Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
今年最後の投稿です!! 頑張りました。
いやー、それにてもFGOの年末特番が楽しみです!!
どのような驚きな情報があるのか、どんな新鯖が実装されるのか。
そして年末特番のアニメはどんなものか。気になりすぎて大晦日は夜遅くまで起きてしまいますね。
では、物語をどうぞ!!
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「村が1つ壊滅!?」
いきなり大声を出したのは桃香。
つい最近にでも似たような反応があった気がしなくもないが今はそれどころではない。
「はい…その村の人が報告をしてくれました」
「その人は!?」
「飲まず食わずで来たようです。村で起きた事件を話した後に倒れてしまって…」
「その人は無事なの朱里ちゃん!?」
「はい。無事です。今は安静にしています」
「そっか…良かった」
ホッとするが、すぐに現実が桃香の精神に突き刺さる。
その村人以外の人間が殺されているのだ。
「朱里ちゃん。すぐにみんなを集めて」
「分かりました。すぐに皆さんを集めます」
すぐさま主要のメンバーが集まり、軍議が始まる。更に桃香や朱里の要望でカルデアのメンバーも軍議に参加している。
「どうしたのですか桃香様。急に軍議だなんて」
最初に口を開いたのは焔耶である。
「朱里ちゃん。報告をお願い」
「はい。では、わたしが報告させていただきます。まず何があったかですが…蜀が統治するある村は壊滅させられました」
騒めく蜀の面々。いきなり自らが統治する村が壊滅させられたと聞けば敵が攻めてきたのかと思うのは当然である。
「しかも村の人間を1人だけ残して、あとは……その、皆殺しにあったそうです」
「まさか曹操が!?」
「もしくは孫策か!?」
今の大陸の勢力図は魏、蜀、呉。ならば2国のどちらか攻めてきたと普通は思うのも当然だ。
「いえ、分かりません。しかし犯人の名前は分かっています」
「誰だ?」
「青牛角、という男の人です」
青牛角という名を聞いてあまりピンとこない蜀の面々。
(青牛角……張牛角の事か。まさか黒山賊の?)
その中で諸葛孔明は青牛角という名前を聞いて黒山賊が思い浮かんだ。
黒山賊。
史実だと黄巾の乱が起きたと同時に結成された武装集団である。
黄巾党という名によって埋もれていた武装集団である黒山賊。実はその裏で黄巾賊を遥かに上回る武装集団であり、最盛期にはその数百万を越えていたという。
(この世界だと黒山賊の情報が今まで無かったな。本当なら黄巾党と同時期に暴れていてもおかしくなかったが…)
三国志を元になったような外史世界は何処か正史の三国志と違う。
イレギュラーであるカルデアが関わったという点や北郷一刀に于吉、左慈、貂蝉、卑弥呼という存在もあるにしろ何処か違うのである。
その1つが黒山賊だ。諸葛孔明が思ったように本当ならば黄巾党と共に黒山賊も存在するはず。しかし当時は黄巾党だけが猛威を振るっていたのだ。
黒山賊は結成されていたのかというくらいに情報が無かったのである。
「青牛角か。まさか曹操か孫策のどちらかの手の者か?」
「村を壊滅させたのが曹操の手の者か、孫策の手の者かまだ特定してませんので…」
村を滅ぼしたのが曹操や孫策だと判断できる証拠は揃っていない。
「しかし我ら蜀を攻めるなぞ曹操や孫策くらいしかいないだろう」
「あたしも焔耶と同じ考えだぜ。これは向こうの宣戦布告だ」
桃香は大陸の平和の為に戦う事を決めた。しかし、それでも戦にはまだ消極的だ。
一方、雪蓮と曹操は大陸の覇権を手に入れる為に戦に積極的。いつ2国が攻めてきてもおかしくない。
「でも…曹操さんらしくないかな。孫策さんだって」
「桃香さま?」
