Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。

FGOの水着イベント面白かったです!!
イベント期間も残り少しですね。何だかんだでもう夏が終わりで次に来るは秋か。
個人的ですけど、夏が終われば秋冬。もう1年経過してしまうのか…って感覚です。

さて、本編ですが藤丸立香と狒々との賭博勝負。
タイトルに書いてるようにイカサマをする気まんまん。どのような展開になるかは本編をどうぞ!!


賭博勝負 -イカサマ-

594

 

 

藤丸立香対狒々の聖戦。

1回戦目の勝負をするためにお互いの木札を明命に渡す。

 

「では、捲ります」

 

2枚の木札を捲り、役が全員の視界に入る。藤丸立香の役が騎兵で狒々の役が暗殺者。

1回戦目の勝者は狒々。

 

「ひひひ、まずは俺の勝ちだな」

 

唇を捲るほどの笑い。

彼は絶対の自信を持ってこの勝負に勝つと思っている。勝った気でいるため舐めまわすような視線を粋怜に向ける。

 

(ああ、たまんねえな。あの肢体を好き勝手できるなんて)

 

絶対の自信は彼が持つ能力だ。

 

(早く小僧との勝負を終わらせないとな)

 

粋怜から視線を外し、藤丸立香へと戻す。

こんな勝負はさっさと終わらせて休憩室でしっぽりとしたい。その為には目の前の藤丸立香をさっさと負かさないといけない。

勝負は決まっているのに時間を取らされるのが少し気に食わさないと思っている。

 

(この小僧に最初は勝たせて良い気にさせてから一気に叩き落すなんて事も出来るが今は小僧よりも程普だ)

 

彼が持つ能力とは『心を読む、視る能力』だ。

人間の心を、精神を読む、視る、覗く。個人情報の守秘なんてへったくれもない。

 

(この能力は最高だ。何もかも上手くいくんだからな!!)

 

相手の心を読むことが出来れば心理戦を伴う賭博勝負なんて楽勝である。

例えばトランプのポーカーや将棋等の勝負だって楽勝。何故なら相手の戦略が読めるのだから。

今まさに勝負している『聖戦』も良い例で、この勝負は相手の出す役を予想するものだ。狒々は藤丸立香が出す役が何か心を読めるからこそ勝負に勝った気でいるのだ。

粋怜が敗北した理由は狒々が彼女の心を読んだからだ。役が何か分かるからこそ彼はどんな状況でも冷静でいられ、どんなタイミングでも逆転する事が出来る。

なれば絶対の自信が漲るのは当然だ。

 

「さあ、2回戦目だ小僧」

「ああ」

 

藤丸立香は視線を手に持っている木札に移す。

 

(ひひひ。小僧が次に出す役はなんだ?)

 

狒々の視線は藤丸立香を見抜く。

 

(次に出す役は…剣兵にしよう。まだ1回戦目では読み合いは意味ない。まだ運任せだ)

(ひひひ。次に出すのは剣兵か…なら俺が出す役は弓兵だ)

 

2人は明命に木札を渡す。

 

「では捲ります」

 

明命は心臓をバクバクさせながら木札を捲った。

 

「あ……立香さんの役が剣兵で狒々殿の役が弓兵です。2回戦目は狒々殿の勝利です」

「立香くん…」

 

心配そうな視線を藤丸立香に向ける明命と粋怜。

 

「ひひひ、運が良いみたいだな俺は。やはり程普に勝ったおかげで勝利への流れは俺に向いている!!」

 

どんな勝負であれ、順調すぎるほど勝った者は次の勝負も『流れ』が傾いているので調子が良くなりすぎるものだ。

そもそも狒々は心を読めるのでどんな時でも順調すぎる。そもそも反則的すぎる力だからだ。

 

「今のお前は勝負の下り坂にいるぞ!!」

「……まだ勝負は分からない。3回戦目を始めよう」

「ひひひ、良いだろう。だが小僧が運よく逆転するなんて事は絶対に無い!!」

 

狒々はまた藤丸立香の心を読む。

 

(オレは騎兵と剣兵を失った。狒々は妖術師の役を安全に出せる。流れを変えるために狂戦士を出すか……いや、まだだな。向こうは弓兵をさっき出した。きっとオレが槍兵を出すとは思ってないはずだ)

