Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
今回はまた漢中サイドの話です。
5章では暗影たちをどんどんと活躍させる予定です。
そしてオリジナル設定ですが暗影たちについても明かしていきます。
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司馬懿(ライネス)はトリムマウを馬に変形させ、後ろに鶸を乗せて街中を駆け抜けていた。
「鶸殿、後ろの様子は!?」
「追ってきてます!!」
司馬懿(ライネス)たちの後ろには関羽(暗影)が駆けて来ている。表情には焦りも疲労も感じられず、涼しい顔のまま。
追いかけて来る理由は雑貨屋で偶然見つけた宝珠。理由は分からないが関羽(暗影)は宝珠を回収しようとしている。
(この宝珠を渡してしまえば逃げきれそうだが…彼女の目的が知りたい。どうにかして交
渉できそうな状況に持ち込みたいんだけど)
チラっと関羽(暗影)を見ると跳んで来ていた。
「なんて脚力だよ」
横並びにまで接近される。
「宝珠を渡せ」
邪龍偃月刀が振るわれた。
「させません!!」
負けまいと鶸が槍を振るって応戦。
並走しながら撃ち合いが何合も続く。鶸は本気で撃ち合っているが関羽(暗影)は本気でない。
鶸の心の中ではあしらわれていると思っているくらいだ。
「筋は良いが私には勝てんぞ」
「負けません!!」
「私を忘れてもらっちゃ困るね」
トリムマウ(馬)の一部を変形させて水銀の棘を出すが防がれる。
「忘れてないさ。水銀操作…自由自在に変形する武器ほど厄介なものはない」
「厄介と言いながら簡単に防がれるとこっちは落ち込むけどね」
トリムマウを馬の形態から別の形態に変形させる。形態変化というよりかは流動体に戻したというのが正しい。
まるで間欠泉のように司馬懿(ライネス)と鶸を空高くへと上昇した。
「うわわわわわっ!?」
「舌を噛まないようにな鶸殿」
まさか空に逃げるなんて思わなかった鶸。彼女の驚きは当然かもしれない。
余談だが彼女の驚きの表情にニヤっと笑ってしまった司馬懿(ライネス)であった。今の状況からして少し不謹慎だと思ってすぐに吊り上がった口角を戻す。
「着地はどうするのですか!?」
「落下地点にトリムマウを高速で移動させているよ」
何も無策で空に飛びあがったわけではない。着地までちゃんと考えている。
「それなら安し…司馬懿さん!?」
鶸はすぐに司馬懿(ライネス)の腕を引き寄せる。
引き寄せられた瞬間に背後から悪寒を感じた。
「なっ!?」
空にいるのは司馬懿(ライネス)と鶸だけであったはずだ。地上に関羽(暗影)が居る事は確認している。
悪寒の原因は空に別の誰かが殺気を滲み出しているからである。
「落ちろ」
その者は虎の仮面を被った怪人であった。鋭い剣が振るわれる。
「くぅっ!?」
急いで槍で防ぐが虎仮面の怪人の一撃で司馬懿(ライネス)と鶸は地上へと叩き落された。
「うぐぐ…」
地上に落下する前に急いでトリムマウを呼び寄せてクッションにしたおかげでペシャンコになる事は免れた。
もしもトリムマウを呼ぶのが間に合わなかったら2人とも無残な姿になっていた。
「今のは…」
「宝珠を寄こせ」
虎仮面の怪人は何事もなく着地し、静かに宝珠を渡すように口を開いた。
「もしも渡すのなら命は助けてやろう」
今度は関羽(暗影)まで到着。
前には虎仮面の怪人、後ろには関羽(暗影)。まさに挟み撃ちされた状態である。
「…それほどこの宝珠が大切と見えるね」
懐から宝珠を出す。確かに司馬懿(ライネス)の鑑定眼でもただの宝珠ではないのは分かる。
「これは何だい?」
「教える事は無い」
「教えてくれたら渡しても良いが?」
「渡せば命を助けてやる」
なかなか自分のペースに持ち込めない。交渉の場は如何に己のペースに流れを持って行くかで決まる。
(あいつらの重要品である宝珠は私の手の中。向こうが無理やり奪おうとしないのは…壊される事を恐れているからだ)
戦力的に劣っているのは司馬懿(ライネス)と鶸。挟み撃ちの状態で未だに襲ってこない理由は宝珠を壊されないようにするため。
