Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
早めの更新です!!
やっと益州側の方もちょいちょい出てきます。
469
益州にて。
「桔梗殿」
「おお。戻っていたか翠」
廊下で言葉を交わしたのは馬超と厳顔だ。
「定期の報告がありましたので。それより新野の劉玄徳から劉璋殿宛てに書状が届いたというのは本当ですか?」
「うむ。益州…特に漢中から流れてくる流民が多くて色々と難儀しているそうだ。わしらとしては何とも耳の痛い話じゃがな」
馬超は漢中の様子を見た事がある。顔に出ていたのか厳顔はため息を吐きながら感想を求めた。
「素直に言うて良いぞ。ここはわしとお主しかおらん」
「いえ、あたしは劉璋殿に助けられた身ですから。これ以上は何も。それで、劉璋殿は劉備に何と返事を?」
「特に何も」
「は?」
返事をしていない。それは真かと言う意味を込めて聞き返してしまった。
「結局、使者の紫苑…漢升殿ともお会いにならんかったよ。書状もわしが代理で受け取って確かめはしたが…目を通す気もないそうだ。せめて使者に会うて下されば恰好も付いたのじゃがな。最近、殊に人嫌いというか、あの手の面会を嫌がるようになってな」
「あたしたちを迎えて下さった時は、そこまでではなかったはずですが」
流石に書状も返さない、使者にも会いもしないは失礼にあたる。相手が地位的に下であってもだ。
「あれとて大変だったのじゃぞ。劉焉殿の代からの繋がりという事で何とかご納得いただいたがな」
「…劉焉殿がいらした頃はそこまでではなかった気がしますが」
「うむ…。もうだいぶ前の話じゃが都で大粛清があったじゃろう。その頃からじゃよ」
「董卓のですか?」
董卓の事件は誰もが知っている。馬超もまた反董卓連合に参戦しようとしていた身だ。
「あの粛清が地方まで周るという噂であってな。結局、反董卓の連合が兵を進めて董卓を倒したゆえ、地方まで手が回らなんだが…」
「その粛清を恐れて人嫌いに?」
「それが全てでは無かろうがな。政の指針などは今でも口を出してくださるが、現状を見ればそれも良いことなのか悪いことなのか」
今の劉璋は臣下や部下にも会う機会が減っている。こんな事を言ってはまずいが劉璋への忠誠が消えている者たちが出ているのだ。
これでは民が逃げ出せば今度は臣下や部下が逃げ出してもおかしくない。
「そう言えば葭萌関も関抜けする連中が多いと聞くぞ」
「実は今日もその事を詰められまして。道を通る連中の対処はともかく、山を無理に越える輩はどうにも」
「お互い大変じゃな」
苦笑いの厳顔。
「桔梗殿はこの後…どうなるとお思いです?」
「ふむ。劉玄徳とやらが汎百の輩であれば、今回の無視を理由に攻め込んできてもおかしくなかろうが…」
「劉玄徳に限って、それはないと思いますが」
確かに失礼な事をしたと思うが劉備の人柄を知っているからこそ攻めてくるとは考えられなかった。
「難民に押しかけられて滅んだ国など珍しくないしのう。正直、それを放置する益州討つべしと言われても文句は言えんよ」
「その通りだ。劉備は攻めてくるぞ」
第三者の声が聞こえた。馬超と厳顔は声の元に視線を向けると黒髪の青年が歩いてくる。
顔は整っており、甘い顔の男とは彼のような人かもしれない。
「お主は……新野の方じゃない劉備か」
「ははは。同じ名前で勘違いもとい、ややこしいですがご容赦を。私も色々と勘違いされて困っているのですよ。まあ、新野にいる劉備が悪いわけじゃないんですがね」
2人の目の前にいる男の名前は劉備。ややこしいかもしれないが劉備と同じ名前を持つ青年だ。
劉備が新野に来る前、彼が益州に訪れて劉璋に仕え始めたのだ。不思議だったのが馬超を受け入れるのは大変であったのに彼に関してはすんなりと仕える事を許した。
一介の兵士として仕えるのならば不思議ではないのだが、劉璋のお気に入りのような存在として今はなっているのが不思議である。
先ほども厳顔が話していたように人嫌いになっているが此方にいる劉備だけは顔をよく合わしているらしい。
(今は慣れたが最初はややこしかったな。まさか同じ名前を持つ人物とは……まあ、同じ名前を持つ者なぞ珍しくもないが)
どの時代であれ、同じ名前を持つ者は存在する。嘘か本当か分からないが世界には同じ顔の人間が3人いるなんて言われている。
「それより馬超殿。何故、劉備が攻めてこないと断言できる?」
「あたしは会った事があるからな。あいつはそういう事をする奴じゃない」