(ひひひ、なるほどな。次は槍兵を出すのか)

 

2枚の木札を受け取る明命。

 

「さっさと勝負を決めたいんでね。さっさと捲れ」

「…分かってます。では、捲ります」

 

ドクンドクンと心臓が鳴る。

自分が勝負しているわけではないのに緊張が降りかかる。それは粋怜も同じであった。

 

(まずい。本当に勝負の流れは狒々のやつにきている。これじゃあ勝てない)

 

まだ2回戦目であるが藤丸立香が勝てないという流れが理解出来てしまう。明命も次の3回戦目もまた藤丸立香が負けてしまうと想像してしまっている。

また2人は心配そうな視線を向けるが、ここで目をパチクリさせた。何故なら藤丸立香の顔は不安も焦燥も浮かべていなかったからだ。

 

「さっさと捲れ」

「分かってます」

 

2枚の木札を捲る明命。

 

「え」

 

藤丸立香と狒々が出した役につい声が出てしまった。それは粋怜や狒々も同じく。

 

「だから言っただろ。まだ勝負は分からないって」

 

 

595

 

 

狒々の正体は山犬団の頭目だった男だ。

山犬団の頭目は過去に粋怜たちによって建業から追い出された。その後は色々とあって黒山賊となった。

黒山賊となって良い気になって建業に仕返しにきたがまたも敗北。しかしその後にある男から特別な力を与えられた。

それこそが狒々の力だった。

 

狒々。

怪力を持つ大猿の怪異。更に人語を理解する知能を持ち、また相手の心や思考を見抜く特殊な力も持っている。

唇が捲れるほど大笑いするとされ、このときの笑い声が名前の由来とも言われている。

 

力を手にしてからは部下2人からより尊敬され、気に食わない奴をぶっ飛ばし、何でも出来ると思った。

賭博場の副代表になったらより最高だった。狒々の力があれば賭博に負けなし。大金は手に入り、良い女も抱き放題。

まさに彼は人生の絶頂にいる。そして因縁の相手である呉の宿老、程普と再会して賭博勝負して勝利を確信した。

国の犬であるが体付きは最高で好きに出来ると涎が垂れそうだったが邪魔が入る。最初と2度目にも顔を合わせた藤丸立香。

 

彼が登場した事で狒々の快進撃が止まる。

 

「なにっ!?」

 

藤丸立香が出した役は弓兵で狒々が出した役は剣兵。3回戦目を勝ったのは藤丸立香。

その結果に対してあり得ないと言った声質で叫んでしまった狒々だがすぐに口を塞ぐ。

 

(ば、馬鹿な。ありえん…確かに小僧の役は槍兵だったはずだ。小僧の心を読んだのだから確かだ。間違いがないはずだぞ!?)

 

狒々は顔を変えずに心の中では焦ったがすぐに冷静さを取り戻す。

 

(落ち着け俺。もしかしたら疲れているだけかもしれん。今のは俺が間違えただけかもしれん)

 

負けた理由を冷静に分析して狒々は仕切り直す。先ほどの勝負は単に自分のミスで、勝つのが当たり前と思っていたからこそ油断してしまい、木札を確認せずに間違って相手の役より弱い役を出してしまったのだと思いこむ。

 

「どうやら運が良かったようだな小僧。だが次はどうかな?」

(次は妖術師にしよう)

(なるほど、妖術師だな。ならばこっちは騎兵だ)

 

今度は間違えないように木札に描かれている役を確認してから出す。

 

「勝負だ小僧」

「では、捲ります」

 

明命は2人から受け取った木札を捲る。

 

「狒々殿の役は騎兵で立香さんの役は暗殺者。立香さんの勝ちです!!」

 

4回戦目の勝利は藤丸立香。

 

「ば、馬鹿なっ!?」

 

またもあり得ないと思って叫ぶ。

 

(馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な。に、二度も俺が読み間違えるなんてあるのか!?)

 

心を読んで藤丸立香が出す役を確認した。自分が出す役も確認した。

間違いなく勝負の結果は狒々が勝つはずだった。しかし結果は藤丸立香の勝ち。

 

(絶対にありない…俺の心を読む能力は絶対だ。そして人は自分の心にまで嘘を付くことができないはずだぞ!?)

