Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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またもGW中に更新!!
でも、そろそろキツくなってきたかも。

さて、FGOではまさかのぐだぐだが復刻。流石に復刻で新規鯖は無理か(明智とか柴田とか)

それよりも本編では今回で孫呉独立編は終了です。
今回は後日談的なものと他の勢力はどうなっているか的な話みたいなもんです。




孫呉独立

424

 

 

目がパチリと覚める。身体中に痛みがあるが我慢できない程ではない。

雪蓮は寝台で寝かされているというのを自覚した。自分がどうなったかを思い出そうとしたときにガチャリと部屋の扉が開かれた。

 

「雪蓮、起きたか」

「冥琳…私、どうなったの?」

「立香に感謝するんだな。彼が雪蓮に治癒の妖術を掛け続けてくれたんだ」

「そっか」

 

身体を寝台から起こそうとしたが冥琳の顔を見て安心してしまい、そのまま横になる。

 

「何があったかは立香から聞いた。今は休め雪蓮」

「そうするわ。でもその後に何があったか聞きたい」

「まず結果から話そう。建業を取り戻し、孫呉の誇りも取り戻した。孫呉は独立したよ」

 

この言葉に雪蓮は心から晴れやかな気分となった。彼女はようやく自分の国を取り戻す事が出来たのだ。

今までが長かった。しかしやっと孫呉は袁術の鎖を引き千切ったのである。

 

「やったわね」

「ああ、やったとも雪蓮。そしてこれからが大変だぞ」

 

まずは袁術の色が濃くついた体制を破壊して孫呉を一から立て直していなければならない。

新たな国づくりと大陸制覇への第一歩。彼女たちにとってやっとスタートラインへ立ったのである。

 

「今はしっかり休め。体調が回復したら雪蓮には色々とやってもらうからな。ある意味、袁術の下で働いていた時よりも大変になるだろうな」

 

軽く笑う冥琳。それに対して未来の自分が想像できたのか雪蓮は苦笑いである。

 

「…そういえば袁術はどうなったの?」

「袁術は行方不明だ。張勲と共にな」

 

明命の報告だと張勲は于吉によって倉庫に閉じ込められていた。そんな彼女を見つけて解放し、玉座の間までは一緒にいたらしいが、その後は気が付けば消えたとの事である。

崩壊した玉座の間を捜索したが袁術の死体は無かった。考えられるとすれば張勲が袁術を見つけて助け出し、逃亡したというのが見解である。

 

「そっか。ま、もうウチにちょっかい掛けないならどうでもいいわ」

「雪蓮なら見つけ出して始末するように言うかと思ったよ」

「私はそんなに鬼じゃないわよ」

「どの口が言う」

「もー」

 

軽口が叩けるほどまでに回復はしている雪蓮を見て冥琳はより安心するのであった。

于吉の呪いによって血だらけになった雪蓮。その姿を見た臣下たちや妹たちは冷静になれるはずがない。彼女の姿を見て炎蓮を思い出してしまったからだ。

特に血だらけの雪蓮を見て一番心を乱したのは冥琳である。その事は誰にも言わないように周囲へ口止めをしたようだがいずれはバレる未来に繋がる。それはまた別の話である。

 

「蓮華や祭たちは何をしてるの?」

「孫呉を取り戻したばかりだと言うのに、もう体制を変えていこうと働いてくれているよ」

「あらー、頑張るわね」

「雪蓮の分までみんな頑張っているのさ」

 

良い臣下と妹を持ったものだと感慨深くなる。

頑張っていると聞いてしまうとやはり自分も何かしないと申し訳なくなるが、察知されたのか「怪我人は寝るのが仕事だ」と言われてしまう。

 

「そう言えば立香は?」

 

彼が自分を治癒してくれたのは知っている。ならばちゃんとお礼を言わなければならない。

 

「立香ならもうここを立ったよ。雪蓮が目を覚ましたら、また会おうと伝えてくれとさ」

「え、もう出て行ったの!?」

「何でも探している仲間が見つかったから合流しに行くとさ」

「ちょ…立香のやつ~」

 

せっかく戻ってきたと思っていたらもう出て行ってしまった藤丸立香たち。

状況が状況だった為、ゆっくりとみんなで再会を祝したかったものだが出来なかった。反董卓連合で再会した時は多少は話したが、まだまだ話足りなかったのである。

だからこそやっと藤丸立香たちが戻ってきた時は嬉しかったし、文句とかもまだまだ言いたかった。だと言うのに彼らはもう建業から立ってしまったのである。

 

「蓮華と雷火なんて言いたいことがたくさんあったでしょうに」

「もしかしたらそれを察して出て行ったのかもな。ふふ」

「あるかもねー」

 

お互いに軽く笑いあう。

 

「だが、また会おうと言っていた。戻ってくると言っていたよ」

「ならいっか。戻ってくると本人が言ったんなら戻ってくるでしょ。立香なら約束を破らないからね」

 

