Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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バレンタインイベント面白かったです!!
今年のバレンタインイベントも良い意味でやばたにえんでした。

さて、物語ですがタイトルを見れば分かる通り、ついに虞美人の登場です。
どのような展開になるかは本編をどうぞ!!


ぐっちゃんパイセン

577

 

 

八傑衆、孫権(暗影)、そして我らが大先輩の情報を元に藤丸立香たちは呉へと向かう事が決定。

桃香たちに蜀を離れる理由を説明。当たり前だが桃香たちが引き留める理由はない。

しかし八傑衆の件があるためカルデアのメンバーを何人か蜀に置いていく。今や三国での発生する事件が特異点案件になる可能性があるのだ。

 

八傑衆は名前の通り8名で構成されている。青牛角と于毒を倒した事で残りは6名。魏と呉に八傑衆が暗躍している可能性は于毒の言葉から分かっているが、また蜀に襲来する可能性があるのだ。

蜀にお留守番のメンバーは俵藤太、楊貴妃、呂布奉先、諸葛孔明、李書文(槍)。もしもまた怪異(八傑衆)が襲撃した時の対策である。

 

「じゃ、また北郷、桃香さん」

「おう。また蜀に来てくれ藤丸」

「いつでも待ってるね藤丸さん」

 

北郷一刀や桃香たちから見送りされて蜀から出発するのであった。

呉に向かうメンバーは藤丸立香、荊軻、李書文(老)、燕青、武則天、蘭陵王である。

 

そして残りのメンバーは魏に向かう。

魏に向かうメンバーは司馬懿(ライネス)、始皇帝、秦良玉、玄奘三蔵、哪吒たちだ。

今回も二手に分かれる作戦である。ただ魏に向かうメンバーはちょっと寄り道がある。

 

「朕、洛陽に行きたい」

 

始皇帝が洛陽に行きたいと言い出したのだ。何でも気になる事があるとのこと。

 

「行くのは良いけど魏で特に事件が無かった、もしくは解決してからです始皇帝陛下」

「無論だ」

 

ニッコリ顔の始皇帝。

大丈夫だと思うが始皇帝と別行動をするのは別の意味で不安な気がしなくもない。

 

「師匠。頑張ってください」

「とんでもない大物を私に押し付けたな弟子め」

「水銀使い同士だから大丈夫」

「全くもう」

 

始皇帝は何だかんだで司馬懿(ライネス)の事はやはり同じ水銀使いという部分から気に入っているとの事。

たまに飲茶をしながら談笑しているのだ。疑似サーヴァントやら現代の魔術やら色々と興味が尽きないらしい。

 

(会話をしていてやっぱ規格外なんだよなぁ。司馬懿殿も始皇帝の事は全く読めないみたいだし)

(まあ、始皇帝だし)

(始皇帝というワードでまとめるな弟子)

 

呉も魏も色々と大変な事が起きそうである。

 

 

578

 

 

始皇帝たちと分かれてから藤丸立香たちは無事に呉の建業へと到着。

相変わらず賑やかな国だが、気になるのは何か襲撃の跡がある事だ。修繕工事に入っている事から何かしらの襲撃事件は終わっているようではある。

 

「何かあったのかな?」

「雪蓮の姐さんが暴れたんじゃね?」

「燕青。それは流石に……否定できない」

 

藤丸立香と燕青は失礼すぎる。

 

「取り合えず雪蓮さんたちがいる所に行こうか」

 

雪蓮たちがいる城へと足を歩めようとした時、聞きなれた声が聞こえてきた。

 

「はい、そこ。まずはその屋根から直してー」

「その声はもしかして」

「ん?」

 

藤丸立香と雪蓮の視線が交わった。

 

「「……」」

 

一瞬だけ間が空いたが先に動いたのは雪蓮だった。

 

「やっと帰って来たわね立香ー!!」

 

ラリアットからの首絞め。

 

「雪蓮さん!? 首、首が締まってる締まってる!?」

 

何かデジャブ。そして閑話休題。

 

「全くやっと帰って来たわね。いつまでもほっつき歩いてるんじゃないわよ」

「ほっつき歩いているわけじゃないんですけど」

「うるさい。そして荊軻に燕青、李書文も…あれ、李書文は?」

 

