Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
FGO4.5章『イマジナリスクランブル』が終わって2200万DL突破キャンペーンが開催。今回の看板英霊は紫式部さんだー!!と思っていたら…。
第5.5章『地獄界曼荼羅 平安京 轟雷一閃』だと…!?
早くもメインストーリーが12月上旬に更新されるのか!!
正直、期待大です。やっぱリンボと縁のある安倍晴明が実装されるのかな。
さて、もしかしたら来週にFGO第5.5章が配信されるかもしれないので更新ペースが落ちると思います。なので一気に3話更新します。
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カルデア会議と蜀会議が合体。カルデア蜀会議というそのままの会議が始まる。
会議に参加しているメンバーは藤丸立香に諸葛孔明、司馬懿(ライネス)、李書文(殺)のカルデア組みと北郷一刀に桃香、愛紗、翠、朱里の蜀陣営だ。
この会議で話される議題は愛紗そっくりの人物についてである。
「愛紗ちゃんそっくりの人かあ」
ポツリと桃香が口を開いた事で会議が始まった。
「俺らは見てないから分からないけど…そんなに愛紗にそっくりだったのか?」
「そんなにじゃない。愛紗にうり二つだったぞ一刀」
北郷一刀の言葉に翠は被せる様に話した。
「なあ爺さん」
「うむ。愛紗殿にうり二つだったぞ。あえて違う場所があるなら肌色や髪の色等だろう」
実際に目で見た李書文(殺)と翠は嘘をつかない。
「今思うと声も同じだったかもしれん」
「かもしれねえな」
戦時中は冷静に分析している暇は無かったが今なら後から気付いた事が出てくるものだ。
「ねえねえ、愛紗ちゃん」
「何ですか桃香さま?」
「双子の妹か姉がいたりするのかな?」
「それ翠からも言われましたが…私に双子はいません」
愛紗に双子はいない。兄はいるが今回の件には関係無い。
「愛紗さんとうり二つ、肌色とかが違うくらい……なんかオルタみたいだ」
「オルタ?」
藤丸立香が「オルタ」と言って反応したのは北郷一刀だ。
全員の視線が集中する。
「おるたとは何ですか藤丸さん?」
何か知っているのならば少しでもよいから情報を分けて欲しいのだ。
「オルタ。正確にはオルタナティブ」
「お、おるたなてぶ?」
「オルタナティブ」
「おるたるぶぶ?」
発音というか上手く「オルタナティブ」と言えない桃香と朱里。ちょっと可愛い。
「上手く言えなければオルタでオッケー」
オルタナティブもといオルタ。
実は藤丸立香だけでなく諸葛孔明たちは話を聞いていて、同じく「オルタ?」と心の中で思ったのである。
そもそも直接肉眼で見た李書文(殺)もオルタと思ったほどだ。
「オルタは簡単に説明すると別側面、もう1つの可能性という意味だよ」
「んん?」
いまいち理解していない桃香たち。朱里は深く考えている。
『オルタナティブ』という言葉はこの外史でまだ存在しない。その意味もピンと来ていないようだ。
言葉の意味は反芻すれば分かるが『オルタナティブ』という言葉で混乱してしまっている。
北郷一刀も『オルタナティブ』という言葉は何処かで聞いたことがある気がするが、どういう意味で使われているかまでは分からない。
「も、もう少し分かりやすく」
簡潔に言ったつもりであったが、まだ説明が足らなかったらしい。もっと分かりやすく説明しなければならないが続きを説明するとなると内容がややこしくなる。
藤丸立香が知っている『オルタナティブ』は別側面の英霊という意味だ。同一人物であるが別未来の人物とも言える。
『別側面』、『同一人物』、『別未来』、『並行世界』といったSF寄りの話に偏ってくる。これらを含めて説明しても桃香たちが理解してくれるか分からない。
「我が弟子よ」