「それは貴女しか分からない。それに人は変わるものですよ」
人が変わるというのは確かにある。善い人にもなれば悪い人にもなる。
「馬超殿がその時に出会った劉備が良い人でも今は分からない。貴女は今の劉備が善人だと我らを納得させる証拠があるのですか?」
「う…それは」
口を閉じてしまう馬超。証明出来る証拠はないが彼女の人柄的にどうしても劉備自身が他国に侵攻するなんて考えられなかった。
「私は絶対に攻めてくると思っている。厳顔殿も言っていたように難民に押し寄せられて滅んだ国はいくつもありました。いかに新野にいる劉備が噂通りの人徳のある人物であろうと…人徳だけでは難民を救えませんよ」
「……」
益州にいる劉備の言う通りだ。人徳があるからと言って全ての難民を救えるわけではない。
人徳も必要であるが現実的に必要なのは難民を受け入れる土地だ。
「馬超殿の頭の中にいる劉備殿がいかに優しい人であっても難民問題を解決するために新野にいる劉備殿は攻めてくるでしょう」
目の前にいる劉備は何も間違った事は言っていない。民が多くなり、土地が足りなくなったら新たな土地を求める為に戦を仕掛けるなんて今の世でなくとも当たり前の行為だ。
「私はすぐにでも戦の準備をするべきですね」
「劉備と戦か」
「あ、私とじゃありませんからね」
「知っとるわ!!」
ちょっとした冗談である。
「……ひとまず葭萌関に戻ります。関抜けの対策も考えなければいけませんので」
「すまんな。色々と迷惑をかけるわい」
「では」
馬超は静かに廊下を歩いていくのであった。
(やれやれ…真面目な輩じゃな。もう少し肩の力を抜いたほうが生きやすかろうに)
厳顔を頬を軽く掻く。
(さて、連中が攻めてくるとすれば、収穫が終わった後じゃろうが…その頃に果たしてどれだけの兵を動員出来るやら)
厳顔もまた劉備が進行してくると予想している。益州、正確には漢中から新野への流民はえげつないほど多いと報告は受けている。
書状の内容を見てもこれ以上の受け入れが出来ないくらいと文から読み取れる。益州を討つ理由なんていくらでも出てきてしまう。
「厳顔殿。私は戦の準備をすると劉璋様に伝えていきます。劉璋様が戦に消極的でも攻めてくると分かっていて何もしないわけにはいきませんから」
「分かった。頼むぞ」
「はい。劉備軍は良い人材がいますからね。これは大変な戦になりそうです」
「劉備について何だかよく知って良そうな口ぶりだな」
「まあ……よく知ってますよ」
何か含みのある言い方をする目の前の劉備。
「あ、それと劉備軍と戦うためにある人物を軍に入れたいのですが宜しいですか?」
「その人物とは龍の仮面を着けた者か」
「はい」
「まあ、構わんが…確かに彼女は強いからな。一緒に戦ってくれるなら助かる」
厳顔の記憶から龍の仮面を着けた人物を思い出す。手合わせをしていないが見ただけで彼女は強いと実感したほどだ。
(正直に言うと不気味なほどの強さを感じたくらいだ)
強いには強いが何処か人離れしたような感覚もある。
「では、厳顔殿。後ほど」
「うむ………ん? その剣、業物だな」
厳顔は劉備が帯刀している剣を褒めた。前にそんな剣を帯刀していたかと疑問に思ったが、そこまで気にしない事にした。
実は既に居ない馬超も彼が帯刀していた剣には気になっていた。何処かで見た事があるような気があると思っていたが結局、思い出せなかったのである。
「気が付きましたか。実はこの剣は我が家に代々受け継がれてきた宝剣なんですよ」
「ほう」
「では、これにて」
そう言って劉備を名乗る青年も去っていった。
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葭萌関に戻っている最中、馬超は劉備と戦をするなんて想像すらしなかった。やはり彼女の人柄か益州に攻めてくるなんてしないと勝手に思い込んでいたからだ。
だからこそ彼女の頭の中から劉備と戦うという事がすぐに消えていった。
(こっちの劉備は戦う気まんまんだったな。あたしの知ってる劉備と正反対だ。それに…どこか胡散臭いし)
益州にいる劉備は何処か好きになれない。良い顔の男なのは認めるが、性格的に合わなそうなのだ。
まだ彼の事はよく知らないが策とか搦め手とか、馬超が好まないような事をしている雰囲気があるのだ。勝手な想像であるが本人がそう思ってしまったのだから仕方ない。
(胡散臭いけど部下をまとめる能力はある。だからこそ劉璋殿も仕える事を許したのか?)
