Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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GWがまだ続いている方も終わってしまった方もこんにちは。
まだまだコロナが続いてますので気をつけましょう。

FGOのワルツコラボ面白かったです。
今回もストーリー良かったですね!! 最後に登場したえっちゃんのあの霊衣。
いつ実装されるのか気になるところです。

さて、タイトルを読む通りちゃんとぐっちゃんパイセンがちゃんと名探偵をやるかどうか…それは本編をどうぞ!!



名探偵虞美人?

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血が欲しい。血が飲みたい。

血、血、血、血、血。赤く赤く赤く、燃え上がる炎よりも真っ赤な液体で甘美な蕩ける蜜のよう。

 

どんな血でも良いわけではなく、人間の血が良い。人間の血が一番美味いのだ。

人間の血は美味いが個体差によって変わる。己自身の好みもあるが一番は若い女の血が一番だ。健康体であるのも重要だ。

 

健康で若い人間の女がたくさんいるのはいつだって大きい街だ。だからこそ呉という国にいる。

 

今夜も月が綺麗で獲物が見つけやすい。

 

 

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2人目の犠牲者が出てしまった。

1人目と同じく、血を全て抜かれている(吸われている)のか身体は干乾びているような状態である。被害者は町娘で若い女性。

 

「あー…これは間違いなく吸われているわね」

「流石はぐっちゃんパイセン。分かるんだ」

「首元に噛まれた跡があるわ」

 

首元に噛まれ傷があったのは1人目で確認済みだ。

 

「で、臭いも残ってる。人間の臭いじゃなくて怪異の臭いがね」

 

スンスンと周囲を嗅ぐ。

 

「人間臭い中に血と怪異の臭いが混じってるわ」

 

藤丸立香たちに怪異の臭いなんて分からない。しかし虞美人にとってはまる分かりらしい。

 

「荊軻は分かる?」

「血の臭いしか分からんな」

「私も」

「あたしも」

 

粋怜と梨晏も分からない。怪異の臭いはどんな臭いか気になるものだが普通は嗅ぐものではない。

そもそも怪異と遭遇するものではないのだ。遭遇しないなら遭遇しない方が良い。

 

「被害者は若い女か…しかも2人も。犯人は若い女が好みかもね」

「若い女が好みねえ」

「人間たちも食べ物で好みがあるでしょ。これはそれと同じよ」

 

人それぞれ食べ物には好みがある。あれが好き、これが好きと千差万別。

 

「てか、食べ物って…」

「この妖魔にとって人間は食糧よ」

「ええ…」

 

人間が食糧と言われて、何とも言えない表情をする梨晏。

 

「あんたたち人間だって鳥やら牛やら食ってるじゃない。妖魔にとってはそれと同じよ」

「そういうもんなのかなぁ」

 

弱肉強食の世界。

弱い者が強い者に喰われる。単純な摂理で虞美人は何ら疑問に思わない。

だからこそ虞美人は被害者2名はただ弱く、運が悪かったから死んだとしか思っていない。

 

「それにしても昨日の今日よ。これだと明日にはまた被害が出そうね」

「被害は今のところ夜に起きている。なら夜の出歩きを控える様に伝えた方がいいと思う」

「立香の言う通りね。民たちに夜は家に居るように言っておかないといけないわね」

 

狙われるのならば安全は家から出ない事だ。

現段階で推理して分かるのは夜中に若い女性が狙われている事。更に情報を集めていると女性は誰かと一緒ではなく1人だけだったという。

この事から犯人は夜中にたった1人で出歩いている女性を狙っているという事が導き出される。

 

「犯人は人間じゃなくて妖魔なんでしょ。なら家を襲ってくるとか…」

「それだったら最初からしてるでしょうね。だけど静かに1人だけを狙っている事からこの怪異はあまり事を大きくしたくないようね…今は」

「今はって事はいずれ被害が大きくなるって事?」

「可能性としてね。この妖魔はただ人間を食糧としているか、もしくは力を溜めているか」

 