「何ですか師匠?」
「こういう時は兄上にパスした方がいいぞ」
「それもそうですね」
2人して諸葛孔明に視線を送る。
「…はあ。しょうがないな」
ため息を吐きながら渋々了承。尤もこういうのは確かに今までの経験上から自分の役目かもしれないと思っている。
「ここから愛紗殿にそっくりな人物とオルタについて合わせて説明していくが…あり得ないと思う話や聞いた事も無いと思う事があるかもしれないからな」
「構いません。あり得ないという事は既に経験しておりますので」
朱里はまっすぐに諸葛孔明を見ている。完全に人の話を一言一句聞き逃さないモードになっているようだ。
兵馬妖や妖魔といった存在を最初は信じていなかったが実際に見てしまえば嫌でも理解する。
この世はまだ解明されていない事ばかり。朱里はこれでも多くの知識を頭に詰め込んでおり、今でも努力しているが彼女が得ている知識はまだまだほんの一握りだ。
名高い軍師である雛里や荀彧、周瑜たちでさえ朱里と同じだ。これから説明する諸葛孔明だって全知全能ではない。
世の中の自称を全て理解している人間なんていない。
「そして桃香殿たちが戦った『彼』が言った言葉も交えて説明しよう」
実はほぼ諸葛孔明の頭の中では答えが出ている。桃香たちから聞いた『彼』の言った言葉と愛紗そっくりの人物。
これだけでも色々と仮説がいくらでも立てられるのだ。
「まず、愛紗自身そっくりの人物…暗影と言っていたな。彼女の正体はもしかしたら愛紗殿自身かもしれない」
この言葉に藤丸立香たちカルデア組以外の者たちが「は?」という顔をした。
特に愛紗自身は意味が分からんという言葉を今にも叫びそうだ。
「その顔を見れば分かる。お前は何を言っているのだろう…とな。しかし此方は至って真面目に話している」
暗影の正体が愛紗。
自分はまさにここにいる。暗影とは翠、李書文(殺)と一緒に戦ったのに、その正体が自分自身と言われたら訳が分からなくなるのは当たり前だ。
「訳が分からないぞ」
愛紗の言葉を先に言ってくれたのは翠だ。しかし彼女は確信をついた事を言うのであった。
「なんだ、じゃあ孔明は愛紗が2人いるって言ってるのかよ」
「そうだ」
「…え?」
翠の言葉を肯定。
愛紗が2人いると諸葛孔明は言ったのだ。
「誰かが変装しているという考えもあった。それこそ桃香殿の宝剣を盗むために愛紗殿に変装したというな」
宝剣『靖王伝家』を盗んだのは暗影という答えは出ていた。変装の達人ならば宝剣を盗む為に愛紗になったというので答えは終わりだ。しかし成都での決戦の時は仮面を被ってまで顔を隠していた。
変装の達人ならば愛紗の顔になって仮面を被る意味が無い。その事から暗影は変装の達人でなく、本当に愛紗と同じ顔を持つ人物だという事が分かる。
「でも同じ人間が2人いるって…そんなのあり得ないだろ」
「翠殿の言葉はごもっともだ。だが何故、私が愛紗殿が2人いるという答えになった理由はある。それが桃香たちが戦った『彼』の言葉だ」
『彼』は「于吉という方士によって未来を、別の私と君がいる世界を視た」、「確かに私は君の剣を奪い、崖から…突き落としたんだ。私ではない私が君でない君を…」と話したらしい。
ここで重要なのが「未来を、別の私と君がいる世界を視た」と「私ではない私が君でない君を」という部分だ。
この言葉から解明していくと簡単だ『彼』は于吉によって並行世界の未来を視せられたという事。並行世界の可能性だ。
「彼の言葉から並行世界の存在が証明された」
「「「へ、へいこうせかい?」」」
桃香に愛紗、翠はチンプンカンプンといった顔をしている。しかし朱里は理解できたのか確認を取るように口を開いた。
「並行世界…もしかして『もしも』の世界のようなものですか?」
「その通りだ」
並行世界。
簡単に説明してしまうと「もしもこうだったらどうなっていたのか」という世界だ。
