Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
早く書けたので早めの更新です!!

ついに益州攻略編も終わりになります。次回か次々回くらいですかね。
そしてタイトルから分かるように『彼女』の顔が判明です。
まあ、読者の皆さんはほぼ分かっていたようですが。

では、本編をどうぞ!!


同じ顔

508

 

 

宝剣『靖王伝家』が盗まれた。

見つける為に諸葛孔明と司馬懿(ライネス)は事件の謎を解明しようとしていた。

魔術的な側面も含めて捜査をしたのだ。

 

まず結果から言うと魔術的な要素は何処にもなかった。桃香の部屋から屋敷の全ての部屋から廊下を調べたが何も出てこなかったのである。

この事から魔術、妖術によって盗まれたわけではない。

 

桃香は劉備軍のトップなのだから護衛は当たり前にいる。彼女が住む屋敷や部屋にも見張りがいるのは当然だ。見張りたちは怪しい人物を見ていないらしい。

 

「まあ、盗人なら見られないように動くのは当然だけどね」

 

ちょっと反則技として魔術を使用して潜入や侵入した形跡がないが司馬懿(ライネス)は調べてみたが痕跡は無かった。

屋根裏から侵入したとか、裏口から侵入したとか、そういう痕跡は何1つ無い。

 

「調べた結果…誰かが侵入した結果は無かった。いや、宝剣が盗まれたから誰かが侵入したのは確かなんだけどね」

 

侵入した形跡が無いが宝剣は盗まれた。これでは矛盾である。

 

「そうなるとこういう仮定が出てくる。侵入したのではなく、堂々と正面から入って来たんじゃないのかとね?」

「正直に言うとありえないかと思うが私もライネスと同じ考えだ」

「でも正面から堂々と入れば見張りの兵士たちに捕まるのは当然」

「なら見張りに怪しまれない者という事だ」

 

諸葛孔明と司馬懿(ライネス)が出した答えは犯人は正面から堂々と桃香の部屋に入って行って宝剣を盗んでいった。そしてその方法が出来るのは見張りの兵士たちが仲間だと思っている者。

 

「内部犯の可能性だ」

「でもそれは誰もが否定したね」

 

桃香の部屋に入った者たちを挙げると愛紗や朱里たちだ。しかし誰もが盗んでいないと言う。そもそも彼女たちが宝剣を盗む動機が無い。

 

「彼女たちを見るに裏切りとかそういう雰囲気は見られない」

「そうなると…こういう考えが出てくる。変装、もしくは同じ顔の者が盗んだのではないかと」

 

変装はまだしも、同じ顔の者なんてそうそう居ない。世界には同じ顔の人が3人いるなんて言うが実際のところ分からない。

カルデアでは当然のようにいるが。そもそも本人たちであるが。

 

「何を言っているんだという考察だが…至って真面目な考察だよ」

 

犯人を見つける為に考察を基準にして捜査を進めようとしたが益州攻略が始まってしまったので一旦、中断された。

 

 

509

 

 

パキンと龍の仮面が割れた。カランと割れた仮面が地面に落ちる。

 

「外したか…!!」

 

せっかく李書文(殺)が絶好の隙を作ってくれたのに仕留める事が出来なかった事に申し訳ない。しかし、まずはまだ敵を倒していないという事実を理解して警戒を解いてはならない。

 

「追撃するぞ愛紗」

「ああ」

 

すぐに2人は追撃するために暗影に向かおうとしたが足が止まった。足が止まる理由が出来た。

 

「え…」

「な…」

 

彼女たちの目には信じられないものが映ったからだ。

 

「え、愛紗?」

 

翠は愛紗と暗影を見比べてしまう。

愛紗は言葉が出なかった。なんて言えばいいか分からなかったからだ。

 

「ほう」

 

李書文(殺)は結構見慣れた光景だからそこまで驚きは少ない。

 

「愛紗が2人?」

 

3人の目の前には暗影がいる。それは当たり前だが、愛紗と翠が驚いた理由は彼女の顔にある。なにせ暗影の顔が愛紗の顔と同じだからだ。

 

「なあ…愛紗に双子の姉か妹でもいたりするか?」

「私に双子はいない」

 

本当に愛紗そっくりだ。違うところがあるとすれば白い肌に白い髪、翡翠色の眼球、右頬に刺青があるくらいである。

それ以外は鏡合わせのようにそっくりなのである。

 

(オルタ?)