2人の命を見逃すとまで言ってくれる程だからだ。尤も本当に見逃してくれるか分からないからこそ宝珠を渡せないのだが。
「渡さないのなら腕や足の一本は覚悟してもらうぞ」
虎仮面の怪人が剣を構え直す。
「まあ、待て。この宝珠は気になるが…自分の命の方が惜しいからね。渡すよ」
「良い判断だ」
「でも、その前に聞いておきたい事がある」
「宝珠について話す事はない」
「いや、聞きたいのはそこの愛紗…蜀の関羽そっくりの方だ」
視線を関羽(暗影)に移す。
「私が何者かだと?」
「君はあの関羽と瓜二つだ。双子ではないだろうし、ただのソックリさんとも違うだろう?」
愛紗は己と瓜二つの人物に心当たりはない。隠された双子の姉か妹というわけでもない。他人の空似という線もあるが関羽(暗影)の愛紗に対する嫌悪感や怒りからして全く関係ないとは言えない。
これがお互いに知らなかったというのならば、『世の中には自分と同じ顔をした人間が3人はいる』というのに当てはまる。
「君は関羽殿に並々ならぬ感情があるようだが関羽殿は君の事は知らない。君は一方的な感情をぶつけている。しかし理由があるはずだ。その理由が君の正体に繋がると思っている」
関羽(暗影)の正体。
一度、話し合った結果である答えが出ている。愛紗自身はその答えに今だ納得はできていない。
「カルデアでは君と同じように同じ顔を持つ者がたくさんいる。それこそ先ほど言ったようにオルタと呼んでるよ」
カルデアには同じ顔を持つ者が何人もいるが筆頭はやはりアルトリア・ペンドラゴンだ。なにせ7クラス制覇し、エクストラクラスまでいる。
同じ顔が10人以上いるとは壮観である。普通は驚くものだがカルデアでは普通レベルである。
「私というか我々は君の正体を考察してみた」
「………」
「考察した結果が関羽殿の未来。もしくは平行世界の関羽殿だ」
「………」
特に関羽(暗影)からの反応はない。
「我々の考察は正解かな?」
他人の空似という答えでなく、未来の姿や平行世界の己という答えが出るのはやはり司馬懿(ライネス)たちが未来に生きる者だからだ。
愛紗や桃香たちだけでは導き出せなかったかもしれない。尤も北郷一刀がいるのならば導き出された可能性はある。
「そんな事はどうでもいい。さっさと宝珠を寄越せ」
(否定も肯定もしないか…彼女の動作をよく観察していたが何も動揺は無かった。こりゃ厄介だね)
少しでも動きがあれば自分たちの考察が的を得ている可能性があったが関羽(暗影)は無反応で淡々と話しを聞いていただけであった。
「もしも我々の考察が全くの的外れなら君は何で関羽殿を異様に嫌ってるのか知りたいものだね」
関羽(暗影)の正体が未来の姿や平行世界の自分でないとして、愛紗を狙う理由が分からない。
司馬懿(ライネス)たちの考察が正解ならば過去の己の過ちを消したいというのが当てはまる。他人の空似の場合はどうなのか。
愛紗は武人で桃香の夢のために戦ってきた。その戦いの中で人を斬り殺してきた事は当然ある。その中に関羽(暗影)の大切な人でもいたとしたら恨みを持つのは納得できる。
「君が関羽殿と全く関係ないのなら彼女が屠ってきた人たちの中に君の大切な人でもいたのかい?」
「どうでもいいと言ったはずだ」
「おいおい、少しは会話をしようじゃないか。こっちは君たちが何が何でも手に入れるべきだと思わせる宝珠を持ってるんだ」
手に持った宝珠にトリムマウが刃に変化させた腕を近づかせる。
(し、司馬懿殿。あまり刺激を与えるのはどうかと思うのですが)
(安心しろ。この程度で向こうは逆上しないさ。それより虎仮面の方の警戒は怠らないでくれ。まだ足りないから)
鶸が警戒を怠らない理由は虎仮面の怪人だ。今の段階で虎仮面の怪人は何も喋らない。司馬懿(ライネス)と関羽(暗影)の会話を聞いているだけである。
「…貴様が宝珠を壊す前に貴様の首を刎ねていいんだぞ」
「出来るかな?」
「出来ないと思うか?」
お互いににらみ合う。
「……君の正体を教えてくれるだけでいいんだけどなぁ。何も君の後ろにいる黒幕まで聞いてるわけじゃないんだ」
間違いなく後ろに于吉がいるのは考えられるが、敵勢力の全貌までは分からない。
「教える必要はない。さっさと宝珠を渡せ」
(……やっぱダメかな?)