「うん…興味深い話です。水鏡先生からも教わってない内容です」
朱里は深く思案している。
確かにこの時代的に並行世界について教わる事なんてない。もっと別の事を教えてる。
「んん?」
桃香たちはいまだにチンプンカンプン顔。
「えーっと分かりやすく説明するとだな」
ここで北郷一刀が口を開く。
「例えばだけど…ここにお茶があるだろ。このお茶は月と詠が淹れてくれたけど、傾や美花が淹れたかもしれない…そういう『もしも』の場合って事」
世界は『もしも』に溢れかえっている。
人間には運命の分岐点がある。2つか3つか、はたまた5つもあるかもしれないがどれか1つしか選べない。そして残りの選択肢は並行世界の話になる。
藤丸立香が男でなく女だったり、北郷一刀が劉備に出会うのではなく、曹操や孫策に出会ったり、更に愛紗と鈴々が桃香に出会わなかった世界線があるかもしれないのだ。
「徐州の時は曹操から逃げたけど…もしかしたら桃香は戦ったか、降伏したかもしれない。今を起点とするとそういう選択した場合の未来が並行世界って事だよ」
「「「何となく分かった(気がします)」」」
桃香たちは何となく理解したようだ。
北郷一刀は藤丸立香と同じ現代の人間だ。並行世界について知っているから簡単な説明は出来る。
「で、そんな別の未来の話が私のそっくりとどう関係するんだ?」
「ここまで話せば理解出来ると思うんだが…答えを言おう。愛紗殿そっくりな人物の正体は今話した並行世界の愛紗殿という事だ」
「は?」
愛紗はまた理解不能な顔をした。
「「「やっぱり」」」
逆に藤丸立香に司馬懿(ライネス)、李書文(殺)は同時に頷いた。
カルデアではIFの存在なんて日常茶飯事レベルなのだ。アルトリア・ペンドラゴンなんて円卓を囲めるくらいいる。
更に過去、未来の同一人物の英霊だっているくらいだ。
普通はあり得ないがカルデアではあり得る話である。
「じゃ、じゃあ何か…別の未来から来た私だとでも言うのか!?」
「そう言っている」
こんな話をされて訳が分からなくなるのは当然だ。愛紗を筆頭に桃香と翠は混乱顔。
更に愛紗たちの顔から「何言ってんだこの人?」という心の言葉が聞こえてくるくらいである。
確かに現代でも自分とそっくりな人物がいたとして「並行世界から来た君なんだよ!!」なんて言われても愛紗たちと同じ反応をするのは当然かもしれない。
空気が変わるくらい、まるで違和感があるような、話の流れがおかしくなるような感覚が愛紗たちを襲うがこれが諸葛孔明が叩き出した答えだ。
「未来の愛紗ちゃん…か」
「桃香さま…」
「愛紗ちゃんと同じで強くて可愛いのかな?」
「桃香さま、今はそういう話はしなくていいです」
やはり桃香は何処か天然気質かもしれない。
「でも…強いってのは確かだぜ」
ここで神妙な顔で口を開いたのは翠だった。
「あいつ…敵だけど強い。なあ爺さん」
「うむ。今思うと愛紗殿と戦い方は似ていたな。だが明確に違うのは技や力だ」
愛紗と暗影の違い。愛紗には悪いが暗影の方が実力は上であった。
特別な妖術を使用しているのか炎を武器に纏わせたり、爆発させる技を使っていた。まるで英霊が使うスキルのようなものだ。
更に李書文(殺)曰く、宝具のような『とっておき』もあるような素振りをしていた。素振りというよりも確実にある。
暗影は愛紗が持っていない力を持っている。それが彼女たちの違いだ。
「あいつの方が強い…それは認めます」
「愛紗…」
「ですが次は負けません」
次は勝つ。
その気持ちが漲るように気迫から感じる。
「ですが、本当にあいつは未来の私なのだろうか?」
「正確には別の道を辿った未来の愛紗殿だ。まあ、今まで話したのが仮説に過ぎん。正解かどうかは分からんよ」
今まで話したのは結局のところ仮説に過ぎない。それこそ『もしかしたら』なんてレベルの話だ。
