Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
まずは一言…ぐっちゃんパイセン水着実装おめでとぉーーー!!
いやぁびっくりでした。キアラさんの水着もビックリでしたが
まさかぐっちゃんパイセンまでとは。
今年の水着イベントも楽しみです。

さて、今回で新野での日常回は終わりです。
最後は摸擬戦です。革命をプレイしている方は分かるかもしれませんが『劉旗の革命』で新野での摸擬戦と言えばアレです。そしてオリジナル展開も加えました。
もしかしたら賛否両論かもしれません。


新野での日常7-摸擬戦-

461

 

 

新野のある場所で摸擬戦が行われた。

何度もときの声が上がり、銅鑼も鳴りまくる。

事情を知らずに城の前を通りすがった人たちがいたら驚くか、要らぬ心配を掛けたかもしれない。

摸擬戦とはいえ、本気で戦ったのである。これはただの演習ではない。

日頃の鍛錬の成果を主人に見せるまたとない機会。もしかしたらこの摸擬戦で評価してくれるかもしれないという事で愛紗たちでなく、兵士たちもいつもよりもヤル気いっぱいなのである。

 

赤軍と白軍に分かれており、赤軍は愛紗、恋、雷々、電々、音々音、朱里、北郷一刀。

白軍は桃香、鈴々、星、白蓮、楼杏、雛里、詠、そして月である。

割り振りとしては白軍の方が若干有利であるが赤軍には天下の飛将軍である恋がいるということでちょうど良いハンデになっているらしい。

更に愛紗が秦良玉や蘭陵王にも参加してみないかと提案していたようで2人も参加してみることに。秦良玉は愛紗と同じ白軍。蘭陵王は赤軍という割り振りだ。

藤丸立香は見学をさせてもらっていたが、皆の気迫はまさに本物の戦場さながらであったと語る。

特に愛紗は絶対に負けるわけにはいかないという気持ちがとても感じられた。

 

「愛紗さんの気迫が誰よりも一番凄かったな」

「それはそうでしょうね」

「何か知ってるのリャンさん?」

「まあ、予想はついてます」

 

前に愛紗の相談事を受けていたのだ。その時に摸擬戦云々の話が出たのである。

 

「愛紗さんにとってこの摸擬戦はある意味、人生の中で負けられない戦いの1つだったんですよ」

 

摸擬戦の結果は赤組の勝利すなわち愛紗の勝利というわけだ。

赤組はなかなかの奇策を使って勝利したのだ。その奇策は試合に勝って勝負に負けるというもの。

摸擬戦ではなく、本当の戦であったら赤組は負けていた。それでも試合に勝てたということで良しとしたのである。

 

「とにかく勝てて良かったってことにしてくれよ」

「ご主人様が傷ついては勝利などではありません」

「かすり傷で大げさだよ」

「それでもです!!」

 

奇策を考えたのは北郷一刀だ。その奇策を簡単に説明すると北郷一刀が囮になるというもの。

総大将である者に囮をさせるなんて普通は出来ないものだ。

 

「いいですかご主人様は大将で…」

 

愛紗が心配しながら説教する姿を見て、「可愛いなぁ」と思いながら艶やかな黒髪を撫でおろす。

すると愛紗は虚をつかれたように目を丸くして唸り始めた。それもまた可愛い。

 

「よかったね愛紗ちゃん褒めていただいて」

「桃香様…あの」

「いいんだよ愛紗ちゃん」

 

2人がアイコンタクトをした。

これで摸擬戦は終了である。あとは解散するだけと思ったら愛紗から声を掛けられる。

 

「なに愛紗?」

「腰を打ったんでしょ? 念のため愛紗ちゃんに傷を診てもらったら?」

「桃香様…」

「敗者はただ去るのみ…なんちゃって」

「報告を楽しみに待つぞ愛紗よ」

「報告とか言うな星」

 

何か彼女たちだけにしか分からない会話であった。

それからすぐに彼女たちは去って行ってしまった。そして最後に秦良玉が愛紗に囁いた。

 