会話のキャッチボールが成立しない。何を言っても相手は無視を貫く。
正直な話、宝珠を壊せるかと言われれば分からない。司馬懿(ライネス)の鑑定眼から見ても宝珠はただの道具ではないことは明らかだ。
もしも壊す力がなければ関羽(暗影)と虎仮面の怪人にバッサリと切断されてしまう。2人が未だに強行しないのは宝珠を壊される可能性があると思わせているからだ。
「……我々の正体を話せば宝珠を寄越すのか?」
「おや?」
ここで口を開いたのは今まで黙っていた虎仮面の怪人であった。
「宝珠さえ手に入るのなら我々の事を少しくらい話して構わんだろう。話せる程度はな」
「おい、まさか」
「いずれは分かる事だ。いつまでも仮面で顔を隠せないからな」
虎仮面の怪人は己の顔に両手を伸ばして仮面を掴んで外した。
「…おいおい」
司馬懿(ライネス)の視界に入ったのはまさかの人物だった。
「関羽殿の次は孫権殿か」
虎仮面の怪人の素顔は孫権(蓮華)そのものだった。
「貴様らの考察は間違っていない。但し、完全な正解というわけでもないがな」
虎仮面の怪人は関羽(暗影)と同じであった。そして孫権(暗影)は司馬懿(ライネス)たちの考察を肯定した。
全てが正解ではないと言ったため、未来の己なのか並行世界の己かは分からない。
「私としては未来の方だと思うけど?」
「好きに考えるがいい。我々も答えられる限度がある」
そう言って孫権(暗影)は己の顔に刻まれている刺青を触った。
(限度がある?)
まるで自分では話せないというニュアンスが感じられた。
気になったがここは彼女たちの情報が欲しいため、質問を投げかける。
「君たちが未来の存在だとして…誰が、どうやってこの世界線に来た…というか来れたんだ?」
「答えられない」
「君たちの目的は?」
「私は過去の間違いを正しに来た。まあ、こっちの関羽も同じようなものだろう」
チラっと関羽(暗影)を見るが「答える気はない」と一蹴される。
「過去の間違いとは?」
「それは教える気はない」
「于吉との関係は?」
「ただの協力者に過ぎん。あんなエセ方士は」
孫権(暗影)には答えられる質問と答えられない質問があるようだ。まるで誰かに縛られているように。
「おい、此方が答えているばかりではないか。さっさと宝珠を寄こせ。そろそろ我慢するのも飽きてきた頃だ」
関羽(暗影)と孫権(暗影)が武器に手をかける。
(そろそろ駄目だな。でも時間は稼げた)
手に持つ宝珠と暗影たちを見る。
「分かった。でも渡して、いきなり斬り殺されたらたまったもんじゃない」
宝珠を地面に置く。
「私たちがこの場から去るまで動かないでくれると助かるんだけどね」
「いいだろう」
地面に置いた宝珠からジリジリと離れていく司馬懿(ライネス)と鶸。
離れていく時に暗影2人から目は離せない。もしかしたらいきなり襲ってくる可能性も捨てきれないからだ。
「そこまでだ」
はっきりとした男の声が響く。
「やっと来てくれたか兄上」
ニヤリと笑う司馬懿(ライネス)。
関羽(暗影)の背後に八卦炉を展開した諸葛孔明。
「またお会いしましたね。今回は仮面を外しているのですね」
孫権(暗影)の背後には蘭陵王。
「孔明さんに蘭陵王さん。良かった援軍が来てくれた」
「トリムマウで空高く飛んだだろ?」
「はい。あれは肝が冷えましたよ…」
「あれは狼煙の代わりだったんだよ」
水銀の間欠泉のようなものが空高く上昇したら誰の目にも入る。ならば諸葛孔明たちの視界に入る可能性も高い。
空高く飛んだのは逃走だけでなく、援軍を呼ぶための行動でもあったのだ。
「チッ…あと少しのところで」
「ふふ…私としてはまた戦えるから良いけどね」