お腹がぐぅぅっと鳴る。

 

「お腹空いたわね。血も足りない気がするし…ねえ冥琳、お肉食べたい」

「消化の良い物を用意してくる」

「お肉がいい」

「分かった分かった」

 

食欲まで戻ればもう大丈夫だ。雪蓮が元気になるのもすぐである。

 

「そう言えばだけどさ…立香たちに新しい仲間が合流してなかった?」

「いや、その新しい仲間と合流するために建業を出て行ったと言っただろう」

「あれ、気のせいだったかな?」

 

うろ覚えであったが雪蓮は神々しくも美しく、威厳のある人物に助けてくれたような記憶があるのだ。

まるで天の国から舞い降りたかのような人物。まさに天の人間だと言えそうな人物というのが彼女のイメージであった。

 

(うーん、気のせいだったかしら?)

 

彼女が見た人物と再会できるのはまたの話。

今は孫呉を取り戻せた事を祝うべきだ。そしてこれから彼女たちは大陸の覇権を手に入れるために戦いへと身を投じていく。

彼女たち『孫呉』の戦いはまだこれからなのである。

 

 

425

 

 

トボトボと森の中を歩く人物。その人物は背中に大切な主を背負っている。

 

「七乃…」

「はいはい。七乃はちゃんとここにいますよ。本物ですよー」

「もう何処にも行くな」

「もちろんですよお嬢様」

 

彼女たちは張勲と袁術である。

張勲は崩壊した玉座の間で気絶していた袁術を見つけて、隙を見て逃亡した。

建業から何とか脱出に成功し、出来るだけ遠くへと逃げているのだ。今は孫呉もとい雪蓮たちから遠ざかる事が重要なのである。

彼女たちがこれから何処に向かうかはまだ分からない。しかし、袁術はこれで表舞台から姿を消した。

 

 

426

 

 

「やっとたどり着いた…」

「船ってこんなにいっぱいあるものなんだな」

 

目の前に広がるのは巨大な湖。

満身創痍になりながらも桃香たちは何とか辿り着いたのが巣湖。

 

「この船を使わせてもらっていいって話になってるんだよな?」

「はい。もちろんその間の補償は出来る範囲でしなくてはなりませんけど」

 

実は桃香達は曹操軍の侵攻から満身創痍になりながらも逃亡してきたのである。

彼女たちの目的地は荊州だ。巣湖に何とか到達し、ここで船に乗って移動すればやっと荊州である。

 

「うん。余っているお金は全部渡していいよ。あと馬とか武具なんかも…全部持って行けないよね」

「そうですね…みんなで一度に乗ることも出来ませんし、何度か往復してもらうことになります。荷物は出来るだけ減らしたいというのが本音です」

「でも確実に荊州に受け入れてもらえるって決まっているわけじゃないんでしょ。ならあ最低限の武力は残しておかないと」

「それって、どこかの土地を奪い取るってこと?」

「それはあんまり考えたくないけど、でも戦う力があったら、傭兵団として雇ってもらうこともできるじゃない。それだって本心で臨むことじゃないけど、現実的にはそのあたりでしょ」

「そうだね…」

 

荊州には美花に先行して使者に出てもらっている。しかしその帰還を待っていられるほどの余裕はあまりない。

 

「とりあえず、船に乗る順番を決めていこう。きっとこれからもどんどん、ここに集まってくるだろうし」

 

曹操軍の攻撃によって散り散りになった避難民がバラバラに分かれてこの巣湖に集結してきている。

その総数の把握が誰にも出来ない。本当に限界一歩手前のギリギリな綱渡りなのだ。

更にいつ追撃が来るかも分からない緊迫感。どこかひとつでも緩んだら、その瞬間に総崩れになってしまうかもしれない。

 

「一刀くん、そんなに思いつめた顔をしないで」

「風鈴先生」

「船にさえ乗せてしまえば、ひとまずの安全は確保できる。それで大きな仕事はおしまい。あとは私たちが踏ん張ればいいだけ」

 

出来る事は少ないが、その分悩まなくて済む。今は余計なことを考えないようにするべきだ。

 

「でも俺は桃香と一緒にみんなを導く立場で…」

「それこそ、あなたたちだけですることじゃあないでしょう。もっとお姉さんたちに甘えてもいいのよ。ううん、甘えてほしいな」

「はは…そんなことを言われたら俺、どこまでも溺れそうだし。自制していくのが大変になるよ」

「うふふ」

 

風鈴が心配してくれているのは分かる。確かに何もかも抱え込んでしまうといずれ破裂してしまう。仲間を頼るのは悪いことではない。

 

「ねえ、あれ船じゃない?」

「ホントだ、うわぁすごい数。こっちの方に来てるね~」

 