判断材料があったとしても結局のところ答え合わせをするには暗影本人から聞かないと分からないのだから。
「……未来の私」
「どうした愛紗?」
「ご主人様……あいつが未来の私だとして、何で自分自身に対して怒りや恨みのような感情をぶつけるのかと思いまして…」
「それは」
自分自身を恨む理由。
その理由は分からない。北郷一刀も何て言えば分からない。
「それは本人に聞くしか分からないよ」
「藤丸?」
代わりに答えたのは藤丸立香であった。
「過去の自分は未来の自分の事は分からない。なら未来の自分に聞くしかないんだ」
未来の自分に聞け。
それができるかは案外、近い未来の内に。
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疲労が溜まる。
これは人間誰しも経験があるはずだ。仕事疲れだったり、勉強疲れだったりと様々な要因がある。
疲労が溜まると肉体に影響が出るのは当たり前だ。いつも発揮しているパフォーマンスがより劣ってしまう。
人間は疲労を残さまいと休暇が必要なのだ。しかし休暇を取ってゆっくりしたとしても疲労が取れない時がある。
疲労が取れない時はどうするか。だからこそ過去でも未来でも人間は疲労を取るために様々な方法を考えるのである。
「最近、桃香たちに疲れが見える」
「急にどうした?」
ポツリと呟いたのは北郷一刀。
益州を手に入れてから平定と調略をほぼノンストップでこなした。そのおかげで大分、安定してきているのだ。
その代償なのか桃香たちに疲労が出ている。民たちが笑顔になってくれるのは嬉しいものだが、残念ながら感謝や笑顔で疲労は消えはしない。
「益州の皆の為に頑張ってるのは良いんだけど、それで身体を壊しちゃ元も子も無いと思うんだ」
「確かにそうだね」
藤丸立香も人類最後のマスターとして努力しなければならないと焦っていた時があった。
新たな特異点が発見されるまで何か出来る事がないかと休まずに動いていたのだ。そんな時は色々な人から「いいから休め」なんて言われたくらいである。
頑張るのは良いけど、身体を壊したら逆に周囲に迷惑をかける。休む時は休む。
休むのもある意味、仕事なのだ。
「でも休めって言っても桃香を筆頭に何だかんだでみんな頑固なんだよなあ」
休んでいても気が付いたら何か手伝いをしているのが想像できる。
「今だけだと思うけど流石に成都での決戦から間もないからな」
自分に何が出来るか。
こうやって自分に何か気付いていき、みんなの負担を軽減できればと思っている。
戦いや政に関してはまだ少しくらいしか力になれていないというのが自分の判断評価だ。もっともっとみんなの力になりたいと思うが焦ってはいけない。
何度も言うが今の自分に出来る最善、最良をする事が一番なのである。
「どうやって桃香たちの疲労を取るか。もしくは軽減させたいんだが…何か良い案はないか藤丸?」
「あるよ」
「即答だな。で、どんな良案なんだ?」
「では、お願いします先生!!」
「応」
いつの間に現れたのは李書文(殺)。
「え?」
「じゃあ先生。按摩をお願いします!!」
「任せろ」
李書文(殺)による按摩の達人コース。
「先生ならどんな凝りだろうが疲れだろうが癒せる」
「だ、大丈夫なのか?」
絶対に大丈夫である。なにせ李書文(殺)は精霊の類の凝りも無くすほどの腕前なのだから。
「と、言うわけで老書文さんに按摩をお願いする事になった」
「急だねご主人様」
集められたのは桃香と愛紗、そして翠だ。
北郷一刀の観察眼より特にこの3人が一番疲労が溜まっている。成都での戦いで、確かにこの3人が一番色々な意味で大変であったのだ。肉体的にも精神的にも、
「最近、疲れが溜まってるだろ?」
「そんな事ないと思うけど…」