馬超は益州にいる劉備を好きにはなれないが能力は認めている。よく部下をまとめ、既に益州の将にまで成り上がっているのだ。
強さはそうでもないが人を動かす才能はある。
(劉璋殿はあいつの何処を気に入ったんだか)
誰が誰を気に入るのかは人それぞれだ。相性というものがあるのだから馬超は気に入らなくとも、劉璋は彼の事が気に入ったのかもしれない。
(強いと言えばあいつが知り合いだとかと言っていたあの変なお面やろうは強いな)
馬超は龍の仮面を着けた人物を思い出す。
前に益州にいる劉備が知り合いだと紹介してくれた人物だ。ひと目見た瞬間に武人として彼女の実力が分かったくらいである。
欲を言えば手合わせしてみたかったが彼女は仕事中であったのか出来なかった。斥候の仕事でもしているのかよく劉備に情報を報告しに来ているらしい。
(あの強さで斥候とはもったいないな。あいつならもっと上を目指せるだろうに)
「何だか暗い顔だな」
「って、爺さん。何でこんなとこにいんだよ?」
葭萌関に戻っていると前から黒眼鏡を掛けた老人もとい李書文(老)が現れる。
「馬岱殿から迎えを頼まれたのでな」
「蒲公英のやつ爺さんに迎えなんて頼むなよ」
馬岱が馬超の迎えが面倒だと思って李書文(老)に頼み込んだのかもしれない。
「帰ったら説教だな」
「馬岱殿をあまり悪く言わんでくれ」
「なんでだよ?」
「儂の施術で動けなくなってるからな」
「おい、蒲公英に何した」
李書文(老)の施術で馬岱が動けなくなったなんて気になるのは当たり前。
流石に無いだろうが馬岱に変な事をしていたら槍をぶん投げるつもりだ。
「馬岱殿が絶招経路按摩を所望されたからな」
「蒲公英の自業自得じゃねーか!!」
「安心しろ。臓腑は飛び出ていない」
「それ聞いても不安しかねーよ!!」
李書文(老)の按摩の腕は本物だ。どんな疲れや凝りも無くなるほどである。
ただし自分の合う施術でなければ意味は無い。流石に李書文(老)が相手の身体を壊すような施術はしないが頼まれれば強めの施術くらいはする。
多少痛いがそれでも効果はバッチシだ。約二千年を生きる仙女にもお墨付きをもらっている。
「絶招経路按摩だったか? それを面白半分で受けたあたしもあたしだけど…めっちゃ痛かったんだからな!! 凝りは完璧に無くなったけど!!」
「ならいいではないか」
李書文(老)の按摩は完璧である。時たまに何処からどう見てもぶん殴っているようにしか見えない時があるが。
「で、肩凝りなどが原因で暗い顔をしてたわけではあるまい」
「まあ、そうだけどよ」
「何かあったか?」
「もしかしたら戦いたくない奴と戦になるかもしれねえんだ」
「こんな世の中だ。そんな時もあるだろう」
今の情勢は群雄割拠だ。昨日、仲間だった者が敵になったりするなんて当然なくらい。逆に敵だった者が仲間になったりもする。
そんな世の中で戦いたくない相手なんて甘い事は言ってはいられない。戦争は甘い者から死んでいくなんて言われている。
「でも相手は他国に侵略するような奴じゃないんだよ。なんつーか良いやつでさ」
「ふむ…確かにそのような者はいるな。儂の仲間にもいるぞ。どうしようもないくらい善人で悪人になれない者だ。仲間というか主人みたいなものか」
「へー…やっぱいるんだな、そういう奴って。良さそうな主人じゃないか」
「ああ、良い主人だ」
世の中は捨てたもんじゃなくて善人がいるものだ。そんな人物だからこそ証明しなくても「そんな事はしない」なんて思えるようになる。
「何となくだがお主の気持ちは分かる。しかし時と場合によってはまさかの選択を取る場合もあるぞ」
「そ、それはどうだろうけどさ…」
「儂の主人も時には非情な判断を下す。救いたくとも救えない状況だったならばな」
「それは仕方ないと思うけどな」
救いたくても救えないような状況とはどんな状況か気になったが聞かなかった事にした。
あまり聞いて欲しくない事なのは確かだからだ。馬超も興味本位で軽々しく聞き出すような肝っ玉は持っていない。
「もしも、その戦いたくないと相対したら複雑な気持ちになるだろう。何を言えば分からなくなるやもしれん。そんな時こそ冷静になるべきだ」
「分かってるよ」
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月日は流れて秋の収穫と麦の種まきが無事に終わった頃、劉璋宛に難民問題について書状を送ったが劉璋からの返事は帰ってこなかった。
その結果から桃香達は朱里たちの立てた計画に従って益州の交通の要所、漢中に通じる街道へと軍を進めたのであった。
「結局、返事が無かったか」
「はい。今回の計画を考えれば、その方が助かるのですが」
正直に思うと劉璋から良い返事を貰えるなんて期待していたわけではない。そうでなければ難民問題も今より多少はマシになっているからだ。