荊軻と燕青が視界に入るが李書文が見当たらない。

 

「李書文は儂だが」

 

視界に入ったのは李書文(殺)。

 

「え、李書文…あんたなの?」

「儂の名前は李書文だが」

「あんた…老けたわね」

 

彼女のような反応になるのは確かかもしれない。

取り合えず李書文(殺)について混乱しないように嘘と本当を混ぜて分かるように説明。

 

「なーんだ、同じ名前か。でもそっくりな気がするのよね。私の知っている李書文が年を取ったらあんたみたいになりそう」

 

鋭い直感だ。

 

「じゃあ私の知ってる李書文は?」

「別行動です」

「そうなの。そう言えば孔明や藤太とかいないわね」

 

彼らは蜀でお留守番中。

 

「そして王の資質のあるお嬢ちゃんに仮面の剣士。えーっと貴方は蘭陵王だっけ?」

「久しぶりじゃな」

「前は顔を合わせる程度でしたね。改めて、蘭陵王と申します」

「よろしく。んーやっぱ仮面の下が気になるわね」

 

雪蓮と再会。

会話をしていると後から誰かの声が聞こえてくる。

 

「おーい雪蓮!!」

「冥琳さん。お久しぶりです」

「立香たちか。やっと戻って来たってわけか」

 

冥琳とも再会。彼女も元気そうである。

相も変わらず雪蓮に振り回されては呆れては信頼しあっている。

 

「荊軻に燕青に……お前李書文か?」

「儂が李書文だが」

「老けたな?」

「それもう私が言ったわよ冥琳」

 

また李書文(殺)について説明をするのであった。

 

「何か襲撃だか災害でも起こったの?」

「あー…それについては城に行きすがら話すわ」

 

城に向かって歩き出す雪蓮たち。

 

「実は八傑衆だとかいうわけの分らない賊が建業に攻めて来てね。街の被害はその賊の仕業ってわけ」

「そいつはただの賊でなくてな。黄祖の時と同じく妖魔が関わるやつだ」

「八傑衆が!?」

 

八傑衆は呉に襲撃をしていた。

 

「む、立香は八傑衆を知っているのか?」

「全ては分かりませんが…実は八傑衆のうち2人と蜀で戦いました」

「まさかそいつらも妖魔を」

「妖魔を埋め込まれた人間でした。そして冥琳さんも感づいているかもしれませんが八傑衆の後ろに于吉が手を引いてます」

「やはりな」

 

冥琳は八傑衆の雷公を見た時にすぐに黄祖の戦いを思い出して、次に于吉を思い出したのだ。

 

「オレらが戦ったうちの1人が魏と呉に仲間が攻めると言っていました」

「なるほど。そういう理由であの賊が攻めて来たわけか」

 

于吉の差し金で呉が八傑衆が刺客として攻めて来たという事だ。于吉とは因縁のある呉の面々。

思い出すだけで怒りの炎が湧いてくる。特に雪蓮や蓮華、小蓮たち三姉妹は怒りの炎が一番燃え上がっている。何せ母親の仇であるから。

 

「また于吉か」

 

更に今回は明確に魏、蜀、呉の三国を潰しに来ている。本気だという事だ。

 

「天下を取るためこれから忙しくなるってのに…曹操よりある意味厄介な奴が出てきたものね」

「そう言うが奴は蜀と魏にも手を出している。我々だけの問題ではなくなるさ」

「ねえ、曹操や劉備ちゃんと戦うより先に于吉を倒した方がいいかな?」

「そうしたいところだが于吉だけ警戒はしていられない。特にいま注意すべきは曹操だからな」

 

話を聞くに今の魏と呉はなかなかの緊張状態らしい。何かしらキッカケが起きれば戦争になってもおかしくない。

戦争にいつ起きてもおかしくないが、まだ緊張状態なのは劉備が挟んでいるからだ。どちらか一方が戦争を仕掛ければ残った1国がどう動くか分からないからこそ簡単に動けない。

三竦み状態というわけである。

 

