Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
FGOをプレイしている皆さんは☆5チケットを誰と交換しましたか?
私は悩み悩んでオジマンディアスにしました。(持っていなかったので)。
さてと、勝手な報告は置いておいて。
孫呉独立編も佳境に入ってます。ついにまた現れた于吉。
彼は呪いと宝剣の力で雪蓮と藤丸立香たちを追い詰めていきます。
そして最後には…!!
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玉座の間は異様な空気に包まれていた。
「え…え? 七乃はどこに行ったのじゃ?」
張勲が張勲ではなかった。何処で入れ替わったのか分からない。だが問題は今まで戦っていた張勲の正体が于吉であったことだ。
「もしかしてとは思ってたけど…やっぱりか」
「カルデアのマスターは気付いていましたか。何処で気付きました?」
「確信があったわけじゃない。もしかして…って、思っただけだ。でもあえて理由があるなら…あなたは武則天の真名を口にした」
「ああ…つい。名前を出したのが不味かったですね。ですが結局のところ意味はなかったですが」
武則天の名前を張勲は知らなかったはずだ。それを知っていたという事が引っかかった。武則天の名を口にした張勲は本物かと疑ったのである。
「それはもういい。于吉、雪蓮さんに何をしたんだ!!」
「呪いですよ」
「呪いだって?」
「ええ。この呪いは孫策にしか効かない呪いなんですよ。孫策と于吉の逸話って知ってます?」
三国志の孫策と于吉の逸話。
孫策は于吉を妖術使いで人心を惑わせる存在だと危惧し、捕縛した。于吉が助かるには雨を降らせることである。
雨を降らせるのは干ばつが続いていたからだ。于吉は見事、雨を降らせた。しかし孫策は約束を反故にし、于吉を殺してしまう。
于吉を殺した後が問題だ。その後、孫策は于吉の幻影を見るようになったのだ。香の煙の中に現れたり、鏡に映ったりとしたらしい。
孫策は耐えられなくなり、絶叫すると体中の傷口が裂けて死んだという逸話だ。
「この呪いは、その逸話を元にしています。だから孫策専用の呪いなんですよ」
まるで英霊の逸話をスキルや宝具に昇華したようなものに近い。もしかしたら本当に参考にしているかもしれない。
「体中から血が噴き出したといいますが、実際は過去に受けた傷が再び開いただけです。ですがそれだけ傷が開けば血の量はなかなかだと思いますよ」
雪蓮は体中から血を流している。傷口が小さくても多ければ、出血の量も馬鹿にできない。
「そもそもこの呪いは不完全なんですよね」
「不完全?」
「はい。本来の呪いならば私が死ぬことで孫策も死にます。ですが私もまだ死ぬわけにはいかないので不完全な形で発動させました」
本当の条件は于吉が孫策(雪蓮)に殺される事で発動する。発動した瞬間に傷口から血が噴き出して絶命するという呪いだ。だが呪いを受けた孫策はまだ生きている。
まだ生きているということは呪いは不完全だと分かる。
「ですが不完全とはいえ、このままだと孫策は死ぬでしょうね」
多くの傷口から出血している。止血しなければ出血多量で死んでしまう。まさにソレが于吉の狙いである。
本来の呪いは道連れのようなもの。于吉自身は死ぬつもりは無いので雪蓮だけを殺すために不完全という形にしたのだ。
「だから呪いの発動条件は私を斬る事にしました。そして呪いの効力は体中の傷口が開くだけにしました。傷口が開くだけ…しかし傷口が開けば血が出るのは当たり前。あとはそのまま血が流れれば出血多量で死ぬだけです」
「なら、癒せば大丈夫なわけだ」
藤丸立香はすぐに雪蓮の元に駆け寄って魔術礼装で『応急手当』と『イシスの雨』を発動する。
血が止まり、傷口が塞がっていく。
「やっぱり解除する魔術が使えましたか…ですが、この呪いは簡単に解除はできませんよ」
「あぐっ!?」
「雪蓮さん!?」
傷口が塞がったと思えば、また開いて血が流れる。