「頑張ってください愛紗殿」

「秦良玉殿……ああ」

 

秦良玉が去る前に見た愛紗の目は覚悟をしていた。

これから愛紗は摸擬戦とは別にとても大きな戦いに赴く。彼女にとってどんな戦よりも大きなものになる。

北郷一刀の手を掴んで愛紗は歩いていくのであった。

 

 

462

 

 

「北郷と愛紗さんは何処に行ったんだろ?」

 

摸擬戦が終わってから皆と別行動をした北郷一刀と愛紗の2人。あれからなかなか帰ってこないという事で藤丸立香と秦良玉が探しに来たのである。

実は帰りが遅いので捜索隊を出そうかと話が出てきてしまったからだ。2人の立場を考えれば当然である。

何事も無ければ良いのだが、何かあったら大変である。出来ればを愛紗の邪魔したくないと思っている秦良玉。

別行動の理由は秦良玉は察していた。愛紗が頬を赤くしながら覚悟をした目を見れば大体は察せられる。

 

(愛紗殿の告白はどうなったのでしょう。私の目から見ても成功するしか考えられませんが)

 

恋愛に関しては不得手であるが北郷一刀と愛紗の中はとても良好というのは日常を見れば一目瞭然だ。どちらか一方が告白すれば成功する確率は9割である。

現実は分からないが成功しても失敗しても帰ってくるのが遅いのは少し心配だ。悪い考えをしてしまうとキリが無いが野盗に襲われていたら大変である。

探し人を見つけるために森の中を進んでいく。出来れば夕暮れまでには見つけたいところである。

ガサガサと茂みをかき分けながら進んでいくと綺麗な河原に出る。

 

「ちょっと休憩しませんかマスター?」

「そうだね。一休みしよう」

「お茶です。どうぞ」

「ありがとうリャンさん」

 

お茶を貰って一息。

 

「本当に2人は何処まで行ったんだろう?」

「そうですね。まあ、愛紗殿がいるので危険は無いとは思いますが」

 

野盗に襲われる可能性は否定できないが愛紗の武力ならばそこらの野党に負ける道理は無い。しかし大人数の場合は厳しい。

 

「この地域に大人数の賊がいるなんて情報は無いので可能性は低いですが」

「休憩したら今度は西の方に行ってみようかリャンさん」

「そうですね…って、ん?」

「どうしたの?」

「いえ、向こうから人の声が聞こえた気がして」

「北郷たちかもしれない。ちょっと行ってみようか」

 

お茶を飲み干して声が聞こえたという方向に歩いていく。すると人影が見えてくる。

 

「リャンさんの言ったとおりだ。誰かいる…あ、北郷と愛紗さんだ。おーーぃ…」

 

誰かとは北郷一刀と愛紗で間違いなかった。声を掛けようとしたが掛けられなかった。

 

「………え」

「どうしましたマス…」

 

2人は顔を赤くしながらフリーズした。北郷一刀と愛紗を見つけてフリーズする理由はある。なんせ彼女たちは今まさに熱く濃厚な愛の営みをしているからだ。

 

「あ…えと」

 

2人の愛の営みをハッキリと視界に入れてしまった。これは偶然であり、悪気は全くない。

愛紗が北郷一刀に告白するというのは予想していた。そのままキスまで流れでいくのも予想しなかったわけもない。しかしまさか愛の営みをしているとは流石の秦良玉も予想できなかった。

2人の愛の営みを目を逸らす秦良玉だが視線を戻してしまう。藤丸立香もつい見てしまう。

まさか愛の営みを意図せず見てしまうなんて誰も思わないだろう。運が良いのか悪いのか分からないが北郷一刀と愛紗は藤丸立香たちに気付いていない。

 

「ふ、二人は無事みたいだね。い、忙しそうだし帰ろっかリャンさん」

「そ、そうですね。か、帰りましょうか。わ、私たちが居たらお邪魔みたいですし…」

 

北郷一刀たちが気付かないうちに藤丸立香たちはそそくさと音を立てずに去っていく。全力疾走で逃げるように去るしかなかった。

 

(……今、誰か居た?)

