Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
今回のハロウィンイベントも色々と予想外でした。
予告とか…ニチアサ感が強い。


てか、礼装がガチャで来ないんですけど!?←(個人的な叫び)


洛陽での日常1

66

 

 

洛陽のある食事処にて。

 

「おいしいー!!」

「あ、てんほー姉さんそれちぃの杏仁豆腐!?」

「そんなのまた頼めばいいんだよ」

「そうだけどさー」

「2人とも行儀が悪いわよ。まったくもう」

 

張三姉妹はまったりと昼食を食べていた。

 

「よく食べるね」

「だねぇ」

 

彼女達のお目付け役として藤丸立香と燕青が居る。

彼女達はもう黄巾党の首魁では無い。またただの旅芸人だ。でも今はまだ公に活動できないから藤丸立香の所で世話になって居るのだ。

 

「今日は立香が奢ってくれるんでしょ?」

「今日も、だからね。ちぃちゃん」

 

最近はよく藤丸立香にべったりの3人。そして彼女達の真名も預けてもらっている。

そもそも張角、張宝、張梁の名前はもう使えない。そうなるともう名乗るは真名くらいしかないのだ。

最初は彼女達、もとい地和は反対したが残り2人は構わないとのことで、結局納得した。その為に今は真名で呼んでいるのだ。

 

「今日もだっけ?」

「うん」

 

最近べったりなのでよくタカられる。色々有ったというのにポジティブというか根性が有るというか。

でも呂布や武則天の前では大人しく成るけど。本当にこの外史の呂布の間で何が有ったのやら。

 

「はあ~それにしても歌が歌えないってキツイわ」

「ねー。私は早く皆で歌を歌いたいよー」

「しょうがないわよ。こればかりは大人しくしないと」

 

黄巾の乱から熱は冷めてきている。彼女たちの歌が解禁されるのもあと少しだろう。

 

「もし次に歌を歌う時は気を付けて。あと言葉にはね」

「わ、分かってるわよ」

「大丈夫。次からは私が釘を刺しとくから」

「頼むよ人和」

 

この天和と地和を纏めているのは人和の様だ。彼女だけが頼りかもしれない。

 

「それにしても…2人ともカッコイイよねー」

 

天和がいきなり藤丸立香と燕青を褒めた。いきなりなんだなんだという顔をしてしまう。

 

「お姉ちゃんは立香くんがいいかな」

「え、そうなのてんほー姉さん。アタシは燕青かな」

 

いきなり男の値踏みが始まったんだが。これには人和もため息。

 

「お姉ちゃんは立香くんをお世話役として任命します」

 

もう既にお世話しているという言葉は飲み込んだ。

 

「じゃあアタシは燕青に!!」

「俺はもう主を世話してっから」

「えーお世話してよ」

「もうウチの主にしてもらってるだろぉが」

 

燕青は呆れ顔。残念だが彼の忠誠は藤丸立香に捧げているので地和のお願いは無理だ。

 

「面白い話をしておるのうお主ら」

「わっ、アンタいつの間に!?」

 

気が付いたら武則天が食卓を囲んで居た。これには張三姉妹は驚く。

アサシンクラスなのだからこれくらいは当たり前だ。

 

「それにしてもアイドルか。妾も別のどこかの妾がアイドルをやった気がするのう」

「何言ってんだ?」

 

燕青がツッコミをしてから武則天を加えてまた食事を再開するのであった。

 

「そもそも何で3人はふーやーちゃんが苦手なのさ。特にちぃちゃん」

「だ、だって…その子あたしたちを拷問しようとするんだもん!!」

 

そういえば最初の顔合わせた時が敵同士だったし、武則天の質の悪い冗談が少し彼女達のトラウマになっているのかもしれない。

 

「大丈夫。そんなことさせないから」

「うー…頼むわよ立香」

「はいはい」

 

流石に武則天には好き勝手に拷問させない様にはしている。彼女もまた藤丸立香が居る所では拷問をしていない。

だから張三姉妹がマスターである藤丸立香に何かしなければ大丈夫だろう。

 

「ところで…あいどるって何?」

 

天和は武則天の言った『アイドル』という言葉に反応したようだ。この三国時代には『アイドル』という言葉なんてまだ存在しない。

そもそも横文字自体が無いのだから、この反応は当たり前なのかもしれない。

 

「アイドルってのは……まさに貴女達の事です」

「歌を歌う人の事?」

「あながち間違いじゃないね」

 

そう言えば彼女達は熱狂的なファンという名の黄巾党た達が居た。崇拝される人物としてまさに黄巾党の『偶像』で有った。

そうなると彼女達はまさに『アイドル』だろう。

 