「何で!?」
「簡単に解除できるような呪いじゃないって事ですよ」
今までの特異点等でエネミーの強化を解除できなかったり、仲間が受けた効果を解除できない事があった。今回もまさに同じだ。
この場合の解決策はエネミーを倒す事だけである。
「于吉を倒すしかないって事か」
「正解です。流石はカルデアのマスター。ですが、そう簡単に私を倒せますか?」
于吉は宝剣を振るった。
「マスター!!」
武則天が酷吏と共に駆け寄って藤丸立香と雪蓮を掴んで宝剣の斬撃から回避する。
「助かったよ武則天」
「うむ。それと雪蓮の容体は?」
「意識はある。でもこのままだと危ない」
「わ、私は大丈…夫よ」
痛みを我慢しながら口を開いた。
「何かよく分からない事を話してたけど…これは呪いで、あいつを倒せば呪いは解けるのよね?」
「うん。恐らく」
「なら…やることは決まってるわ」
雪蓮は南海覇王がどこにあるか確認する。
「剣を…取ってくれないかしら」
「無茶だよ雪蓮さん。それ以上は戦わせられない」
「戦うわ。あいつが于吉なのよね…なら母様の仇!!」
彼女にとって于吉は母親の仇だ。
黄祖との戦いで于吉は炎蓮をかどわかし、操り人形にした。母親が死ぬ原因を作った黒幕だ。
仇の人物が目の前にいて何もしないはずがない。雪蓮は自分の容体なんて気にせずに怒りの炎を目に宿す。
「ははは。その目…あなたの母親にそっくりですね。孫堅もそんな目で私を見ていましたよ」
于吉の持つ宝剣の刀身がより強く輝く。輝きが増したと同時に宝剣から感じる魔力量は目を見張った。
「今までは宝剣の力を抑えていたんですよね。ここからは本気です」
「その宝剣。やはりただの剣ではないな」
「ええ、名のある剣です。実はこの宝剣は操り人形にした孫堅に使わせるつもりだったんですよ。最もその時までに調整が間に合わなかったんですがね」
武則天は于吉の宝剣を穴が開くように見る。
「刀身と柄に文字が刻まれている名のある剣。中国で、そのような特徴のある剣と言えば……まさか」
「おや、もしかして分かりましたか。確かに貴女ならばこの剣の情報を知っていてもおかしくはないですから」
「軒轅剣」
「正解です」
軒轅剣。
中国神話に存在したという剣。天界の神々が黄帝に下賜した剣だとに言われている。
黄帝が蚩尤を打ち破った剣であり、無尽蔵の力が込められている斬妖除魔の神剣でもあるのだ。
「刀身の一面は日月星辰、反対の一面には山川草木が刻まれている。更には剣の柄の一面に農耕や牧畜の術。そしてもう一面には四海統一の策が刻まれていると聞く」
更に黄帝が刑天と一対一で戦った際にはその軒轅剣を用いて刑天の首を落とした上、巨大な山を真っ二つにしたという逸話もある。
「中国でも頂点に立つとも言われている剣です。もしかしたら宝具並みかもしれませんね」
軒轅剣はより輝く。
「消え去りなさい」
軒轅剣を振りかぶると巨大な力が放出された。
「っ、概念礼装『月霊髄液』!!」
水銀が出現し、藤丸立香たちを覆う。
「またソレですか。ですが何度も使えはしないでしょう」
軒轅剣がまたも強く光り輝きだす。
「はぁ…はぁ」
于吉の言う通り魔術礼装も概念礼装も無限に使えるわけではない。
魔術礼装も概念礼装も魔力を消費する。無理に発動すれば身体に負担が掛かるのだ。実際、無理に発動した時の影響は受けた事がある。
「軒轅剣は無尽蔵の力が込めらている剣。巨大な妖魔すら斬り伏せる。英霊相手もただではすみませんよ…おっと」
音もなく近づいていた酷吏を切断。
「ぬぬ…妾の酷吏を」
「酷吏召喚もまた無限ではないでしょう。それに武則天…貴女は戦い向きの英霊ではない。貴女はこの無尽蔵の力がある軒轅剣をどうやって攻略します?」
もう一度、軒轅剣を振って巨大な力を放出。
「概念礼装『月霊髄液』!!」
「また防ぎましたか。あと何回防げますか?」
(あと1回…)
概念礼装『月霊髄液』は残り1回。これを剥がされると丸裸だ。
(次の概念礼装を準備しないと…!!)