関羽(暗影)はイラつき、孫権(暗影)は楽しそうに笑った。
「その地面に転がっている宝珠は何だライネス」
「どうやら二人にとって重要な物らしいぞ」
「…なら回収しよう」
「回収するのは私だ」
邪龍偃月刀を諸葛孔明に振るう。
「接近戦は不得手でね」
複数展開された八卦炉から魔力弾が放出される。
「トリムマウ」
腕を槌に変化させたトリムマウが突っ込む。
「軍師どもが鬱陶しい真似を」
魔力弾を防ぎ、トリムマウの槌も防ぐ。
「最初からこうやれば良かったのだ」
関羽(暗影)が妖気を滲み出す。
「ここで邪魔者を消せば丸く収まる!!」
砂嵐を巻き起こすように錯覚するくらいの一振りがトリムマウを切断する。
「効きません」
トリムマウの無機質の声が響く。トリムマウは水銀で形成されているから切断されたところで痛くもかゆくもない。
「ならば先に術者を殺せばいい」
トリムマウを切断し、司馬懿(ライネス)へと向かう。
「お嬢様に指一本触れさせません」
蛇のようにニュルンと急いで司馬懿(ライネス)の元に戻る。そしてマスターである司馬懿(ライネス)を纏って小さなドーム状に変化する。
「それで防ぐつもりか!!」
「いや、君の攻撃を防ぐ為じゃないさ」
「なに?」
「兄上」
「ああ」
合図と共に司馬懿(ライネス)と関羽(暗影)の間で爆発した。
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剣が打ち合う金属音が響く。
「あはははは、やはり強いなお前は!!」
孫権(暗影)の振るう剣戟は荒々しく、鋭く、重い。
前に炎蓮と鍛錬と称して戦わされた事があった。その太刀筋に似ており、覇気も似ている。
(強い。まさに英霊並みです)
孫権(暗影)の実力は本物。油断すればたった一太刀で胴体を真っ二つにされる。
2人の剣戟はまだまだ続く。
(それにしても孫権殿そっくりですね)
前に顔を見た事があるくらいだが、その記憶と比較しても瓜二つ。もう一人の関羽(暗影)と同じ存在なのかもしれない。
但し、関羽(暗影)と同じで性格は全く違う。話を聞くに呉の孫権は戦いは不向きらしい。しかし目の前にいる孫権(暗影)はそうでなく、まるで炎蓮のような人物に見えるのだ。
武を持って天下を掴むような気迫である。
「流石ね。なら少し本気を出してもいいわよね!!」
刀身が炎が燃え上がり、炎の剣が完成する。
「喰らいなさい!!」
炎の剣による剣戟が蘭陵王を襲う。
振るわれる灼熱の斬撃を受け止め、回避するも炎は周囲に放出される。
炎の剣の脅威は斬られる事だけでなく、焼かれるという危険性もあるのだ。
(剣に炎を付与する魔術が使えるのか。ただの武人というわけではなさそうだ)
「どうした。お前の力はそんなものか。防いでばかりか!!」
まさに剛なる者。
「いえ、マスターの顔に泥を塗るわけにはいきませんので、負けるつもりはありません」
蘭陵王は剣に魔力を宿し、強化する。
「せいっ!!」
炎の剣と魔力の剣がぶつかり合う。
「へえ、お前もそういうのが出来るのね。面白いわ!!」
2人の剣戟に誰も近づけない。
「貴女は何者ですか。孫呉の孫権殿とどういう関係があるのです」
「今はそんな無粋な話をするな!!」
ギィィンッと剣がぶつかり合う音が響く。
関羽(暗影)も孫権(暗影)も愛紗と蓮華の関係性を話さない。
孫権(暗影)の言葉から彼女たちは並行世界、もしくは未来の同一人物の可能性は高い。
本人が認めていたからだ。但し完全な正解でないというのが引っかかる。彼女たちが並行世界、もしくは未来の同一人物が正解だとしても何が間違っているのか。
(ただの並行世界や未来の人物ではないという事か?)
