Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
本編の文章は短いですが更新です。
前回、そのうち更新すると言っていたのを有言実行。

今回から本編に戻りました。
内容としては完全にオリジナル。どんな内容かは下記の本編をどうぞ!!


次の異変

579

 

 

ある男の前には「封」と記された札が張られた小壺が複数ある。男の正体は八傑衆が1人、浮雲。

頭をポリポリと掻きながら小壺を見ながら悩んでいた。

 

「ちっ、吸血巨人の奴め。簡単に負けやがって…せめて呉の街を少しは壊して欲しかったもんだよ」

「そう言いますが貴方も簡単に負けたじゃないですか」

「うぐっ!?」

 

もう1人の声が響く。

 

「于吉さん…それは言わないでくださいよ」

 

浮雲の背後には音もなく現れた于吉。

 

「てか、負けたんじゃなくて負傷したから撤退したんです」

(同じなんですがねえ)

「そもそもあの雷公を倒した女が規格外なんですよ。ボクが吸血巨人の援護していたらいきなり赤い妖術弾を周囲にばらまきやがって…」

「なるほど。適当に放った攻撃がたまたま貴方に被弾したと」

 

浮雲の身体に巻かれている包帯を見てより納得。

 

「まったく吸血巨人はボクの矛にならなかったですよ于吉さん」

「貴方の使い方が悪いんですよ」

「そ、そんな事ないですよ!!」

「それよりも次の手は打ってるんですか?」

 

ニヤっと笑う浮雲。

 

「そりゃあ勿論。ボクがたった1つだけの策で終わるはずないじゃないですか。もう1つの手も打ってますよ」

「ほうほう。それは良いですね」

「それに次の手は既に呉の裏側を少しずつ侵食してますんで」

「そう言えば貴方はナントカ賊を使って色々と動かしてるんでしたっけ?」

 

吸血巨人を呉に放ったより前に浮雲は呉の街で色々と根回しをしている。それこそ呉の裏側でだ。

どんな国にも表と裏側があるものだ。過去、現在、未来であっても表と裏は必ず存在する。

 

「そうですよ。ボクの駒たちが今ごろ頑張ってる頃です。そろそろ次の段階に進むはずですね」

 

吸血巨人という怪異事件を解決したが既にもう他の異変が呉を侵食していた。

 

 

580

 

 

賭博、もしくはギャンブルとも言う。

勝つか負けるか。一攫千金か無一文か。全ての責任は自分自身に降りかかる。

危ない遊びだなんて言われているが、リスクがあるからこそ人を惹きつけるのかもしれない。

 

「程普さまは賭博場をご存じっすか?」

「藪から棒ね。賭博場ってここの事じゃなくて?」

 

粋怜は今、賭博仲間たちと一緒に賭博をしている。そんな時に賭博仲間の1人が口を開いた。

 

「違うっす。つい最近…と言うにはちょっと時間が経ってるすけど新しく大きな賭博場が出来たんすよ。それこそ程普様たちが知ってるのか、許可を取ってるのかってくらいの規模の」

「え、それ知らないわね」

 

粋怜は一部の人間に賭博好きと知れ渡っている。賭博が良いか悪いかと言われれば個人の判断である。

彼女は非番の日に行きつけの賭博場に行っては賭博仲間と賭博をしているのだ。流石に毎回と言うわけではないが賭博は「好き」と言えるほどではある。

 

街の裏側にも精通している彼女が規模の大きい賭博場が新たに開かれているのに知らなかったという事は国にすら情報が届いていない可能性がある。

更に規模の大きい賭博場を開いた存在は大きな力があるという事にも繋がる。

彼女の頭の中には裏の人間たちのリストが入っており、「どいつかな?」と考えながら粋怜は賭博場を開いた者の名前を聞く。

 

「それが…分からないんすよね。賭博場の主催者は名も姿も現さないんす。その代わりを務めている奴の名前は分かるんすけど」

「じゃあ代わりの奴の名は?」

「狒々って言うっす」

「それって…妖魔の名前じゃない。完全に偽名でしょ」

「まあ、そうなんすけど…その賭博場ではその名で通っているんで」

「ふーん」

 

裏の場所で本当の名前を使っている方が珍しいかと思いながら勝手に納得する粋怜。

それよりも賭博仲間が新たな賭博場の情報を提供してくれた。しかしただ提供しただけで終わりではない。

 

「で、本題はなに?」

「その賭博場で妙な薬がばら撒かれてるらしいんす」

「妙な薬?」

「はい。その薬を飲むと強くなれるらしいんすけど、化け物になっちまうなんてものっす」

「それ本当なの?」

「実は噂程度の情報っすけど…火のない所に煙は立たぬって言うじゃないっすか。それにその賭博場は良い雰囲気がしないんすよねえ」

「ふむ…」

 

信頼している賭博仲間であり、実は裏の事情を集めてくる斥候である彼の情報に嘘は無い。

呉の街に誰が開いたかも分からぬ賭博場に怪しい薬の噂。そのまま放置して案件ではないかもしれない。

 

(ちょっとこの話を上に持って行ってみようかしらね)

 

この時ばかりは粋怜も大事になるとは予想だにつかなかった。

 

 

581

 

 

新たに出来たらしい賭博場について粋怜は冥琳について聞いてみるが欲しかった返事は帰ってこなかった。

 