「あいどるかー」

「良い言葉ね!!」

「ふむ、あいどる」

 

どうやら張三姉妹は『アイドル』という言葉が気に入ったようだ。

 

「それにしても貴女って歌えるんだ?」

「歌えるわ。これでもアイドルグループを立ち上げてカルデアで多くのファンを作っていったのだからな。そんな気がする!!」

「それ知らないんだけど」

 

その話はまた別の武則天の話なのだから藤丸立香が知らなくて当然である。

 

「ふ、ふーん。で、ちぃたちの方が絶対歌が上手いからね」

「お、言ったな小娘」

 

そういえば武則天は皇帝特権というスキルが有るから本人が主張する事で短期間だけ獲得できる筈だ。

そもそも彼女ならば皇帝に至るまでの努力で歌という分野にも手を出していたかもしれないが。

 

「くっふっふ。なら、どっちが上手いか勝負するか?」

「じょ、上等よ!!」

「ちょっと地和姉さん!?」

 

何だか勝手に武則天と地和が睨み合いをしている。最も武則天は涼しい顔だ。

また武則天が暇なのか、気まぐれなのかで張三姉妹をからかって居る様である。

 

「おいおい…」

 

燕青も呆れ顔をしている。

 

「何か面白そうだな。歌や踊りは俺も好きだぜ」

 

そうでは無く、彼もノリ気の様である。

燕青もまたこういうのが好きな人物だ。食って飲んで歌って踊る。これもまた彼の生き様の1つなのだから。

 

「よーし、丁度ここは飯屋で人も居る。観客なら揃ってるぜ」

 

燕青がおもむろに楽器を取り出す。どこから取り出したかは聞かないでおく。

彼は様々な技術を持っている。その1つが楽器だ。前に頼んで楽器を弾いてもらった事があったが、とても上手かった。

 

「んじゃま、俺が前座で一曲弾いといてやるよ」

 

燕青が楽器を弾き始めると店に居るお客全員の目と耳が集中する。前に聞いた事があるがやはり上手い。

 

「わあ!? 良い!」

「いいじゃない」

「本当に上手い…!?」

 

張三姉妹も聞き入っているようだ。

 

「ふふん。中々やるな遊客め」

 

武則天もまた人の努力と技術は良いものならば認める。

燕青の前座で店に居るお客たちは良い感じに盛り上がっている。

 

「ならば次は妾じゃな」

 

今度は武則天の番。

 

「くっふっふ~。高貴な妾の歌声を聞けるなぞ人生を何度やり直してもあるかどうかのシロモノじゃぞ」

 

歌い始める武則天。確かに彼女の歌は素晴らしく、聞けた事は幸運であろう。

彼女の歌声に見惚れて、聞き入ってしまう程だ。既にお客達は武則天の歌声の虜である。その様子を見て地和は悔しそうだ。

 

「凄いよふーやーちゃん!!」

「だろうマスターよ。ほれ頭を撫でれ、飴もよこせ」

 

頭を撫でると嬉しそうに目を細めてくれる。

 

「ちぃだって負けてられないんだから」

 

最後は張三姉妹たちの出番だ。

 

「歌いましょう人和、てんほー姉さん」

「いいよー」

「ちょっと姉さん!?」

 

今は大人しくしていろと諸葛孔明から釘を刺されている。しかも場所が場所。此所は官軍の居る洛陽である。

人和の頭には黄巾党の出来事が思い出される。

 

「大丈夫よ。だって向こうから勝負を仕掛けてきたのよ」

「で、でも…」

 

チラリと此方を見てくる。本当に大丈夫なのかの確認だろう。

確かに諸葛孔明から釘を刺されたばかりだが場所が洛陽とはいえ、此所は飲食店の中。大々的に彼女達の歌を広めるわけでは無い。

そもそもエリザベートの件でこういうのは止めても意味が無いと既に理解している。結局は歌うことになるという事だ。

 

「いいよ」

 

親指を立てて笑顔で肯定。

 

「さっすが立香。分かってるじゃない。ほらお許しも出たし歌うわよてんほー姉さん、人和!!」

「わーい歌える。ありがとー立香くん」

「…もう」

 

天和は歌う気満々。人和は結局折れる。

 

「じゃあ行くわよ!!」

「いっくよー」

「ああ、不安だけど…歌だけは本気で行かないとね」

 

張三姉妹の歌が始まる。

黄巾党のみんなが魅了されるほどの歌声。

どれほどのものかと思っていたが、確かに黄巾党がファンになるのが分かる気がする。

彼女達の歌声は元気をくれるような感じだ。お客達も彼女達の歌でノリノリである。

 