「蜀では八傑衆が2人攻めて来たけど、こっちでは何人攻めて来たんですか冥琳さん」

「1人だ。たった1人で建業に攻めて来て街を破壊してくれた」

「修繕工事中という事はその八傑衆は倒したという事ですか」

「倒したというか倒してくれたというか」

 

歯切れ悪く苦笑い。

 

「倒してくれた?」

「ああ。正直信じられない人物なんだが…お前の知り合いだと言うから嘘ではないと思えてきてな」

「んん?」

 

八傑衆の1人が呉に攻めて来て、雪蓮たちではない誰かによって倒された。その誰かとは藤丸立香の知り合いだと言う。

少しずつだが頭の中でパズルが組み上がっていく感覚が走る。

 

「知り合いってまさか」

「本人は虞美人だって言うのよ。あの項羽の愛人の」

「真ですか!?」

「ぐっちゃんパイセーン!!」

 

蘭陵王と藤丸立香は叫んだ。ついに偉大なる先輩の虞美人がこの外史に訪れた。

 

 

578

 

 

建業の城に到着。

城の中に入ると前方から誰かが走ってくる音が聞こえる。

 

「雪蓮姉様おかえりな…立香ーー!!」

 

小蓮の体当たりが藤丸立香へ。

 

「ぐふーーー!?」

 

お腹に可愛い衝撃が撃ち込まれた。

痛みを我慢して優しく小蓮を受け止める。

 

「おかえり立香!!」

「ただいまシャオ。あれ、もしかして大きくなった?」

「えへへ、分かる?」

 

小蓮は胸を押し付けてくる。

 

「私はすぐに母様みたいにおっきくなるんだから!!」

「そうだね炎蓮さんみたいに大きくなるよ」

 

ここで2人だが噛み合っていそうで噛み合っていない。

藤丸立香が言っているのは背の事で、小蓮が言っているのは胸の事。

 

「こらシャオはしたないわよ」

「蓮華さん。久しぶり」

「ええ、久しぶりね。皆会いたがってるわよ」

 

小蓮に蓮華。

これで孫家の三姉妹が全員集合だ。

 

「荊軻に燕青ね。それに武則天に…」

「仮面の剣士は確か蘭陵王だっけ」

「それと李書文…李書文?」

「李書文だ」

「「老けた?」」

「もうそれやった」

 

もう3回目である。

 

「色々と話したい事はあると思うけど実は聞きたい事があるんだ。なんでもぐっちゃんパイセンが」

 

廊下の奥からまた誰かが走ってくる音が響く。思春か雷火かと思うが違う。偉大な先輩のお出ましである。

 

「うらああああああ。後輩!!」

「ぐっちゃんパイセーン!!」

「項羽様はどこよ後輩!!」

 

偉大なる先輩とついに合流。何故か出合い頭にラリアットを食らう。

 

「残念ながら項羽はいません」

「様を付けろ後輩。てか、項羽様がいないってどういう事よ!!」

 

首を絞められる。

 

「理不尽なんですけど」

 

虞美人との合流はバイオレンスだった。

 

 

579

 

 

虞美人。

項羽の愛人であり、不老不死の精霊の一種。藤丸立香とは第3の異聞帯で殺し合った同士だ。

その後、色々とあって虞美人は英霊となって藤丸立香と契約した経緯を持つ。

 

「後輩。のどが乾いた」

「お茶淹れます」

「後輩。甘いものが食べたい」

「あんまんで良い?」

「後輩。肩凝ったわ」

「按摩の達人がいますよ」

「呼んだか?」

「呼んでない!!」

 

早速、先輩による後輩パシリが始まっていた。

パシられているというのに藤丸立香は嫌な気はしない。寧ろ虞美人とコミュニケーションを面白く取っている感覚だ。

ハチャメチャな展開になる事が多いが藤丸立香は彼女の事が嫌いではない。何だかんだでデコボコなコンビになっている。

 

「虞美人様。マスターを小間使いするのは…」

「いいのよ蘭陵王。こいつはパシるくらいが丁度いいの」

「オレは気にしてないよ蘭陵王」

 