「何言っているんですか桃香様。私もご主人様と同意見です。最近の桃香様は休みを取っていないでしょう」
図星の桃香。
「それは愛紗もだけどな」
「翠!!」
そして愛紗もである。
「施術室の準備は出来てるよ」
「すまんなマスター」
「いいってこれくらい」
一部屋借りて按摩の施術室に一時的に部屋変えをしたのだ。
丁度3人分のベッドが並べられている。
「一応用意したけど受けるか否かは桃香たちが決めてくれ」
「せっかくだから受けてみろよ2人とも。アタシは受けるぜ」
翠は結構乗り気だ。彼女は老書文の腕を知っている。
「爺さんの腕は本物だぜ。母様が認めていた程だからな」
体調の悪かった馬騰を按摩で癒した実績がある。だからこそ翠は李書文(殺)の腕に信頼を置いているのだ。
「翠がこう言っているのです。たまには良いと思いますよ桃香様」
「うん、そうだね。せっかくご主人様と藤丸さんが気を回してくれたんだし」
成功したっと心の中でニコリと笑う北郷一刀だがまだ成功と言えない。まだ3人を癒していないのだから。
段取りはした後は李書文(殺)にお任せだ。こういう時は専門家に任せるのが一番である。
「じゃ、俺らは外で待ってるから」
「老師。何かあれば言って。ガンガン手伝うから」
「うむ」
按摩の達人が3人を癒す。
「そう言えば老書文さんの腕ってどれくらいなんだ?」
部屋の外で待つ北郷一刀はふと呟いた。
「華佗並みの腕だよ」
「なるほど。なら安心だな」
華佗が名医だというのは知っている。李書文(殺)の按摩の腕が同じくらいと例えられるなら十分すぎる。
「では一撃、馳走してやるか」
「ん?」
部屋から李書文(殺)の声が聞こえた。
そんなに防音が無かった部屋だったかだろうかという疑問を置いておく。それよりも按摩をするはずなのに台詞が合っていないように聞こえたのだ。
「陰に機を見出し、陽に活路を開く」
「んん?」
これから行われるのは按摩のはずだ。もう一度聞こえた台詞がまたも合っていない気がする。
「奮。疾っ。応さぁ!!」
「ちょっ!?」
按摩を施術している台詞には聞こえない。
まるで戦闘を行っているようにしか聞こえないのだ。
「おい藤丸、本当に大丈夫なのかこれ!?」
「あー…たぶん、これぐっちゃんパイセンの時と同じかな」
「ぐっちゃんパイセンって誰だよ!?」
閻魔亭の事を思い出す。虞美人の『あんちえいじんぐ』では確かに李書文(殺)は按摩をしていたはずだが戦闘をしていたようにも見えたのだ。
今回も閻魔亭の時と同じだと藤丸立香は判断した。
「大丈夫だよ。ちょっと激しいだけだから」
「按摩で激しいってなんだよ!?」
按摩はゆっくり力強いというイメージがある。しかし部屋から聞こえるのは激しく戦っているようにしか聞こえない。
拳法家が部屋で暴れてるんじゃないかってくらいだ。
「え、本当に大丈夫なのか!?」
「もう北郷ったら、翠さんも老師の腕を認めてたじゃないか」
親指を立ててニコリと笑う。
「いや、だって」
「大丈夫だよ。ぐっちゃんパイセンも何だかんだで口から臓物を出さなかったし…確か」
「それ聞いて不安しかねーよ!!」
そもそも「口から臓物」なんて台詞が按摩をしていて何処から出てくるのか。
「きゃああああ!?」
「うあああああ!?」
「く、これはあ!?」
部屋から3人の悲鳴が聞こえた。
「悲鳴が聞こえたんだけど!?」
「ぐっちゃんパイセンも同じだったよ」
「だからぐっちゃんパイセンって誰だー!?」
按摩もといマッサージを受けていると痛みを伴う場合がある。それは身体が悪い証拠でもある。
「百の奥義ではなく、一の術理を持って、敵を打ち倒す。これ无二打!!」
「ちょ、今なんか必殺技を打たなかったか!?」
「まっさかー。恐らく良い按摩を打ったんでしょ」
「良い按摩を打ったってなんだー!?」
北郷一刀ちょっと混乱。