 

李書文(殺)はカルデアにいるオルタ組を思い浮かべる。

 

「だ、誰だ貴様は!!」

 

なんとか愛紗は口を開いた。

 

「私は誰か…か。そうだな、ただの負け犬かな」

「何だと?」

「何でもない。私の名前に意味は無い」

 

邪龍偃月刀を構える。

 

「こういう反応が面倒だったから仮面を着けていたが…顔を晒したならもう隠す必要はない」

 

どうやら暗影は自分の事を話す気がない。彼女の殺気はいまだに愛紗へと突き刺している。

何故、暗影は愛紗に対してそれほどまで殺意を、嫌悪を抱いているのか分からない。

まさか同じ顔だからという理由なんてはずがない。暗影の愛紗に対する殺意は明確な理由があるはずなのだ。しかし愛紗は暗影に対して恨まれるような事はしていない。

同じ顔の者と出会った事があるならば絶対に忘れるはずがない衝撃である。

 

(本当に誰だ?)

 

今までの記憶を思い出すが暗影に出会った事は一切無い。今回の戦で初めて出会ったはずだ。

 

「貴様は誰だ」

「私の事なんてどうでもいい」

「どうでもよくない!!」

 

同じ顔であり、知らない恨みを抱かれる。愛紗からしてみれば確かにどうでもよくない。

 

「貴様は何故私を殺そうとする。何故恨みがある。私が貴様に何をしたというのだ!!」

 

もしも愛紗が暗影に恨みを抱かれるような事があるのなら納得できる。だからと言って殺されるつもりはない。

ただ納得も出来ないままなのは心が淀む。暗影は愛紗に対して何に恨みを持っているのか。

 

「私が貴様を恨む理由か」

 

真っすぐに視線を飛ばす。その翡翠色の目の奥には怒りが隠れている。

 

「貴様の馬鹿げた『義』という思想だ」

「な、そんな理由で……納得できるかぁ!!」

 

自分の尊ぶ思想が理由で恨まれる。訳が分からない。そんな理由で殺されるわけがいかない。

 

「私は絶対に貴様に殺されない。ここで貴様を討つ」

 

青龍偃月刀を構える。

 

「私は桃香様を、ご主人様を、鈴々を守ってみせる。貴様の言うわけの分らん妄言を実現させるつもりはない!!」

「言うじゃないか」

「当たり前だ!!」

 

大切な姉妹を、愛する男を殺させはしない。

 

「先ほどから私ばかり…貴様はどうなのだ」

「なに?」

「貴様に大切な人はいるのか。それほどの強さを持っていながら守るべき人がいるのかと聞いている!!」

「私の…守るべき人。…香様。……ご…様」

 

ポツリと何かを呟いた暗影。

 

「ただ力しか持たない貴様に、大切な人もいない貴様に私は負けん!!」

「……っ!!」

 

暗影の顔に怒りの形相が見えた。感情の無さそうな顔かと思っていたがそうでは無かった。

 

「貴様が……それを言うかぁ!!」

 

濃厚な怒りと殺気が周囲を飲み込む。発しているのは当然、暗影だ。

 

「私に大切な人がいないだと…そんなはずあるか。私には守るべき人がいた!!」

 

怒りと殺意を静かに発していたが今の彼女は感情を爆発させたように荒げた。

 

「もういい。貴様と話していると頭がおかしくなりそうだ」

「それはこっちの台詞だ!!」

 

愛紗と暗影の話は何処か噛み合わない。

 