全然気にしてない藤丸立香。

最初は虞美人は嫌がらせをしていたが全く効果が無いと判断してからは先ほどみたいに軽口を叩き合う感じで絡んでるだけである。

 

「えーっと…立香?」

「何かな雪蓮さん」

「そろそろ話を始めていいかしら?」

「あ、はい」

 

虞美人が藤丸立香と合流してからはまるでカルデアで効果の無い嫌がらせを建業の城でも普通にし始めていた。

まさかの展開に雪蓮たちは空気になっていたが流石にずっと空気になっているわけにいかない。

 

「全く立香が帰って来たかと思えばいきなり小間遣いをしているとかどういう状況じゃ」

「小間遣いされている相手があの項羽の愛人だっていうのがまた驚きだけどね」

 

粋怜が虞美人を見る。

何度も言うが今でも信じられない。虞美人は過去の人物であり、普通ならば人間が生きられる寿命を超えている。

人間ならば生きていられるはずがない。人間ならばの話だ。

 

「虞美人は人間ではなかったのか。信じられないな」

「何だ人間」

 

ついつい奇異な目で見てしまう。そんな目に慣れているが本人としては不快でしかない。

ギロリと雷火や粋怜を睨む。

 

「あら、ごめんなさい。何も貴女を否定しているわけじゃないわ」

「立香よ」

「何ですか雷火さん?」

「彼女は人間でなければ何者なんじゃ?」

「精霊です」

 

虞美人の正体は星の精霊。

地球の内海から発生した表層管理の端末であり、受肉した精霊である。

 

「せ、精霊」

「まあ、信じられない事はないですね。だって妖魔とかいるわけですし~」

 

穏の言う通りだと雪蓮たちは頷く。黄祖での件や反董卓連合での事件が彼女たちを納得させる例だ。

今さら精霊が出て来てもすんなりと飲み込める自分たちに驚きだ。

 

「話を聞くにぐっちゃんパイセンは八傑衆を倒したんだって? 雪蓮さんたちも救ったとか」

「あん? 救ったつもりはないわよ。八傑衆だか何だか知らないけど妖怪と人間が混ざった奴は倒した気はするわ。私が項羽様との思い出に浸っている時に五月蠅い遠吠えが聞こえたから」

 

虞美人にとって人間たちの争いに興味は無い。

八傑衆の雷公を倒したのも雪蓮たちを助けるためではなく、ただ己だけの為に動いたにすぎない。

 

「それでも助かったから感謝してるんだけどね」

「あんたたち人間に感謝される筋合いはないわ」

 

異世界と言えど人間に感謝されても嬉しくは無い。

 

「でもぐっちゃんパイセンの事だから雪蓮さんたちの所に滞在しないで大陸中を歩き回ってるかと思ったよ」

「本当ならこんな所に居たくなかったわよ。でもここで後輩の話を聞いたからね」

「そういう事」

 

本当ならばすぐにでも人間がいる場所から離れたかったが藤丸立香が孫家でお世話になっていたと聞いた。

そしていずれ戻ってくると話を聞いたのである。広い大陸を歩き回るより我慢して孫家に滞在して藤丸立香を待っていた方が良いと判断。だから我慢して孫家に滞在していたのだ。

 

「そうなのよ。彼女は助けたつもりは無いみたいだけど、こっちは助けてもらったからね。お礼ってわけじゃないけど立香がこっちに帰ってくるまで滞在してもいいって許可したわけ」

「大変じゃなかった? ぐっちゃんパイセンの相手」

「どういう意味だ後輩」

「痛いですぐっちゃんパイセン」

 

思いっきり頬をつねられる。

 

(まあ…確かに大変だったわね)

 

虞美人を相手するのは色々と精神がまいった。

お礼として滞在させたは良いが接し方が難しかった。彼女は何処か不機嫌そうであり、近寄りがたい。

頑張って話しかけても無視ばかり。会話が出来たとしても「本が読みたい」と言われて、本を用意してみたがずっと本を読んでいる。

お客として滞在させても全くといっていいほどコミュニケーションが取れなかったのである。

 

(そんな人を立香は普通に接してるのがまた…)

 