「ご主人様……私を見てください」

「見てるよ愛紗」

 

北郷一刀は人の気配を一瞬だけ感じたが気のせいだと思って愛の営みを続けるのであった。

 

 

463

 

 

全力で愛の営み場から逃げてきた藤丸立香と秦良玉。

 

「はぁはぁ…」

 

久しぶりに全力疾走をしたので息切れが激しい。ゆっくりと深呼吸をして息を整える。

 

「つ、疲れた。てか、凄いもの見た」

 

木を背もたれにして藤丸立香はズルズルと地面に尻を着く。

 

「大丈夫ですかマスター?」

「うん。少し休憩すれば大丈夫だから」

「良かったです。あ、お茶をどうぞ」

 

残りのお茶を貰って喉に流し込む。枯れた喉にお茶のおかげで潤う。

 

「ゆっくりして大丈夫ですよマスター。このリャン、どんな野盗が出ても追い払ってみせますから」

「うん。頼りにしてるよ」

「はい!!」

「「………」」

 

先ほどの北郷一刀と愛紗の愛の営みが頭から離れない。何とも言えない感情がもやもやとむらむらとしてしまう。

 

「あはは…リャンも休憩しても大丈夫だよ」

「ちょ、ちょっとだけ休憩させてもらいますね」

 

ちょこんと藤丸立香の隣に座る。そのまま2人は無言になる。

 

(あーーーーーーー気まずいんだけど!?)

 

まさか男女の愛の営みを見てしまうなんて予想できるはずがない。これが男同士だったら別の治め方があった。

男同士だったら『良いもん見た』とか『墓場まで持っていこう』とかで済ませて終わりだった。しかし見てしまったのが男同士でなく男女であったらまた違う。

他人だろうが知り合いだろうが気まずいなんてレベルではない。

 

(愛紗さんに北郷ってばせめて場所を選んでくれーーー!?)

 

まさに正論であると思う。

 

(いや、外でヤるっていうプレイがあるのは知ってるけどさーーーー!?)

 

多感な青少年の藤丸立香は色々と知識はある。

 

(どうすんのさ。あんなの見てリャンさんと一緒って気まずいよ。てか、男として色々と反応しちゃうんだけど…)

 

健全な男の子として健全な反応をしてしまう。そのため藤丸立香は体育座り中だ。

 

(てか、隣に座っているリャンさんから甘い良い匂いがするんだけどーーー!?)

 

どうして女性からが甘い良い匂いがするのか。健全な男子の疑問である。

藤丸立香の今の状態は複雑だ。上は大火事で下は本能の獣が目覚めかけている。

簡単に言うとある意味、悶絶中。

 

(あーーーーーーーー!?)

 

悶絶中なのは藤丸立香だけではない。実は隣に座っている秦良玉も悶絶中である。

 

(愛紗殿ってば行動が速すぎです!?)

 

彼女は初心というわけではないが流石に目の前で愛の営みをバッチリと見てしまえば顔を真っ赤にしてしまう。

バッチリ見てしまったの頭の中は愛の営みというピンク一色である。もんもんと顔を真っ赤にしながら悶絶中だ。

 

(本当にどうすればいいんでしょう!?)

 

秦良玉はマスターに対して堅い忠誠心以上の感情を持っている。これも共に戦って絆を深めたからである。

彼女も溶岩水泳部にも負けないくらいマスターに対して好意を抱いている。

 

(ど、どうしましょう。マタ・ハリがいてくれたら良いアドバイスを……してくれませんね。きっと面白がって余計な事を言ってきそうです)

 

マタ・ハリのおかげで藤丸立香にチョコを渡せることが成功したが余計な吹き込みもあったので困ったものだ。

 

(ああ…どうすれば。この空気をどうすれば良いんでしょうか!?)

