Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
早く書けたので早速更新です!!

前回の続きの青牛角との戦いではありません。

今回は前回のあとがきに書いていた通り、孔明たちが漢中に訪れた話です。
流行病や青牛角とは違う物語になりますので、どうぞ!!


雑貨屋で見つけた物

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漢中にて。

凶悪犯である青牛角の強襲に備えてカルデアと蜀の武将たち数名が兵士たちを引き連れてきたが街は平和そのものであった。

特に何か騒ぎがある様子もなく、民たちがいつも通り生活しているようにしか見えない。

 

「ここには青牛角という方は来ていないようですね」

「そのようだな…まだ」

「まだ。もしかして?」

「来る可能性は消えていないという事だよ雛里」

 

漢中に来たのはカルデアの諸葛孔明と雛里、司馬懿(ライネス)、蘭陵王、鶸。

 

「あなた方の隊は街の外周を見張ってください。そちらの隊は街内を散策です。怪しい人物がいましたらすぐに連絡をするように!!」

「「「はっ!!」」」

 

鶸がテキパキと指示を出していき、兵士たちを動かしていく。

 

「怪しい人物というが…青牛角とやらは巨漢で大きな金棒を持っているらしい。なんとも見つかりやすい見た目だな」

「そうですね。もしも街中にいたらすぐに見つかりますね」

 

身体的な特徴の持ち主ならばすぐに見つかる。そもそも巨漢で大きな金棒を持っているよそ者が街にいれば噂になっているものだ。

 

「我々も手分けして探そうじゃないか」

「ライネスの言う通りだな。では、私と雛里、蘭陵王。ライネスと鶸という組み合わせにしようか」

「一応聞くけど兄上。なんでその組み分けなんだい?」

「私の胃が安息できる組み分けだ」

 

簡単に言うと司馬懿(ライネス)と別々の組になりたいという事だ。

 

「兄上酷い。泣いちゃうぞ?」

「心にも思ってない事を言うな」

「あの、孔明さんと司馬懿さんって兄妹なんですよね。流石に冷たくするのは…」

「そうですよ孔明さん。手のかかる妹ほど可愛いって言いますよ。まあ、うちの蒼は本当に手のかかる子なんですけど」

「待て、なぜ私が悪いような風になっている」

 

司馬懿(ライネス)の味方が増えた。

 

「妹には優しくした方が良いと思います」

「優しくない兄より優しい兄の方が周囲からは良い目で見られますよ?」

「だってこいつは悪魔だぞ!?」

「酷い兄上…」

 

両手で顔を隠して泣いたふりをする。

 

「妹を泣かしちゃだめですよ孔明さん…」

「こいつのはウソ泣きだからな!?」

 

特に狙ったわけでもないのに諸葛孔明が女性2人から責められるという構図が出来上がった。

両手で顔を隠している司馬懿(ライネス)であるが、その顔は笑っている。まるで悪戯が成功した時の女の子のように。

 

「ええい、さっさと散策するぞ雛里、蘭陵王行くぞ」

 

悪魔な妹と語るが諸葛孔明も本気で司馬懿(ライネス)の事を嫌ってるわけではない。

しかし苦手であり、胃に多大なストレスが突き刺さるのは本当。

 

「ははは…行きましょうか雛里殿」

「は、はい」

 

苦笑いの蘭陵王は特に言う事無しのスタンスでついていくのであった。

 

「冷たい兄上だ」

「そう気を落とさないでください司馬懿殿」

「いや、気にしてないよ。これくらい日常茶飯事だからね」

 

 

559

 

 

街の通りを散策。

特に今のところ異常は無し。人々が活気良く商売している姿が目に映る。

乱世の世だが束の間の平和。これらを守るために桃香たちは頑張って戦っているのだ。

 

「本屋を見てみたいのか?」

「あわっ!?」

 

諸葛孔明の一言にビクリと驚いた雛理。

 

こんなオドオドしていており、可愛い小動物みたいな女の子が名軍師諸葛孔明と並ぶ龐統。

外史世界の諸葛孔明も同じようなものだが、2人とも恐ろしい頭脳の持ち主なのは世界が異なっても同じではある。

そんな龐統こと雛理はある本屋へと視線を飛ばしていたのである。

 

「見に行きたいのなら構わんぞ」

「え、でも…今は」

「構わんさ。青牛角とやらはこの街にはいなさそうだしな」

 

