Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
ギリギリでしたがレクイエムコラボイベントをクリアしました。
面白かったです。サイコロを振るうボイジャーやエリセが可愛かったですね。
前回同様、本編はほぼオリジナル展開になっています。
どんな内容かは本編をどうぞ。
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荊州の新野で怪異が起こっているかもしれない。
民たちの噂話では森から奇妙で不思議な音色が流れてくるというのがあったのだ。
噂が誇張されて怪異の音色に誘われて一人一人と行方不明になったなんて流れているほどである。実際は誰も行方不明になっていないが嘘が本当になる可能性があるから無視はできない。
不思議で奇妙な音色が森から流れてくるのは本当だ。本当に怪異なのか誰かが悪戯で楽器を弾いているかは分からない。
だからこそ誰かが確認しに行かなければならない。
「よぉし。行くぞてめーら!!」
怪異の音色を確認する選抜隊は炎蓮を隊長に、楊貴妃、哪吒、張三姉妹。
炎蓮は最近が暇だったということで挙手し、哪吒は諸葛孔明から推薦され、張三姉妹と楊貴妃は怪異の音色というのに気になって参加したのである。
「夜になるとこの森から不思議な音色が流れるみたいですよ。まだ流れてませんけど」
「音色が流れて来れば何処かすぐに分かるんだけどなー」
のっしのっしっと森の中を歩いていく炎蓮。さっさと怪異に出逢って退治したいと思っているのだ。
自分から怪異に遭遇しにいくなんて物好き以上すぎる。
「ちぃとしてはどんな曲を弾くか気になるわね」
「ユゥユゥも気になります。怪異にしろ誰かの悪戯にしろ、楽器を弾くというのならどれ程か気になりますね」
「そうそう。もしも良い腕だったら勧誘しようかしら。怪異だったらちぃの妖術で手に入れて『数え役満☆姉妹』の虜にしちゃうんだから」
地和は妖術が使えるので怪異の音色を手に入れようかと思っているくらいだ。なんとも強かである。
「どんな楽器を弾いているのかな。ユゥユゥ気になっちゃいますね」
「そうだよねー!!」
楊貴妃と地和はキャピキャピと話し合いながら夜の森を歩いていく。これから怪異を退治に行く者たちには見えない。
張三姉妹は少し危機感が無い感じがするのは周囲のメンバーによるものかもしれない。
炎蓮は鬼神の力を宿している。哪吒は妖怪退治のエキスパートだ。楊貴妃の内側に宿す存在は怪異以前の問題である。
そんな彼女たちの前に出てこれる怪異あるなら出てこいやっ、と言いたくなるくらいだ。
補足だがカルデアも同じである。カルデアには怪異の大御所や怪異殺しがいるのでそこらの怪異や妖怪は絶対に近づきたくないはずだ。
「怪異退治 素早く済ませる」
哪吒はフヨフヨと飛びながら周囲を確認していくと、何処からもなく音色が聞こえてきた。
「向こう」
「あっちか!!」
哪吒が指をさした方向に炎蓮が跳ぶように走っていく。
「あ、ちょっと待ちなさいよ!!」
「炎蓮さんってば足が速いよ~」
炎蓮を後を追いかける地和たち。後を追いかけると確かに不思議な音色が聞こえてくる。
森の広間に出ると不思議で奇妙な音色が流れてくるのを確認すると目の前には5人の白い道士服を着た者が楽器を弾いていた。
「うわっ、怪しっ。でも曲は良い!!」
地和は普通に感想を言うのであった。
(あの白服の道士どもはまさか…)
炎蓮は何か思うところがあるのか難しい顔をしていた。
「むむ…確かに怪しいですけど腕は良いですね」
楊貴妃も地和と同じような感想を呟く。
「あの楽器は古琴に古筝、琵琶、二胡、中阮(阮咸)ですね」
どれも中国の伝統楽器。音色は幻想的で不思議な気持ちにさせてくれる。しかし今の曲は怪しくも惑わすような気分にさせてくれるような気もするのだ。
「おい、てめえら。何でこんな所で演奏なんてしてやがる」
5人の道士は炎蓮の言葉を無視して演奏を続けている。
「…無視かアイツら」
ビキリと額に青筋を立てる。
「落ち着け」
「落ち着いてるから安心しろ哪吒」
「本当?」
「哪吒…オレを何だと思ってるんだ」