「ここで確実に殺す」

 

邪龍偃月刀に濃厚な妖力が集中する。

ゾワリと誰もが悪寒を感じてしまい、すぐに構え直す3人。

 

「牙竜…」

 

暗影の背後から何か巨大な力の塊が見えた。

 

「はぁい。そこまで」

 

背後から暗影は何者かによって両目を片手で塞がれ、もう片方の手で胸を揉まれた。

すぐに背後にいる誰かを振り払おうと邪龍偃月刀を一閃。

 

「危ないわね」

「何故ここにいる」

 

いきなり現れた第三者。

 

「誰だ?」

 

紫と黒を基調としたドレス風な服を着ており、手には鎌。そして顔には骸骨の仮面を着けていた。

 

「冷静になれたかしら?」

「……はあ。お陰様でな」

「なら良かったわ」

「胸を揉む必要は無かっただろう」

「さぁて、何の事かしら?」

 

呆気らかんという感じで惚けている。

 

「それよりも答えろ。何故ここにいる。確か宝珠集めをしているはずだろう」

 

会話内容から暗影と骸骨仮面の女は仲間のようだ。

 

(宝珠?)

 

少し気になるワードが聞こえたが今は置いておく。

 

「何でここにいるかと聞かれても、命令を受けたからよ。貴女が暴走しないように見張ってろってね」

「暴走はしていない」

「呆れた。さっきの貴女を見せてあげたいわよ」

 

先ほどの暗影は暴走かどうかと言われれば怒りによって暴走間近と言うべきだ。

 

「それよりも撤退するわよ」

「撤退だと?」

「周りを見なさい。兵馬妖が崩れてるでしょ。あの…益州の劉備だっけ? 負けたみたいよ」

 

周囲を良く見ると兵馬妖は停止しており、崩れている。

 

「じゃあ桃香さまは」

「どうやら蘭陵王と一刀がやったみたいだな」

 

確定ではないが少しだけ安心した。

蘭陵王と北郷一刀は桃香を助け、益州の劉備を倒したということだ。

 

「もうここに用は無いわ。さっさと帰るわよ」

「いや、私は関羽を殺す」

 

殺気がまた愛紗に向けられる。

 

「来るか!!」

 

来るなら来いの精神で青龍偃月刀を構え直す。

 

「帰るわよ」

「1人で帰ってろ」

 

暗影が愛紗に向けて駆け出そうとした瞬間に別の殺気が場を支配する。

 

「私に同じ事を言わせないで」

 

チャキリと鎌を持つ骸骨仮面の女。

 

「………分かった」

 

邪龍偃月刀を降ろす暗影。

 

「良い子ね。後で閨に呼んであげるわ」

「それは断る」

 

殺気が消える。戦う気はもう無く、撤退するようだ。しかし、それよりも気になる事は残っている。

暗影はもちろんの事、急に現れた骸骨仮面の女が何者かという事だ。暗影は益州の劉備の仲間かと思っていれば別に仲間がいる。何かしら目的があって益州の劉備の元にいたのかもしれない。

 

「待て、貴様らは一体…!?」

「じゃあね。可愛いお二人さん」

 

黒い靄のように囲まれたと思ったら2人は消えていた。

 

「消えたか」

 

李書文(殺)が黒い靄が発生した箇所を調べてみるが何も無かった。

 

「もう大丈夫そうだぞ」

「そ、そうか」

 

緊張の糸が切れたのかガクリと膝をついてしまう愛紗。

 

「大丈夫か愛紗!?」

「ああ。少し疲れた程度だ」

「それで少し疲れた程度かよ」

 

やせ我慢も極めれば頑固者なのか否か。しょうがないと思いながら翠は愛紗に肩を貸す。

 

「翠?」

「城門に行くんだろ?」

「…頼む。桃香さまとご主人様の元に行かねば」

「2人とも儂がおぶっていこうか?」

 