街を散策して異常が無い事は分かっている。

 

「それに少しくらい休憩しても誰も叱りはしない」

「そうですよ雛理殿。適度な休憩は悪いものではありませんからね」

 

蘭陵王も同意。

いつまでも肩肘張っていては逆に疲れるだけ。蘭陵王の言う通り休む時は休むべきなのである。

 

「せっかくだ。私もここの書物に興味がある」

 

内気な雛理のために自ら書物屋に入っていく諸葛孔明。その後ろから「ありがとうございます」と呟きながら雛理はついていくのであった。

 

「ふむ…」

 

棚に収められている本を一冊手に取って読む。

現代と比べて本の質が悪いのはしょうがないが中には当たりがあるのも確か。

異世界とはいえ、過去の書物を読めるのは貴重な体験だ。つい読み込んでしまいそうになるが任務の事を忘れるわけにはいかない。

休憩を取るのも良いが取りすぎるわけにもいかない。そろそろ書物屋から出ようと思って雛里を探す。

探すと言っても同じ書物屋内に居るのだから少しでも歩けばすぐに見つかる。

 

(む、何かの本を手に取って凝視しているな?)

 

特に気配を消していたわけではなく、普通に近づいているだけなのだが雛里は本を凝視しすぎているため、諸葛孔明に気付いていない。

何の本を凝視しているのか気になったのは誰もが思うはずだ。何となくの気持ちでどのような本を凝視しているのか気になったため、視線を彼女の手が持つ本に移動した。

視線の先には『続・性技指南書』。

 

「………」

「あわぁっ!?」

 

性に興味があるお年頃のようだ。

 

「ち、ちちち違うんでしゅ孔明しゃぁん!?」

 

まだ何も言っていないのに否定から会話が始まった。

 

「こ、こここ、これは新たな戦略を考えるために…人体をよく知るために必要なんでしゅ!?」

「言い訳が如何なものだと思うが」

「あわわ…」

 

エロ本が見つかった男子高校生のような慌てぶりだが諸葛孔明は彼女を更に羞恥を煽るような真似はしない。

こういう時は何も見なかった装いをしながら話を進めればいい。

 

「あー…休憩は終わりだ。そろそろ出るぞ」

「あぅ…」

 

顔が真っ赤の雛里。同性にエロ本が見つかるより、異性に見つかった方が恥ずかしいのは当然なので彼女の顔の真っ赤さは妥当だ。

まだ恥ずかしい雛里だが、ここでふとある事を思い出すと羞恥心が少しだけ薄れる。

過去に司馬懿(ライネス)から諸葛孔明に房中術の講義をしてもらえるように頼んだことがあるのだ。

彼が房中術を知っているという部分、講義をするという部分を認識すると「これは勉学のため」という言い訳によって少しだけ冷静に戻れたのである。

 

「こ、孔明さん。こ、講義の件…よ、よろしくお願いしましゅ!!」

(だから何の講義だ!?)

 

前にも朱里にも似たような事を言われたが全く分からない。ただ詳しく聞くのも怖いというのが本音である。

 

(ライネスだな絶対…)

 

証拠は無いが犯人を特定するのであった。

そのあと、雛里は『続・性技指南書』をしっかりと買うのであった。

 

(これはあとでじっくり読もう…)

 

書物屋から出てくると蘭陵王が急いで走ってきた。

 

「お二人とも、街中で騒ぎが起こっているようです!!」

 

彼の言葉により2人は一気に気を引き締め直した。

 

 

560

 

 

ワイワイガヤガヤという擬音が聞こえるくらいの通りを歩く。

司馬懿(ライネス)と鶸の散策チームの方も特に異常は起きていない。

彼女たちは足休めがてら雑貨屋のような店に入っていた。

 

「色々な物があるね」

 

雑貨屋のような店なので生活用品や装飾品といった物が店に並んでいた。

 

「この茶飲み茶碗なんて良いかもしれない」

 

この大陸ではティーカップよりも茶飲み茶碗が使われている。

今の司馬懿(ライネス)の姿は第3再臨なので文化的に合わせてみようとしているのだ。

紅茶の方が好きだが緑茶も悪くないと思っている。文化的にこの外史にいる間は緑茶を多く試してみるのも一興だ。

 

「おや?」

 

司馬懿(ライネス)の蒼色の眼が焔色に変化する。

手に取った物は世間一般的に宝珠と言われるものだった。

 