食料と考えているのなら今回の怪異にとって呉はただの良い餌場だと考えているはずだ。しかし力をため込むために襲っているのならば後々に何を仕出かすか分からない。

 

「今夜早速、誰も外に出ないならチャンスかもね」

「ああ、ぐっちゃんパイセンの考えが読めたかも」

「言ってみなさい後輩」

「囮作戦でしょ」

「正解」

 

 

596

 

 

囮作戦。

犯人は若い女性を夜中に襲っている。更に目撃者はゼロという情報も手に入った。

この事から犯人は夜中に若い女性が1人の時を襲っていると分かった瞬間に虞美人が囮作戦を提案。

犯人は出来る限り目撃を出さないように動いている。ならば人気の無い場所で囮を行えばかかる可能性はあるのだ。

 

「囮作戦ね」

「そうよ。今ここにいるのは私を含めて5人。二手か三手くらいに分かれて動くわよ」

「どう組み合わせにする?」

「適当でいいわよ。てか、私1人で十分だからアンタらだけで勝手に決めて」

 

虞美人は1人で動く。確かに彼女ならば1人でも平気だが、藤丸立香は夏を思い出す。

 

「大丈夫? サマーキャンプみたいに死なない?」

「死なないわよ。そもそもあそこはああいう特異点だったからで。てか徐福のやつが私を殺す為に動いていたからだし…」

(え、死ぬ? それに徐福?)

 

2人の会話から気になる言葉が出てきた。

まるで虞美人が一度死んだかのようだ。更に徐福と聞くと秦の時代に生きた徐福しか思いつかない。

 

(死ぬとかはよく分からないけど…虞美人さんは秦よりも前から生きてる仙女って言うし。あの徐福と知り合いでもおかしくないって事かな?)

 

梨晏の思った事は正解である。更に追及するならば徐福は虞美人のファンみたいな存在になっている。ただ虞美人の不死性の無くす。本当の死を与えようとしている狂気さを持っているが。

 

「ともかく、私1人で十分だから」

(なんか不安だなぁ…令呪で蘭陵王でも呼ぼうかな)

 

訳を話せば蘭陵王は応じてくれる可能性は高い。

 

「いいから早く組を決めなさい」

「同時に手を裏か表で出して、同じだった組み合わせにしましょ」

 

粋怜が組み分け方を決めた。

「いっせーのーせっ」という掛け声と共に4人が手を出した。

決まった組み合わせは藤丸立香と梨晏、荊軻と粋怜。

 

「決まったわね。なら囮役はどっちにするかは決めなさい」

「と言ってもアタシ確定だけどね」

 

藤丸立香と梨晏のペアの囮の役目は梨晏で確定。藤丸立香は若い女ではなくて若い男なのだから。

 

「後輩に囮をさせるなら女装させなさい」

「嫌です」

「へー。立香って女装が趣味なんだ~」

 

ニヤニヤする梨晏と粋怜。

 

「趣味じゃないから」

「でも女装はしたことあるんだ」

「無理やり着せられたんだよ」

 

またも『新宿幻霊事件』を思い出す。ここ最近だと曹操がいる陳留でも女装させられたのを思い出してしまった藤丸立香。

呉では女装なんかしてやるものかと思って拳を構える。

 

「何で拳を握るの」

「女装をしないという意志表明です」

「そんな事しなくても女装させられる時はさせられるのが運命だからな主は」

「そんなことを言わないで荊軻」

 

取り合えず藤丸立香と梨晏のペアは梨晏が囮役に。

 

「こっちは荊軻にしてもらおうかな」

「私か?」

「そ。だって犯人は若い女性が狙ってるんでしょ。なら荊軻がーー」

「粋怜も若いじゃん」

 

藤丸立香は特に考えず思った事を言う。

 

「立香はほんとそう言う事をズバっと言うわよね」

「そういうのも誑しの由縁かもしれんな」

「誑しじゃないんですけど」

 