 

人間には本音と嘘が存在する。

嘘ならいくらでも吐き出す事が出来るが心まで嘘を付くことが出来ない。心は本当の事しか言わないのだ。

 

(心までに嘘をつける人間なんていない。なのに小僧は自分の心に嘘をつけているというのか!?)

「5回戦目の勝負をしよう狒々」

「うぐっ!?」

(5回戦目は狂戦士を出すか。そろそろ使わないと出し所が無くなる)

(小僧が次に出すのは狂戦士…しかし本当にそうなのか?)

 

心を読んでいるが2回も負けている。このまま普通に読んだ通りに役を出してもまた敗北する可能性が高いと判断する狒々。

 

(本当に狂戦士ならば王を出せば勝ちだが…俺は2回も読み間違えている。本来ならばあり得ないことなのに!!)

 

狒々は王が描かれている木札から手を離して別の役を取る。

もしもまた間違えれば勝負は終わりなのでリスクは取れない。狒々自身も思っていたが本来ならばあり得ない事。

5回戦目の勝負。

藤丸立香が狂戦士の役で、狒々が出した役は槍兵。5回戦目は痛み分け。

 

(読みは合っていたのか!?)

 

もしも狒々が王の役を出していたら勝っていた。そう思うと後悔しかないがもう過ぎた事。

 

(やはり先ほどの3回戦目と4回戦目は何かの間違いだったのだ)

 

何かの間違いだと勝手に処理する。

 

(さあ、次に小僧が出す役はなんだ!!)

(次は…暗殺者の役にしよう)

(次の役は暗殺者だな!!)

 

6回戦目。

2枚の木札を受け取った明命は捲る。

 

「立香さんが出した役は弓兵で、狒々殿は妖術師です。6回戦目は痛み分けです」

「ば、馬鹿な!?」

 

またも読みが外れた。

心を読む狒々にとって読みが外れる事は絶対にありえない事なのだ。しかしその絶対にありえない事が起きている。

狒々の焦りが見る見る顔に現れる。

 

(凄い。凄いです立香さん。順調に逆転してます!!)

(立香くんが完全に勝負の流れを掴んだわ。まさに逆転という言葉しか思えない)

 

明命は素直に驚き、粋怜は藤丸立香の勝負運と読み合いの強さに驚いた。

 

(ありえん、ありえん、ありえん!?)

 

狒々は心の中は焦燥で支配されつつある。

今までで相手の心を読み間違いをする事が無かった。相手の心を読むという事は絶対の本音を覗いているという事。

そもそも間違えるなんて事はありえない。

 

(人は自分の心に嘘はつけない…これは絶対だ。だが小僧はどんな方法を使ったか知らんが俺に間違った事を読ませている)

 

何度も言うが人間は自分の心に嘘は付けない。もしも嘘を付けているのならば何か仕込んでいるはずだ。

 

(この小僧は俺のように何か力を持っているのか。それならば納得は出来る…ならば本気を出すまでだ!!)

 

段々と冷静になり、狒々は目をギョロリと藤丸立香を見る。

何故、心を読み間違えるか分からないが本気を出す事を決めた。

 

(本気で小僧の心の奥底を読んでやろうじゃないか!!)

 

狒々が言う本気とは人間の心の奥底こそを読み、覗く事。心の奥底とは無意識による本音でもある。

無意識の本音は本人でさえ隠す事もコントロールする事も出来ない。

 

(さあ、小僧の心の奥底を読んでやる、覗いてやる。小僧がどうやって俺に間違った本音を読ませたか暴いてやる。それさえ分かれば小僧の終わりの時だ!!)

 

人間の心の奥底。人間の感情や本音等を全て隠している神秘の空間。

狒々はその神秘の空間すら読んでみせる、覗いてみせる。

 

(小僧は何を隠している。何を思っている!!)

 

狒々が藤丸立香の精神を、心を突き刺すように無理やり覗こうとする。

 

『こんな所に我が共犯者の心を覗く不届き者がいるとはな』

『ああ、悪いヒトだわ。マスターの心を覗くなんて、読むなんて』

 

藤丸立香の心の声ではない誰かの声。

 

(え……な、なんだ今の声は。そ、それと猫の鳴き声?)