「玉か何かですね…って、司馬懿さん目が!?」

「ああ、私の眼は特殊でね。魔力というか妖力のあるところでは目の色が変化するんだよ。なに、大したことじゃないよ」

 

眼の色が変化するというのは普通は何か病気だと思って心配するものだが当の本人は至って普通のため、鶸は気になりながらも眼の色の変化を頭の片隅に置いておいた。

次に気になるのは魔力がある所で変化する。ならば彼女の手にある宝珠はただの宝珠ではないという事だ。

 

「妖力がある…もしかしてその玉は妖術用の道具だったりするんですかね?」

「用途は分からないけど、その可能性は高いな。てか、そうだろう」

 

妖力が込められている宝珠と聞かれれば魔術師視点から見ても魔術道具と思うのは当然である。

 

(これ相当な魔力があるぞ…)

 

鶸には分からないが司馬懿(ライネス)には宝珠が強力な魔術道具だとすぐに分かった。

店主に聞いてみると宝珠はいつの間にかあったとの事。知らないうちに仕入れたようだ。

非売品ではないのですぐに値切り交渉をして買い取った。

 

「持ち帰って兄上と調べてみるか」

 

何となくで立ち寄った雑貨屋で掘り出し物が見つかった。

司馬懿(ライネス)の世界でもそうそう見ない程の魔術道具だ。どのような効力があるか分からないが込められている魔力の質は高い。それこそ神代の神秘に近いのではないかという程の代物。

 

(もしかしなくても危険な代物だな)

 

殺人鬼である青牛角の襲撃は無い。

そろそろ諸葛孔明たちと合流でもしようかと思った時に事件は起きた。

 

「その宝珠を渡してもらおうか」

 

冷たく感じる言葉が司馬懿(ライネス)と鶸の耳に入り込んできた。

ゾワリと背筋が冷たくなるのを感じたと同時に背後を振り向く。

 

「あ、愛紗さん?」

 

背後にいる人物を見て呟いたのは鶸。

 

「……私たちの知ってる愛紗殿じゃないぞ」

 

2人の視線の先には愛紗の瓜二つの人物がいた。

彼女こそが報告にあった『暗影』と呼ばれる関羽だとすぐに分かった。

 

「もしかしなくても君がもう1人の愛紗…いや、関羽だね?」

「そんな事はどうでもいい。その宝珠を寄越せ。寄越さなければ…」

「殺すって?」

 

瞬時にトリムマウを出現させ、鶸も武器を構え、関羽(暗影)も邪龍偃月刀も構えた。

周囲にいた人々はいきなりの殺伐した空気に怯えていた。

 

「皆さんここから逃げて下さい!!」

 

街の人たちを巻き込むわけにはいかないと思った鶸は大声で叫ぶとすぐに人々は避難していく。

これがただの喧嘩だったら野次馬たちが集まったかもしれないが関羽(暗影)の放つ冷たい殺気が野次馬すら近づかせない。

 

「宝珠を渡さないのなら殺して奪うまでだ」

「トリムマウ!!」

 

合図と共にトリムマウは両手を槌状に変化させて突っ込んだ。

水銀の槌と邪龍偃月刀がぶつかり合うかと思った瞬間にトリムマウはまたも形態変化する。

蛇のようにうねりながら得物を避けて関羽(暗影)の周囲から巻き付いた。

 

「堂々と正面から突っ込むほど私は真っすぐじゃないんでね」

 

鶸は槍を関羽(暗影)の喉元に近づける。

 

「貴女をこのまま捕縛します。大人しくしてください」

「大人しくしておくのが身の為だよ」

 

巻き付いたトリムマウが外側に向けて水銀の棘が飛び出す。

 

「外側にも出せるんだから内側も出せるぞ?」

「こ、怖いですね司馬懿さん…」

 

司馬懿(ライネス)の容赦の無さと妖術の力に若干恐怖を抱いたが味方であるため頼もしい限り。

 

「この程度では私は殺せん。この身体は特別だからな」

 

捕縛されているのにも関わらず関羽(暗影)は力ずくでトリムマウを剥がそうと動き出した。

 

「動くなと言ったつもりなんだけどね」

 

司馬懿(ライネス)はすぐさまトリムマウに内側へと突き刺すように命令を出した。

彼女は藤丸立香ほどお人よしではない。魔術師として非情な判断も下せる。

 

「言っただろう。その程度の妖術では殺せないと」

「なに!?」

 