電々たちの言葉に慌てて水平線に目を凝らす。

湖の下流方向にいくつもの船が見える。その数は十や二十ではない。

その船は軍船であった。まさかもう曹操軍が追撃を仕掛けてきたかと思って不安に駆られる。

もうこれ以上、桃香たちは戦えない。もしもこのまま戦いになれば一方的に蹂躙されてしまうだけだ。

絶望的な空気が広がる。逃げて逃げて必死に逃げた先で挟み撃ちなんて笑えるものではない。

皆呆然と、刻々と大きさを増す船を眺めるしかなかった。

 

「いや…妙ですな」

 

ここで星は何かに気付く。目の前の船団は矢を射かけもせず、船足も早める様子も無い。

武人の勘なのか、目の前の船団からは戦う気がしないと言うのだ。

 

「聞こえる」

「何が聞こえるんだ桃香?」

「美花さんの声が聞こえる!!」

 

桃香の言葉に皆一斉に口をつぐみ、耳を澄ませる。細波と風音、その向こうへと。

 

「桃香さまーー!! ご主人様ーー!!」

 

皆は確かに美花の声を聞いた。絶望から希望へと変わった瞬間であった。

 

「おーい桃香ちゃーん!!」

「それにこの声って…三蔵ちゃん!?」

 

そしてまさかの声も聞こえるのであった。

 

 

427

 

 

桃香たちにとって希望の船団にて。

 

「桃香さまーー!! ご主人様ーー!!」

「桃香ちゃーん!!」

 

美花と玄奘三蔵が大きな声を出していた。自分がここにいるという事と、この船は敵ではないという事を伝える為である。

 

「おお…劉備殿が向こうに。おい、もっと船を速くできないのか!!」

「落ち着きなさい焔耶」

「で、ですが紫苑さま…!!」

「確実に船は進んでいるのだから落ち着きなさい」

 

この船団を預かっているのは紫苑と魏延である。美花が使者として荊州に訪れて事情は聞いた。

荊州の劉表は桃香たちを受け入れる事を快く決めてくれたのである。そして彼女たちが巣湖まで迎えにまで来てくれたのだ。

 

「それにしても縁による再会というか何というか…そういうものは続くものなのね」

 

紫苑にとって劉備とは反董卓連合で縁を紡いだようなものだ。正確には魏延が会いたすぎて一緒に顔を合わせたというのが正しい。しかし、まさかこのような形でまた再会するとは思わなかった。

更に彼女は劉備と再会する前に、別の者たちとも再会している。その別の者たちというのが美花と一緒に大きな声を出している玄奘三蔵である。

これもまた縁によるものだと思っている。何せこれで3回目の再会になるからだ。

 

「再会の理由がまさか貴女であるなんて。これまた不思議な縁があるものね」

「私もそう思います。保護してくれた紫苑さんがまさかマスターさんたちと知り合いだったんですから」

 

紫苑の目の前には琵琶を持った女性がいる。天真爛漫そうで可愛らしい女性であるが、内には何処か色気を隠しているような女性だ。

 

「それにしても焔耶さんイライラしてますね」

「まあ、彼女の気持ちも分からなくはないけど…落ち着いて欲しいわね」

「ならユゥユゥが琵琶でも弾きましょうか?」

「あら、良いわね。貴女の演奏は璃々も気に入っているのよね」

 

女性は琵琶を弾き始める。

 

「やっぱり良い音色ね楊貴妃さん」

 

彼女こそが藤丸立香たちが探していた楊貴妃である。




読んでくれてありがとうございました。
今回も短かったかもしれません。次回もGW中に更新できたらと思ってます。


今回で孫呉独立編が終了しました。次回から新たな物語へと入って行きます。
次回からは桃香sideの『益州攻略編』ですね。
正確には『もう1人の○○編』。○○の部分にある名前が入るんですが…ネタバレになってしまうのでまだ言えません。先に言っておくと『彼女』ではないですよ。
まあ『彼女』も登場するんで間違っては無いんですが。
楊貴妃合流も含めて『益州攻略編』になります。
でもその前に始皇帝の朕道中でも書こうかな…。

424
ついに雪蓮たちは袁術から建業を、孫呉を取り戻しました。
彼女たちもやっと大陸の覇権を手に入れる舞台へと足を踏み入れる事が出来ました。
やっと『呉』へと繋がっていきます。

このあとは久しぶりに呉のメンバーと絡ませる日常編を入れようかと思いましたが…カットです。呉のメンバーが好きな読者様すいません。
呉のメンバーとの日常編はまたいずれ書いていきます。


425
袁術と張勲。
彼女たちはここで表舞台から脱落です。
次の登場はまた今度ですね。今の段階だと5章で再登場予定。


426
桃香たちはやっと荊州へと。
曹操軍との戦いについては原作でご確認ください。
鈴々の活躍はなかなかの見ものです。


427
やっと楊貴妃を登場させることが出来ました。(ちょっとだけですが)
彼女の活躍はそろそろ…かな?
(FGO原作でも彼女が活躍するイベントが欲しいです。幕間でも可!!)
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