「虎」
「いや…まあ、そう例えられたことはあるが」
楽器を弾く道士たちは炎蓮たちを見向きもしない。無視して楽器を弾いている。
「あ、あのー…すいません。どうしてこんな所で演奏をしてるんですか。実は民たちから不気味がってるって苦情が入ってまして…あの、曲自体は不気味な曲ではないんですよ。ただ夜中から森から演奏が聞こえるのが怖がってるので…」
今度は楊貴妃も言葉をかけてみるが同じく無視される。
「うう、無視されました」
「腕は認めるけど、ちょっとは話を聞きなさいよ!!」
今度は地和がちょっと怒りながら言葉をかけるのであった。
声を掛けているのに無視されるのは失礼だ。地和が怒るのは当たり前である。
「まったくこっちを気にしないで演奏しているわね。まるで関心がないみたい」
「えー、何で話を聞いてくれないのー」
5人の道士は変わらずに演奏を続けている。そのまま無視を続けて演奏をしていると思っていたが急に変化が訪れる。
古琴を演奏していた道士が弦を弾きながら地和に向けて腕を振った。
「え?」
音色と共に何かが地和へと放たれた。
「おらぁ!!」
炎蓮が地和の前に出て剣を振るって何かを斬った。
「何だ今の。あいつが古琴を振るうように弾いた瞬間に何か放たれたぞ」
「衝撃波 妖術」
「衝撃波だと。まあ、確かにそんな感じだな」
斬った感覚だとなかなか衝撃は重かった。人間に当たれば下手すれば重症レベルになる。
「いきなりたぁ、やってくれるじゃねえか」
5人の道士は気にせず演奏を続けている。
いきなり襲ってきたということは目の前にいる5人組はただの敵だ。どんな理由があるにしても襲ってきたのならばぶちのめしてから話を聞くだけである。
いつもの事だ。
「今からてめえらぶちのめしてやるからな!!」
「炎蓮さんって…なかなか過激です」
炎蓮が剣を握りしめて走り出す。
走り出した瞬間に古琴を演奏している道士がまた衝撃波を繰り出した。
古琴の音色が5回聞こえた。それと同時に炎蓮は5回剣を振るって衝撃波を斬り潰す。
片手だけで音色の衝撃波を繰り出していたが今度は両手を使って衝撃波を何度も繰り出す道士。
「ちっ」
何度も繰り出される衝撃波を何度も斬り伏せながらどんどんと近づいていく。
古琴を演奏する道士の手の動きはどんどん早くなるにつれて音色の衝撃波はどんどん繰り出されるが炎蓮も負けずに斬り伏せていく。
「これで取った!!」
「炎蓮 退け!!」
「ちぃっ!?」
古琴だけに気にしていたわけではない。古琴から音色の衝撃波を繰り出すなら、他の楽器から衝撃波を出す可能性はある。
可能性があるではなく、まさに音色の衝撃波は繰り出せるのだ。二胡の音色が響くと衝撃波が繰り出された。
「炎蓮」
哪吒が飛び出して二胡の音色の衝撃波を撃ち落とした。
「悪いな」
「楽器 3つ 衝撃波」
「ああ、分かってる。残りの3つの楽器から衝撃波がくるってことだよな」
そう言っていると残り3つの楽器からも衝撃波が出される。
古琴、古筝、琵琶、二胡、中阮(阮咸)の音色の衝撃波。演奏されながら繰り出される衝撃波は危険ながらどこか幻想的だ。
張三姉妹は危険と分かっていても聞きいってしまう。
(わぁ~…危ないですけど音色は良いですね。ですが相手が襲ってくるならこっちもただやられるわけにはいきません)
楊貴妃は琵琶を弾き、蒼炎の妖精を出現させる。
「わっ、それがユゥユゥの言ってた妖術なんだ!!」
「きれい~」
地和と天和は楊貴妃の妖精(侍女)を見て驚いていた。
「行って!!」
蒼炎の妖精(侍女)たちは道士たちに向かう。
「ほお。あいつあんな事が出来んのか」
音色の衝撃波を斬りながら炎蓮は楊貴妃の術に感心していた。
蒼炎の妖精(侍女)は音色の衝撃波を掻い潜りながら道士へと向かって燃え上がる。
「燃えろー!!」
5人の道士は同時に音色を合わせると衝撃波が結界のように発生し、蒼炎の妖精(侍女)を近づかせないようにした。
「あいつらも面白い芸当すんな」
楽器を使用して敵を倒す。炎蓮からしてみれば珍しい戦法だと思っている。
今まで戦なんて剣や槍を振るうのが当たり前だった。だからこそ楽器を使う戦法は新鮮味を感じるのだ。