軒轅剣の威力は恐ろしいと感じる。概念礼装『月霊髄液』で2回防ぐ度に威力が上がっているのだ。
無尽蔵という言葉は嘘ではなさそうだ。軒轅剣から感じる魔力は底が見えない。
「この剣の力が完全解放されれば宮殿なんて簡単に消し飛ばせますよ。それを頭に入れておいてください」
今の言葉はまだ本気を出していないという事だ。何か策を練ろうとも圧倒的な力を消し去るという事も伝わってくる。
(もしくは何か一手を考えないと)
守ってばかりでは勝てない。相手は無尽蔵の力を放ってくる。此方は有限である為、無尽蔵の力と根比べなんて出来るわけがない。
「武則天…令呪を使う。次の一撃を防いだら頼む」
「任せよ」
宝具は一発逆転の切り札でもある。
「次の一撃はさっきよりも大きいですよ」
軒轅剣を振りかぶり、3度目の巨大な力の放出。概念礼装『月霊髄液』で防ぐが効力は消えた。
「水銀が消えましたね。もう防げるものは…」
「令呪を持って命ずる。武則天、宝具の解放を!!」
手の甲にある令呪が一画、紅く輝く。
「妾の拷問をたっぷりと味わわせてやろう」
于吉を中心に紫色の沼が発生し、足が沈んでいく。沈んだ先には毒々しい液体の入った壺。
あの壺の中に落とされれば武則天に問答無用で拷問される者になる。呪いと同じで于吉が拷問される者になれば武則天に手も足も出せなくなる。
「流石にこれは不味いですね……ですが軒轅剣の力は宝具にも劣らない力なんですよ!!」
于吉は軒轅剣を己を沈ませる沼に対して突き刺す。
「消え去りなさい!!」
軒轅剣の巨大な力が解放され、武則天の宝具を圧倒的な力で無理やり消し飛ばした。
「何じゃとっ!?」
武則天の宝具を無理やり消し飛ばすほどの力は玉座の間を軽く破壊する。もはや玉座の間ではなく、瓦礫の空間になっている。
更に誰も逃がさないように結界を張っていたが宝具を消し飛ばすほどの力なのだから結界なんて簡単に消えている。于吉が強固に張った結界であったが、軽く軒轅剣の力は上回る。
「いやはや、流石は軒轅剣ですね。だからこそ残念です…私ですらこの軒轅剣を完全には扱えないのですから」
玉座の間は壊滅した。破壊音で周泰たちも異変に気付いた可能性は高い。
このまま待ち構えて相手をしても勝てるが、于吉としては無駄な戦いはしない。今回の目的は雪蓮だけである。
「外史の流れとして孫策はまだこの段階では死なない。そもそもこの外史は蜀ルートが軸になっている。孫策が死ぬ可能性は無いんですよね」
外史には様々なルートがある。その中でも基本なのが魏、蜀、呉の3つのルートだ。3つの中で孫策が死ぬルートが呉のルートである。それ以外は死ぬ事は無い。
「この外史が蜀ルートなのは間違いないです。ですが蜀ルートには無い流れを生み出す事で外史に影響を与える事こそが目的なのです」
于吉はいくつも策を用いて外史に影響を与えている。
張譲や黄祖たちを裏で操って起こした事件が最たる例である。特に過去に言って孫呉を壊滅状態にした事件はとても大きかった。
「ですがカルデアのマスターに邪魔されてしまったんですよね。しかし少しは影響を与えているのは間違いないはずです」
