Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
早く書けたので更新です!! (今回はちょっと短いですが)

タイトル通り、八傑衆が1人の青牛角との戦いです。
どんな戦いになるかは本編をどうぞ。


青牛角討伐

564

 

 

俵藤太と星の目の前には自身の身長よりも大きな金棒を持った巨漢がいた。

巨漢は凶悪な笑顔で此方を見ている。間違いなく情報で聞いていた青牛角その人だ。

 

「一応、聞いておこう。貴様が青牛角か?」

「ああ。俺様こそ青牛角だ」

 

ニヤニヤと笑っている青牛角。

 

「いやぁ、まさか最初に来た奴らの中であんたがいるとは…これも因縁かもしれねえな趙雲」

 

真っすぐに星を見ている。

 

「なんかあやつはお主の事を知っているようだが知り合いか?」

「いや、全然」

 

青牛角は星の事を知っている口ぶりだが星自身は全く知らない。忘れているわけでなく、本当に記憶に存在しないのだ。

 

「おい。私と何処かで会った事があったか?」

「くくく、こっちの話だ。忘れろ」

 

青牛角は大きな金棒を握りしめて、思いっきり振った。

 

「待てっ!!」

 

俵藤太は叫んだが遅かった。

大きな金棒が振り終わった時には生き残されていた村人が死んだ。

 

「…なぜ殺した」

「なぜって、元々こいつを生かしていたのは俺様の事を劉備に伝えるためだ。でも貴様らが来たおかげで伝える役目はいらなくなったからな」

「だから殺したのか」

「そうだ」

 

殺した理由は伝令役として必要でなくなったからという、たったそれだけ。普通に考えて殺す理由にはならない。

 

「貴様の目的は何だ?」

「簡単な事だ。てめえらの国を潰す事さ」

 

目的は蜀を潰す事。

 

「曹操の手の者か。それとも孫策か?」

「くく…はははは。あんな奴らの刺客かと思ってんのか。んなわけねえだろ」

 

笑いながら否定した事から青牛角は魏でも呉の関係者ではない。

 

「何処の者だ?」

「言うわけねえだろ」

 

ならば何処の刺客なのかと考えたくなるが今は置いておく。星たちが今すべきなのは目の前の凶悪犯を討伐するか捕縛する事である。

 

「貴様が何処の賊だか分からんが目的が我らを潰す事だと分かった。しかし無関係な村人まで殺す必要があったのか?」

 

星の口から出た言葉には怒気が含まれていた。理由は今いる村の惨状である。

無関係な村人まで殺したという事。これから未来ある小さな子供まで殺しているのだ。

彼女の怒りに俵藤太も同じ思いである。

 

「おいおい蜀を潰すんだから当然だろ……と言いたいが趣味も兼ねてるんだよな」

「趣味だと?」

「楽しいんだよ。殺すのが」

 

またもニンマリと凶悪な笑顔を晒してきた。

 

「美味いもんを食うよりも、金を無駄使いするよりも、良い女を犯すよりもぐちゃっと人を殺すのが爽快なんだ」

 

殺人が楽しいと堂々と語った。

 

「だから子供まで殺したと」

「ぷちっと、ぐちゃっとな。楽しいぜ」

 

本当に人を殺すのが楽しいと言っている。

 

「この金棒でたった一振りするだけで死んでいく。こんなにも楽しい事はない」

「殺すのが楽しい…か」

 

戦うのが好きと言う者はカルデアの英霊の中にもいる。しかし殺すのが楽しいと言う者は居なかったはずだ。

 

(いや、そうでもないか。カルデアでも色々と歪んだ奴はおるか)

 

カルデアでも物騒な奴やどうしようもない奴は案外いた気がすると思って俵藤太はタラリと冷や汗をかいた。

 

(しかし、現在のカルデアでは控えているからな)

 

混沌・悪の英霊もカルデアでは大人しいものだ。時たま問題を起こすがよく藤丸立香たちがガツンと止めている。

 

(今の事件とカルデアの事件は違う)

 

青牛角もカルデアにいる悪・混沌の英霊と負けないくらいの凶悪さを持つ。

 

「于吉さんから頂いた力は最高だよ」

(于吉だと?)

