているよ。性格はまるっきり逆だけど」

「そうですよね」

 

曹純はどこから見ても良いところのお嬢さんだ。行儀も言葉遣いも良い。

それは彼女の両親から厳しく教育を受けていたからだ。

 

「育ちの良さが滲み出てる」

「そんな…」

 

ちょっと嬉しいのかまた照れる。

悪い意味ではないが曹純がこうなのに、なぜ曹仁はああなったのか気になるものだ。

曹純は長女なのだから当然厳しく教育を受けたはずだ。

 

「そこが不思議なんです。妹の私から見ても厳しい躾は受けていました。それなのに…」

「どこでも服を脱ぐ子になったと」

「あはは…」

 

妹でさえ、なぜ姉がそうなったか分からないようだ。

 

「姉さんにも困ったものです」

 

変な才能なのか。性癖なのか。それとも何か切っ掛けがあったのか。それは分からない。

 

「姉さんは人に何を言われても、まったく堪えませんからね」

 

そのしわ寄せで妹の曹純が姉よりも両親から厳しく教育を受けたのかもしれない。

 

「けど、彼女の性格はあれはあれで良いと思う。ああいう人は周りの人間を明るい気分にさせると思うんだ」

そういう人間がいるからこそ周囲が良くなっていくのである。

「ええ。そこが姉さんの良いところと私も思います」

 

姉が褒められて嬉しいのか柔らかい笑顔をしている。

 

「あ、さっきの話だけど本当何かあれば手伝うよ。客将扱いだけど居候みたいなものだし、何か手伝わせてくれる方がこっちとしてはいいんだ」

「藤丸さんは大切なお客さまです。そのように考える必要は少しもないと思うのですが…」

 

相手には相手の思うところがある。だが藤丸立香にも思うところがあるのだ。

 

「そっか。迷惑になるのならこれ以上は何も言わないけど…もしも何かあれば手伝わせて」

「め、迷惑だなんて」

 

親切の押し売りのようかもしれない。それでも藤丸立香は何か手伝えることはしたいとおもっているのだ。

ずっと陳留にいるわけではない。それでもお世話になったのだなら何か恩返しくらいはしたいと思っているのだ。

 

「何かあればでいいよ」

「はい。藤丸さんがそこまでおっしゃってくださるなら」

「ありがとう」

「ありがとうだなんて…でも、はい」

 

なぜだか曹純は照れ臭そうにうなずくのであった。

 

「ふふっ、藤丸さんはお優しい方なんですね」

「甘いとかお人好しって言われる」

 

二人して軽く笑うのであった。

後日、時折だが藤丸立香が曹純の仕事を手伝っている姿を見かけることがあるがそれはまた別の話である。

 

「ご飯持ってきたっすー!!」

「姉さんが戻ってきたみたい」

 

声が聞こえた方を見ると曹仁と燕青が大皿にてんこ盛りの料理を持ってきたのであった。

 

「多くない?」

「いや、この嬢ちゃんが注文し過ぎたんだよ主」

 

この後、4人で頑張って全て食べきるのであった。

 




読んでくださってありがとうございました。
次回はこのあとすぐです。

391
張遼(霞)との雑談回でした。
3章の『反董卓連合-捜索-』で月と約束した事を果たしました。
自分が無事であることを霞に伝える。正直これがメインでした。
そして華雄の行方は……たぶんどっかで分かります。てか、登場します。

392
雑談回その2。曹純と曹仁でした。
曹仁脱ぐ。彼女は裸族の素質でもあるんでしょうかね。
そして悩まされる妹の曹純でした。その悩みを聞いてあげる…という流れになっていくと思います。

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