 

秦良玉もドキドキもやもやむらむらしてしまうのであった。

2人は北郷一刀と愛紗の愛の営みに当てられたのかもしれない。

 

(ま、まずは何か別の話題をしましょう。そ、そうだパンダの話をしましょう!!)

 

秦良玉は視線を横に向けると藤丸立香と視線が繋がった。視線が合うのが気付くと藤丸立香はすぐさま視線を外した。

 

(え……マスターってば私をずっと見てた?)

 

実は秦良玉がもんもんと考え事をしていた中で藤丸立香はずっと彼女を見ていたのだ。彼もパンダの話でもして空気を換えようとしたが秦良玉がもんもんと考え事をしていたので話しかけずらかったのである。

その結果、話しかけられずにそのまま見つめたままになったのである。彼の本音を暴くと、あのままずっと秦良玉を見ていられたという。

綺麗に整った顔に頬を赤くし、艶やかさを感じさせるためずっと見ていられるのだ。更に彼は健全な男の子なので彼女の健康的な肉体も見てしまうのは止められない。

 

(うわああああ、ジっと見てたのバレた!?)

 

穴があったら入りたいという奴である。カルデアでもこの外史世界でも我慢していたが流石に今は我慢できなかった。

藤丸立香は秦良玉を性的な目で見てしまったのである。

 

(オレは…なんて事を)

 

正直なところカルデアでもよく我慢していたものだ。なんせカルデアにいる女性英霊は際どい恰好ばかりだからである。

はっきり言ってしまうと一度も性的な目で見たことが無いなんて事は言えない。ただそれよりも戦いの旅の中でそれどころではないから段々と慣れてきたというものがある。

ただその時の状況や空気によってはどうしようもない。これは男性英霊は分かってくれるのが救いである。尤も女性英霊の中にはマスターなら性的な目で見られても構わないとか、嬉しいとかあるらしいが。

 

(リャンさんは今、オレをどう思ってるんだろ…け、軽蔑した?)

 

藤丸立香顔を真っ赤にしながら視線を外しているので今は秦良玉がどんな顔をしているか分からない。

性的な目で見てしまって軽蔑されたかと思っているが実のところ秦良玉の心情はそうでもない。

 

(マ、マスターが私を性的な目で見てた)

 

忠義心を振り切るくらい絆を深めあった仲だ。そんなマスターに性的な目で見られて秦良玉は軽蔑なんてしない。寧ろ嬉しいというか『期待』している自分がいるのだ。

『期待』してしまった事で秦良玉の鉄の理性に亀裂が入る。

 

(わ、私は今なにを考えたのでしょう。そ、そんな…私はマスターに劣情を抱いてしまった?)

 

これではバレンタイン時のマタ・ハリに何も言い返せない。そしてマタ・ハリが言っていた「押し倒すくらいすると思った」という言葉が急に蘇る。

蘇った言葉により秦良玉はマスターを押し倒す想像をしてしまったのだ。

 

(わわわ、私はなにをっ!?)

 

鉄の理性にどんどんと亀裂が入る。

エーテル体といえど心臓の高鳴りは偽物ではない。いま思ってる感情も偽物ではない。

 

(でも、マスターも私とそういう事を期待してる。マスターが求めるなら私は…)

 

もんもんと考え込む2人。

 

((あーーーーーーーーーーー!?))

 

2人の心の叫びが重なった。

どうしてこんな空気になってしまったのか分からない。やはり北郷一刀と愛紗の愛の営みを見てしまったかもしれない。

なにも北郷一刀たちは悪くない。愛し合う事は素晴らしいことだ。

ただ藤丸立香と秦良玉が勝手にもやもやむらむらしているだけなのだ。

 

(やっぱ気まずい。さっきの事は謝ろう)

(や、やはり話しかけましょう。パンダの話をしましょう)

 

2人は意を決して話しかけようと視線を同時に向ける。同時に向けたことで自然と見つめ合う形になるのは当然であった。

 

「「あ…」」

 

