Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
陳留での日常その4です。
今回もおそらく平和?な日常回です。

FGOではアポクリファのコラボイベント中ですね。
素材集めとQP集めのために周回中。
やっぱり頼りになる孔明先生。


陳留での日常4

394

 

 

廊下を歩く藤丸立香。両サイドには司馬懿(ライネス)と諸葛孔明が一緒になって歩く。

 

「昨日は酷い目にあった…」

「何があったマスター。いや、ライネスがニヤニヤしているから彼女が原因なのは分かる」

 

どんよりしている藤丸立香、ニヤニヤしている司馬懿(ライネス)を見て何かあったのは分かる。そしていつも通り司馬懿(ライネス)が原因だというのもだ。

 

「昨日はとても楽しかったのだよ兄上」

「何をした」

「弟子を女装させたんだ。いやあ、なかなか良かったよ」

「……」

 

藤丸立香女装事件。新宿での記録を知っているので、すぐに察した。

 

「あまりマスターに無茶をさせるな」

「実は兄上も居れば一緒に女装をさせようと考えていたんだ。第3再臨の姿でね」

「やめろ」

 

胃がキリキリしてくる。

カルデアに司馬懿(ライネス)が召喚された時は胃にかかるストレスが増えたくらいだ。

地獄の鬼周回に加えて司馬懿(ライネス)もとい『胃を壊す悪魔』の所業まで加わったら倒れそうになる。

 

(最もマスターのおかげで少しはマシだがな。本当に少しは)

 

藤丸立香が司馬懿(ライネス)に弟子認定されてから小悪魔的な弄りの矛先が少しは減ったのだ。

まさかここまでマスターを気に入るとは予想外であったが、これはこれで良い傾向だと思っている。

 

(このまま義妹の弄りが全てマスターに向かって欲しいものだ)

 

その願いは一生叶わない。

 

「第二回女装会を開くときは兄上も参加させないといけないね」

「また女装するの!?」

「待て、私を巻き込むな」

 

第二回女装会。それがいつ開催されるかはまだ分からない。

 

「勘弁してよ師…しょ」

 

藤丸立香の目にあり得ない光景が写った。

 

「郭嘉さん!?」

 

廊下の真ん中で郭嘉が血溜まりに沈んでいた。

急いで彼女の元に駆け寄って容体を確認する。

 

「息は?」

「ある」

「外傷は?」

「外傷は……あれ。無い?」

「いや、これだけの血溜まりで外傷が無いのはおかしいだろ」

 

大きなケガをしたくらいに流れた血溜まりだ。しかし郭嘉に外傷が無い。

切り傷といったものはない。身体に穴が空いているわけでもない。

 

「血はどこから流れた?」

「鼻から」

「鼻血だねこれは」

 

藤丸立香と司馬懿(ライネス)が簡潔に流血箇所を口にした。

 

「…………」

 

一瞬だけ諸葛孔明は物凄く面倒くさい顔をしたが、首を振った。

鼻血だからといって馬鹿にしてはいけない。何か脳に異常があるのかもしれない。何か変わった病気かもしれない。

ただの鼻血ではないかもしれないのだ。

 

「これだけの出血量だ。ただの鼻血ではないだろう」

 

鼻血の出血量にしては多い。普通に考えて何か病の症状と思うはずである。

 

「やはり脳に傷が…いや、頭蓋骨か? ここにアスクレピオスやナイチンゲールがいればよかったんだがな…」

 

もしくはこの世界だと名医と言われている華佗がいればと思う。今はおそらく貂蝉たちと桃香の陣営にまだいるかもしれない。

 

「病気では無い場合も考えないとな」

「毒とか?」

「可能性はあるな」

 

毒物の可能性もある。もっと可能性を考えると魔術的な原因かもしれない。

 

「ここでは妖術か」

「呪いか何か…ホワイダニット案件?」

「かもなマスター」

 

Why done it(ホワイダニット)。彼女がこうなった理由の1つで『どうしてやったか』だ。

 

「その前に医者を呼ぼうか兄上」

「そうだな。誰か城の者に連絡をーー」

「おやおや。どうしました?」

 

丁度のタイミングで程昱が歩いてきた。

 