意外そうな目で藤丸立香を見る3人。

 

「何さその目は」

「主は本当に…やれやれだ」

 

ため息を吐かれる。

藤丸立香は自分自身の事を分かっているようで分かっていない。

自分から英霊に近づいて深く絆を深めているくせして最後の最後で止まっているようなもの。釣った魚に餌をあげないとも言うかもしれない。

だからこそ最後は英霊の方からガンガンにアタックを仕掛けてくる者もいるのだ。例を挙げると溶岩水泳部が良い例えかもしれない。

 

「主の天然誑しは置いておいて」

「いや、だから誑しなんて…」

「はいは~い。立香は黙ってようね~」

 

何はともあれ荊軻と粋怜ペアの囮役は荊軻に決定。

3組による街内で囮作戦を決行だ。

 

「さて、囮役が決まったから何処で実行するかだけど」

「街内の何処かだけど結構広いからな。囮をする場所を決めておかないと」

 

藤丸立香は地面に呉の街内を簡易的に描く。

 

「最初がここ。で、今回がここ」

 

地面に描かれた図に丸を付けていく。場所的に予想していた通り人気が少ない。

 

「人気が無い場所だからこそ若い女性がいる可能性は少ない。そうなると近くで若い女性を人気のいない場所に連れ込んだ可能性があるね」

「後輩の言う通りね。なら人気の居ない場所より近くで囮作戦をした方がいいわ」

「ならこの辺りがいいかも」

 

粋怜が地面に描かれた図の3か所に丸を付ける。

 

「じゃあこの3か所でいこう」

 

今夜、囮作戦が決行される。

 

 

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荊軻・粋怜ペア。

今夜も月が明るい。街灯要らずならぬ松明要らずと言うべきか。

道を歩くは白い清潔さを感じさせる着物を着た黒髪美人。徳利片手に静かに歩いている。

彼女の正体は言わずもがな荊軻である。呉で起きた怪事件の犯人を捕まえる為に囮役を引き受けた。

 

(ふむ。今のところ変な気配はないな)

 

周囲を警戒し過ぎながら歩いては逆に犯人に気取られる。警戒し過ぎるのも注意しないといけない。

 

「んむ」

 

酒を少しだけ飲む。ほろ酔い気分の女性が夜道を1人で歩いている感じを醸し出す。

ほろ酔いの女性ならば相手から見て少しは警戒が緩むかもしれない。

 

「そこの嬢ちゃん。良い肌してんねえ」

 

ほろ酔い気分を演じながら夜道を歩いていると男から声を掛けられる。

 

「どうだい。おれと一発そこで…うごぉ!?」

 

男は脳天に衝撃を受けた瞬間に地面に沈んだ。

 

「粋怜殿。見事に脳天への一撃だな」

「ふつーにこいつ変質者っていうか…ただの酔っぱらいね」

 

気絶している男は酒臭い。今の時間帯まで酒を飲んでいたと丸分かりである。

 

「夜は男女関係無く出歩くなって伝えていたはずなんだけどね」

「言う事を聞かない者はいるものさ」

 

昔も今も言う事を聞かない者はいる。

自分は大丈夫、自分は関係無い、そんなの関係ねえ、と色々と思っている人間はいるからこそ注意を促しても意味がない。

勿論、注意を聞いてくれる人だっているのは当然いる。しかし聞かない者もいるからこそ荊軻は酔っ払いに声を掛けられたのだ。

 

「まったく被害が実際に起きているっていうのに」

「まあ、逆に少しくらいは人が出歩いている方が良いかもしれんがな」

 

街から民が1人も出歩いていないとなると逆に犯人も怪しんで出てこない可能性もある。ならば少なからず夜道に人間が出歩いていれば若い女性を探して徘徊している可能性があるのだ。

 

「取り合えずこの酔っ払いをどうする?」

「流石にこのままじゃいけないでしょ」

 