「イエーイ!!」

 

つい藤丸立香もノってしまう。エリザベートのライブでは無かった事だ。

武則天の歌は見惚れて聞き入ってしまうのとは対照に張三姉妹の歌はテンションが上がって一緒に歌ってしまう。

 

「お、良いじゃねえか」

「ほほう。やるのう」

 

燕青も武則天も彼女達の歌を素晴らしいと評価。

勝負形式な感じであったが、もう武則天も燕青も加わって飲食店の中は完全にライブ会場になってしまう。

 

「次はまた妾の番じゃ」

「ノってきたからまた弾いてやるよ。主も歌おうぜ」

 

もう諸葛孔明の言っていた「大人しくしておけ」という忠告は彼方へと吹き飛んだ。

今まで歌う事を我慢していたのか張三姉妹は今まで我慢していたモノを全て吐き出すように歌う。

藤丸立香達は存分に歌うのであった。

 

「とても良かったよ」

「でしょー。立香くん私に惚れちゃったかなー?」

「どうよ。ちぃは天才なんだから!!」

「ふう、久しぶりに歌えて満足ね」

 

今日の1日で彼女達とまた仲良くなった気がする。一緒に皆で歌を歌えば心の距離が縮まるとは本当かもしれない。

 

「今度は大きな舞台で歌いたいな立香くん」

「あれ、何かマネージャーみたいな役割になってないよね」

 

藤丸立香、何だかんだで張三姉妹のお世話係からマネージャーになるのは時間の問題である。

そして、今日の事がすぐにでも諸葛孔明の耳に入ってみんなで説教されるのも時間の問題である。

 

「お前たち…」

「ゴメン先生」

 

 

67

 

 

今日は華佗と一緒である。

 

「ゴッドヴェイドォォォォォ!!」

「五斗米道とは…」

「何なのよ、あの暑苦しい掛け声は…」

「でも華佗さんの腕は確かだよ詠ちゃん」

「そこはアタシも認めてるわよ」

 

華佗の治療方法は見ていて頓珍漢のように感じるが、本人は至って大真面目。そして最高の結果を残してくる。

あの治療方法でどうやって治しているのか意味不明だが腕は董卓の言った通り本物である。

 

「診断や薬を作る時は普通なのに…針治療の時は何でああなのかしら?」

 

華佗は良い医者だ。なんせ慈善活動で大陸を旅していたほどなのだから。

そして熱い漢である。

 

「ふう、此所には手強い病魔はいない様だな…だが慢心はいけないな」

「お疲れ華佗」

「おう、立香…それに董卓に賈駆まで。何かあったか?」

「いや、兵達からアンタの腕が良いって褒めてたから見に来ただけよ」

「華佗さん。我が陣営の兵たちの治療ありがとうございます」

「ははっ、良いってことよ」

 

黄巾党討伐での負傷者は少なくは無い。そんな時に華佗が居てくれたからこそ、兵達の回復が順調なのだ。

本当ならばもっと多くの場所に回って負傷者を治療したいだろうが、華佗は洛陽に残ってくれている事に董卓は感謝しているのだ。

 

(本当にナイチンゲールと気が合うかも…あ、やっぱ分からん)

「それにしてもアンタらも気をつけろよ。特に賈駆」

「何がよ?」

「最近疲れが溜まってるんじゃないか。忙しいのは分かるが無理して倒れたら本末転倒だぞ」

「うっ…」

 

黄巾党討伐が終わってからの後処理は大変であったが、今は落ち着いている。それでも忙しいという事は他に何かが有るという事である。

その他の何かというのは華佗も藤丸立香も何も知らぬことであり、関係無い事である。そればかりは朝廷内の問題である。

余所者である2人は本当に知らなくて良い事だ。

 

「本当に気を付けてね詠ちゃん」

「それは月もでしょ」

 

だが賈駆としては無茶でもしなければ大切な董卓を守る事はできないと思っている。この朝廷内も近いうちに変わる。

それこそこの大陸に響き渡るような大きな変化である。そのために彼女は裏で策を講じているのだ。

 

「あ、そうだ立香。服を脱げ」

「え?」

「服を脱いで横になってくれ」

「え?」

 

いきなり華佗に服を脱いで横になれと言われて一瞬呆ける。

 

「ああ、そういうこと」

 

そしてすぐに理解。

 

「ちょ、何言ってんのよアンタ!?」

「はううぅ…」

「何って俺が立香をスッキリさせてやろうかと…」

「えっ、だから何をっ…それって」

「か、華佗さん…そんな趣味を」

 