前にカルデアに行ってみたいなんて言っていたがこの程度で混乱するくらいならまだ彼にカルデアは早いかもしれない。
同じく前にチェイテピラミッド姫路城というかハロウィン3部作を説明した時は思考が宇宙の彼方に飛んでいた程だ。
まだまだカルデアにはトンチキイベントがあるのだから、底が知れない。
尤もトンチキイベントの第一位がチェイテピラミッド姫路城なのだが。
「どんな按摩をやってるんだ!?」
先ほどから驚いているというか叫んでばっかりの北郷一刀。
「絶招経路按摩」
「あんだって?」
「仙女も癒す按摩です」
本当に按摩を施術しているのかと不安になるが本当に施術をしている。その証拠に部屋から出てきた3人はとても癒されていた。
「すっごい。身体がとっても軽い!!」
「驚いた…凝りが一切無くなっている」
「だろ。身体も絶好調になるんだよ」
部屋の中で戦闘が行われていたと思われるが彼女たちの様子を見るとそのようには見えない。
「だ、大丈夫だったか3人とも?」
「ご主人様、老書文さんって凄いよ。疲れが吹っ飛んじゃった。凄く身体が軽いの!!」
ぴょんぴょんと飛び跳ねる桃香。そして胸も揺れている。
「そっか。ところでなんか悲鳴が聞こえたんだけど。しかも3人とも」
「あう、声が出ちゃったの聞こえちゃったんだ。恥ずかしい…あはは」
愛紗も翠もちょっとだけ顔を赤くした。
按摩を受けて変な声を出すのは誰だって恥ずかしいものだ。
(変な声というか悲鳴だったんだけど…)
「よーし、お仕事頑張るぞー!!」
元気ハツラツで廊下を駆けていくのであった。
「桃香様、廊下を走らないでください」
「なあ、愛紗。これから鍛錬どうだ?」
「いいな。受けてたとう。老書文殿、ありがとうございました」
「うむ。また疲れたなら声を掛けると良い」
愛紗と翠は早速鍛錬場に向かう。
「せっかく疲れを取ってもらったのにまた疲れに行くのか」
「人間そんなもんだよ」
「なんか達観しているような言い方をするな藤丸」
カルデアで様々な英霊と相手をしていると思考が達観していく時がある。その影響である。
「ありがとう老師」
「ありがとうございました老書文さん。桃香たちとても元気になってましたよ」
「なに、これくらい」
李書文(殺)の按摩施術の効果が絶大というのが分かった。彼さえ良ければ他の人たちにも施術してもらいたい。
流石にタダで施術してもらうわけにはいかないと思い、北郷一刀は施術した分の給金を考え始める。
「そうだ。北郷も受ける?」
「うーん…って俺も?」
「儂は構わんぞ。時間はあるしな」
按摩の効果は絶大のようだがそれでも何処か怖い。
「ちなみに北郷には華佗の鍼治療コースもあるよ」
「呼んだか!!」
「どっから出てきた華佗!?」
この後、李書文(殺)と華佗のフルコース施術で色々と元気になった北郷一刀であった。
読んでくれてありがとうございました。
次回は今日中。この後すぐ。
今回から日常回が始まりました。
何話か日常回を挟んでから本編へと入って行きます。
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関羽(暗影)についての考察。
まあ…別の並行世界、未来の愛紗なんて出て、愛紗たちはポカンとしますよね。
三国時代に並行世界なんて概念はありませんからね。たぶん。
でもそんなのはカルデアでは日常茶飯事です。
関羽(暗影)は5章でも活躍します。もちろん他の2人も!!
恋姫天下統一伝ではメインストーリーがリニューアルしたみたいで、彼女たちがどのような存在になったか気になりますね。
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FGOの閻魔亭イベントのアレを参考したお話でした。
絶招経路按摩!!
拳をぶち込んでるけど疲労、身体の凝りは無くなる!!