「面白いな。ならこれならどうだ!!」
炎蓮は近くに生えている木を片手で引き抜く。この力は彼女の身体に宿る鬼神の力だ。
彼女の身体には鬼神の力がまだ残っている。炎蓮は身体の傷を治しながら鬼神の力をコントロールしようと今までやってきたのだ。
「おらあああああああ!!」
引き抜かれた木は5人組の道士に投げつけられたが、琵琶と中阮(阮咸)の音色によって消し飛ぶ。
消し飛んだ瞬間に炎蓮と哪吒が飛び出して武器を振るが残り3つの楽器の音色が響いた瞬間に2人は後ろに吹き飛ぶ。
「ちっ、なかなか近づけないもんだな。よし哪吒、作戦がある」
「何?」
「2人して突っ込むぞ」
「それ 作戦じゃない」
そう言った瞬間に2人は突っ込んだ。特に変わらず突進である。
古琴に古筝、琵琶、二胡、琵琶、中阮(阮咸)の音色が早く響く。早く響いた分だけ衝撃波が放たれた。
2人は衝撃波を全てを斬り落とし、避けながら近づいていく。
音色が響いては、武器で弾く、そして近づく。その繰り返しで2人はあと一歩のところまで5人組の道士に近づいた。
「これで終わりだ!!」
剣を振るうがまたも5つの楽器の音色が合わさり、届かない。衝撃によって2人はまたも後ろに飛ばされる。
「今だやれ!!」
気が付けば5人組の道士の周りに蒼炎の妖精(従者)がぐるぐると周っていた。
「もっえろゴーゴー!!」
蒼炎の竜巻が5人組の道士を飲み込んだ。
「うっし。作戦通り」
「こっち 本命?」
「ああ。さっき楊貴妃に伝えたんだ」
「やりましたね」
「さて、焼き殺してねえよな?」
「焼き殺してません。ちゃんと火加減しました」
蒼炎の竜巻が収まると5人組の道士は消えていた。
「…灰にでもしちまったか?」
「いやいや、ユゥユゥちゃんと火加減しましたよ!?」
「でもいねえじゃねえか」
「そ、それはそうですけど…」
蒼炎の竜巻の中心には誰も居ない。だが残っている物はある。
古琴に古筝、琵琶、二胡、琵琶、中阮(阮咸)だ。5つの楽器だけが綺麗に残っていた。
『綺麗』に残っていたというのに哪吒は怪しんだ。蒼炎の竜巻の中で楽器が少しも焼けた跡もなく残っているのは怪しい。
気になって乾坤圏を古琴に放ってみると弾き返された。
「っ、戦闘続行!!」
楽器たちが何もしていないのに宙へと浮いた。古琴に古筝、琵琶、二胡、琵琶、中阮(阮咸)は妖気が滲み出ている。
「楽器 本体」
「あん?」
「もしかして楽器自体が妖魔だったりするのかな。マスターが前に教えてくれた付喪神みたいな?」
楊貴妃の考えは正解だ。
楽器自体が本体なのである。楽器自体が妖気を発している妖魔だ。
この外史に付喪神という存在があるかどうか分からないが付喪神に近い存在である。
「楽器が妖魔か…まあ今更だな。そういうのがいてもおかしくないか」
妖魔、妖怪という存在は分からない事だらけ。人間の想像を超えるのが怪異だ。
楽器の怪異が存在してもなんらおかしくなんてない。
「本当に怪異だったって事ですね」
楽器たちはゆらゆらと浮いている。そして音色が響いた瞬間に衝撃波は発生した。
周囲を吹き飛ばすくらいの威力だ。
「大丈夫ですか天和さん、地和さん、人和さん!?」
「だ、大丈夫よ。もう、ちょっとすりむいちゃったじゃない」
「……今、誰かの声が聞こえた」
「どうしたの天和姉さん?」
「今なんか声が聞こえたの」
「声?」
天和が聞こえたという謎の声。何を言っていたかまでは分からない。
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5人組の道士は消えた。しかし楽器は残った。
残った楽器こそが怪異そのものであったのだ。宙に漂いながら音色が流れて衝撃波が放たれる。
幻想的でありながら衝撃波は危険な威力であった。
「なかなか厄介だな。だがあんなのは叩き斬っちまえばお終いだ」
斬ればお終い。それはどの戦いでも同じ事。
近づいて斬れば万事解決である。
「うらああああああああ!!」
近づいて振るうが衝撃波で同じく邪魔される。
「やっぱダメか。こういう相手はちと苦手だな」
「なら、あたしがやります」
楊貴妃は琵琶を弾くとまた蒼炎の妖精(従者)を召喚する。