結局のところ謎だけが残った。しかし愛紗には分かった事がある。

それは暗影とはいずれ決着をつけねばならないという事だ。

 

 

510

 

 

各戦場で兵馬妖の動きが止まっり、ガラガラと崩れていく。

 

「あれー?」

「土の兵士さんが動かなくなっちゃった」

「□□(戦は終わりか)」

 

呂布奉先も停止する。

 

「どうやら戦は終わりか」

「そのようですな。反董卓連合以来の異変だった」

 

荊軻と星は武器を下す。

停止した兵馬妖をちょんちょんと触って確かめると動かない。

 

「本当に妖術で動く土人形なのだな」

 

兵馬妖が停止した事でどの戦場でも静かになった。

 

「此方の勝ちのようだな」

「うん 黄祖と戦った時と同じ」

 

黄祖との戦いも敵将である黄祖を討ったら兵馬妖は停止し、崩れ去ったのだ。前例を知っている俵藤太と哪吒は武器を下した。

 

「もう平気なのか?」

「うむ。此方の勝利だ厳顔殿」

「そうか」

 

豪天砲をドコンと地面に降ろす。相当な重さだと嫌でも理解できる音だ。

そんな重い豪天砲を軽々と持っていた彼女の膂力は相当なものだろう。

 

「桔梗に俵殿、哪吒殿、無事?」

「おー、紫苑。全然平気だ。これから一献やりたいくらいだよ」

「酒か。なら拙者もぜひ。荊軻殿や燕青殿を誘うのも良いかもしれんな」

「もう、気持ちは分かるけど後になさい。まだ終わってないのよ」

 

戦は終わったがまだやる事は多い。

負傷兵の数や戦場の状況。本当に敵は残っていないか。何処からかまだ敵が攻めてくる可能性もある。

戦いに勝利した後が一番油断している状態なのだ。まだまだ気を緩めてはいけない。

 

「桃香様ぁああああああ!!」

 

焔耶は全速力で城門へと向かう。

 

「おー…速いな」

「もしかしたら馬よりも早いかも」

 

その後ろを追いかけるは燕青と蒲公英だ。兵馬妖を蹴散らしながら徐々に城門に向かっていたのだが先ほど兵馬妖全てが停止したので急いで走り出している。

彼女の頭の中を支配しているのは桃香だけだ。早く救出せねばならないという考えでいっぱいなのである。

 

「あ、燕青に馬岱さん!!」

「主ぃ!!」

 

横から忠誠を誓う藤丸立香の声が聞こえてすぐに振り向く。

 

「大丈夫か主?」

「ちょっと魔力切れ」

 

李書文に抱えられたマスター。

 

「わ、大丈夫なの藤丸さん?」

「大丈夫だよ馬岱さん。ちょっと休めば動けるから」

 

更に後ろから炎蓮に傾、秦良玉も続いていた。

 

「于吉は何処だぁああ!!」

 

大きく叫ぶ炎蓮。

 

「え、なに。于吉がいるのか?」

「もしかしたらって話」

 

戦場では于吉の姿は見ていない。兵馬妖が戦で投入されているからもしかしたら何処かに居る可能性があるだけだ。

このまま合流し、城門へと走っていく。

 

 

511

 

 

「空丹ちゃーん、白湯ちゃーん!!」

 

玄奘三蔵と恋は空丹と始皇帝たちがいる場所に急いで向かったが遅かった。

 

「…終わってる」

 

恋はポツリと呟いて方天画戟を下した。

「終わっている」と呟いたのは戦が終わっているからだ。但し、玄奘三蔵たちにとって悪い意味ではない。

 

「む、法師に恋だな。救援に来てくれたは大義であるぞ。しかしちと遅かったな」

 

始皇帝と武則天、楊貴妃の周囲には兵馬妖が破壊された残骸が転がっていた。

 

「まったく土人形では拷問のしがいもない」

「うう…始皇帝陛下の足手まといにならずに済んで良かったです」

 