そもそも書状を送ったのは此方側から兵を入れる理由を作るための口実にすぎないのだ。
「あんまり深く考えない方が良いよ。いくら考えたって納得出来る答えなんか出ないんだから。それより、この先なるべく血が流れないように考える方がマシじゃない?」
「そうですね」
詠の言葉に朱里は肯定する。
伊達に月の補佐をして朝廷の改革したわけじゃない。
「今の状況じゃ荊州を立て直すのも無理だろうしね。あれ、完全にひどかった頃の朝廷と同じだもの」
「何進…傾がいた頃の?」
「そ」
視線が従女姿をしている傾を見る。
「そんな目を向けるな」
「アンタのせいでしょうが」
バチリと視線の火花がぶつかり合う。
昔からの因縁は簡単には消えないものだ。同じ陣営にいるからと言ってすぐに仲良くなれるわけではない。
従女の仕事をしているとぶつかりあっては藤丸立香と北郷一刀が駆けつけて収拾しているというのが日常となっている。
「落ち着いて傾さん」
「おい立香。あの剣を出せ」
「嫌です」
「あの剣」というのが気になったのであとで聞こうかと思う北郷一刀。まさかその剣が項羽の剣だとは思わないはずだ。
「ま、専横を振るう誰かさえいない時点でもっと悪いかもね。今は亡き黄祖の圧力があってこそ押しとどめていたかもしれないわ」
そう言った瞬間に詠の顔が申し訳なさそうになった。理由は横に居る紫苑だ。
「紫苑の前で言っていい話でもなかったね。ごめん」
「構わないわ。私は大丈夫よ」
今の時代はどのようにも変化していく。紫苑も思うところが無いと言えば嘘になるが、いちいち気にしていたら心がもたない。
「それで桃香は大丈夫なの? この先、絶対に言われるよ。益州をかすめ取りに来た侵略者だって」
今回の一番の不安は桃香だ。
難民問題を解決するためとはいえ、彼女は他国を侵略する事を決めた。はっきり言って誰もが驚いたものだ。
彼女の事を知っている者からしてみれば無茶をさせているのではないかと心配してしまう。
きっと断腸の思いで決めたのかもしれない。だからこそ詠だけでなく他の面々も同じような言葉を掛けている。
「…うん。覚悟はできてる」
誰もが心配しているが桃香はもう覚悟を決めている。ただまだ覚悟を決めただけだ。これから侵略する戦いを始めたらどうなるか分からない。
現実を実感して覚悟が折れるかもしれない。その時は支える誰かが必要だ。北郷一刀かもしれないし、愛紗たちかもしれない。
今までは守るためだったり、助け出すために戦ってきた。いつも誰かの為というのが中心の戦だけだったのだ。しかし、今回ばかりは自分の為に戦を仕掛ける。
ある意味、誰かの為の戦になるが自分の方から戦を仕掛けるのは初めてかもしれない。
黄巾党の乱では黄巾党たちが攻めてきたから戦った。反董卓連合は月を救うために戦ったとはいえ、麗羽の書状が始まりだ。曹操とは戦わずに逃げる事を選んだ。
どれも自分から一方的に戦を仕掛けていない。全て受け身だった。だからこそ先手を取るのは初めてだ。
「そう、なら…ボクからは何も言うことはないよ。けど、辛かったら辛いって言いなよ?」
(詠も何だかんだで優しいところはあるんだよなあ)
「何?」
「いや、詠が優しいのって珍しいなって」
「ボクはいつも優しいでしょ。正直、そういうのは月で散々見てるから我慢してるのなんて見てる方はすぐ分かるんだからね」
「ありがとう詠ちゃん。気を付けるよ」
穏やかに微笑む桃香に詠は「全然分かってないでしょ」って顔をした。しかし、それ以上は本当に何も言うつもりはないのか小さく肩をすくめてみせるだけだった。
「朱里。もうすぐ漢中に着くぞ」
「分かりました。今の戦闘は電々ちゃんと雷々ちゃんでしたね」
「私も支援に入った方がいいか?」
「いえ、第二陣は楼杏さんと白蓮さんですから、あの二人が入ってくれるはずです」
「まずは漢中か…」
桃香たちが出立した新野から山道を抜けて辿り着くのは漢中。
そこから更に山道を越えれば四河盆地に入り、やがれ益州の都である成都に辿り着く。
「はい。漢中は山間の盆地ですから守るに易く、攻めるに難い難所です」
「…山道を抜けた所で攻められると厳しいね」
山道を抜けた所での待ち伏せは山越えしてきた敵を迎え撃つ時の基本中の基本。
「うん。私たちも十分警戒して進まないと…」
劉備軍は周囲を警戒しながら進むのであった。しかし、そろそろ漢中に入るというのにまったく襲撃が無い。
漢中は交通の要所でとても大事な所だ。周辺を見渡すと土地は酷く荒れ果てている。これでは桃香のいる新野に逃げ込みたくなるのが分かるというもの。
「朱里ちゃーん」
そんな話をしていると本陣に顔を出したのは先頭にいるはずの電々だった。
「どうしたんですか電々ちゃん。戦闘で敵の待ち伏せでも?」
「ううん、そうじゃなくて…」
電々の報告は意外というか、実は予想できたものであった。
まさかまさかで侵略者側の桃香たちにこの辺りの県令が挨拶をしたいというものであったのだ。