「曹操さんや孫策さんは村1つをいきなり皆殺しにする人には思えないよ」
「…確かに俺もそう思う。あの2人がこんな攻め方をするとは思えない。兵士じゃない村人まで皆殺しにするなんてあの2人はしないはずだ」
曹操と雪蓮に対しての信頼。
敵国である人間であるが桃香と北郷一刀は2人の人柄や誇りを考えるに、こんな事をするとは思えない。敵であっても信頼できる部分はあるのだ。
「そうかぁ。曹操の奴は勝つ為なら何だってやるぞ?」
曹操は奸雄と言われている。勝つ為なら手段を選ばない。
「でも曹操さんのやり方じゃないよ」
「う~ん…ま、桃香がそう言うならそれでいいけどさ」
翠は何処か納得出来なさそうな顔をした。
彼女は曹操と戦い敗北したのだ。その件もあるせいで彼女は曹操に良いイメージを持っていない。
「あ、あの…」
「どうしたんだ朱里?」
「わたしの話はまだ終わってないのですが…」
「そうだったのか。悪りぃ」
「こほん。青牛角という者ですが…生き残りの村人にこう言ったそうです。また何処かの村を潰しに行くと」
また村を潰しに行く。それはまた村人を皆殺しにするという宣言だ。
そんな事を桃香が許すはずがない。
「青牛角という人が誰なのか、何処の陣営の人か分からないけど…このまま放置するわけにもいかない。だからみんなには青牛角の捕縛を命じます」
「お任せください桃香さま!!」
「この焔耶が必ず青牛角だかを捕まえてみせます!!」
「あたしがすぐにでもぶっ飛ばしてやるさ」
青牛角捕縛作戦が始まる。
「そして…孔明さんたちにも力を貸してもらいたいのですが宜しいでしょうか。もちろん報奨は出しますので」
「ふむ…」と小さく言いながら諸葛孔明は考えた。
今回の事に関しては手を貸しても特に歴史の変化も何もない。ならばここで手伝わないという選択肢を選ぶ事はしない。
「分かった。手伝わせてくれ」
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カッポカッポカッポと馬の歩く音が響く。
馬の上には藤丸立香と楊貴妃が一緒に乗っている。更に並行して一緒に歩いている馬に乗っているのが紫苑だ。
更に前に歩いている馬に乗っているのが華佗。その左右にノッシノッシと歩いているのは貂蝉と卑弥呼。
先頭を歩いている馬に乗っているのが華雄だ。
「すまないな立香。俺が頼んだばっかりに一緒に来てもらって…流行病の症状から来たくはなかっただろう」
「そんなことないよ。オレで良ければ力になる」
「助かる。立香は医術の心得があるから助手として戦力になるからな」
前に華佗の治療の手伝いをしたことがある。その時の腕が評価されているのだ。
「心得があるって…そこまで専門的な技術はないからね」
「それでもさ」
藤丸立香は様々な旅をこなしてきた中で必要最低限の医療技術は身に着けている。
フローレンス・ナイチンゲールやアスクレピオスと一緒に手伝いをしていれば少しは身に着くというもの。スパルタすぎるのも良い思い出である。
「紫苑さんと楊貴妃さんも来てくれて助かった」
「いえいえ。あたしなんか良ければいくらでも力を貸しますよ」
「私も出来る限り力になりますわ」
更に医療部隊として何人か助手となる人材も桃香たちが手配してくれた。
華佗としては流行病の村に助手として来る人なんて志願するわけがないと覚悟していたが予想と違って何人か集まってくれた。これは嬉しいものである。華佗1人でも村を救うつもりだが人手が多ければ多いほど病を患った人を治療行動が上手くこなせるのだ。
本人からしてみれば少しの手伝いだけでもとても助かるのである。
「女性には感染しないと言うが…どうなるか分からないからな。衛生面には注意してくれ」
「分かっているわ華佗殿」
「大丈夫です。病気ごとゴーっと燃やしちゃいますんで!!」
「も、燃やす?」
楊貴妃の燃やす発言にちょっとだけポカンとした華佗であった。