兵馬妖の残骸は周囲に転がっており、空丹たちがいる場所には近づいた形跡は1つも無かった。

 

「あたしたち出番が無かったみたいだね恋ちゃん」

「……うん」

 

せっかく救援に来たのだが必要が無かったようだ。

 

(ふむ…これが兵馬妖か。兵士のものしかないな。他にも種類があるはずなのだが)

 

始皇帝の思った事は正解だ。別の種類の兵馬妖は藤丸立香たちが戦った。

ヒョイと兵馬妖の頭を掴んでジィィっと見る。

 

「どうしました始皇帝陛下?」

「んー、何でもない」

 

やはり兵馬妖が気になる。正確には兵馬妖を作ったこの世界の始皇帝にだ。

 

 

512

 

 

益州の劉備が発動した宝剣の光もとい雷。

宝剣の雷を桃香たちに落ちた時に不思議な事が起きたのだ。それは直撃したはずなのに傷が浅かったという事。

人間が雷を喰らえば普通は死ぬ。生きていたら奇跡である。

 

「蘭陵王が身代わりになってくれたと思ってたけど違うらしい。蘭陵王も雷を喰らっていないと言っていた」

 

誰も宝剣の雷を対処していない。ならばどうして無事だったのか。

北郷一刀の目に映ったのは桃香の腰に携えていた『龍の剣』だ。

『龍神の剣』の正式名称は『龍神の爪』と言う。

何でも妖術に携わる者の間ではよく知られている剣らしく、「時が満ち、卵から孵った龍が雷と共に天に帰らんとする時、1本の爪と落としていく。地に落ちた爪は1本の剣となり、それが高貴な血筋なる者が手にし、強き思いを込めて振るうとあらゆる悪しき力を打ち破り、敵を貫く」という言い伝えの剣だと言われている。

 

この詳細を華佗から聞いた時は驚いた。そしてすぐに不思議な少年を思い出した。この剣は不思議な少年からもらい受けた物だ。もしかしたら少年の正体は龍かもしれないと騒いだほどである。

 

『龍の爪』は本当に伝説の生き物である龍の身体の一部から出来た剣なのだ。

龍とは嵐と結びき、嵐とは強風や豪雨、雷。龍は天候を操る存在だ。

 

「龍は嵐の中を翔る存在。なら雷なんて平気なのは当然だ。てか、そのイメージしかない」

 

『龍の爪』に宝剣『靖王伝家』の雷を斬る、無効にする力があってもおかしくない。

だからこそ北郷一刀は一か八かの賭けに出たのだ。

 

益州の劉備が宝剣の雷を撃った後は隙が出来る。どんな達人も奥義や大技を打った後は隙が出来るものだ。少しでも隙を作れば勝機がある。

そのためには益州の劉備には宝剣の雷を撃ってもらわねばならない。ここで桃香の出番。彼女には益州の劉備に舌戦で言い返してもらわないといけない。決着をつけるために誘導しなくてはならない。

すぐには無理だからこそ、そこは北郷一刀と蘭陵王がサポートするしかなかった。それでも桃香は自分の答えを益州の劉備に叩きつけた。

その姿に北郷一刀は心が熱くなるのを感じたが作戦を忘れてはいけない。どうやら流れは桃香たちに傾いた。

 

益州の劉備は予想通りの動きをしてくれたのだ。

今がまさにチャンスと判断した結果、桃香は『龍神の爪』を天へと投げたのだ。

『龍神の爪』は北郷一刀が予想した通りの力を発揮してくれた。避雷針の役割を果たしたのだ。

まさかの策に益州の劉備は確かに隙を作ってしまった。その隙を蘭陵王は見逃さない。

一瞬にて間合いに入り込んで剣を一閃したのだ。

 

「ば、馬鹿な」

 

益州の劉備は倒れる。鎧姿は解除されて、消えた。

 

「みね打ちです」

 

カランカランと『龍神の爪』と『靖王伝家』が音と立てて転がった。

 