 

狒々は藤丸立香の心の奥底を読んでいるはずだ。しかし聞こえた心の奥底の声は彼のものではない。

男女の声であった。そして猫の鳴き声すら聞こえた。

 

『これ以上、我が共犯者の心に踏み込むのは遠慮してもらうぞ猿の怪異よ』

『マスターの心に土足で踏み入った罰を受けてもらいましょう』

 

狒々は藤丸立香の心を読んでいたはずだ。しかし読めたのは、見えたのは蒼黒い炎と不気味な触手であった。

 

「おごあああああああああああああ!?」

「うわっ!?」

「え、なにっ!?」

「ど、どうしたんですか!?」

 

急に悲鳴を上げた狒々に驚く藤丸立香たち。

いきなり相手が悲鳴を上げれば何事かと思うのは当然だ。粋怜と明命は身構えてしまう。

 

「目が…目がぁっ!?」

 

狒々は両目を抑えて机に突っ伏している。

 

「大丈夫か。勝負は出来るか?」

 

藤丸立香は心配するが容赦はしない。

狒々に何が起きたか分からないが今は賭博勝負中。ただ金を賭けているのではなく、粋怜と藤丸立香の全てを賭けているのだ。相手に何が起きてようが途中で終わらせるつもりはない。

 

「ここで勝負を止めるのなら、それは貴方の負けだ」

「こ、小僧…貴様は何だあああ!?」

「カルデアのマスターだ」

 

『カルデアのマスター』というのが分からない狒々。そもそも心の奥底に『何か居た』時点で狒々は藤丸立香に恐怖した。

 

(な、何だこいつは。こんなやつがいるのか!?)

「貴方に何が起きたか知らない。だが勝負は続けるぞ」

「こ、こいつ…」

 

もう狒々は藤丸立香の心を読めない。読もうとしたら先ほどの蒼黒い炎と謎の触手が襲い掛かってくる恐怖を刻み込まれたからだ。

今まで心を読むという反則技を使ってきたからこそ労せずに勝利してきた。しかしもう出来ない。

 

(読んでも読み間違える。奥底を読めば謎の攻撃がくらう……ど、どうすれば!?)

 

木札を出さない行為は敗北を意味する。適当に木札を出しても勝てる程甘くない。

運が良ければ勝てる可能性はあるが今の狒々に幸運の流れはきていないのは自分ですら理解している。

 

「く、くそっ」

 

考えが纏まらず結局、適当に木札を出した狒々。

 

「で、では捲ります」

 

明命が2枚の木札を捲る。

狒々の役は暗殺者で藤丸立香の役は妖術師。7回戦目は藤丸立香の勝ち。

 

「ば、馬鹿なっ!?」

「何が馬鹿なんだ?」

(まずいまずいまずいまずいまずい!?)

 

もはや勝てる見込みが見えない。

だらだらと汗が滝のように垂れている。狒々が残している役と藤丸立香が残している役を確認して、冷静に考えても勝てないと判断してしまった狒々。

 

「貴方の負けだ」

「な、なんだと小僧。今なんて言った!!」

「貴方の負けだと言ったんだ」

 

『敗北』という文字が狒々に突き刺さる。

 

「…ま、負け。いや、そんなはずはない!!」

 

お互いに木札を出す。

 

「捲ります」

 

狒々の出した役は狂戦士で藤丸立香が出した役は王。8回戦目を勝ったのは藤丸立香。

 

「ば、馬鹿なぁぁぁぁ!?」

 

何度も同じ言葉しか出ない。

 

「これで終わりだ」

 

藤丸立香は木札を出す。

心を読みたくても読めない。何を出しても負けると思ってしまう。

 

「あ、あが、あがががががががががが」

 

狒々の手から木札がぽろっと落ちて王の役が見えた。

 

「オレの勝ちだ」

 

藤丸立香と狒々の聖戦勝負。勝者は藤丸立香。

 

 

596

 

 