見つめ合ったことでお互い何を言おうとしたか忘れてしまう。そのまま何も言えずに見つめ合う。

媚薬を飲んだわけでもないのに身体は熱く動悸が激しくなってしまう。もはや、そういう空気だ。

 

「リャンさん」

 

名前を呼ぶのが精一杯だった。

 

「マスター…」

 

それは秦良玉も同じであった。

ただ見つめ合っているだけであったが無意識にお互いの顔が徐々に近づいていく。もう互いの息が掛かるのが分かるくらいだ。

 

(オレは…リャンさんの事)

(ああ、良いのでしょうか。北郷殿と愛紗殿は愛し合っていたからこそ…でも、今のこれはまるで体目当てみたいのような。でもでも私とマスターは絆を深めた者同士です。その絆に後ろめたいものなんて絶対にありません)

 

鉄の理性は決壊寸前。だからこそ緊急修繕するものの亀裂が入る方が早い。

お互いの絆は本物だ。絆に数値を当てはめるのもおかしいかもしれないが最高値まで深めた。

だからこそ秦良玉は藤丸立香に信頼の証として『トネリコの木』という礼装を送った。貴方を裏切らない、貴方の為に戦う、貴方を信じているという絶対たる信頼の証だ。

藤丸立香はより絆を深めたいと思ったからこそ『カルデアの夢火』を秦良玉を送った。

『カルデアの夢火』を送るという行為は絆の最高値を上限突破するというだけじゃない。送るという行為の中にはちゃんと意味がある。その意味をどう捉えるかは自由だ。

 

「リャンさん。夢火を送った事を覚えてる?」

「忘れもしません」

「オレはリャンさんともっと親密になりたくて…好きだから送ったんだ」

「マスター…私もお慕い申しております。この気持ちは嘘ではありません」

 

鉄の理性が決壊したかもしれない。

お互いの顔の距離はもう接触してもおかしくないくらいだ。あとはちょっと近づくだけ。

ちょっと近づくだけで2人だけの物語が始まる。

 

 

464

 

 

「うっふうぅぅぅぅぅぅん!!」

 

貂蝉の顔が誰かの視界に埋め尽くされた。

 

「ここから先はダ・メよぉ」

 

ウィンクする貂蝉。

 

「やっぱ愛っていいわぁ。わたしもご主人様と愛を育みたいわぁ」

 

いやん、いやん、と身体をクネらせる貂蝉。妄想がもんもんと膨らんでいく。

 

「やっぱ子供はサッカーチームが出来るくらい欲しいわね。キャッ…わたしったら、だ・い・た・ん」

 

クネりクネりと身体をクネる。もはや魔神柱のようにクネクネだ。

貂蝉が魔神柱だったら悪夢であるが。

 

「一刀ちゃんは少しずつ彼女たちと愛を育んでる。それはきっと良いこと…それが絆になるから。その中にわたしも入れてくれると嬉しいんだけど!!」

 

北郷一刀が桃香たちと結ばれるのは大切である。貂蝉は愛の素晴らしさを知っている。

だからこそこの外史世界で北郷一刀と女の子たちが結ばれるのが、ただの外史世界の歴史の流れと完結してほしくないと思っている。

 

「立香ちゃんも女の子たちと愛を育んでるわねぇ。彼も一刀ちゃんと同じ絆を深める力って言うのかしらね。その力があるわ。それはきっとどんな力よりも凄いと思うわ」

 

絆を深める。それを能力と言っていいものか判断しかねるが、確かに凄いことだ。

 

「女にしろ男にしろ、絆を深めるのはとても尊く、良いこと。きっと絆を深めることがこれから良い方向に流れるから」

 

友情や愛を育む。それは素晴らしく、成長させるものだ。

 

 

465

 

 

まだ、ふわふわと地に足がついていない感じがする。

結局戻ってきたのは夜更けであった。どうやって城に戻ってきたかもあやふやである。

 

「はぁ…」

 

誰かが息を吐いた。そのため息は何か余韻を思い返してのもの。

 

「あのさ…これからどうする?」

「こ、これからとはどういう意味ですか?」

 