「俺らの勝ちだ益州の劉備」

「………私の負けなのか」

 

敗北を認めたのか益州の劉備は立ち上がりもしない。

 

「兵馬妖も動きを止めたようですよ」

 

蘭陵王は城門の上から戦場を確認すると兵馬妖が止まっているのを確認。

兵馬妖を止めるには益州の劉備を倒さねばならない。兵馬妖が停止したという事は彼が心の底から敗北を認めた証拠だ。

 

「劉備さん…」

 

敗北を認めているとはいえ警戒は解かずに北郷一刀と桃香は近づく。

 

「どうしてこんな事をしたんですか」

「……言っただろう。益州の州牧になるために君を倒すと」

「それって嘘じゃないんですか?」

 

まさかの発言に北郷一刀は驚く。それは益州の劉備もだ。

 

「何を言っている。気でも触れたか?」

 

普通なら確かに「何言ってんの?」と思うだろう。だが北郷一刀は桃香の話をこのまま黙って聞く。

 

「だって…」

「だって、何だ?」

「貴方は私に理想と現実の厳しさを教えてくれたじゃないですか」

「馬鹿な事を…私は本気で君を殺そうとしたんだぞ」

「それでも貴方は私を試そうと、覚悟を出そうとしてくれたんじゃないですか?」

 

これは桃香自身だからこそ感じた事だ。確かに益州の劉備に殺されかけた。しかし何処か何かを示そうとするようにも感じたのである。

 

「わたしは迷っていました。でも貴方との戦いで答えが見えた気がするんです」

「それは君が勝手に見つけただけだ」

「ううん。劉備さんのおかげだと思うんです」

 

まさかの発言に益州の劉備は目を見開く。本気で驚いているのだ。

 

「君は本当に…」

 

益州の劉備は何かを言いかけようとしたが言葉が出なかった。その前に彼の視界にあり得ない者が映ったからだ。

 

「後ろだ劉備!!」

「え?」

 

桃香の背後には紫と黒を基調にした服に虎の仮面を被った者が剣を振りかぶっていた。

気配も何も感じなかった。気が付けばそこに立っていた。

 

「桃香!?」

「桃香殿!?」

 

剣が振り下ろされ、血が飛び散った。




読んでくれてありがとうございました。
次回の更新は2週間後予定。早く書けたら更新します。


508
そう言えば宝剣の捜索について書かなかったと思って。
まあ、本編の流れで書かなくても良かったですけど…オマケ的な感じ書きました。
もうどうやって盗まれたかなんて敵sideで説明しちゃってましたし。


509
暗影の仮面が割れた。その顔は愛紗にそっくりだった!!
まあ、皆さん分かっていたみたいですけどね。
彼女の正体は天下統一伝に登場する暗影の1人です。
今回の本編では詳しく書けませんでしたが、次出す時には彼女についてオリジナル設定を加えつつ書いていきたいと思います。
愛紗と暗影の決着はまた今度です!!

急に現れた骸骨仮面の女。彼女の正体は誰なのか!?
これもすぐに正体を特定されそうです。


510
兵馬妖が停止した後の各戦場の状況についてですね。
特に何かあるわけじゃありません。


511
玄奘三蔵と恋は出番なし!!
始皇帝たちが兵馬妖を倒していました。
普通に倒したので活躍シーンはカット。申し訳ございません始皇帝陛下。
そしてやっぱり恋姫世界の始皇帝が気になる始皇帝。


512
ついに決着。
北郷一刀が考えた策とは龍神の剣を使った避雷針作戦でした。
龍の一部から錬成された剣なら雷を無効化する力があってもおかしくないと考えた結果です。

益州の劉備は自分を強くする為に戦った。そう思ってしまった桃香。
読者の皆さんの中にはちょっと気付いているというか、そう思われた方が何人かいたようです。これがどういう事かは次回で分かります。
次回で分かるんですが、まさかの展開に。

次回をゆっくりとお待ちください。

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