賭博勝負は藤丸立香の勝ち。

誰がどう見ても反論なんて出来はしない。反論出来る者がいるのならば挙手してほしいものだ。

反論できる者はいないが負けを認めない者はいる。

 

「うがああああああ!!」

 

狒々は吠えながら椅子から立ち上がって机を叩き割った。

 

「こんな勝負認めるか。俺が負けたのはその小僧がイカサマをしたからだ!!」

 

指をズビシっと藤丸立香に指して狒々は負け犬の遠吠えをした。

 

「その小僧がイカサマをしなければ俺が負けるなんてあり得ないんだ!!」

「ちょっとアンタ。勝負に負けて立香くんにその言いがかりはないんじゃない?」

「五月蠅い。俺に負けた負け犬が口出しするな!!」

「なら立香くんに負けたアンタも何も言えないわね」

 

粋怜の言葉は正しいのだが狒々は聞こうともしない。自分の事を完全に棚に上げている。

 

「イカサマをした場合は勝負無しだ。そもそもイカサマをしたやつの反則負けだ!!」

「立香くんがどんなイカサマをしたのよ」

「イカサマをしたやつは罰を受けてもらうぞ!!」

 

藤丸立香がどのようなイカサマしているのか何1つ分かりもしない。

彼の心の奥底にいた『謎の男女』の事を言っても信じてもらえない。そもそも心を読む力があると思われて逆に狒々の方が反則だと言われる可能性がある。

既に言いがかりレベルで責めているのに逆に狒々が責められる材料を与えてしまう。

 

「イカサマをした罰だ!!」

 

もはや狒々は暴力に走った。怪力を持って目の前にいる藤丸立香を殴り潰そうとする。

 

「負けを認めず、言いがかり、暴力。これほど呆れるしかない光景を見るとは思わんかったぞ」

 

この場に居ない誰かの声が響いた。

 

「おごあっ!?」

 

狒々の頭部に重い一撃が叩き込まれ、豪快に地面に倒れた。

 

「ええ!?」

「あら」

 

明命は驚き、粋怜は意外な者を見た。

 

「くっふっふー、なーにが罰を与えるじゃ。罰はお主が受ける側じゃろ」

 

まさかの人物とは武則天であった。狒々の脳天に重い一撃をくらわせたのは彼女が召喚した酷吏である。

 

「ありがとう武則天」

「くっふっふ。これくらい構わんマスター」

 

武則天は狒々を踏み潰している。

 

「ど、どけえええ!!」

 

踏み潰されていると認識した狒々は武則天を追い払おうと怪力の腕を振るう。

 

「おっと」

 

怪力の腕を身軽にくるっと回避。そのまま藤丸立香の膝に着地。

 

「猿の怪異よ。見苦しいマネはやめろ」

「な、何者だ小娘ぇ!?」

「妾は聖神皇帝じゃ」

「こ、皇帝?」

 

狒々の目の前にいきなり現れた紫髪の童女。自分の事を「皇帝」と言い出して意味が分からない。

分からない者には心を読んで暴くのが一番と思って武則天の心を読もうとする。

 

「妾の心を読むな猿の怪異」

 

武則天が低い声で狒々を貫いた。

パチンと指を鳴らした瞬間に狒々の横に酷吏が召喚される。

 

「うおっ、なんだこいつぶぁ!?」

 

またも狒々は脳天を酷吏によって叩きつかれた。

 

「もう妾の間合いじゃ。お主が心を読むより先に酷吏が脳天をぶち抜くぞ」

 

またもパチンと指を鳴らすとガシャっと2人の酷吏が大きな鋸を狒々の首に当てる。

 

「もう余計な事はするな。お主が出来ることは妾らが欲しい情報を提供するだけじゃ」

「「………」」

 

いきなり現れた武則天は場を支配してしまって粋怜と明命は空気。

 

「えーっと…説明お願いできる立香くん?」

「はい」

 

説明と言っても簡単で、武則天が最初から粋怜たちに内緒で付いて来ていただけである。

 

「粋怜言ってたよね。2、3人くらい集めてって。だから3人集めたんだ」

 