虞美人に対して悪友・学友みたいなノリでコミュニケーションを取っている藤丸立香を見て、妙な評価が上がる。

普通に接している藤丸立香だが、何も最初から普通に接していたわけではない。少しずつ絆を上げてやっと今みたいな仲になったのだ。

鋼のメンタルゆえ無視しても嫌がらせしても折れない藤丸立香だったからこそ虞美人が先に折れたのである。

 

「じゃ、後輩と合流できたからさっさとここを経つわよ」

「え?」

「項羽様を探しに行くわよ後輩!!」

 

藤丸立香の首根っこを掴んで外に出ようとする。

 

「ちょっと待ってよ。わたしの立香を連れて行かないでよ!!」

「五月蠅いわよガキんちょ」

「ガキって言うなー!!」

 

シャオが可愛くも突っかかる。

 

「あー…虞美人ちゃん」

「虞美人ちゃん言うな。馴れ馴れしいぞ人間」

「あら、失礼。でもうちの立香を連れていかないでもらえる?」

「はあ?」

 

ちょっとだけピリつく空間。

 

「立香は孫家の人間だからね。勝手に連れて行くのはねえ」

「なに。あんたいつ孫家の人間になったのよ?」

「気が付けば」

 

本当は孫家の人間になっていない。

 

「あんたカルデア止めるの?」

「それは絶対にない」

 

カルデアを止めるなんて事はしない。止められない。

 

「ちょっと立香を離しなさいよー!!」

「そうね。立香くんは私たちの将来の旦那さんになるかもだしね」

「えへへ~。立香さんは孫呉に血を入れる大事な役目を持つお人ですからね~」

 

雪蓮たちをグルリと見渡す虞美人。

 

「ねえ、蘭陵王」

「何でしょうか」

「後輩はここでもそうなの?」

「まあ…マスターは良い人ですから」

 

ジト目で藤丸立香を見る虞美人。

 

「あんたいつか背中を刺されるんじゃない?」

「否定できないのが怖い」

 

狙ってやっているわけではない。これだけは真実だ。

 

「ぐっちゃんパイセン。すぐには呉から離れられません」

「何でよ!?」

「八傑衆とか色々と調べる事があるからです」

「その八傑衆とやらは私が倒したんじゃなかったけ?」

「名前の通り8人で構成されているはず。オレが知っている情報だと3人倒した計算だからあと5人いるはずなんだ」

 

残りの5人がまた襲撃に来る可能性はある。何せ八傑衆の目的は三国を潰す事なのだから。

 

「そして八傑衆の裏には于吉といって恐らく今回の事件(特異点)の黒幕が潜んでいるんだ」

「ふーん。敵を待ち伏せるってわけね」

「そう。敵が何処にいるか分からないから後手に回ってるけど」

 

状況は理解できたと言う虞美人。しかし彼女は普通の人間ではない。

 

「そんなのどうでもいいわ」

「え」

「項羽様を探すのが優先でしょうが!!」

 

平常運転の虞美人であった。

 

 

580

 

 

水晶玉を覗くと自分の顔ではなく別の顔が映る。

 

「あー、こっちの顔が見えているか。声が届いているか?」

「届いているよ飛燕」

「良かった。それにしてもこの妖具は便利だ。こんなものが戦に使われたらきっと色々と戦略が変わるだろうな。流石は于吉殿だ」

「で、報告なんだけど…雷公のやつが負けやがった」

 

水晶玉でやり取りしているのは八傑衆の飛燕と浮雲。

 

「よく分からない通りすがりの女に斬られたよ。何やってんだよ雷公のやつ」

 

親指の爪を齧りながらぐちぐちと愚痴り出す浮雲。

 

「そうか。こっちも報告が入ってな…青牛角と于毒が負けた」

「え、あの2人もやられたの!?」

 

カリっと親指の爪を齧り切った。

 

「ああ。まさか青牛角の旦那まで負けるとは思わなかったぞ」

「あんな強い能力を貰っておいて負けたのかよ青牛角のやつ。だから小物だ何だって言われんだよ」

「そう言ってやるな。認めたくは無いが蜀の奴らとカルデアとかいう奴らが上手だったという事さ」

 