「立香がもしも感染したら必ず治してやるからな」
「その時は頼むよ華佗。信頼してる」
「ま、感染しないのが一番だけどな。どのように罹るか分からないから立香は特に注意してくれ。少しでも身体に異変を感じたら隠さないで話してくれよ」
「頼りにしてます華佗先生」
「ははっ、任せろ!!」
お互いにニカっと笑う2人。
そんな様子を尊い感じで見守るのは貂蝉と卑弥呼であった。
「いいわぁ…2人のやり取り」
「うむ…ああいうのも良い。ハートがムネムネするのう」
好みのオノコが仲良くする姿に尊みを感じる漢女2名であった。
「お前たちどうした。気持ち悪い笑いをして?」
そんな漢女2名を見て華雄はポカンとするのであった。
「だぁれがキモすぎて腹筋するくらい現実逃避しちゃうですってぇ!?」
「そんなわけの分からん事は言っておらん!?」
先頭の方がちょっとモメていた。
「それにしても久しぶりにマスターと2人きりですね」
後ろから優しく抱き着いてくる楊貴妃。背中に柔らかな感触が伝わってくるのに対して顔を赤らめるが、それでも背中に神経を集中させてしまうのは藤丸立香が男であるからだ。
「2人きりって…2人きりじゃないよ?」
実際には紫苑や華佗たちがいるので2人きりじゃない。
「まあ、そうなんですけど…英霊で今いるのはあたしだけって意味ですよ」
「そう言う意味なら…そうなのかな?」
誰かと2人きりなんて場面はよくよく考えるとあまりないかもしれない。
マイルームは2人きりになれるが、実際には誰かが潜んでいたりする場合もある。そうなるとマイルーム以外で2人きりになるのは珍しい事かもしれない。
「華佗さんの手伝いもそうだけどマスターを守るのもお任せください!!」
楊貴妃は華佗の助手だけでなく、藤丸立香の護衛も任されている。
サーヴァントとしてマスターを守るのは当然の事だ。尤も、逆に守らないで好き勝手しているサーヴァントもいるのだが。
「どんな敵も病もゴーって燃やしちゃいますから!!」
「楊貴妃なら本当に燃やすからなぁ」
彼女の炎ならば本当に流行病を一切合切燃やし尽くすかもしれない。
それほどまでに彼女の蒼炎は特別なのだ。なにせ地球外の炎なのだから。
「うふふ。楊貴妃さんは立香さんの事が好きなのね」
「はい。マスター大好きです!!」
はっきりと「大好き」と言われると嬉しいがみんなの前だと恥ずかしくもある。
清姫にはいつも言われているが、もはや挨拶レベルになっている。彼女も分かって言っているかもしれない。しかし清姫の本気の「大好き」というセリフはドキリとさせられるのも本当である。
「立香さんのどんなところが好きなのかしら?」
「やっぱり天下の難物たる方たち(英霊)と手を取り合い、善悪関係無く理解する懐の深さ。そして猛烈な突き上げを物ともしない強さですね」
「あらあら」
好きな理由を本人の目の前で言われると同じく嬉しいが、恥ずかしくもなってしまう。
「もちろん、優しいところもですよ!!」
「そうね。確かに立香さんは優しいわ。璃々ともよく遊んでくれるし」
実は璃々と一緒に遊んでいたりする。藤丸立香だけでなく、哪吒や玄奘三蔵も璃々と一緒に遊んでいたりするのだ。
彼女たちの口からも璃々はとても良い子だと言われている。子供サーヴァントよりも幼いが、しっかりした子なのである。
「璃々と遊んでくれてありがとうね立香さん。あとで哪吒さんや三蔵さんにもお礼を言っておかないといけないわ」
「好きでやってるからお礼なんていいよ紫苑さん」
子供と一緒に遊ぶのはお礼を言われるような事ではない、好きで一緒に遊んでいるのだ。
元気な子供を見ていると微笑ましく思う。この事を口にするとアタランテはとても同意してくれる。
「璃々はとても立香に懐いているみたいでね。子供に懐かれやすいのかしら」