「程昱さん。大変なんだ。実は郭嘉さんが」

「あ、またですか」

「大量の鼻血を……また?」

 

程昱は慌てる事なく、まるでいつもの事だと言わんばかりの様子で郭嘉に近づく。

 

「稟ちゃん。ほら、起きてください」

 

ツンツンと郭嘉の頬をつつく。

 

「う、うう…」

 

何か呻きながら呟いている。耳を澄まして聞いてみると。

 

「心も身体も…私の身も心も華琳さまのものになってしまう…」

「え?」

 

何を言うかと思えば意外な内容であった。

 

「きっと…きっと華琳さまは私が抗おうとも無理矢理私を組み敷き、ま、まずは指で…」

「指?」

「大切な乙女の証を、ゆ、指で破り……それから、痛みで涙を流す私を抱きしめて「やっと本当のあなたを捕まえたわ。可愛い稟」って耳元で…」

「おーい。てか、起きてるでしょ」

 

何か分からないが郭嘉の頭の中でピンク色の何かが広がっているようだ。

 

「嫌、です。そんなところを撫でては…!!」

「ねえ、これ大丈夫なの?」

「ははは。若気の至りってやつだ。見て見ぬふりをしてやるのが人情ってやつだろ。兄ちゃん」

 

頭の上に乗っている宝譿が答える。実際は程昱の腹話術。

 

「そこは…あ、あぁ、いけません。下を…そこに挿し込んでなど!?」

 

全然平気そうに見えない。色々と危ない。

 

「ああ、嫌…これ以上、私を乱れさせないで…!!」

 

よく分からないが物凄く盛り上がっているようだ。

 

「いけません、いけません華琳さま…そんな汚いところを触っては、いけませッーーーー」

「ん?」

「ぶーーーーーーーーーーーーーっ!!」

 

物凄い鼻血が出た。

 

「鼻血のアーチ!?」

「…がく」

 

物凄い出血量だ。元々のと合計すると致死量ではないかと思ってしまう。

 

「もしかして死んだかい?」

「これでわりと生きているんですよー。稟ちゃんはホント、血の気が多い人ですねー」

 

程昱がまたも指で頬をつつくと、ヒクヒクと悶え始めた。

 

「てか、彼女の鼻血が服にかかったんだが…」

「運が無かったですね」

「彼女はウェインズか。そして請求してもいいかい?」

 

何処かの吐血野郎を思い出すのであった。

 

「これってどういう事?」

「稟ちゃんは華琳さまが好きで好きでたまらないのですよー」

「え?」

 

詳しく聞くと郭嘉は曹操に対して凄い好意を持っているとの事。曹操の事が大好きというやつだ。

夏侯惇や荀彧にも負けないくらいの気持ちだ。普段の曹操と郭嘉の様子を見ると普通な感じであるが、それは何でも隠しているとの事。

郭嘉の心の底では曹操に対して恋慕がいつでも爆発しそうらしい。恋に同性は関係無いようだ。

 

「なるほど…で、曹操さんへの気持ちが何でこうなるの?」

「稟ちゃんの頭の中が桃色なのですよ」

 

好きすぎて妄想が捗るらしい。思春期のエロ坊主かと言いたくなるくらい郭嘉の妄想は濃いようだ。

 

「妄想し過ぎて鼻血が出る?」

「はい」

 

この話を聞いて諸葛孔明は手で顔を覆った。物凄くどうでもよい話であるからだ。

 

「ああ…あぁ。華琳さまぁ」

「凛ちゃんはまだ妄想が続いているようですね」

 

曹操の真名を至福の表情で呟いている。

 

「ーーーーーーーはうあ!?」

「急に起きたな」

「大丈夫ですか?」

 

大量の鼻血を出したせいで顔色が悪い。本当に大丈夫かと心配してしまう。

 

「この血は…」

「ああ、これは」

「…破瓜の血!?」

「鼻血です」

 

彼女の口から何故その言葉が出てくるのか不思議だ。もう1つの選択肢があったとしたら「なんでやねん」だ。

 

「凛ちゃんの純潔は無事なので安心するですよ」

「無事!? そんなはずないでしょう。華琳さまの指が確かにぷつりと音を立ててーーー」

「それは凛ちゃんの酷い乙女の妄想なのですよ」

 