北郷一刀がこれからの事を聞くと愛紗は顔を赤くしながらアタフタする。

 

「へ、部屋に来るとか」

「そ、それは、無理ですっ、先ほどから…股間に異物感と申しますか、酷く歩き辛いのを我慢しているのですよ」

「ちょっ、そんなこと大声で」

 

愛紗のまさかのセリフで吹いてしまう。普通に考えて彼女の口からは聞けないセリフだ。

 

「ご主人様が次、また次と求められるからです!!」

 

次から次へと求めていたのは愛紗も同じである。

 

「って、なんの話ですか!?」

 

急に冷静になった振りをする愛紗。そもそももう遅い。

 

「互いに強く求めあったって話…だろ?」

 

まさかの返しに顔を真っ赤にする愛紗。もう鬼灯の果実みたいに真っ赤だ。

 

「とにかく…ここで失礼致します。何かと、その、失礼もあったかと思いますが」

「いやいや、俺の方こそ…」

「今日のことは…一時の」

「ずっとだって、言ったはずだよ」

 

今日だけの夢、みたいな事を言い出す愛紗に北郷一刀はすぐに訂正する。

愛を確かめ合ったことは本物だ。一時の夢でも間違いでもない。

 

「しかし公私を…それに桃香様のことも。ですがあなたを想う気持ちに嘘偽りはございません」

「だったらそんな寂しいことなんて言わずに」

 

2人だけの空間が展開していくがすぐに収まる。

 

「「………じーーーーー」」

「はーーーーーーーーーーーー!?」

 

愛紗の物凄い悲鳴が響いた。どっから、そんな悲鳴が出たのか気になるところである。

引っ繰り返る愛紗の姿は滅多に見られるものではない。思わず腕を組んで感心してしまうくらいのものだ。

 

「藤丸殿に秦良玉殿…」

「愛紗殿……その、大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だ。いつからそこに…?」

「先ほどです。話し声が聞こえたので…」

「そ、そうか」

 

お互いに黙る2組。

 

(ん? 藤丸と秦良玉さんが手を繋いでる…)

 

北郷一刀、ちょっとした事に気付く。

藤丸立香と秦良玉は手を繋いでいる。手を繋いでいるなんて驚くようなことではない。

ただ男女が手を繋いでると意味があると思ってしまう。やはり男女が手を繋ぐのは恋人とかをイメージさせる。

今は夜更けで2人は北郷一刀たちの後ろから来た。それは同じく外から城に戻ってきたということだ。

夜更けに手を繋ぎながら帰ってくる男女。まさに『そういう事』があったのではないかと思ってしまう。

そもそも北郷一刀と愛紗が『そういう事』をしていたので、そちらの方にイメージが湧いてしまうのだが。

 

「藤丸…お前もしかして」

 

北郷一刀が何があったか聞こうとしたが出来なかった。

 

「じーーーーーーーー…愛紗ちゃん?」

「はーーーーーーーーーーーー!?」

 

またも愛紗の悲鳴が響いたからだ。

 

「と、とととと、桃香さま。何故、このような夜更けに」

「うん? 遅いな~って」

 

夜更けまで帰ってこなければ心配するのは当然である。

 

「少しは自分の立場を考えて欲しいものだ。探しに行く話になっていたところだぞ」

 

愛紗は劉備軍の将軍だ。北郷一刀に至ってが桃香と同じく劉備軍のトップ。

2人がなかなか帰ってこなければ大問題になってくる。捜索隊を出す話は当然である。

 

「お二人で、どちらにいらしていたんですか?」

「星…それに、朱里まで」

 

往生際が悪い愛紗と違って北郷一刀は達観。言い方を変えれば諦めた。

相手には星がいる。ここで何を誤魔化そうとしてもボロが出ると瞬時に理解したのだ。

 

「いくら勝負に勝ったからって、ず~っと独り占めはずるいと思うの」

「も…も、もしかして、あれからずっと…はわわわわ」

 