藤丸立香が集めたメンバーは燕青と李書文(殺)の2人だけでなく、武則天を含めた3人であったのだ。

敵を騙すにはまず味方から、なんて言葉を本当に実践していた。

結果、粋怜たちと狒々は武則天という存在を全く意識していなかった。心を読める狒々であってもこの場に居ない事になっている者の心を読めるはずがない。

だからこそ粋怜たちや狒々にも分からないイカサマを実行できたのだ。

 

藤丸立香と武則天の2人が実行したのは狒々の心を読める力を逆手に取ったイカサマだ。

まず武則天が気配遮断と霊体化を使用して狒々に見つからないように背後に回って手札を確認。

藤丸立香は概念礼装である『同調』を発動して武則天と繋がる。武則天の方はスキル『皇帝特権』を発動し、より深く藤丸立香と繋がる能力を行使。

概念礼装とスキルを二重発動によって武則天は藤丸立香の視点を繋げ、更に身体も動かす事も出来るようにした。

 

後はシンプルに狒々が出す役を確認してから武則天が藤丸立香の手を動かして勝てる役を出していたのだ。ここで大事なのが藤丸立香はただの操り人形になるのではなく、本当に読み合いをしなければならない。

藤丸立香が役を出す順番や戦略を考えている事を狒々に読ませる。そうすれば狒々は藤丸立香が考えている事を鵜呑みにしてくれる。

心を読む力を過信し過ぎている狒々にとってまさか本当に勝負しているのは藤丸立香ではなく武則天だったなんて分かるはずがない。

結果、狒々は自分の心を読む力を逆手に取られて負けたという事だ。

 

(まあ、途中で狒々の奴がおかしな動きをしたが……あれはまるで攻撃を受けた感じであったな)

 

狒々の身に起きた謎の現象。いきなり攻撃を受けたように悲鳴を上げていたが何が起きたか武則天も分からない。

 

「さて、こやつにはこの賭博場の代表に会わせるようにすればいいんじゃな?」

「あ、そうだったわ」

 

武則天の登場に場を支配されて呆けてしまったが目的遂行のために粋怜が場を仕切り直す。

 

「さて、負けた私が言うのもなんだけど結果は私たちの勝ち。これで会わせてくれるんでしょ。ここの代表に」

「うぐ…そ、それは」

 

首元の鋸に青ざめながら狒々は汗をだらだら垂らした。

 

「いいよ。会ってあげる」

 

パチパチと拍手音が聞こえてきた。そして別の誰かの声も。

拍手音と人の声の方に全員が視線を向ける。

 

「だ、代表!?」

 

粋怜たちの前に仮面を被った男が現れた。

 

「ボクがここの代表だ。それとも元締めって言った方がいい?」




読んでくれてありがとうございました。
次回の更新は2週間~1週間後の予定です。


594~595
誰もが予想してたでしょう。
狒々の正体は恋姫(革命)原作でも登場していた山犬団の頭領(モブ)と狒々の怪異が混ざった妖魔人間でした。
恋姫ではただのモブだったキャラがここまで変わるとは…(今更)

狒々が絶対の自信を持っていた理由は心を読む、覗く力を持っていたからです。
『心を読む力』は様々な物語にも出てくる能力ですね。どの物語でも反則級の力として扱われてます。本当に出来たら何でも上手くいきそうですね。
まあ、その分苦労もあるみたいですけど。

狒々が本気で藤丸立香の心を読んだ時に聞こえた2人の謎の声。
いったい、誰と誰なんだ? (きっとまる分かり)


596
藤丸立香が狒々を圧倒していた理由はイカサマをしていたからでした。(イカサマをすると予告してましたし、タイトル通り)
イカサマはバレなきゃイカサマじゃないってやつですね!!

実は一緒にいた武則天。
粋怜はが「2、3人集めて欲しい」ということで3人集めていたってだけです。

武則天と藤丸立香の合わせ技。
概念礼装やスキル、霊体化等を組み合わせたイカサマでした。
実際に出来るか分かりませんが、この物語では出来るという体で。

イカサマの説明を本編でぐだぐだと書きましたが…簡単にまとめると、
ジョ〇ョの第3部のテレンス戦みたいなものです。
もしかしたから他の作品にも似たような展開があったかもしれません。

そして最後に出てきた賭博場の元締め。
彼が何を仕出かすかはゆっくりとお待ちください。


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