「どうする気だ?」
「私が衝撃波をどうにかします。合図したらお願いします」
「ふむ、いいだろう」
「哪吒さんもお願いします」
「了解」
楊貴妃は琵琶を弾く。すると蒼炎の妖精(従者)は楽器の妖魔たちへと近づく。
(さっきと同じだと衝撃波で弾き返されるだけだぞ)
「いくよ『傾国の寵姫A』!!」
琵琶の音色が大きく響いた瞬間に楽器の妖魔たちの妖気が弱まったのと同時に衝撃波も弱まる。
蒼炎の妖精(従者)たちは弱まった衝撃波を突き破って一か所に集まっていた楽器の妖魔たちに突撃して吹き飛ばす。
楽器の妖魔たちは音色を合わせて威力を上げている。ならば5つの楽器を離れさせて音色の威力を更に低下させればいい。
単体の衝撃波ならば対応が出来るのだ。
「今です炎蓮さん、哪吒さん!!」
「よっしゃあ任せろ!!」
「了解!!」
楽器の妖魔たちに煌めく刃が振るわれる瞬間にまさかの人物が目の前に現れた。
「待って!!」
「おっと!!」
「停止」
天和が炎蓮と哪吒の前に腕を広げて待ったを掛けたのだ。
「ちょっ、姉さん何してんの!?」
「天和姉さん!?」
妹たちも姉の行動に驚いていた。
「ええっ、どうしたんですか天和さん!?」
楊貴妃も驚いてすぐに蒼炎の妖精(従者)を止めさせる。
「おい、どけ」
「待ってください。この子たちと話をしたいんです」
「話だぁ?」
「はい。この子たちはずっと泣いているんです」
天和が言うあの子たちとは楽器の妖魔たち。
彼女は戦いの途中から誰かの声が聞こえていたのだ。その声が楽器の妖魔たちと気付くのに時間がかかってしまった。
「この子たちはただ演奏したい。自分たちを弾いて欲しかったんだよ」
「どういうことだ?」
天和には楽器の妖魔たちの声が聞こえた。
「演奏がしたい」。「自分たちを弾いてほしい」。「まだ良い音色が出せる」。「だから捨てないで」。
何故、天和に楽器の妖魔たちの声が聞こえた理由は分からない。もしかしたら彼女にはそういう能力を持っている可能性がある。
「この子たちは捨てられたみたい」
天和は優しく楽器の妖魔たちに手を伸ばす。
「まだまだ良い音色が出せるのに捨てられた。そこを悪い人に利用させられたんだと思う」
魔術師や妖術士が楽器を利用するというのは不思議な事ではない。先ほどの白い服を着ていた道士たちの正体は分からないが間違いなく楽器を妖魔に仕立て上げた可能性は大いにある。
「大丈夫だよ」
天和の声で楽器の妖魔たちは静かになる。滲み出していた妖気も徐々に収まっていく。
妖気が弱まったの感じたと同時に炎蓮たちは剣を収めた。
「もう、姉さんったらいきなり危ないことしないで」
「無茶は止めてね天和姉さん」
「だってこの子たちがかわいそうだったから」
ふよふよ楽器の妖魔たちは天和の周囲に浮く。まるで自分たち認めてくれた人だから懐いているようにも見える。
「そう言うがこいつら大丈夫なのか?」
「たぶん大丈夫だと思います。妖気が治まってますし」
「問題無 多分」
炎蓮の心配に対して楊貴妃と哪吒は「問題ない」と言うのであった。
「でも本当にどうするのよ姉さん?」
「うーんと…そうだこの子たちも私たちの『数え役満☆姉妹』に入れてあげるのはどうかな?」
「ええ!?」
まさかの提案に地和は驚くしかなかった。長女である天和は時たま突拍子もない事を言う。今回は今までも上位に入る内容だ。
妖魔の楽器たちに演奏してもらって自分たちが歌って踊る。更に妖魔の楽器たちは弾いてもらいたいと願っているのなら活動の中で楽器を弾きながら歌うのも組み込めばよい。
まさにお互いとも悪くない提案である。
「ちょっ、本当に言ってるの!?」
「うん。だってこの子たち良い音色を出すじゃない?」
「ま、まあ、それはちぃも認めるけど」
「どうかな人和ちゃん?」
「え、ええと………まあ悪くはないかしら」
人和は凄く考えて長女の提案を受け入れる。
「え、人和も賛成なの!?」
「でも、その子たちが危険じゃないって事を抜けばよ」
正直に考えてみると『数え役満☆姉妹』の活動に楽器の妖魔たちが力を貸してくれるなら確かに良い戦力になる。
妖術の使える地和と組み合わせれば色々と歌や演奏の幅が広がるかもしれない。ただし、危険じゃなければだ。