強い能力を持っていても負ける時は負ける。

戦いには何が起きるか分からないのだ。一瞬の油断やちょっとの慢心が命取りになるものだ。

青牛角の敗北は良い例でであり、慢心と油断が原因である。

 

「やけに青牛角の肩を持つじゃないか。そう言えばあんたは青牛角と仲が良かったな」

「昔から一緒に暴れまわった仲だからな。正直に言うとこれから蜀に赴いて青牛角の敵討ちに行きたいものだ」

「潰すのは魏が先でしょ」

「分かってる」

 

八傑衆が1人、飛燕の担当は魏。

 

「魏を潰したら次は蜀を潰すさ」

「でも魏が一番大変でしょ潰すの。だから八傑衆の中でも筆頭であるあんたと張白騎が選ばれたんだから」

「まあ、大変ではある。だから綿密に魏を潰す計画を準備しているんだ」

 

一国を潰すのは簡単ではない。

どの時代でも人が国を潰すのには時間が掛かり、犠牲が付き物だ。そして国を潰すには綿密な計画と準備が必要である。

難しいなんてものではないが国を潰すのが不可能というわけでもない。

 

「本当だよ。準備はとっても必要だからね。だというのに雷公のやつは勝手に負けやがって…ボクが考えていた計画がおじゃんだよ」

「なんだ。まさか諦めるつもりか?」

「いや、諦めない。ここでおめおめと帰ったら女神様に何をされるか分かったもんじゃないからね」

 

八傑衆が五胡に組する理由は女神や五胡の王に于吉の力があるからだ。三国には無い圧倒的な力を持つ勢力。実際に于吉から妖魔の力を貰っている。

妖魔の力を手にした時は何でも出来る感覚に陥ったほどである。青牛角たちは敗北したが特別な力なのは間違いない。使い方によっては天下を取れるのだから。

 

「この大陸は女神様のものになる。その時は我ら女神様の国で上に立つ存在になる」

「好きな事し放題だよね。旨い飯食ったり、良い女を抱いたりと」

 

カジカジと嬉しそうに自分の爪を噛む浮雲。

 

「取り合えずこっちは呉を潰す方法を練り直さないといけないんだ。元々は雷公と一緒に動くつもりだったからね」

「1人で大丈夫か。なんなら于吉殿に連絡して誰かしら応援に来てもらう事も可能だと思うぞ」

「1人で十分さ。こっちは機会を見て動くからね」

 

雷公は浮雲にとって攻撃の要であった。しかし彼はいきなり脱落。

せっかく2人で呉を潰す作戦を考えていたが瓦解。しかし雷公がいなければ呉を潰せないわけではない。浮雲の能力ならば1人で呉を潰す事は可能である。

 

「ボクの能力は于毒と同じように嫌らしい能力だ。色々と仕込む必要がある。まずはひっそりと準備しないとな」

「頑張れよ」

「はいはい。飛燕もな。陳留で何を準備してるか分からないけどさ」

「私はいま魏の陳留に居ないよ」

 

今の台詞でポカンとしてしまう。

 

「え、じゃあどこにいるのさ」

「洛陽だ」

 

 




読んでくれてありがとうございました。
次回の更新は2週間以内を頑張ります!!

ついにぐっちゃんパイセンの登場です!!
いやあ、長かった。八傑衆編(呉)では彼女多めで話が展開していくかも?


577
蜀を出て呉と魏へ!!
お留守番組と魏組と呉組に分かれます。
始皇帝は洛陽に行きたいみたいです。その理由はいずれまた。
魏に始皇帝がいって色々とありそうだ…


578~579
ぐっちゃんパイセンと合流!!
立香は雪蓮と虞美人からラリアットを喰らってます。(なんでだろう)

あと雪蓮たちが李書文(殺)を見て驚く展開は書きたかった。
だから李書文(槍)が別行動でした。

虞美人は恋姫世界に来てもいつも通り。
項羽様第一です。


580
八傑衆の飛燕と浮雲。
彼らは呉と魏を潰すために暗躍中。
どんな展開になるかはゆっくりとお待ちくださいね。

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