朱里は彼らが夜更けになるまで何をしていたか妄想して顔を赤くする。

 

「朝から晩まで戦場を駆け回る愛紗だからな。そのくらいは造作も無かろう」

「えええぇぇ~~~~!?」

 

顔が鬼灯の果実のように真っ赤の朱里。

 

「お前たちーーー!!」

「今度のお休みは何で勝負しようか。負けないぞ~」

「勝手に決めないでください!!」

「いつの間にそんなことに…ずるいです。だったら、そうです、クジとか作ってください」

「軍師殿も乙女だ」

 

そのクジは何を決めるのか気になるものだ。

 

「お前はやはり、場を掻きまわして楽しみたかっただけだろう!!」

「うむ」

「親指を立てるな!!」

 

超良い笑顔の星。

 

「今日という今日は堪忍袋の緒が切れた。そこへ直れ、切り捨ててくれる!!」

「わわわっ、ご主人様。愛紗ちゃんを止めて~!?」

 

先ほどのけだるさは何処かへ。愛紗は星を追いかけ回すのであった。

 

(頑張らないとな。桃香と愛紗にふさわしい俺になるために)

 

北郷一刀は彼女たちの横に立てるような男になるためにより炎の意思を燃やすのであった。

 

「ところで藤丸は…?」

 

話を聞こうとしたときに桃香たちの登場で聞けなかったのだ。藤丸立香が秦良玉と夜更けまで何をしていたのか気になったのだ。

下世話と分かりつつ気になったので藤丸立香を探す。

 

「藤丸の方もこっちと同じ…か?」

 

北郷一刀の視線の先には武則天や楊貴妃に囲まれた藤丸立香と秦良玉。

 

「マスターこんな夜更けまでどこに行っていたんですか!?」

「マスターよ、秦良玉と何をしていた。言ってみるがよい」

「な、なかなか帰ってこない北郷と愛紗さんを探してたんだよ」

 

見ていて分かる。藤丸立香も秦良玉も冷静になろうとしているがなれていない。なんとかボロを出さないようにしているのが丸わかりだ。

 

(藤丸も俺のように諦めればいいのに)

 

北郷一刀は何を言われても認めるくらい諦めている。何を言ってもバレるからだ。

 

「すんすん」

「ふーやーちゃん?」

「マスターから秦良玉の匂いがするのじゃが」

「い、一緒にいたからじゃないかな!?」

「ハッ!? すんすん」

「楊貴妃殿!?」

 

楊貴妃は秦良玉を嗅ぐ。

 

「秦良玉さんからマスターの匂いがします」

「そ、それはマスターが先ほど言ったように一緒に居たからですよ!!」

 

互いに顔が真っ赤の2人。表情を隠すのが苦手なのかと思ってしまう。

 

「一緒にいただけでこんなに互いの匂いが体に付くものかのう?」

「匂いが強い香水じゃないですよコレ」

「何があったかじっくりと聞こうかのう」

「武則天殿、その怖い器具は何ですか!?」

 

武則天の手にはモザイクが入りそうな器具があった。

 

(あれなんだ!? 拷問器具なのは分かるけど!!)

 

北郷一刀も拷問器具までは詳しくない。

 

「あーるじ。ちょっと何があったか知りたいなぁ」

「燕青!?」

 

ガシリと肩を組んでくる燕青。気配遮断でも使っていたのか接近されるのが気が付かなかった。

 

「やあ我が弟子。私も何があったか聞きたいなぁ」

「師匠ーーー!?」

 

司馬懿(ライネス)が小悪魔スマイルで現れた。

 

「何をやっていたんだい?」

「北郷たちを探していたんです」

「清姫殿に誓って?」

「…………んぐぅ」

 

清姫の名前を出すのはズルイ。だが北郷一刀たちを探していたのは嘘ではない。

 

「あ、マスターやっと帰って来たんだ。もー、何処に行ってたのよ。まさか迷ってた?」

「それは三蔵ちゃんです」

「ぶー…で、なにやってたの?」

 