「大丈夫。この子たちはただ利用されてただけだから。この子たちはただ演奏したいだけ」
「そうなの?」
「うん。どうかな?」
天和は自分の周りに浮いている楽器の妖魔たちたちに言葉を向ける。すると楽器の妖魔たちはそれぞれ炎蓮以外の手元に近づいた。
「おい。何でオレんところに来ないんだ。いや、来なくていいんだけど」
「えーっと、炎蓮さんが楽器を弾けないからじゃないでしょうか」
「そういう判断かよ」
張三姉妹と楊貴妃は良いとして哪吒の所に近づいたのは炎蓮よりもマシだからと思ったからかもしれない。
「この子たちも良いって」
「ま、危険じゃないなら良っか。でも危ないと思ったらすぐに退治してあげるからね。哪吒が!!」
「他人任せ」
どこか気が抜けた展開だと思った炎蓮であったが、これにて森から響く謎の音色の怪異は解決したのであった。
「よっし行くわよー!!」
後日、『数え役満☆姉妹』のステージで妖魔の楽器たちである古琴、古筝、琵琶、二胡、琵琶、中阮(阮咸)が活躍しているのを炎蓮は見たそうだ。
更に『数え役満☆姉妹』の楽屋裏では天和たちに大事に手入れをされているのも見たそうだ。
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「ーーというわけで怪異事件は解決したぜ」
「そうか。ご苦労だったな炎蓮殿」
炎蓮は今回の怪異の結果を諸葛孔明に報告した。
彼女からしてみればどこかすっきりしない結果らしい。
「どうした炎蓮殿。解決したのなら問題ないだろう。まあ、楽器の妖怪たちがあの張三姉妹が管理しているというのに不安なのは分かるが」
「そうじゃない。ただ出番があんまり無かったなーっと」
「そっちか」
「それともう一つ。最初に楽器を操作していた野郎だが…たぶん于吉の部下だ」
「それは興味深い話ねん」
いきなり貂蝉が現れた。
「どこから出てきた貂蝉」
「そこの壁から」
「あとで直せ」
炎蓮が見た白い服を着た道士たち。
記憶から思い出すと確か于吉に捕まった時に部下としていた。
今回の怪異はその于吉の部下が妖魔の楽器を使って怪異を起こしていたというものだったのだ。
「于吉ちゃんがこの荊州に来ているのかしら?」
「だったら調べた方が良いだろ。オレもあいつは危険だと分かる外道だからな」
于吉は様々な場所で策を仕掛けている。袁紹の件や、まだ知らない袁術の件もそうだ。ならば今回の件も于吉が仕組んだ可能性が高い。
「なら、もしかしてあの件も于吉が仕組んだ事か…そうなるともしかして怪異の方は囮なのか…いやどうだろうか?」
「なんの話だ?」
「そういえば炎蓮ちゃんはまだ知らなかったわね」
「オレをちゃん付けすんのはお前だけだよ」
炎蓮たちが怪異を解決しているのと同時にもう1つ事件が発生していた。その事件は静かに起きてたのだ。
「何があったんだよ」
「劉備の剣が盗まれた」
「物盗りか。珍しくもねえ」
「そうなんだが」
盗まれた桃香の剣は宝剣。宝剣の名は『靖王伝家』。
宝剣『靖王伝家』は特別な剣であり、桃香が中山靖王『劉勝』の末裔であることを明かす剣なのである。
「へえ。あの剣ってそんな特別な剣なのか」
「彼女曰く系図があり、遡ると劉勝の名があるらしいぞ。それにあの剣だが…特別な剣ってのは本当のようだ。何か力が込められている」
「ほお、それは妖術師としてか分かるか」
「まあな。だがどんな力までかは分からん。調べてさせてもらえばわかるかもしれんが」
特別な力が込められている『靖王伝家』。桃香にとっても特別な剣だ。
そんな桃香の宝剣だからこそ盗まれた事によって今では大きな事件になっている。今でもバタバタしているほどだ。
「そんな大事な剣ならちゃんと管理しろよ。まあ、オレは娘に金に困ったら南海覇王を売れなんて言ったけどよ」
「してたけど盗まれたのよん」
「ふーん。誰に盗まれたか分かってんのか?」
「まだ分かってないわ。そもそもどうやって盗まれたか分からないのよねん。誰かが侵入した形跡もないのよ」
凄腕の隠密者でも侵入したのかもしれない。
「忍かしらねえ」
「ニンジャがいるのかこの世界」