簡単に言うと侵略者を歓迎しているということだ。普通は侵略者たちに好意を持って挨拶したいなんて普通は無い。
それから漢中入りしてから行く先々の村や町に近づくたびに歓迎の言葉を掛けられる。
兵を動かす余裕もないから降伏するとか、見逃して欲しいという話ならば分かる。だが本当に喜んでいる人たちの割合が多かったのだ。
戦になるよりかはマシであるが複雑な気分になってしまう桃香。それだけ益州の状況が酷いということがより実感してしまう。
「まさかここまでなんて…雛里ちゃんたちの言う通り、もっと早く兵を動かせば良かったよ」
今の発言に鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をした北郷一刀と雛里。
「な、なに? ご主人様と雛里ちゃんってば、そんな顔して?」
「いや、桃香からもっと早く兵を動かせればなんて言葉を聞くなんて」
「びっくりしました…」
「わ、わたしだって全然兵を動かさなかったわけじゃないでしょ!? 黄巾党の時とか青州を守る時とか!!」
「そうだけどさ」
しかし桃香にそこまで言わせるほど益州の状況が酷いという事だ。そこだけは流石に笑えない。
「一つ気になる事があるわ」
急に楼杏がポツリと呟く。
「先の県令から錦馬超の名前が出たわ」
「馬超!? 紫苑は聞いた?」
「いいえ、西涼の錦馬超の名はもちろん知っているけれど…使者で訪れた時もそんな話は聞かなかったわね」
「どうやら今は劉璋殿の客将になっているらしいわ。妹の二人や蒲公英ちゃんも一緒ですって」
馬超たちが無事と分かって安心する桃香。
西涼に曹操が攻めてきた時に母親である馬騰は討ち死にし、馬超たちがそのまま行方不明になったという情報があったのだ。
曹操の領土に間を阻まれて徐州に逃げてくるのは難しいと思っていた。益州となら涼州と近く、色々と縁があったからこそ劉璋の元で客将をしているのかもしれない。
「一時期はこの辺りの微税を管轄していたらしいけど…今は漢中を抜けた先にある葭萌関の守将をしているらしいわ」
「葭萌関でしたら我々の新路上ですね。漢中を抜けて、成都を目指す際の要衝の1つです」
「そっか。だったら、早くそこまで行こう」
「ああ。馬超ならこんな事を許せるような奴じゃないし、私たちにも協力してくれるだろうしな」
漢中に入って、もしかしたら初めてかもしれない明るい話題。
桃香達が顔をほころばせる中、ただ一人浮かない表情なのが楼杏であった。
(あの子は正義感が強いのは確かなんだけど…人一倍誰かの恩や義理も感じる子なのよね。それが悪い方に向かないといいのだけれど)
472
「劉璋のやつも落ちたもんだ」
ボソリと呟いたのは炎蓮であった。
「やっぱり誰の目から見ても酷いものなんだ」
「お前だってそう思うだろ立香」
「まあ、酷いと思うけど」
生きていく為に自分の故郷を抜け出す。
戦争から逃げ出すというのは分かる。しかし国が荒れ果てているために逃げ出すのだ。
このまま益州にいては死んでしまうと民に思わせてしまう時点で国は崩壊しているようなものだ。
「劉璋に何があったんだか」
「そればっかりは会わないと分からないかな」
国が荒れ果てる原因は様々だ。天災なのか人災なのか。はたまた誰かの策略なのか。
何が原因かは分からない。
「しっかしあの甘ちゃん劉備がついに自分から戦を仕掛けるか。驚いたもんだぜ」
「炎蓮さんも驚いたんだ」
「ちょっとな。あのままだったらいずれ曹操か雪蓮のどっちかに食われるかと思ったんだけどな」
炎蓮が劉備陣営に来てから色々と思うところはあった。
人徳はあるし優しい人物だというのはすぐに分かった。民から好かれる性質もあるのは良いことだ。しかし戦に消極的で考えが甘いというのが弱点であった。人材は揃っているのに勿体ないと思うくらいである。
これでは群雄割拠の時代に生き残れないと考えていたのだ。徐州から曹操に逃げ出す時と考えになった時は劉備の脱落を想像した。
敗北を読んだのだが桃香は生き残った。彼女はある意味、天運があるのかもしれない。
「今回の戦も劉備のやつに流れがあるかもしれんな」
「桃香さんたちが勝つと?」
「恐らくな……まあ、何も無ければの話だ」
戦争なんて何が起きるか分からないものだ。だからこそ何重にも用意をし、万全な状態で挑むのが当たり前である。
「でもなんか…」
「気になる事でもあるの炎蓮さん?」
「いや、ただの勘だよ。なんか今回の戦は何か起こるような気がする」
確証は無いが何かが起こるような気がすると感じる人間は稀に存在する。
嵐の前の静けさだったり、虫の知らせだったり、第六感だったりと理屈では説明しがたい本人しか分からない何かを感じる時があるのだ。
「それは私も感じ取れますね」
「あ、蘭陵王」
藤丸立香と炎蓮の会話に合流するは蘭陵王。
