Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
やっとこさ更新です。
最近は更新が遅くなってきましたがまだまだ頑張りますよ!!
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吸血巨人。
「そう言えば聞いた事があるわ」
「急にどうしたの粋怜?」
ふと口にしたように呟く粋怜。
「ぐっちゃんが言っていた今回の妖魔の正体」
「え、誰誰?」
「たぶんだけど…妖魔は吸血巨人」
「「吸血巨人?」」
体長は9メートルはあり、更に人間の生き血を啜ることによって巨大化していく妖魔。
粋怜が口にした内容は虞美人が言っていた事と一致している。
「吸血巨人は孤島に生息してて仙人のような姿をしているんだって。更に首をねじ切って血を啜ったりもするらしいわ」
「うわぁ」
首をねじ切って血を啜る。被害者は噛みつかれて血を啜られていたが虞美人は首をねじ切られていた。
「でもこれは聞き分けないのない子を怖がらせるような話よ」
怪異の話やお伽話を怖い話にして聞き分けの無い子供を大人しくさせるために利用するのはどの時代でもある。
現代日本でもあったりする。なまはげもまた似たようなものだ。
「アタシは聞いた事ないけどな~」
「そうなの。結構有名な話だと思ったけどね」
「地域によってじゃない?」
地域によってのお伽話や決まり事なんて事は多々ある。粋怜は知っていたが梨晏は知らなかっただけにすぎない。
「まあ、まずはぐっちゃんパイセンを追いかけないと」
「そうね。正体が分かっても捕まえないと意味は無い」
藤丸立香たちは血の跡を目印に夜道を駆けていく。
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「何故、私の正体を…それに知っているだと?」
吸血巨人は斬られた片腕を拾って繋げ合わせる。そして膨張するが如く身体が大きくなっていった。
「ま、アンタじゃないアンタを知ってるって事」
「訳の分からない事を!!」
今の吸血巨人は9メートルの巨人。
「せっかくの餌場だったが貴様のせいで台無しだ。戦いたくはなかったが己を守るために殺してやる」
「殺すね…本当に私を殺せるか試してみなさいよ。ただデカイだけが取り柄のアンタにね」
「大きさは力だ」
名の通り吸血巨人は巨人。しかし虞美人は恐怖しない。
巨人なら今まで戦ってきたエネミーにもいた。そもそも目の前にいる吸血巨人より大きいのエネミーと戦ってきた事があるのだから逆に9メートルは小さいとも思ってしまう。
「ぐおらあああああ!!」
太い太い吸血巨人の腕が虞美人に向けて振るわれた。喰らえば簡単に肉片になりそうな威力である。
「そんな大振りの攻撃当たるわけないでしょ」
「最初は私に首をねじ切られたくせに!!」
「それは油断してただけよ!! それに何か変だったし!!」
大振りの攻撃を躱し、双剣で斬り付ける。
「うがあああああ!!」
吸血巨人はただただ大きさを武器に殴りつける。
「だからそんな攻撃喰らわないっての!!」
そもそも喰らっても虞美人の持つ再生能力で死ぬ事は無い。吸血巨人にとって相手が最悪な存在なのである。
「ほら!!」
双剣を投げ飛ばす。ただ一直線に投げられたわけではない。
まるで生き物のように双剣が吸血巨人を斬り付けていく。それは虞美人は舞うように双剣を操作しているからだ。
「ふふん」
もはや虞美人のペースで吸血巨人は為す術もなく斬られていく。
「何故だ。何故当たらない!?」
「アンタが愚鈍なだけよ」
紅い魔弾を複数放って吸血巨人を覆うように被弾させる。
「ぐああああああああああ!?」
「そして案外タフね」
虞美人程ではないが吸血巨人も再生能力を持つ。
簡単には討伐させてはくれないという事だ。しかし時間の問題でもある。虞美人の火力に吸血巨人の再生能力がいずれ追い付かなくなるからだ。
このままでは。
(同じ吸血種のくせに向こうは私よりも上の存在だ。能力も上。このまま戦っていても勝てない!?)
最初に遭遇した時から勝てない存在と理解してしまった吸血巨人。だからこそ逃亡したのである。
結局は追いつかれて討伐されかけているのだが。
(何故こんな事になったんだ。奇妙な方士に囚われ、自由になったかと思えば妖魔を埋め込まれた人間にこの町で自由にしろと言われた結果がこれだ!?)
吸血巨人は元々、孤島にいた。なんらかの理由で孤島に訪れた人間を襲っての血を吸い尽くす。そんな生活だったが今では逆に襲われている。
(このままわけも分からず死んでたまるか!!)