「知らないな」

「そう。規模が大きい賭博場だって言うから情報が上がっててもおかしくないと思ったんだけどね」

「つい最近だとまだ情報が上がってきていないという可能性があるが」

「開かれてから結構経ってるみたいなのよねー」

「そうか…まあ、賭博場よりも気になるのが薬の方だな」

 

嘘か本当か分からないが飲めば強くなる薬。

 

「強くなるというのなら調べてみたいものだ」

「でも化け物になっちゃうらしいわよ?」

「それも気になる。まあ、薬を飲んで強くなるなんてものは存在しない。ただそれが悪いものなら即刻回収するべきだろう。呉でそんなものが出回っているとしたら色々と問題だ」

 

強くなるけれど化け物になってしまう薬。

火のない所に煙は立たない。何かしらの薬が呉で出回っている可能性があるのは高い。

噂に尾ひれがついて化け物になるなんて言葉が付いたかもしれないが、言葉的にマイナスのイメージである。その事から真実も良くないモノである可能性も高いのだ。

例えば一時は強くなれても副作用で身体が壊れて無残な姿になるという意味であったら危険だ。間違って呉の兵士が服用してしまったら目も当てられないのだから。

 

「本当にあるかどうかも分からんがあったら問題だ。その情報から聞くにその薬は新しく出来た賭博場で売っている、もしくは配布されているのでしょうね」

「ええ。だから今度、その賭博場を調べてみようと思うんだけど1人で行くのもなんだし…誰か空いている?」

「祭殿と明命、思春が空いていますね」

「じゃあその3人を連れてくわ。あ、立香くんたちは?」

「立香たちも空いていると思いますよ。声をかけてみては?」

「そーするわ。ありがとね冥琳」

 

早速と言わんばかりに粋怜は藤丸立香たちの元へと向かう。

 

「立香くん。お姉さんとイイところに行かない?」

「急ですね。てか、良い所って何処ですか」

「男の子が大好きなところよ」

 

なぜか意味深なように言ってくる粋怜。多感な年頃の男の子だったらまず間違いなく誤解する。

 

「男の子が大好き…」

「そうそう」

 

勘違いしていると思って藤丸立香が次に何を言い出すか楽しんでいる粋怜。

彼女的には男女のお店もとい風俗店のような事を彼は言い出すのではないかと予想して心の中ニマニマ。本当に言ったらからかってやろうという気満々でもある。

 

「ロボットか」

「え、呂防斗(ろぼぅと)?」

 

予想していた言葉と全然違った為、普通に聞き返してしまった。

 

「男の浪漫です」

「ごめん、なんかよく分からないわ」

 

男の浪漫は男しか分からない。時たま女も分かる人もいるが少数派。

 

「で、何処に行くんですか?」

 

からかえなくてちょっと残念と思いながら本題に戻す。

 

「賭博場よ。行ってみたいでしょ?」

「行きたいか行きたくないかで言えばどっちでも」

 

優柔不断な答え。

 

「じゃあ行きましょ」

「何をしに賭博場に行くんですか」

「賭博をしに…じゃなくて任務よ」

 

スイスイレイレイと説明し、ぐだぐだと理解。

 

「謎の賭博場に謎の薬。なるほど事件の香りがしますね」

「でしょ。この任務に力を貸して欲しいんだけど」

「いいですよ」

「さすが立香くん。そう言ってくれると思ったわ」

 

事件、怪異、トンチキ特異点とどんなものもドンと来いの藤丸立香。正確には事件の方から来るのだが困っているというのならば彼は力を貸すお人好し。

そんなお人好しだからこそ信頼できるのかもしれない。

 

「こっちは私と祭、明命、思春。立香くんはあと2、3人ほど声をかけて欲しんだけど」

「了解」

「ならオレ参加な」

「「わっ」」

 

急に第三者の声。

 

「燕青」

「おもしろそーな話をしてんじゃねえか。賭博場かぁ」

「あら、貴方も賭博が好きだったり?」

「結構好きだぜぇ。賭博場は色々と面白いからなぁ。色々と」

 

ニッカニカの笑顔。彼は本来の賭博とは別の何かを期待しているようだ。

 

「じゃあ早速1人決まったわね。残り1人か2人お願いね」

 

謎の賭博場への潜入任務が始まる。

 




読んでくれてありがとうございました。
次回の更新は2週間以内の予定です(たぶん)

今回のオリジナル話はどうだったでしょうか。
賭博場を主題に書いてみました。
恋姫原作でも粋怜が賭博好き…実際に三国時代には娯楽として色々とあったみたいです。そういうのも含めて書いていこうと思います。
(頑張って書こう!!)


579
八傑衆の1人、浮雲。
また何か異変を起こそうとしています。
そして今更ですけど、彼が吸血巨人事件でぐっちゃんパイセンの首がねじ切られた原因です。まあ、広範囲の攻撃に被弾して撤退しましたけどね。
その時の傷が藤丸立香が発見した『妙なとこに血痕があった』です。

580~581
謎の賭博場への潜入任務。そして謎の薬とは一体…。
実は謎の薬に関しては恋姫シリーズのある薬を使わせて頂いでます。この一文で分かってしまう読者が現れちゃうかな。

呉のメンバーは粋怜、祭、明命、思春の4名。
カルデアからは藤丸立香と燕青と他に…他は次回で判明。


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