玄奘三蔵は素直な疑問として聞いてくる。その素直さが心に突き刺さる。

 

「どうしたの?」

「何でもないです三蔵ちゃん…」

 

このままではヤバイと判断した藤丸立香。ここにいても心臓に悪い。

なにも疚しいことはしていないというのに。たぶん。

 

「もう遅いし、寝よう。明日も早いよ!!」

 

脱兎の如く逃げようとする藤丸立香。

 

「燕青殿」

「はいよ軍師殿」

 

燕青に捕まる。

 

「燕青ーーーー!?」

「ごめんよぉ主。俺だってこんな事したくないんだ」

「なら何で!?」

「酒の肴になると思って。荊軻の姐さんも待ってるぜ」

「人でなしーーー!!」

「俺って属性、混沌・悪だしぃ」

「そーだったよ!!」

 

今夜はある意味まだまだ眠れなさそうである。

 

「で、何があったのじゃ秦良玉よ」

「秦良玉さん。マスターと何があったんですか!!」

「アタシの弟子となにかあったの?」

「我が弟子が秦良玉殿と色々ナニかあったみたいでね」

「そうなんだ。秦良玉さん弟子となにかあったの?」

 

顔を真っ赤にしながら秦良玉は大きく叫ぶ。

 

「何もありませんでした。私の理性は完璧でしたので!!」

 

何があったのか藤丸立香と秦良玉だけの秘密だ。




読んでくれてありがとうございました。
次回はちょっと未定です。勝手かもしれませんがFGOの水着イベントに集中してるかもしれませんので。
イベント中に更新するかもしれないし、イベント後かもしれません。

それにしても中華鯖の水着が増えてきたかなーって思ってます。(概念礼装を含めて)
実装した水着の中華鯖は初で、ぐっちゃんパイセン。
霊衣解放で蘭陵王。
概念礼装だと武則天、玄奘三蔵、燕青、荊軻、哪吒。更に今年の概念礼装に秦良玉と楊貴妃がありましたね。
更に中華鯖じゃないですけど概念礼装に俵藤太の姿もありました。
どーしよ、気が向いたらこの作品で水着の物語でも書こうかな。
恋姫も水着を着てますし。

そして本編でしたが…はい、ぐだ男×秦良玉を書いてみました。
一刀と愛紗の話ではありませんでした。すみません。
私はこのカップリングは嫌いじゃないです。(もっと増えてもいいのよ)
前書きにも書いたように好みが分かれるかもしれませんね。

北郷一刀と愛紗の愛の営みについては革命本編でご確認してくださいね。


461
愛紗の幕間の冒頭あたりですね。
摸擬戦で秦良玉と蘭陵王を参加させる内容はネタとしてあったんですが、上手く展開できませんでした。
ここでは秦良玉が愛紗に応援するというたった1シーンを書きたかっただけなんですよね。(新野での日常2の459の続きだったのです)


462
帰ってくるのが遅い2人を探しに行った立香と秦良玉。
まさか愛の営みを見るとは思わなかったでしょう。
立香の心境(なにやってんの北郷!?)
秦良玉の心境(展開が速過ぎです愛紗殿!?)


463
立香と秦良玉がもんもんとした話。
ここがぐだ男×秦良玉。甘酸っぱくは無い。
一刀と愛紗の愛の営みに当てられて2人も「そういう空気」になった話でした。
まあ、同人誌的な展開を想像して書きました。


464
貂蝉の登場。ただそれだけ。
463の続きは流石に書けなかった…。
何があったかは読者様の想像でお任せします。
何かあったのかもしれないし、何もなかったかもしれない。
シュレーディンガーの猫的な。

465
一刀と愛紗。立香と秦良玉。2組とも夜遅くに帰宅。
一刀と愛紗は愛の営みをしていたとして、立香と秦良玉は夜遅くまで何をしていたんだか…。(ご想像にお任せします)
これが朝帰りだったらもっと…。
そして2組とも仲間達からからかわれるというオチ。




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