確かにトリムマウに内側へと水銀の棘を出すように命令した。しかし関羽(暗影)は貫かれていない。

よく見ると水銀の棘は内側に突起しているが、ただ単に貫いていないだけであったのだ。

 

「おいおい…頑丈とかのレベルじゃないだろ」

 

異様に力も強いのか無理やりトリムマウを引き剥がして襲い掛かる。

 

「トリムマウ!!」

 

自身の元へと戻して水銀の盾へと変化させて防ぐ。

 

「てか、水銀を引き剥がすってどうやってるんだよ」

「妖術で水銀を操作している貴様に言われる筋合いの無い台詞だな」

 

邪龍偃月刀を持ち直し、水銀の盾ごと切断しようと振ったが鶸の振った槍と弾き合う。

 

「司馬懿さん援護してください!!」

 

どういう理屈か分からないが貫けないのならば叩き潰す方法に移行。

槍を横から薙ぎ払うように振るう。更にトリムマウの水銀の槌で今度こそ真正面から振るった。

 

「小賢しい!!」

 

2人の攻撃を邪龍偃月刀を振るって受け止めた。

 

「そんなっ!?」

「おいおい…嘘だろ?」

 

李書文(殺)が強者と認めていたという言葉を今更ながら思い出す。

フィジカル面では関羽(暗影)の方が上だ。

 

(単純な筋力だけじゃないはずだ。彼女は自分で特別な身体と言っていた)

 

特別な身体。

まるで自分の身体ではないようなニュアンスを感じたが今はそれどころではない。

嫌な事が分かってしまったからである。先ほどの一撃は2人とも本気で、相手を粉砕骨折させる気であった。しかし天晴と言わせるくらいに受け止めたのだ。

結果として正攻法で勝てる気がしないという事だ。

鶸はまだしも司馬懿(ライネス)は前衛で戦うのは得意ではない。寧ろ後方でサポートする立場だ。

 

(相手は英霊と渡り合える実力…しかも前衛向き。対する私は後方向き。間合いに入られたらお終いだな)

 

冷静に戦況を分析終了。

鶸も実力者であるが目の前の関羽(暗影)に劣る。申し訳ないが事実であり、彼女自身も悔しいと思いながらも理解している。

2人で力を合わせても勝つ確率は低い。

 

(よし……一旦、ここは勝つ事は諦めよう)

 

現段階では勝てないのならば今は撤退。そして後から勝てる段取りを組み上げるのだ。

まず彼女たちがすべき事は仲間と合流する事である。

 

「ここから一旦、離脱する。一瞬だけでいいから隙を作れるかい?」

「分かりました」

 

小さく話した内容を理解した鶸はすぐに動いた。

槍の先端を地面に突き刺して、えぐるように振り上げる。単純な目くらまし。

 

「そんな子供だまし……む?」

 

飛散する砂を邪龍偃月刀で振り払った時には司馬懿(ライネス)と鶸は水銀の馬となったトリムマウに乗って撤退していた。

 

「逃がさん。宝珠を貴様らには渡さんぞ」

 

関羽(暗影)は駆けだした。

 




読んでくれてありがとうございました。
次回の更新は2週間以内を予定しています。

次回はまた場面が変わって流行病の方戻ります。
ついに蟲の正体が分かります。
青牛角との戦いは次々回予定。そして今回の物語の続きは更に青牛角の戦いの次となる予定です。

558
みんなで漢中探索です。
孔明と司馬懿(ライネス)のやり取りは相変わらずですね。


559
雛里ちゃんったら『続・性技指南書』を発見しちゃった。
これが原作の彼女たちのあの幕間に続くという形にしました。この戦いが終わったらきっと朱里ちゃんと勉強する事でしょう。

ところで諸葛孔明(FGO)の房中術の講義はいつやるのか…それは未定。


560
司馬懿(ライネス)と鶸の組み合わせ。これまた珍しい組み合わせでした。
さて、ここでは雑貨屋でまさかの物を発見。はい、天下統一伝の宝珠です。
公式ではまだ謎の宝珠。オリジナル設定で考えてます。
その1つが漢中の雑貨屋に何故かあったという展開にしました。

そんでもって宝珠探しの任務をしている者に鉢合わせになります。
暗影の関羽です。この5章では暗影たちが活躍する章…の予定です。
つまり3人の暗影との決着の章でもあるのです。

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