生まれに特別な何かがあるのか、もしくは異聞帯のような存在なのか。まだ分からない。
「はああああああ!!」
気合の発声と共に爆発音が聞こえた。
「む、あっちで爆発が起きたな。関羽め…負けたか?」
爆発と聞いて、今いるメンバーの中で諸葛孔明が仕掛けたものだと気付く。
「いや、あの程度では死なないはずだ。この身体は頑丈だからな…私もあいつも」
(この身体?)
まるで自分の身体ではないような言い方に感じた。
「さて、爆発か。それならこっちも出来るぞ」
孫権(暗影)の持つ剣の切っ先に炎の弾が形成される。その炎の弾からは高密度の魔力も感じられた。
「吹き飛ぶがいい!!」
剣を振った瞬間に高密度の炎の弾が蘭陵王へと放出される。
(マズイ!?)
2回目の爆発が発生した。
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宝珠が転がっている。
孫権(暗影)は蘭陵王と戦っている。関羽(暗影)は諸葛孔明と司馬懿(ライネス)と鶸が戦っている。
誰も宝珠に対してノーマークである。簡単に回収できるわけではないがチャンスでもあるのだ。
その転がっている宝珠を見ているのは雛里。
(あわわ、凄い戦いです…)
雛里は戦えないので影で隠れている状況だ。彼女の得意分野は武力でなく頭脳。考える事が武器なのである。
隠れている状況だからこそ全体の状況が分かる。先ほどの会話でも暗影たちは宝珠を回収しようと躍起になっている事が分かっている。
諸葛孔明も回収すると言っていた。ならば今がチャンスだと思って雛里は勇気を出す。
「確か…こうやって」
手を宝珠の方に伸ばして集中する。イメージするは鷹。
妖気が手に集中して鷹の形へと変形していく。
「出来た!!」
雛里は元々、妖術は使えなかった。しかし今は少しだけ使える。
理由は簡単な事で勉強したからだ。雛里が妖術を覚えようとしたのは反董卓連合の怪異に遭遇したから。もしも戦いの中で反董卓連合のように異常事態が起きた時に対処できる力になるかと思ったからである。
朱里と一緒に勉強していたが、やはり妖術は2人の専門外。独学で勉強していても壁にぶち当たる。
2人ほどの天才ならばいずれは独学でも習得できそうだが、今の蜀には朱里と同じ名前を持つ妖術師がいる。その者に教えてもらおうと至り、カルデアの諸葛孔明に勉強を教わったのである。
諸葛孔明は魔術を朱里たちに教える気はなかった。しかし2人は熱心は何度も教えを請うために来たので少しだけ教えたのだ。
無論、外史の管理者の貂蝉に確認を取ってだ。貂蝉は「弟子にするのは駄目だけど、ちょっとくらいの教えなら大丈夫よん」と言っていた。
恐らく朱里たちが妖術を覚える事自体はこの外史世界ではイレギュラーではないようだ。弟子が駄目というのは諸葛孔明の世界の魔術をこの外史世界に残させないという理由かもしれない。
少しの教えというのはキッカケ。朱里たちが開発する妖術ならば神秘が残る外史世界でも受け止められるという事だ。
「夜鷹召来!!」
妖気で形成された鷹が宝珠に向かって放出される。
この妖術は攻撃にも使え、何かを回収する事なども出来る。尤も今の雛里では武人を倒せるかと言われれば、まだそこまでの力には至っていない。
出来るとしたら敵を攪乱させたり、足止めに使えるレベルだ。しかし妖術もよの字も知らなかった者が独学で勉強し、少しの教えで妖術を完成させるのは凄い事だ。
カルデアの諸葛孔明は「これだから天才は…」と溢していたそうな。
「回収…できた!!」
妖気の鷹が宝珠を咥える。
戻ってくるように操作した瞬間に爆発音が聞こえた。
諸葛孔明が関羽(暗影)に爆発の魔術を発動したからだ。