「炎蓮殿の言う通り、何か理由があるわけではありませんが何か起こりそうな気がしますね」
「ほー…てめえも分かるか」
何かが起こる気がする。良い方ではなく、悪い方寄りだ。
そう感じるだけで確証が無いので桃香たちに報告する事はできない。そもそも戦争を仕掛けるのが桃香たちなのだから気持ち的には良い気分ではない。
そんな時に何となくだけで悪い事が起きそうな気がするなんて言えるはずもないのだ。
「そもそも新野の森で怪異に遭った時からキナ臭えと思ってたんだ」
炎蓮が遭遇した楽器の怪異の報告は聞いている。楊貴妃や張三姉妹が解決した怪異だ。
更に楽器の怪異と同時進行で桃香の宝剣が盗まれた。これも確証は無いが何か今回と繋がっているのではないかと思ってしまう。
「直感というものは時に馬鹿に出来ませんからね。何が起きても冷静にいられるようにしましょう」
「じーー…」
「炎蓮殿。どうしました?」
「いや、やっぱ素顔が気になってよ」
「はあ…」
そう言えばと、蘭陵王の素顔をこの外史で見た者は少ない。そもそも劉備陣営ではまだ誰も素顔を見た者はいない。
「そろそろ見せてくれよ。絶世の美形なんだろ」
「まあ、構いませんが」
蘭陵王が仮面を装着しているのは自分の顔が嫌いだからではない。
自軍の兵士が彼の美貌に気を取られ、士気が下がることを恐れたがためと敵に侮られることを恐れたために仮面を装着したと言われている。
他者による不躾な視線は嫌いだが、もはや自分の顔は変えられない。炎蓮のように蘭陵王の素顔が気になるという人物は生前でも今でもたくさんいるのだ。
もう慣れたものである。
「サングラス用意しないと」
「あん? 何言ってんだ立香」
藤丸立香はゴールデンな坂田金時から貰ったサングラスを掛ける。
「では」
仮面を外した瞬間にフェイスフラッシュ。
炎蓮はもろに真正面から喰らう。
「目がぁ!?」
「炎蓮殿大丈夫ですか」
「すげえ美貌な顔だったけど、すげえ眩しいじゃねえか!!」
蘭陵王恐るべし。
仮面を外しただけで炎蓮の目を奪うのであった。
「いや、これが戦だったらオレ斬られてたわ」
もしも蘭陵王と斬り合いをしていたとして、今みたいにフェイスフラッシュを喰らったら本気で斬られていたと思う炎蓮であった。
「それにしても本当に絶世の美形じゃねえか。今まで生きてきた中でお前以上の美形を見た事ねえよ」
「ははは…ありがとうございます」
「それほどの美形か。色々と使いようがあるな」
「炎蓮殿、何か変な事を考えてませんか?」
どんな時代であれ美形はステータスだ。言い方は悪いかもしれないが様々な面で利用できる。
「美形はいいよねー」
「マスターまで」
ちょっとした余談だが、蘭陵王が仮面を外した時に発生した輝きは行軍中の劉備軍に動揺を与えたとかなんとか。
「それは…失礼しました」
「蘭陵王は悪く無いから」
473
行軍中のなかにある馬車にて。
「あ、何か向こうで光ったわ」
空丹がポソリと呟いた。
光った何かを見た空丹につられて白湯も「どこ?」と馬車の窓枠から探す。
「危ないですわ空丹様、白湯様」
「あう」
麗羽が窓枠から顔を出す空丹と白湯を注意する。光ったものが気になるのは分かるが彼女たちの立場を考えればあまり窓から顔を出すのはよろしくない。
(うう…気になる)
(今の光は蘭陵王じゃな)
今回の遠征では空丹と白湯も一緒に付いてきている。
政情が不安定な荊州では何が起きるか分からないからという事で天子姉妹たちを直接守れるように同行させたのだ。
馬車の周りも屈強な兵士たちで守られている。一言加えるならば「必要以上に」。
なにせ馬車の中にいる人物たちは空丹、白湯、麗羽、黄、璃々、始皇帝、武則天、楊貴妃、瑞姫と錚々たるメンバーだからだ。
馬車の中は各時代に生きたトップ陣たちばかり。そもそも馬車の中によくそんなに入れたと思うかもしれないが、入れたのだ。
「ねえ、楊貴妃お姉ちゃん。璃々、白湯お姉ちゃんたちと同じ馬車でいいの?」
「うん。大丈夫だよ璃々ちゃん」
「でもお母さん、良い子にしてなさいって、璃々は桃香お姉ちゃんの所に遊びにいくときよりもずっと、ずぅっといっぱい言ってたし…」
元とはいえ、天子の馬車に同乗すると聞けば紫苑が娘にいつもより注意するのは仕方なし。更に始皇帝も居ればより一層、気を付けるように言われるのはもっと仕方ない。
璃々は白湯と一緒にいる時は普通にしているが空丹も加われば緊張は解けないようだ。そもそも空丹とは一緒にいる事がそうそう無いのでこれもしょうがない。
「はっはっはっは。小さき娘よ、璃々と言ったな」
「うん。璃々は璃々だよ」
「うむ、朕は始皇帝だ。璃々よ、お主はまだ子供なのだ。周りを気にせず普通に我儘を言っても良いのだぞ」
「いいの?」
「うむ!!」
璃々はまだ幼いと言うのに時たま大人びた事を言ったり、冷静な対応をしたりする。これも紫苑の教育の賜物かもしれない。