「今の俺様ならあの天下の飛将軍、呂布奉先だって一撃で殺せる。俺様こそが八傑衆最強だ!!」

(八傑衆?)

 

高笑いをする青牛角。

 

「さぁて。さっさとてめらを殺すか」

 

大きな金棒を肩に担ぐ青牛角。

 

「てめえらを殺してまた次の村を潰す。どんどんと繰り返して最後には劉備のいる成都で終わりだ」

 

青牛角は1つ1つの村を潰しながら成都に向かっている。たった1人で本当に蜀を潰す気でいるのだ。

 

「この力ですぐに殺してやるよ」

「力ってなんだ?」

「くくく…教えてやるよ。于吉さんから頂いた力をな」

 

先ほども名前が出たが彼は于吉の刺客のようだ。更に力を頂いたという事は今までの事から予想するに妖魔の力である事は間違いない。

 

「確か睚眦って妖魔だか怪物の力だ」

「睚眦…聞いたことがある。確か龍の子供だったはずだ」

「よく知ってるじゃねえかそこの男。于吉さんが言うには龍が生んだ9匹の1匹だって言ってたな。ま、そんな事はどうでもいい。大事なのはどんな力かってところだ」

 

肩に担いでいた大きな金棒を地面に叩きつける。

 

「于吉さんは色々と言っていたが難しくて覚えてねえ…けど、まとめるとだ。この金棒をたった1発、掠りさえすればどんな人間でも殺せるって事だ」

 

掠りさえすれば死ぬ。呪いのような力だ。

 

(掠りさえすれば死ぬ…そういう概念や呪いの力か)

 

睚眦。

9匹の龍の子供の1匹で竜生九子とも言う。

睚眦は気性が激しく荒く、争いや殺す事を好む性質がある。そんな性質があるからこそ刀の環や剣の鯉口、武器や罪人を処刑するための鎌や矛に彫られ、三国志時代には軍旗などの図案に多く用いられた程である。

 

『殺す事を好む』という性質を于吉は利用したのかもしれない。

殺すという事は武器を人間に振るう事。武器で斬られれば、突かれれば、当てられたら人間が死ぬというのは当然である。

その当然である事を呪いとして組み上げて于吉は青牛角に埋め込んだのだ。特異点で今まで戦ってきたエネミーでも即死効果を持つ存在はあった。

対策をしていなければすぐに即死させられる。

 

(なるほど。確かに天下の飛将軍でも殺せるな)

 

一撃必殺の能力を持つ青牛角。

掠りさせすれば死ぬ呪いを付与される危険で凶悪な人物。目的は蜀を潰す事である。

更に彼は人を殺すのが趣味になっている。恐らく睚眦を埋め込まれて性質が混ざったのか、そもそも元からそういう性癖を持った人間なのかは分からない。

分かるのは今ここで彼を止めなければ無関係な人間まで殺されるという事だ。

 

「くくく…てめら2人と後ろに控えている兵士どもは皆殺しだ。いや、兵士は1人だけ見逃してやる。その見逃した奴にはてめら2人の首を劉備の元に持って行かせる役目があるからな」

 

大きな金棒を構えて青牛角は星と俵藤太をギラリと睨む。

 

「蜀の人間は全て殺してやるぜ!!」

「……俵殿。ここは私に任せてくれ」

「いや、拙者がやる」

 

星と俵藤太がゆっくりと青牛角に歩いていく。

 

「はははは。2人まとめてかかってこい。一瞬で殺してやるからよお!!」

 

星は龍牙を握りしめ、俵藤太は刀の柄に手を置く。そしてそのまま青牛角の間合いに入って行く。

彼はただの悪党。青牛角の犯した殺人に怒りがこみ上げる。

今の乱世では戦で命を落とすのは当たり前であるが、それでも無関係な子供まで殺されるのは許せない。それがただの嗜好で殺されたというのならば無念であるはずだ。

 

「こいつはここで斬り捨てる」

 

星は静かに台詞を吐いたが怒気が含まれていた。

 

「死ぬのはてめえらだあああああ!!」

 

2人は青牛角の間合いに入った瞬間に大きな金棒が振るわれた。

 