犯人ではなかったにしろ気絶させてしまった為、そのまま放置には出来ない。

本来ならば守るべき民であるが注意を破って、酔っぱらって夜道を歩いていたので脳天に一撃をかました粋怜は悪いとは思っていない。

それでも少しだけ罪悪感はあるので兵士を呼んで送り届ける事はする。

 

「それにしても此方は外れかな」

「かもしれないわね。もう少しこの辺りで張ってみましょ」

「そうだな。この概念礼装を使う機会があればいいのだがな」

 

荊軻の手には概念礼装『閃光』。本来の使い方ではないが今回は発炎筒のような代わりとして使う。

犯人を見つけたら真上に向かって放てば一筋の閃光が夜空を切る。三方向に分かれている藤丸立香たちもすぐに気付く事が出来るのだ。

 

「それも妖術具なのよねえ。どういう原理で光が空を切るのか分からないわ」

「色々と複雑だったり、単純だったりと色々とある」

 

魔術の術式は何通りもある。解析ならば諸葛孔明や司馬懿(ライネス)がいれば丁寧に説明してくれるかもしれない。

 

「黄祖の時や反董卓連合にそして今。なんだか妖術関連が嫌というほど付いてくるわね…対策に私も何か妖術を会得してみようかしら?」

「簡単に会得できるとは思えないが…まあ、やるだけやってみるのも良いんじゃないか」

「荊軻って妖術とか詳しい?」

「私は専門ではない」

「じゃあやっぱり、立香に聞いてみようかしら」

「主もからっきしだぞ」

 

努力はしている藤丸立香。師匠のメディアとには長い目で見られているのでまだまだ。

本人としては少しでも魔術を覚えて仲間の力になりたいと思っているがすぐに会得はできない。少しずつ覚えていくしかないのだ。

 

(主は魔術はからっきしだが…それ以外はグングンと飲み込んでいくのだがな)

 

例えば風魔小太郎から忍術(変わり身の術等)を会得していた時は誰もが驚いていた。

気が付けば色々と技術や特技を会得しているはずだ。

 

「孔明や司馬懿がいれば良かったが…まあ、彼らも教えてくれるかは分からんがな」

「んー…まずは独学で調べてみようかしら」

「ははは。独学で会得できたら天才だろうな…って、ん?」

 

急遽、夜空に一筋の閃光が切った。

 

「確かあっちの方向は…」

 

 

598

 

 

藤丸立香・梨晏ペア。

月明りに照らされた夜道を歩く美女は梨晏。

いつもの武将としての覇気と陽気さを押し殺し、儚げな雰囲気を醸しだしている。

言い方は悪いが襲いやすい美女を演技しているという事だ。

 

(梨晏の演技は文句なし。雰囲気がまるで別人だ)

 

藤丸立香は物陰から様子を窺っている。

もしも犯人が現れたらガンドをすぐに撃てるようにカルデア戦闘服に着替え済み。

梨晏の武器もすぐに渡せるようにもしている。

 

(さて、犯人はこっちの囮作戦に掛かるかどうかだな。それにしても今回の事件は自然に起きた事なのか人為的なのか…)

 

基本的に怪異事件は不条理で自然の出来事のようなものだ。しかし藤丸立香が人為的だと思ったのは今までの経験によるもの。

この外史世界で遭遇した怪異は全て于吉が裏で絡んでいた。だからこそ最初、この怪異事件を聞いた時に于吉が脳裏に浮かんだほどである。

 

(まだ于吉がやったというわけじゃないけど…可能性の1つとして考えた方がいい)

 

頭の中に『Why done it』と言う台詞が響く。

 

(何故、犯行を行ったか…于吉案件だと考えると答えはすぐに出る。それは三国を滅ぼす事)

 

于吉案件だと予想した時、次に頭に浮かんだのは八傑衆だ。

八傑衆は于吉が送り込んだ刺客たちというのは蜀で判明している。

彼らははっきりと蜀を、三国を堕とす為に動いている言ったのだ。

藤丸立香たちが追っている怪異事件は最終的に呉を滅ぼす事件に繋がるかもしれない。

 

(于吉と八傑衆が絡んでいるのか?)