大きな異変は発生したが最終的には解決され、外史の流れは修正されている。大きく見ればこの外史は順調に蜀ルートを辿っている。
「ええ、順調に蜀ルートを辿っています。表面上はね」
この外史の流れは表面上、蜀ルートを辿っている。しかしその中身は実のところ穴がいくつか空いている。
その穴が微妙に外史の流れを阻害しているのだ。
「結果的にこの外史は蜀ルートから徐々に外れている。しかし外史はそれでも蜀ルートに戻ろうとする修正力が働いています。その修正できないようにするのが目的でもあるんですよね」
于吉としてこれでも自分の計画は順調であると思っている。
「今回で貴女を殺せば、この外史はよりズレが発生する。貴女はどう思います?」
于吉は軒轅剣を背後に向けて振り払うとガキンっと金属音が鳴った。鳴った理由は雪蓮が南海覇王で于吉を斬ろうとしたからだ。
「わけのわからない事を言ってんじゃないわよ!!」
「その身体でよく動けましたね」
雪蓮は無理やり身体を動かして于吉に斬りかかったのだ。母親の仇であり、孫呉を壊滅させかけた黒幕である于吉を許すはずがない。
身体が血だらけだろうが孫呉の誇りと怒りを持って動いたのである。
「ん、ふふ…その怒りと殺気。なかなか素晴らしいですよ」
「五月蠅い!!」
「ですが一撃が軽いですよ。方士である私が簡単に受け止められたのですから」
軒轅剣を振って突き飛ばす。突き飛ばされた雪蓮は受け身も取れずに転がり落ちた。
少しずつとはいえ、未だに彼女の身体からは血が流れている。これ以上動くことは死を意味する。
「無駄に動くと死期を早めますよ。まあ、死んでも構いませんが」
「于吉…!!」
「さてと、そろそろ終わりにしましょうか。念には念を込めて軒轅剣の力を解放して殺しましょう」
軒轅剣が強く輝き出す。
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痛みによって目が開く。周囲を見ると玉座の間は壊滅状態だ。
武則天が宝具を発動したが于吉が軒轅剣の力を解放して無理やり押し潰したところまで覚えている。
そこから先は覚えていない。少しだけ意識を失っていたようだ。
藤丸立香は武則天と雪蓮を探す。
「うぐ…っ」
体中に痛みが走る。魔術礼装で少しは威力を軽減したつもりであったが想像以上に軒轅剣の威力は大きかった。
魔術礼装を着ていなかったら寧ろ死んでいたかもしれない。
「武則天…」
後ろに転がると武則天が横たわっていた。彼女を見ると藤丸立香よりも傷が多い。
何故なら武則天が藤丸立香と雪蓮の前に出て軒轅剣の力を受けたからだ。
「くふふ…マシュではないから全てを防ぐ事はできんな」
「ありがとう武則天……ごめん」
「謝るでない。サーヴァントがマスターを守るのは当然じゃ……いや、立香だからこそ守ったのじゃ。なんせあの自分の命が惜しいと言うシェヘラザードですらお主を守ろうとするのじゃからな」
藤丸立香は武則天を胸に抱き寄せて魔術礼装の『応急手当』を発動する。
「こりゃ、先ほどから魔術礼装を連続で使用しておらんかったか?」
「使用してたけど…今はそんな事を言っている場合じゃない。武則天が優先だよ」
「まったく、マスターとしてあるまじき発言じゃな」