初めて彼女に出会った時のイメージと比べて崩れていく。この人、こんな人だっけ、と思うのは当然かもしれない。

 

「うう…何だか、頭がくらくらする」

 

鼻血と言えど、血を流しすぎだからかもしれない。

これはちょっとした流血の惨事ではなかろうか。

エロ妄想で鼻血吹いたあげく失神した郭嘉。まさかのショッキングな光景であった。

 

「ほどほどにね」

「何がほどほどなんですか」

「胸に手を当てて考えてみてはー?」

「うぐ…」

 

本当にほどほどに。

 

「じゃあ、ここの掃除は頑張ってなのです」

「え、風は手伝っては…」

「風の力など微々たるもので、とてもそこまでは及ばないのです。なら立香お兄さんに手伝ってもらってください」

「そこでオレを出すのね」

 

面倒事を押し付けられた。程昱はそのまま廊下を歩いてくのであった。だが見捨てたわけではなく、彼女はこれから血を流し過ぎた郭嘉のために医者を呼びに行ったのだ。

更に厨房に行って血を増やすために食べ物を取りに行ったのもある。

 

「……片づけを手伝ってください」

「我が弟子よ頑張れ」

「やっぱオレが手伝うんですね」

 

廊下に広がった鼻血の溜まりを掃除するのであった。

 

「孔明先生」

「なんだ」

「全然、ホワイダニット案件じゃなかったね」

「くだらなすぎる事件だ」

 

正確には事件ですらなかった。

 

 

395

 

 

夏侯惇。魏の大剣なんて言われるくらい有名な武将だ。

この外史という世界でもその名は広がっているようで曹操が信頼する臣下の1人である。

反董卓連合では李書文が見た事を聞くと、目に矢が突き刺さっても剣を振るっていた勇士を見せ付けたらしい。

三国志には眼球を喰らい逸話がある。その逸話をまさしくやってのけたようだ。

曹操軍の中でも圧倒的な強さと勇士を兼ね備え、不屈の精神で戦に勝利する武将というのが夏侯惇だ。

 

「そんな強き武将が目の前で泣いてるんだけど」

「むう…反董卓連合で戦っていた勇士の欠片も無いな」

 

正確には道の真ん中で夏侯惇が蹲って泣いていた。

この姿に藤丸立香と李書文は首を傾ける。

 

「これ、どういう状況なんですか夏侯淵さん」

「実はな…」

 

近くにいた夏侯淵に説明してもらうと、限定品のお菓子を買ったのは良いが運悪く早馬に轢かれそうになった時に落としてしまったとの事。

運がないと思って諦めるしかないのだが、そのお菓子は曹操の好物で一緒にお茶をするために買ったのだ。非番の日を狙ってまで買ったのに運が無い。

曹操が大好きな夏侯惇にとってはとてもショックが大きいようだ。

 

「うわあああああああああん。せっかく華琳さまの為に買ったのにぃぃぃぃ!!」

「やれやれ。今回は諦めろ、姉者」

 

限定のお菓子なのだから今から買い直しは無理だ。人気商品らしく、すぐに売り切れになるほどだ。

 

「わああああああああああん。しゅうらぁあああん」

 

本当にこの姿が夏侯惇とは思えない。案外、これが彼女の素なのかもしれない。

「よしよし。この時間では既に売り切れているだろうよ。また非番の日に並ぼうではないか」

「で、でも…ひっく、う、うああああああん」

 

妹が姉を慰めるが効果は薄い。ポロポロと大粒の涙が垂れている。

 

「曹操の片腕がこんな人が往来する場所で泣いててよいのか?」

 

李書文の疑問は最もだ。

 

「そこは触れないでくれ書文殿」

 

それほどまでショックだったという事だ。

 

「お菓子は残念だけど、夏侯惇さんに怪我が無くて良かったはずだよ。きっと曹操さんもお菓子より夏侯惇さんが無事である事の方が良いと思う」

「藤丸の言う通りだ。華琳さまも菓子よりも姉者がケガしなかった事を案じてくださるだろうよ」

「でも、えぐ、わたしが気を付けて、いれさえすれば…ひっく」

 