 

絡んでいると予想したとして、今回の犯行がよく分からない。

呉を滅ぼすために動いているとしても直接、呉を攻撃しているとは思えないのだ。襲った若い女性は呉の民ではあるが呉の人間を2人殺害したからといって呉の国崩しに繋がるような被害ではない。

これが数日に何十人、何百人というレベルなら被害は甚大で呉の崩壊に繋がるが現段階はそうではない。

 

(犯人はどういうつもりで犯行を行っているんだ?)

 

現段階では情報が足らない。

どんな推理も情報が物を言う。情報があればあるだけ解答へと繋がるものだ。

藤丸立香が導き出したのは解答ではなく予想に過ぎない。

 

(…今回の怪異事件の裏に于吉が潜んでいるとしても、今回の動機は単純だって可能性もあるよな)

 

難しく考えていた頭を一旦、冷ます。

虞美人が言っていた事を思い出そうとした時に声が掛かった。

 

「立香~」

「梨晏どうしたの?」

 

いつもの雰囲気の梨晏が駆け寄ってくる。

 

「まったく犯人が引っかからないよ」

「う~ん…ここいらには居ないのかな」

 

既に二時間は囮作戦は行っているが犯人が出てくる様子は無い。

 

「虞美人さんと粋怜さんたちの方かな?」

「かもしれないね。でも、もう少しだけこの辺りを張ろう。それで居なかったら別の場所に移動しようか」

「そうだね…ん!?」

 

梨晏の瞳に映ったのは夜空を切る一筋の閃光であった。

 

 

599

 

 

虞美人担当地にて。

彼女は月明りに照らされた夜道を歩く。その姿を見る者はいないがもしも見た人間がいたら「美しい…」と呟くかもしれない。

月に照らされた虞美人はまさに1枚の絵になるほどである。

 

「…こんな月が美しい夜に妖魔が徘徊するのか」

 

ため息がつきそうな声色だ。

 

「さっさとこんな事件を解決して項羽様の行方を捜しに行きたいのに…」

 

既に犯人は妖魔だと分かっている。

現場を調べた時に妖魔の臭いがしたのだ。妖魔の臭いなんて人間では分からない。しかし虞美人は人間ではないからこそ幻想の存在の臭いが分かるのだ。

 

探偵泣かし。臭いで犯人が分かるなんて推理する必要がなくなる。諸葛孔明、ホームズもため息を吐きたくなるかもしれない。

 

臭いで分かるのは人間か妖魔等の大まかな種族。更に詳しくまでは分からない。しかし虞美人にとって人間か妖魔かさえ分かれば十分であった。

 

藤丸立香は『Why done it』。何故、犯行を行ったかを考えている。既に幾つか予想を立てているが虞美人はもう答えを導き出していた。

実は現場を見た時に答えを言っていた。藤丸立香も聞いており、答えの1つとして頭に入れている。

犯人が犯行を行った理由は『食事』だ。

 

「後輩はいけ好かない探偵みたいに色々と考えていたけど…それは相手が人間だった場合。相手が妖魔なら答えは単純なのよ」

 

犯人が若い女性を襲っていた理由はただ食事をしているだけ。

怪異の存在理由は単純で分かりやすい。例を挙げるなら日本の怪異ほど分かりやすいのはいない。

『これだけをする』という怪異は多いのだから。

今回の犯人も妖魔であるならば行動理由も簡単で食事をしているだけにすぎないのだ。

 

「妖魔よりも人間の方が複雑なのよ」

 

怪異は人間よりも恐ろしく強い。しかし虞美人からしてみれば人間の飽くなき欲求の方が恐ろしいと思っている。

飽くなき欲求や好奇心があるからこそ人間は世界の表側を支配したのかもしれない。

 