董卓と賈駆は顔を赤くしながらアワアワしている。

 

「脱いだよ」

「ってアンタまで!?」

「え、だって華佗が俺の体調を見てくれるってだけでしょ?」

「ああ。どうも立香はこの中で一番体に疲れが溜まっているからな。俺の針治療でスッキリさせてやろうと思ってな」

 

華佗の答えを聞いた瞬間に2人は沸騰したヤカンの様になっていた。

 

「どうしたんだ?」

「な、何でもないわよ」

 

何か別の事でも考えていたのだろうかと首を傾けた。

 

「何だと思ってたの董卓さん?」

「ええっ…な、えと」

「ん?」

「いじめないでください立香さん…」

「いじめた覚えはないんだけど」

 

よく分からないがこれ以上董卓に先ほどの事を聞くのはダメらしいので止めた。

 

「「…」」

「どうかした?」

「いや、何でも」

 

一旦、落ち着いたと思ったら2人から視線を感じる。

 

(あれ、案外こいつって鍛えてる?)

(立香さんってば…意外に)

「お、案外鍛えてるんだな」

「まあね。色んな師匠や先生から鍛えられてるから」

 

多くの先生気質を持つ英霊からは多くの事を教えてもらっている。それは魔術の事だったり、鍛錬だったり、忍術だったりと様々だ。

そのおかげで身に付いた技術だって多くある。忍術で身代わりの術なら習得済みである。

 

「うーん、あちこち傷が有るな。お前今まで何をしてきたんだ?」

「…まあ、色々と」

 

体に刻まれた傷は今までの旅の記録でもある。

 

「まあ、任せろ。お前の疲れを我が五斗米道の鍼でスッキリさせてやるさ」

 

スっと針を出す華佗。針治療なんて初めてな気がする。

痛いのか気持ちいいものなのか分からない。だけど治療なのだから悪いようにはならないだろう。

 

「じゃあお願いします」

「任せろ。ゴッドヴェイドォォォォ!!」

 

華佗による治療が始まる。

そんな様子を横で見る董卓と賈駆。未だに視線はずらさない。2人が何を思っているかは内緒だ。

彼女達にとって男性の裸体をこんな間近で見るのは初めてなのだろう。特に賈駆はそういう耐性が無いので顔が真っ赤だ。

 

(それにしても…彼を治療した人は腕が良いな)

 

華佗は藤丸立香を鍼治療しながら体を診る。彼の体は傷だらけだが、腕の良い医者によって治療されている。華佗は彼の体にどんな傷があったか分かる目を持っている。だからこそ体中にあったであろう傷が多すぎるというのが分かる。

 

(ここなんか腹を貫かれた傷が有った…しかもあり得ないが人の手によって貫かれたんじゃないか?)

 

彼はどんな事をしたら人の手で腸を貫かれるなんて事になるのだろう? どんな旅や戦いをしたらこんな傷を受けるのだろう?

気になるが余計な詮索はしない。それは藤丸立香や華佗のためでもある。余計な人の詮索は自分の命を削ることだと知っているからだ。

 

「俺に出会う前に良い腕の医者に出会えたんだな」

「うん。婦長は腕が良いからね……あとウチには腕の良い医者がいたよ」

「…そうか」

 

藤丸立香はどこか懐かしそうで寂しそうな顔をする。その顔を見て、これ以上は話さない方が良いと判断。

こういう顔の人間は医者として何度も見てきた。きっと大切な人を失ったのだろう。

こうなれば何が何でも彼の疲れを取って見せると気合が入るものだ。

 

「行くぞ。ゴッドヴェイドオオオオ!!」

「いや、その掛け声はどうだろう?」

 

未だに謎が多い五斗米道。話に聞くと神農大帝が生み出した医術とか、医術を目的とした道教団体とかいろいろとあるらしい。

謎が多いが藤丸立香達にいずれ関わるのかどうかと聞かれれば分からない。

でも、もしかしたら華佗と五斗米道に大きく関わる何かが起こるかもしれない。それは事件なのか縁によるものなのか分からないが、今の藤丸立香はそう思ってしまった。

 

「げ・ん・き・になれええええええ!!」

「鍼を刺すたびに、その掛け声を言うの?」




読んでくれてありがとうございました。
次回もゆっくりとお待ちください。(たぶん来週予定です)

今回は張三姉妹と董卓たち(どっちかっていうと華佗)の日常回でした。
次回もまた日常回です。次回は…呂布たちや張遼予定です。

武則天がアイドル云々の話はFGOコミックアラカルトから参照致しました。
気になる人は買って読んでみよう。

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