確かにその通りなのだが、しょうがないものはしょうがない。お菓子を落としてしまったものはどうにもならないのだ。

 

「うわぁああああああん!!」

「そう言えば落としたお菓子ってどんな…」

 

落ちたお菓子を見ると見覚えがある。そのお菓子は藤丸立香も買ったお菓子であった。

 

「…なるほど」

 

ゴソゴソと懐から限定品のお菓子を出す。

 

「夏侯惇さん。これ良かったらどうぞ」

「え…これは。い、いいのか藤丸?」

「うん」

 

ここでもお人好しが発動。本当は武則天や玄奘三蔵が食べたいと言っていたが、きっと分かってくれるはずだ。

武則天は何かしてくるかもしれないがお師匠様の玄奘三蔵が守ってくれるはずである。

 

「藤丸、恩に着る。本当にありがとう!!」

 

物凄い良い笑顔だ。

 

「よかったのか藤丸?」

「良いんだ」

「しかし…」

「じゃあ、貸しって事で」

 

お菓子だけに。

 

「ふふっ、分かった。そういう事にしておこう」

 

微笑する夏侯淵。これで問題は解決である。

 

「姉者、また持つか?」

「いや、やめておこう。また同じ失敗をしては、目もあてられんからな。それは秋蘭が持っておいてくれ」

「ふふっ。なら、そうしておこう」

 

そのまま春蘭は走っていってクルクル回って見たり、スキップした。先ほどまでの状態が嘘みたいだ。

とても楽しそうである。これには夏侯淵も微笑ましく見ている。

 

「姉者は敵兵から恐れられているが…実は可愛いものだろう?」

「夏侯淵さんの言う事が分かる気がする」

「まるではしゃぐ子供だな」

「そこが姉者の良いところさ書文殿」

 

夏侯惇の良さは思うとの夏侯淵が一番分かっているということだ。

先ほどの泣いている姿もそうだが今の嬉しそうな姿もまた夏侯惇の姿の1つ。

魏の大剣になる武将であるが、彼女も可愛い女性であるということだ。これを口にすると怒るかもしれないが。

 

「早く帰るぞ秋蘭。華琳さまにそれを見せて喜んでいただくのだ!!」

「ああ。これを崩さないよう、ゆっくり帰るさ」

「おお、そうだったな!! ああ、この喜びを一体誰に伝えれば良いのか。世界とはなんと素晴らしいのか!!」

 

お菓子でここまで喜ぶとは予想外だ。これも曹操に喜んでいただきたいという気持ちの現れかもしれない。

ここまで臣下に慕われている曹操は幸せ者だ。

 

「本当にありがとうな藤丸。それと李書文も」

「これくらい、いいって」

「儂は何もしておらんさ」

 

特に何もしていない。お菓子をあげたくらいである。

 

「姉者。あまりはしゃぐと、さっきのように馬にひかれるぞ」

「ははは。今のわたしなら、迫りくる一万の騎馬隊でも弾き返してみせようではない…うわっ!?」

 

馬群に轢かれた。

 

「「……」」

「…藤丸。少しこれを持っておいてくれ」

「はい」

 

馬群の中に消えた夏侯惇を見て、夏侯淵は藤丸立香にそっとお菓子の箱を渡してくる。

 

「姉者ぁああああああああああ!!」

「あれが魏の大将軍か…」

「言いたい事は分かるよ」

 

魏の大将軍になる器の持ち主のはずだ。

 




読んでくださってありがとうございました。
次回も2週間以内に更新予定です。たぶん。

そろそろ日常回も終わりです。恐らく次回で終了。
次々回から本編に戻ります。おそらく孫呉独立編に入っていくと思います。

394
原作にあった『眼鏡軍師殺人事件』でした。
全然『ホワイダニット案件』ではありません。
孔明先生もこれにはくだらなすぎて顔を覆う。

395
夏侯惇は強くてカッコイイけど、こういうおバカな一面や可愛い一面もある。
そんな事を思いながら書いた物語でした。
原作の最初は一刀にあたりキツイけど話を進めていくと愛するおバカなキャラなんだなと分かりました。
ところどころクスリと笑ってしまうシーンがあるのがツボです。
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