大人びた子供というのも悪いことではないが、璃々の年齢くらいの子供は我儘を言ってなんぼだ。
尤も聡明な子供ならこの馬車の中にいるという意味を分かっていれば緊張してしまうのも仕方ないのだが。
「ほれ、何かしてみたい事を言ってみるがよい。朕は心が海のように広いため、どんな我儘でも許すぞ」
「うー…」
始皇帝からどんな我儘も許すと言われても何も思いつきはしない。そもそも恐れ多くて我儘なんて言えないものだ。
「始皇帝陛下…璃々ちゃんも困ってますよう」
楊貴妃がそれとなく璃々を助けるように呟く。
「む、そうか。ならこうだな」
始皇帝は璃々を抱きかかえて膝に乗せる。
「小さき子は膝に乗せるものなのだろう?」
「あうう」
始皇帝の膝に乗った璃々は更に緊張するのであった。
(はわわ~璃々ちゃんってば恐れ多くも凄い事をしてもらっちゃってる)
始皇帝の膝に乗せてもらえるなんて本当に凄い事だ。ある意味、子供の特権かもしれない。
カルデアでも子供サーヴァントを膝に乗せている始皇帝はたまに見かける。ナーサリー・ライムを筆頭に遊んでいる時もあるのだ。
「武則天も乗るか?」
「ふやっ、恐れ多いです陛下」
「空丹、白湯もどうだ?」
「陛下の誘いだもの。膝に乗らせてもらおうかしら」
「姉様!?」
「空丹様!?」
始皇帝の誘いに空丹は即返事。それに対して白湯と黄は驚くのであった。
「白湯もどうだ?」
「ふええ…えと、その」
白湯は恥ずかしさと恐れ多くて返事が出来ないのであった。
「これまた凄い光景ね」
ポツリと呟いた瑞姫の気持ちはみんな分かるはずだ。始皇帝の両膝に座る空丹と璃々。なんとも凄い光景だ。
「白湯も乗ってみるといいわ」
「そ、それは…うう」
今回は遠征と言う名の侵略行為だ。ほぼ主力を持って益州に向けて侵攻している。
逆に他国から侵攻されるのではないかと疑問に思われるかもしれないが、曹操軍は桃香たちがいる荊州よりも揚州攻めを優先している。
丁度、時期が良かったのかもしれない。
この先の新野がどうなるか分からないが、ひとまず益州への遠征が落ち着いたら希望する人たちには移住の話をするつもりだ。
「途中で見た紅葉の森は悪くなかったけれど、この辺りは随分と寂しいのね」
「はあ、もっと見栄えの良い道はなかったのでしょうか?」
「そうですわね。ここがどこかはよく存じませんけれど、もっと名勝や奇景を楽しめる道の方が空丹さまもお喜びになるのではありません?」
観光旅行ならば良いかもしれないが一応行軍中である。
黄はともかく麗羽は護衛の自覚を持ってもらいたい。尤も始皇帝がいるので護衛は必要ないかもしれない。
「……もしも死んでしまったらさっきのような紅葉も見られなくなってしまうわね。でも死んだ後に行くという黄泉にも綺麗な景色はあるのかしら?」
「黄泉か…朕も黄泉には行った事は無いが黄泉に住む者が経営する宿には訪れたな」
「あ、閻魔亭ですね。あそこの温泉はとっても良かったです~」
「うむ。あそこの宿は素晴らしかった。妾が認めるほどじゃからな」
3人は閻魔亭を思い出しながら「うんうん」と頷くのであった。
閻魔亭ほど素晴らしい宿はない。なにせ神様を満足させる宿なのだから。
現代の王や皇帝、大統領ですら閻魔亭に行く事は普通に出来ない。閻魔亭に訪れる事が出来る者は選ばれた者と運良くか、運悪くか偶然迷い込んだ者だけだ。
「黄泉の者が経営する宿ですか…にわかには信じられませぬが始皇帝陛下が言うのでは嘘じゃないのですね」
「うむ。朕、嘘付かない。それに閻魔亭は小さな雀も働いておるぞ」
「私も閻魔亭という所に行ってみたいわ」
「うう…大丈夫なのでしょうか始皇帝陛下?」
「何がだ白湯よ?」
「黄泉の者が経営する宿に行って、そのまま黄泉に行ってしまう事は無いのでしょうか?」
よく物語では黄泉の食べ物を食したり、黄泉の国に一歩でも足を踏み入れたら現世に戻れないなんて話がある。
白湯が心配しているのはそういう部分。始皇帝は不老不死だから特別に大丈夫だが他の者は大丈夫ではないと思っているのだ。
「はっはっは、大丈夫だ。あの宿の女将はそんな事をせぬよ」
「そ、そうなんですね。なら私も姉様と行ってみたいな」
ホっと息を吐く白湯。
「まあ、お猿さんが泥をぶつけてきたり、妖怪や神様がいたりします。それと食材が牙を向いてくる事もあるそうですよ」
「その宿って本当に大丈夫なんです!?」
急に不安になった黄。身体や心を休ませる宿だというのに危険が伴っては意味が無い。
「大丈夫ですよ。閻魔亭には可愛くて誰もが恐れる紅閻魔ちゃんがいますからね。彼女がいれば安心です」
「そ、そうなのですか?」
「はい。大丈夫です!!」
ニコリと笑う楊貴妃であった。
「で、実際のところ大丈夫なの?」
コッソリと聞く瑞姫。
「大丈夫ですって………たぶん」
「たぶんって…」
実際のところ閻魔亭には様々な者が来る。神や怪異といったものは人間の常識を軽く超えてくるものだ。