「妖魔の方が行動理由が単純だから分かりやすい」

 

犯人が妖魔であり吸血種である事も分かっている。食事を目的に動いていると分かったからこそ囮作戦を決行した。

食事を目的としているなら囮作戦に引っかかりやすいと考えたのだ。

 

「ま、妖魔の裏に何かいるかもしれないけどソレは後輩に任すか」

 

虞美人にとって怪異事件の犯人さえ倒せば終わりだと思っている。于吉だか八傑衆だがは関係無い。

 

「今回の犯人は妖魔は吸血種で目的は食事。はい、推理完了」

 

名探偵虞美人の推理は終了。後は犯人を捕まえるだけだ。単純明快な解答に辿り着き、夜道を歩いていく。

そのまま無言で歩き続け、次の曲がり角を曲がると黒い影が視界に入った。

 

「お前は……」

 

 

560

 

 

夜空に一筋の閃光。

犯人を見つけたという合図である。急いで現場へと走っていく。

 

「あっちの方向って確か虞美人さんがいるところだよね」

「ああ、ぐっちゃんパイセンが見つけたんだ」

 

梨晏と藤丸立香は全速力で夜道を駆けていると横から2人の気配を感じ、視線を向けると粋怜と荊軻が走って来た。

 

「立香と梨晏も見たのね」

「うん。虞美人さんが犯人を見つけたみたい!!」

 

4人揃って虞美人が閃光を打ち上げた場所へと急ぐ。

もしかしたら虞美人が犯人を捕まえているか勢い余って仕留めている可能性がある。そう考えるは梨晏たちだ。

虞美人は人間なく仙女であり、実力も強者だ。八傑衆の雷公を瞬殺したほどである。

 

(ぐっちゃんパイセン大丈夫かな…)

 

しかし藤丸立香は少しだけ不安を覚える。虞美人の実力は本物であるのは知っている。

それでも少しの不安があるのは今までの経験則によるものだ。

 

(大丈夫だよねぐっちゃんパイセン!!)

 

ギャグ落ち真っ逆さまの虞美人だが決める時は決める。今のところ彼女におかしなところはない。

名探偵をしていたかどうかは微妙なところであるが犯人を見つける為に力を貸してくれたのは真剣であった。

 

「ぐっちゃんパイセン!!」

 

曲がり角を曲がるとまさかの光景が視界に映る。

 

「そんな…」

 

首をねじ切られた虞美人の姿がそこにあった。

 

 




読んでくれてありがとうございました!!
次回は来週を予定しています。それが駄目だったら2週間以内かな。


594
犯人視点。
さて、正体はどんな妖魔なのか。

595
名探偵虞美人。
ちゃんと現場検証をしています。でも…あれ、推理してたかな?
そもそも臭いで妖魔が分かっちゃうしね。

596
囮作戦。
犯人を捕まえる為に3組に分かれます。
早速、ぐっちゃんパイセンがフラグを立てるような事を…。

立香の女装。公式でまたやってくんないかな。
だって面白いし。今度は公式絵も込みで。

粋怜だけじゃなくて祭や雷火たちってほんとうに何歳やら。
誑かし系って、普通に若いって言っちゃうイメージ。そういうところだよねえ。


597~599
各々の話です。

粋怜と荊軻の方は外れ。

藤丸立香と梨晏のペアも外れ。
立香は色々と推理してます。予想ではありますが于吉と八傑衆までたどり着いています。しかし情報がまだ足りない。

虞美人は既に解答に辿り着く。
犯人が妖魔と分かった時点で行動理由も分かったので。
タイトルに『?』を着けた理由は推理をあまりしていないから。

560
ぐっちゃんパイセンが…
はい、予想していた方がたくさんいたかもしれません。

次回がどうなるかはゆっくりとお待ちください。
(まあ、次回の展開も予想できそうですけど…)


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