「よく言われる」
「お主は……まあ、だからこそ妾だけでなく他の英霊もお主を好…絆されたのやもな」
藤丸立香は武則天を抱えながら周囲を見渡す。まだ雪蓮を見つけていないからだ。
軒轅剣の力を受ける前に一緒にいたはずだが近くにいない。もしかしたら軒轅剣の力の余波で吹き飛ばされてしまったかもしれないと不安に襲われる。
彼女に治癒魔術を掛け続けていないと命に関わる。もしもここにマルタやメディア・リリィ、ナイチンゲールたちが居ればと思ってしまう。
「雪蓮さんは何処に…?」
ガキンっと物音が聞こえた。すぐに音が聞こえた方向に視線を移すと于吉によって雪蓮が突き飛ばされた光景が目に映る。
雪蓮は呪いを受けた体を無理やりにでも動かして于吉に斬りかかったのである。無茶も無茶すぎる。
「雪蓮さん…!!」
自分自身も無茶をしているが、何処かの棚に置いてきて雪蓮の元へと走る。
走った瞬間にコツンと足に何か当たった。
「これって?」
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軒轅剣には無尽蔵の力が込められている。ならばどこまでも出力を上げられるということだ。
どこまでも出力を上げられると言っても、それは使い手によって決まる。于吉自身も完全には使いこなせないと言っていた。
軒轅剣を使いこなせる人物は限られているのだ。誰かと言われればまず黄帝である。
「他にいるとすれば……って、貴女に説明する必要は無かったですね」
眩しいくらい軒轅剣は輝いていた。
「この出力なら跡形も無く消え去るでしょう」
「于吉…!!」
雪蓮に対して軒轅剣を振りかぶろうとした瞬間に魔力の弾丸が于吉に命中した。
「ぐっ…、これは」
魔術礼装の『ガンド』だ。放たれた方向を見ると藤丸立香が武則天を抱えながら走ってきていた。
「雪蓮さん!!」
そのまま雪蓮も抱きかかえて于吉の正面から離れる。そして魔術礼装『全体回復』を使用して雪蓮と武則天を治癒する。
「カルデアのマスター…所詮は時間稼ぎにすぎませんよ」
確かに『ガンド』では時間稼ぎにしかならない。雪蓮たちを治癒している時間を作ったとしても僅かな時間しかないのだ。
于吉が動けるようになれば無尽蔵の力を放つ軒轅剣が解放される。
「カルデアのマスター。貴方もそろそろ限界ではないですか?」
疑問形で聞いてくるが于吉は藤丸立香がもうまともに動けないのは分かっている。
藤丸立香は玉璽の力や軒轅剣の力を回避するために魔術礼装、概念礼装を連続使用した。更に雪蓮と武則天を治癒するためにも今も使用している。
身体への負担は正直に言うと辛いものがあるが、弱音は言っていられない。
(令呪は残り2画…)
カルデアの令呪は本来の聖杯戦争の令呪とは違う。違う部分とは大きな強制力が無いという事と補充が出来るということだ。
令呪はカルデアで常に補充出来る。もしくは1日経過すれば魔力が溜まって1画戻るのだ。
補充できると言っても無駄な事には使えない。
(たまに無駄な事に使っている気がしなくもないけど……って、今はそれは置いておいて)
手の甲の令呪が赤く光る。
(英霊の影を呼ぶ…!!)