「それは置いておいて、閻魔亭の温泉は美容にも良いんですよ。お肌もツルツルになりますし」
「へえ。それなら私も行ってみたいわ」
お肌がツルツルになる美容効果良しと言われると行ってみたくなる。しかも閻魔亭は秘境中の秘境ではなく魔境。効果も抜群に効きそうだと証拠もないけど信じられる。
もしかしたらお肌がツルツルになるだけじゃなくて若返るなんて事もあるかもしれない。
「それにしても楊貴妃って肌が綺麗よね。なんか秘訣はあったりするの?」
「真珠を飲む事ですかね」
「真珠を飲むの?」
同じ后同士、美容について話が盛り上がっていく。
「ふむ…そう言えば空丹と瑞姫は夫婦であったな」
ふと、武則天が思い出す。
「そうよ」
「急にどうしたのふーやー奶な…」
「あん?」
武則天が何処からかノコギリを出す。
「ふーやー姐姐!! 姐姐!!」
ノコギリを見て急に言い直す。尤も楊貴妃が武則天の事を「奶奶(おばあちゃん)」と言うのは家系図的にしょうがない。
「あの子って時折、怖いわよね」
「うう、ノコギリ怖い…」
「あんた、あの子に何されたのよ」
ガクガクブルブルと振るえる楊貴妃。
マスターも武則天が楊貴妃に何をしたか分からない。
「まあ、こ奴のお仕置き(拷問)は後でやるとして…」
「後でお仕置き(拷問)は確定なの!?」
絶望する楊貴妃を置いておいて武則天はちょっと気になる事を聞き出す。
「空丹と瑞姫って今も夫婦関係なのか?」
何となくだが気になったので聞いてみただけだ。
「そうだけど」
「いえ、もう空丹様と瑞姫殿は夫婦ではありませんね」
ここで黄がきっぱりと否定してくる。
「なんで黄が断定するのよ」
「あら、私と瑞姫はもう夫婦じゃないの?」
「そうですよ空丹様」
「だから勝手に決めないでよ」
月たちが起こした大粛清と反董卓連合により漢室は崩壊。空丹と瑞姫は離れ離れになったのだ。
瑞姫に関しては死んだとも思われているくらいであり、そうなるともう夫婦でないと言われてもしょうがない。
ならば今の空丹と瑞姫は夫婦か言われれば微妙なところだ。
そもそも一般人が思う夫婦と空丹と瑞姫の夫婦はちょっと違うかもしれない。彼女たちの夫婦には政治的関係というのが含まれているからだ。
政略結婚というのは昔からあったが瑞姫はその美しさから見初められて皇后となったのだ。そこに愛があったかどうか分からない。
空丹としては瑞姫の事を嫌っては無い。だが一般的な夫婦愛というのは分かっていないのはあるかもしれない。
「空丹様。瑞姫は今も変わらず貴女様の后ですわ」
「はん、よく言いますわね。どうせ反董卓連合の時は自分が助かるために空丹様を売ったんじゃないですか?」
「そんな事してないわよ」
「どうだか」
息をするように嘘を付く瑞姫。ここに諸葛孔明たちが居なくて良かったはずだ。
「何だかよく分からないけど瑞姫と夫婦なのは良いと思うわ」
「ああ、空丹様。お優しい」
「空丹様。離縁手続きをしましょう」
「黄がそう言うなら、そうした方が良いのかしら?」
「黄、ちょっといい加減にしなさいよ」
何だかドロドロしそうな話になりそうだ。
「ちょっと小さな子供がいるのですわよ。そういうお話は他の所でやってくださいませ」
「ぐ、麗羽殿に言われるなんて」
ちょっとショックを受けた黄と瑞姫であった。
「わぁ、綺麗で凄ーい!!」
「ええ、本当に綺麗ね」
一方、空丹は既に興味を無くして璃々と一緒に始皇帝の水銀操作を楽しんでいた。
「はっはっはっは。水銀は良いぞ。味はマズイけど」
読んでくれてありがとうございました。。
次回は2週間後に更新予定。早く更新できたらします。
今の所、流れは原作と変わらないですが、徐々にオリジナル展開になっていきます。
藤丸立香たちの活躍はまだ少ないですか、益州攻略編の後半からいっきに出す予定です。
469
益州にいる劉備とは一体…?
まあ、分かる人は分かりますね。あの人です。
ヒント…アニメ版のあの人。
470
やっとこさ馬超たちと李書文(老)も本編に出てきます。
そして『絶招経路按摩』。閻魔亭イベントでグっちゃんパイセンが施術されたアレ。
とんでもない施術ですが効果は抜群に効くという。
471
桃香たち益州に向けて行軍中。原作と変わらない流れですね。
次回は葭萌関の戦いかな。
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蘭陵王のフェイスフラッシュ!!
炎蓮も流石に目を潰される。
ここのメインは本当にフェイスフラッシュ。
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馬車の中に9人も入れるの?というツッコミは飲み込んでください。
璃々ちゃんってばお母さんの知らない間に始皇帝の膝に座ると言う偉業を達成。
この子はきっと大物になります。