「それに近い存在はどの国にもいるわよ。それにしても忍者は有名だしねえ」
「ニンジャが有名ってのもおかしなものだがな」
忍者は隠密であるため有名というのは確かに変である。
「ニンジャ?」
「あ、こっちの話よ炎蓮ちゃん」
忍者というのは分からないが斥候のような存在というのは分かった炎蓮。
「ともかく桃香ちゃんのところに誰かが侵入して宝剣の盗んだのは確かよ。流石の桃香ちゃんも無くすなんて事はしないからね」
ちょっと天然ボケの桃香でも大事な宝剣を無くすなんてことはしない。
「そうなるとどうやって盗まれたかだな」
「本当よねー。まるで正面から堂々と入って盗んだみたいよ」
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「素晴らしい」
仮面を付けた道士風の男は剣を見てうっとりとしていた。
「この剣は素晴らしいな。この剣があれば私は本物になれる」
「そうか」
「助かったぞ。これで私も表舞台に堂々と立てる。やっと大きく動ける。それにしてもどうやって手に入れたんだい?」
「正面から堂々と入って盗んできた。この剣はいつも彼女が肌身離さず持っているが、ずっというわけではない。そして何処に保管するかも知っていたからな」
龍仮面の怪人はつまらなそうに壁に寄りかかって説明をしていく。
「よく正面から入れたな…いや、冗談か?」
「本当だ」
「お、おお…そうか。やはりその顔だから警戒されないという事か。それと剣の保管場所も知っていたというが何で知っていたんだ?」
「彼女の事をよく知っているからだ」
「そ、そうか」
説明が終わると龍仮面の怪人は立ち去ろうとする。
「次の仕事があれば呼べ」
「頼むぞ。こっちも準備は着実に進めている。益州内部の根回しも順調だ」
読んでくれてありがとうございました。
次回も2週間以内に更新予定です。うまくいけば一週間後ですかね。
今回はほぼオリジナル展開でした。
自分としてはもうちょっと展開がひねれたかと思うデキでしたが、今更ですね。
さて、次回でやっと、今度こそ立香たちが荊州(新野)に到着する予定です。
物語も原作に戻っていくと思います。
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最近活躍できなかった炎蓮や張三姉妹を登場させたかった。
でも今回もあんまり活躍できなかった気もします。なのでまた何処かで彼女たちを活躍させたいです。
楊貴妃。
彼女もあまり活躍できなかった気がするので次はもっと活躍させます!!
原作でも彼女の活躍を待っている作者です!!
スキル『傾国の寵姫A』ですが相手のチャージを減らすというものでしたが、この物語ではチャージの代わりに妖気を低下させるといった形にしました。
怪異の正体は妖魔となった楽器たちでした。
中国の方で付喪神はいないかもしれませんが、似たような存在はいると思ってます。
恋姫の『太平要術の書』は設定ではまるで意志を持って妖力をため込むなんてものがあったような気もしますし。
楽器の方は古琴に古筝、琵琶、二胡、中阮(阮咸)の5つを使わせてもらいました。
この楽器に関しては皆さんで調べて音色を聞いてみてください。どれも良い音色ですね。
個人的にですが二胡の音色は「ああー、そうだ。中華の音色だ」と思いました。
音色の衝撃波。
これはもしかしたら気付く読者様がいるかもしれません。
はい、あのクンフー映画のアレを参考にしたものです。
カ〇フーハ〇スル!!
オチというかシメは楽器たちが『数え役満☆姉妹』に入るというものでした。
なんというかそれらしいシメではないかと思ってます。
天和が楽器たちの声が聞こえるというのはオリジナル設定です。
地和は妖術が使える設定でしたからね。姉にも何かしら能力があっても違和感はないと思って加えてみました。
まあ急すぎた展開だったような気もしなくもないですがね。
450~451
実は怪異事件の裏では桃香の宝剣が盗まれるという事件が起きてました。
この事件が益州攻略編で大きく関わってきます。
仮面を着けた者たちの正体がセリフで分かってしまう読者がいるかもしれません。