「あー、そうかもしれないですね。マスターって子供によく懐かれてますよ。だってカルデアにいる子供たちにとても好かれてますからね」
子供英霊たちとよく遊んでいる藤丸立香。お茶会をしたり、絵本を読んだりしているのだ。
純粋な気持ちが伝わったのか子供英霊の中でも異質性のあるジャック・ザ・リッパーは一番懐いてくれる。時たま、物理的に体内(胎内)に入り込んでこようとする危険性もあるが。
「更に懐いているを通り越して異性として好きになっている子だっているくらいですから。アビーちゃんとか、ナーサリーちゃんとか」
「あらあら小さな子に恋させるなんて立香さんも罪作りな人ね」
「何でそうなる」
実際に藤丸立香は天然誑しであり、罪作りな男というのは否定できない。
「それにマスターは思わせぶりな台詞も言いますし」
「確かに言うわよね」
「言ってないんですけど」
「「え?」」
「何言ってんの?」みたいな目で見られる楊貴妃と紫苑。
「マスターは本当に…」
「立香さん…大概にした方がいいと思うわよ。私にだって、ああいう事を言うし」
ちょっとだけ頬を染めた紫苑。
「紫苑さんに何を言ったんですかマスター!?」
「変な事は言ってないよ!?」
天然誑しは息をするように口説き文句を言うのだから困る。
「紫苑さんが頬を赤らめてるんですけど!?」
「い、いやだわ楊貴妃さん。頬なんて赤らめてないわよ」
「そんな見てすぐ分かるような嘘を!?」
先頭でもうるさいが後方でもうるさくなった。
「全く…これから流行病が蔓延している村に行くってのに。ま、これくらい元気の方がいいくらいか」
華佗一行は流行病が蔓延する村へ。
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蟲の知らせ。
本当に蟲の知らせを受けて男は少しだけ緊張した。
「そっか。やっと流行病の情報が劉備の元に伝わったか」
男はクツクツと軽く笑う。この男の名前は于毒。
于吉が刺客として放った八傑衆が1人。
「ふぅん。村に来ているのは華佗とかいう医者に…気持ち悪い巨漢が2人、村で用心棒をしている女に蜀の武将である黄忠。更に若い男と女…こいつらが于吉殿が言っていたカルデアとかいう奴らか。そして数名の女たち…こいつらは医者の助手どもか?」
蟲の知らせにより敵の戦力を確認。
「カルデアとかいうのはよく分からないけど…他の奴らは簡単に潰せるな」
自分の指で蠢く何かを面白そうに見る。于毒は何処か自身満々な顔でクツクツと笑っていた。
「人…いや、国を滅ぼすのは簡単さ」
読んでくれてありがとうございました。
次回は未定です。次の更新は正月後になるかもしれません。
今年も長いようで短かったような1年でした。
コロナやらなんやら色々ありましたけど無事に1年を越せそうです。
この「Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義」も書き始めてから約2年以上が経ちました。本当に早いものです。
完結目指してこれからも頑張ります!!
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流行病とは別の問題が発生。
八傑衆編(蜀)は2つの物語が同時進行していくような流れになります。
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流行病側のキャラは、
華佗たちと黄忠に華雄。カルデア側は立香と楊貴妃です。
どのような活躍をするかはゆっくりとお待ちください。
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流行病側の敵。
八傑衆の于毒。どのような怪異を埋め込まれたかはまだ内緒。
まあ、病に関する怪異なんですけどね。
皆さま、良いお年をお迎えください!!