亜種並行世界の下総国で英霊の影を呼ぶ戦い方をした。この戦闘スタイルは英霊たちとはぐれた時などに有効な戦い方である。
更に英霊の影とはいえ宝具も発動できる。しかし、影であるため本来の英霊の力よりは劣ってしまうのは致し方ない。
(軒轅剣の威力は宝具並み…ならこっちも負けないくらいの威力の宝具を持つ英霊の影を呼ぶしかない)
アルトリア・ペンドラゴンやカルナたちを思い浮かべる。
「何をしようとも無駄ですよ」
『ガンド』による足止めは一時的にすぎない。効力が切れて于吉の自由が解放される。
「孫策だけ殺すつもりでしたが…ついでにカルデアのマスターも殺せるなら一石二鳥ですね」
軒轅剣の魔力量は変わらず大きい。中国のエクスカリバーかと思ってしまう。
「来てくれ!!」
「何をしようが無駄です。無駄!!」
軒轅剣の力が藤丸立香たちに放たれる。巨大な力は藤丸立香たちを包み込んで宮殿の外へと放出された。
巨大な力の一筋の光は宮殿を貫き、町にいる民や更に外にいる孫策軍にも目で目視できるほどであった。
まさに異常事態。民たちは訳がわからないのは当然だ。そして孫策軍にいる者たちはすぐにでも宮殿へと足を運ぶのは間違いない。
冥琳たちはすぐに隊を編成して動いた。荊軻たちは既に建業の宮殿へと向かっている。
「さてと…彼らの仲間が来る前にここから撤退しますか。ですがせめて死体の確認くらいはしましょうかね……腕の一本でも残ってるか分かりませんが」
巨大な力に飲み込まれた藤丸立香たちは跡形もなく消え去ったはずであり、死体が転がっているとは思えない。
英霊である武則天ならば光の粒子になって綺麗に消え去っているはずだ。
「ここで確認しないで戻ったら意味はないですからね」
足を前に出そうとした瞬間に前方から何かが飛来した。
「っ、なに!?」
ボトリと何かが地面に落ちる音が聞こえた。足元を見ると于吉の腕が転がっていた。
「ぐおおっ…前は腕を折られて、今度は切断ですか」
ブシュリと血が噴き出し、ボタボタと垂れる。
何故、こうなったかすぐに理解する。それは藤丸立香たちがまだ生きているからだ。
軒轅剣の力で跡形も無く消し飛んでいなかったのである。どうやって防いだが分からない。
「そういえば何かしようとしていましたね…無駄かと思っていたんですが。やはりカルデアのマスターは油断なりませんね」
どうやって防いだか確認するために藤丸立香たちがいる場所に視線を集中する。
軒轅剣の力の解放と共に発生した土煙が徐々に晴れていく。
「どうやって防いだ…そして、どうやって私の腕を切断した?」
完全に土煙が晴れるとそこには輝くが如くの人が立っていた。まるで天から降りてきたような美しくも威厳のある人物。
「誰ですかっ!!」
「ふむ。いきなりすぎて理解がまだ追いつかんが…良かろう」
カツンっと音を立てて、前に出た美しくも威厳のある人物は己の名を口にした。
「三皇を超越し、五帝を凌駕せし覇者。それこそが始皇帝、即ち、朕である!!」
ついに外史の大陸に舞い降りた始皇帝であった。
読んでくれてありがとうございました。
次回もGW中に更新したいと思ってます。
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雪蓮が血を噴き出した理由は呪いでした。
その呪いに関しては物語の本編にも書いたように孫策と于吉の逸話を元に書きました。
その逸話を元にちょっと設定を書き加えてできたのが今回の呪いになります。
スキル名は…考えていませんでした。
(詳しい逸話は皆さん自身で調べてみてください)
宝剣の正式名称は軒轅剣。
中国でも伝説の剣の1振りですね。
FGOでもいずれは出るのかな…と思ってしまう。
あまり情報が無くて詳しく書けませんでした。しかし、伝説上だとその力は圧倒的。
宝具並みなのは確かだと思ってます。
(これももっと知りたいという方は詳しくはご自分で確認してみてください。)
概念礼装や魔術礼装を使った戦い方はこれからもどんどんと書いてきます。
藤丸立香もどうにか戦闘で活躍させていきたいですから。
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たまには藤丸立香たちsideにもピンチのシーンを書きたかった。
物語上やっぱこういうピンチシーンも欠かせないと思ってます。
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令呪の回復について。
カルデアで補充できるとか、1日立てば回復できるとか、カルデアでいつでも補充できるけど、レイシフト先では補充できないとか。まあ色々ありますね。
英霊の影を呼ぶ。
これは英霊剣豪七番勝負でもあったやつです。これなら影ですけど、他の英霊も呼べるんですよね。この戦闘スタイルもどんどん使っていこうと思ってます。
コミカライズの英霊剣豪七番勝負ではこの戦闘スタイルで藤丸立香は活躍していますからね。
最後に…始皇帝登場!!
これで全て持っていったんじゃないかと思ってます。
ちなみに姿は第一再臨の姿(最初の姿)です。
(どうやって現れたかは次回で…たぶん説明する)