「やっぱり、孔明さんは凄いです。あんな妖術も使えるんですね…」
爆発によって生じた煙が晴れてくると少しだけ焼け焦げた関羽(暗影)が立っていた。本人は何とも思って無さそうに邪龍偃月刀を司馬懿(ライネス)に振るった。
すぐさまトリムマウで防いだため直撃は免れている。
司馬懿(ライネス)も諸葛孔明も全く効いていなそうな関羽(暗影)を見て冷や汗を垂らしていた。
「今ので効いていないなんて…愛紗さんと似たあの人は一体?」
ギロンと関羽(暗影)の目が雛里の方を向いた。
「あわっ!?」
見つかった。そんな台詞が頭を過った。
「その宝珠を渡せ!!」
「チッ」
「トリムマウ!!」
諸葛孔明と司馬懿(ライネス)はすぐにでも関羽(暗影)を止めようと動く。
「邪魔するな貴様ら!!」
真っすぐに突っ切ってくる関羽(暗影)。
「え、えと、夜鷹召来!!」
妖気の鷹を放出するが関羽(暗影)にとって紙切れレベルに過ぎないのか邪龍偃月刀を振るうまでもなかった。手刀で雛里の妖術を軽く払いのけたのだ。
「ええ!?」
「そんな術なぞ剣を振るまでもない。それよりも宝珠を渡せ!!」
邪龍偃月刀が雛里目掛けて振るわれる。
「させません!!」
間一髪、雛里を守ったのは鶸であった。
「貴様も邪魔だ!!」
「邪魔と言われて退くわけにはいきません!!」
「なら死ね!!」
邪龍偃月刀の一閃が今度は鶸に振るわれる。
「迎え撃つ!!」
鶸は負けまいと槍を力強く振るう。
「渦槍突!!」
独学で編み出した技が邪龍偃月刀とぶつかるのであった。
読んでくれてありがとうございました。
次回の更新は2週間以内で頑張ります。
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関羽(暗影)との追いかけっこ。
逃げきれたかと思えばまさかのもう1人の暗影の登場です。
もう1人の暗影とは孫権(暗影)でした。まあ、皆さんにはバレバレでしたでしょうけど。
2人の暗影に挟まれた司馬懿(ライネス)たちピンチ。
暗影の正体。
オリジナル設定ですが、並行世界の未来の自分です。
まあ、公式でもそれっぽい事を関羽(暗影)が言ってましたけどね。
天下統一伝がリニューアルされるので、まあ、最終的にどうなるか分かりませんが。
完全な正解じゃないと孫権(暗影)が言っていましたが、それはまだ設定があるからです。彼女たちの頑丈な肉体とか他にもあります。生まれとか。
最後にやっと諸葛孔明たちが合流!!
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蘭陵王と孫権(暗影)の戦いです。
孫権(暗影)の実力は最低でも炎蓮並みなのは確かです。
原作でもそのような情報がありましたから。
炎を操るのは天下統一伝でも火の属性があるからです。
他にもなんかのコラボアプリで孫権が炎の技を出していたのがあったと思ったので組み込みました。(なんのアプリだったっけなぁ)
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雛里ちゃん妖術を使う。天下統一伝の技ですね、「夜鷹召来」。
孔明先生にちょこっとだけ講義を受けたという設定にしました。天下統一伝では妖術が使えるのがデフォルトになってますからね。この作品では妖術が使えるのは独学だったり、教えてもらったりとか、そういう設定にしていきます。
なので朱里もちょこっと妖術が使えます。そのお披露目はまた今度です。
軍師だけでなく他の武人たちも天下統一伝の技を使うためにちょっとした妖術が使えるようになっていく事になります。
そして鶸の「渦槍突」。これも天下統一伝の技です。
どんどんと天下統一伝の技を出していきたいと思います!!