「え?」

 

青牛角が次に見た光景は星と俵藤太が大きな金棒でぐちゃっとされた姿でなく、青空であった。

ドサっと何かが落ちた音が聞こえた。そして今度に見えたものは青牛角の真っ二つにされた胴体。

 

「……な…」

 

青牛角は何が起こったか理解出来ずに絶命した。

 

「お主の能力は恐ろしいものだが当たらなければ意味はない」

「そもそも戦いとは一太刀でも喰らえば致命傷だ。当たらないように立ち回るのは当然だろう」

 

一撃でも喰らえば、掠りさえすれば死ぬ。

そんなものはどんな戦いでも当たり前で一撃でも喰らえば致命傷。掠っても、その武器に毒が仕込まれていれば致命傷になってしまう。

戦いとはほぼ一撃で決まるものだ。何度も同じことを言うように当たり前の事。

 

「自慢げに話していた能力の事だが貴様の言っている事は当たり前の事だったぞ。呪い云々置いておいて」

「武器を人に振るえば死ぬのは当然だ」

 

星と俵藤太は同時に武器を戻す。

刀が鞘に戻った音がキンと静かに響くのであった。

 

 

565

 

 

漢中にて。

急に街中が騒がしくなってきた。耳を傾けてみると誰かが悪漢に追い回されていると聞こえてくる。

街の兵士たちが大慌てであるが冷静になって編成している。すぐに悪漢とやらを捕まえる為に動いているのだ。

その様子を見ている者は屋根の上に立っている。涼しい風が吹き、黒いマントが靡く。その者は顔に虎の仮面を着けていた。

 

「…まさか悪漢とは」

 

急に頭の中に声が響いた。

 

「なんだ?」

『宝珠を見つけた。しかし宝珠は蜀の馬休とカルデアの司馬懿とやらが持っている。だから今、追いかけている』

「悪漢はお前か」

『悪漢?』

 

頭の中に響いた声の主は関羽(暗影)。

 

「こっちの話だ。宝珠を見つけたのなら私もそっちに行こう」

『頼む。宝珠は絶対に回収せねばならんからな』

 

虎仮面の怪人は剣の柄に手を置く。

 

「宝珠が見つかったか。これで残りは2つ」

 

暗影たちが課せられた任務は宝珠の回収。

既に4つは回収しており、残りが3つ。漢中で1つ見つかり、残りは2つは不明。

 

「そういえば、あいつは洛陽の方を探しに行くと言っていたな」

 

虎仮面の怪人が思い出すは髑髏仮面の怪人。

 

「洛陽でも宝珠が見つかると良いがな」

 

宝珠は何が何でも見つけて来いと命令されたほど。

女カにとって宝珠はよほど重要な物であることは確かである。宝珠の詳細は知らされていないが実際に目にすると特別な何かである事は理解できた。

宝珠を集めて何をするのかは分からない。しかし女カの目的の為には宝珠は絶対に必要であるようだ。

 

「さて、行くか」

 

虎仮面の怪人は屋根の上から跳んだ。




読んでくださってありがとうございました。
次回の更新も2週間以内を目指します。

次回は漢中での話に戻ります。


564
青牛角との戦いはどうでしたでしょうか。
はい、一瞬の決着でした。実は元からそういう構想だったのです。
星と俵藤太の静かな怒りの一撃で決着。

能力は竜生九子の睚眦を元に考えました。
一撃必殺の呪いは実際にはありませんが…殺す事を好むという部分をピックアップして、今回のような能力にしました。その性質から武器などに彫られるほどの象徴ですからね。
FGOでいうところの即死効果。

青牛角の性格が原作の『紫電一閃!華蝶仮面』と違う理由は本編にもちょっと書きましたが睚眦の性質に引っ張られてるからです。
殺す事を好むという部分が青牛角の性格に表れたのでした。
小物感も出そうと書きましたが…小物っぽかったかな?


565
場面は変わって漢中へ。
宝珠探しに漢中に来たのは関羽(暗影)だけではありませんでした。
実はもう1人暗影が来ていたのです。
そして3人目は洛陽にいます。
次回は2人の暗影が軍師組と戦っていきます。

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