吸血巨人は自らを傷つけた。
「なにやって」
ビシャァっと虞美人の上半身に血飛沫が掛かった。
一瞬だけ視界が赤く染まる。吸血巨人は自らを傷つけ虞美人の目を一瞬だけ奪ったのである。
すぐに何の為に自分を傷つけた理由は理解。顔を拭って周囲を確認する。視界を奪った隙に攻撃してくるかと予想していたが襲撃は無い。
「逃げたか」
周囲をチラリと見るとまたも血痕が道に続いている。
「何度も追いかけさせないでよね」
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荊軻が虞美人と吸血巨人と戦った現場に到着。
「また死んだのか?」
「違うわよ。これは敵の返り血」
目の前にはベットリ血だらけの虞美人。
普通に見たら殺されて血だらけになったと思うくらいの姿だ。しかし傷一つなく、上半身に血が付着しているだけである。
「妖魔は?」
「逃がしたわ。ったく、いい加減にしてほしいもんだわ」
チラリと地面に垂れ落ちた血の跡を見る。
「でもあいつ追い詰められてるから。次で決めるわ」
「成程。では早急に片付けないとな。追い詰められた奴ほど何を仕出かすか分からん」
「そうね。傷を癒す為に誰彼構わず襲う可能性だってあるからね」
追い詰められた者は思考がグチャグチャになる。そして1つの壊滅的な答えを導き出す。
自分が助かるなら何でもしてもいいと判断するからだ。それこそ虞美人が言ったように力を取り戻す為に老若男女構わず人間の血を吸いつくす可能性だってあるのだ。
被害が最悪な展開になる前に片を付けねばならない。
「ならさっさと行くわよ」
「承知した」
「さっさとこんな怪異を片付けて項羽様を探さないといけないんだから」
虞美人と荊軻は血の跡を目印にまた夜空を跳躍する。
「そう言えば後輩はまだ追いついてないのかしらね」
虞美人の後輩である藤丸立香はと言うとまだ走っている途中。
「向こうで戦闘音が聞こえた。ぐっちゃんパイセンと吸血巨人が戦闘に入ったみたいだ」
「でも今は響かなくなったから…もしかして終わっちゃったかな?」
「そうね。でもどうなっているか分からないから実際の目で見ないといけないわ」
虞美人と別れてから時間は30分も経過していない。短い時間の中で何があったか分からないからこそ自分の目で確かめる必要があるのだ。
戦闘音はそこまで遠くなかった。このまま血の跡を元に走って行けば合流する事になる。
「着いた…けど、居ない」
「ここで戦いがあったの確かみたいね。その代わりまだ事件は終わってないのも分かったわ」
粋怜が発見したのは新たな血痕。これだけで何があったかは大体予想出来る。
「戦って、敵が逃走。そしてまた追跡って所か」
虞美人と荊軻との魔力パスは切れていない。この事から2人は負けていないのは確認済み。
既に2人が居ない事から先ほど言ったように追跡をしている事が分かる。
ならば藤丸立香たちもすべきことは同じく追跡をする事。
「なら急いで追いかけないと…んん!?」
梨晏が血痕を目印に追いかけようとした時、破壊音と共に大きな影が視界に入った。
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吸血巨人は追い詰められていた。
何故、自分がこうも追い詰められないといけないのかと怒りが湧いてくる。
全ては胡散臭い方士が原因だ。妖魔を埋め込まれた人間が原因だ。ただ食事をしていたのに襲ってくる吸血種が原因だ。
自分のやっている事を棚に上げて反吐を吐く。
「あの人間は何をしているんだ!!」
あの人間とは妖魔を埋め込まれた人間。吸血巨人に街で好き勝手動くように命令してきた人間。その人間の正体が八傑衆が1人である浮雲。
「私の食事をしやすいように手配するとか言っていたくせに…今は何をしているんだ!!」
今まで食事が成功してきたのは浮雲の手配があったゆえに成功していた部分もある。
異常事態が起きた場合は何も対策が無いのかといつまでも悪態をつく吸血巨人。本来ならば近くにいるはずの浮雲は何も反応はない。
「くそっ…もうあの手しかない」
胡散臭い方士から用意された物を思い出す。
虞美人から受けた傷と自身でつけた傷を治す物。非常食と言う名の血が入った壺。
「新鮮な血が良いんだが背に腹は変えられない。こうなったらもっと大きくなって潰してやる」
読んでくれてありがとうございました。
次回の更新も今回と同じで2週間くらいかな。
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吸血巨人。
確か漢くらいには存在していたらしい。
なので一部の人は知ってる感じにしました。(粋怜とか)
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ぐっちゃんパイセンVS吸血巨人
ぐっちゃんパイセンが負けるはずない!!
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未だに活躍が無い梨晏と粋怜、荊軻。
次回で活躍させます!!
また何か起きた。
その何かとは次回で判明しますよ!!
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追い詰められた吸血巨人がやった事。
この話で次回の展開が大体予想できるかも。
一応、彼も于吉や八傑衆に利用されてるんですよねぇ。