Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。

水着イベント面白かったですね。また来年が楽しみです。
そして新たな幕間が追加され、また各英霊達の魅力を楽しめるなーって思っていたら……帰ってきた。
帰ってきた!! あのハロウィンが!!
平成に置いてきたハロウィンが令和に追いついたと言うべきか!!

覚悟しながら楽しみたいものです。


現在、展開されている八傑衆(呉)の賭博編も佳境です。
今回の話で一気に進んでいきます。

どのような展開になっているかは物語本編をどうぞ!!


賭博場 -混乱-

597

 

 

パチパチと感情が籠って無さそうな拍手と共に現れた仮面の男。

彼は自らを賭博場の代表(元締め)と言った。

 

「あんたがここの元締め?」

「そうだよ。ボクがこの賭博場を開いた張本人さ」

「そ。で、あんたはどこの誰なのかしら。まさか魏や蜀の者だったりするの?」

「あはは。ボクがあんな弱小国の手先だって思ってるのかい?」

 

魏や蜀を弱小国と言った。

今の大陸は魏、蜀、呉が幅を利かしている中で「弱小国」と言えるのは豪胆なのか馬鹿なのか。それとも本当に三国を弱小と言える理由が賭博場の代表にあるのかもしれない。

 

「もう一度、聞くわ。あんたは何者?」

「ボクは八傑衆が1人。浮雲」

「八傑衆!?」

 

賭博場の代表の正体は八傑衆。

 

「だ、代表っ。お名前を!?」

 

狒々は浮雲が自分の名前を喋った事に対して驚いていた。

 

「てか、八傑衆とは一体…い、いや、それよりも…いいのですか姿を晒し、お名前まで!?」

 

狒々は浮雲が賭博場の代表である事は知っているが八傑衆の事は知らない様子であった。

藤丸立香は過去を思い出す。まだ狒々と呼ばれてなかった男に2回目に会った時、彼は八傑衆を知らないと言っていた。

その時に狒々は浮雲の正体を知らなかったのか、まだ会っていなかったのか分からない。

分かったのは狒々たち黒山賊が浮雲の正体を知らずに仕えていた事だ。

「代表は自分の情報は絶対に誰にも知らさないようにしているのに!?」

狒々の言葉から浮雲が自分の情報を誰にも残さないようにしている。

そんな人物なのに浮雲は自ら粋怜たちの前に姿を現したのだ。

 

「狒々」

「は、はい!?」

「いいんだよ。だって君が賭博勝負で負けたんだから」

「ああ!?」

 

狒々は汗をだらだら垂らしながら顔を青くする。

 

「君が負けたからボクは姿を出す事になったんだ。君が勝手に賭博の報酬内容を決めたからね」

「あ…ああ…」

 

浮雲が狒々との賭博勝負を何処かで見ていたようだ。見ていなければ狒々に勝った報酬について分かるはずがない。

 

「へえ。自分の情報を誰にも知らせないようする奴だけど、賭博勝負の報酬にはきちんとしてるのね。これでも一応は賭博場の元締めだからって事かしら?」

「…………報酬はボクの事と薬についてだっけ?」

「それとこんな賭博場を開いた理由もね」

「賭博場を開いた理由は簡単だよ。ただの資金集め」

 

資金集め。

特定の目的の為に用意され、使われるお金を集めている。ならば何の為に使われる金なのかが問題だ。

 

「何の資金なのかしらね」

「武器とかそういうのを用意するためさ」

 

八傑衆の目的は三国を潰すために遣わされた于吉の刺客。

国を堕とす為に資金を集めて武器を買う。確かにありふれた理由で、八傑衆としての理由としても納得できる。

 

「ふ~ん。ならこの賭博場をこのまま続けさせるのは呉の将としては黙ってられないわね」

 

賭博好きな粋怜として賭博場を畳まさせるのは残念でならないが呉を潰すかもしれない賭博場は無視できるはずがない。

賭博場に罪は無いが開かれた目的は許してはならない。

 

「……薬は本当にあるの。強くなるけど怪物になるって薬」

「あるよ」

 

浮雲は懐から謎の薬を出した。

 

「これがその薬。魔薬って言うんだ」

「魔薬」

 

麻薬ではなく魔薬。

 

「強くなるって部分が良い。強くなりたいやつはこのご時世いっぱいだから魔薬を欲しがるやつは多い。強くなりたい理由なんてどうでもいい。ただ魔薬を欲しがるやつがいればいいんだ」

「その薬が本当に人間を強くする代わりに怪物にするの?」

「本当さ」

 

魔薬の効力が本当ならば問題だ。そして浮雲が嘘を付いていなければ怪物になった人間は何処にいるのか。

浮雲から聞き出さなければならない事は多い。

 

「今の世の中がこの薬をより多くの者たちが求める様にしてくれているんだ。結局のところ力が全てだから。でも力が手に入っても理性の無くした怪物に栄光は訪れないけどね。あはははっ」

 

理性の無い怪物になるという言葉に明命は悪寒を感じる。

 

「理性の無い怪物…」

「その薬を飲んだ人たちは何処にいるの。この賭博場にいるのかしら?」

「そこまで教える必要は無いでしょ。だってそこは狒々に勝った報酬に含まれてないからね」

 

仮面で顔が隠れているからどんな顔か分からないが、悪い顔で笑っていると思った粋怜。

 

(声質からも絶対に教える気ないわね)

 

どうやって聞き出そうかと思っていた粋怜であったが急に遠くから大勢の悲鳴が響いたのが聞こえた。

 

「なに?」

「どうやら喧嘩賭博の方で何か騒ぎがあったようだね。たぶん兕のやつかな」

「え…兕のやつに何かあったんですか」

 

愉快そうな声質の浮雲。対称に狒々は心配そうな声であった。

 

「そうだ。この薬が本物かどうか疑ってるなら実際に見てみるといいよ。この魔薬の力をさ」

 

そう言った瞬間に浮雲は消えた。

 

「おごぉ!?」

「なっ」

 

すぐに視線を声が聞こえた方に向けると浮雲が狒々の口に手をねじ込んでいた。

 

(消えた。いえ、それよりも浮雲のやつが狒々の口に手をねじこんでるんじゃなくて)

 

ごくんと喉を鳴らす音が聞こえた。

 

「うぉえ…あ……ああ、なぜですか浮雲様!?」

「なぜって…君が勝手に報酬を決めて、勝手に負けた。そのせいでボクはこいつらに正体を吐かなくちゃいけなくなったんだよ。責任は取ってもらわないとねぇ?」

 

仮面を着けた顔を狒々の顔に近づかせる。

 

「君がそうなったのは君自身の責任だ」

「あ…い、嫌だ。お、鬼になるのは嫌だぁがぼぼぼあぼぼぐばばぼ」

 

狒々の肉体が膨張し、骨格すらも変わっていく。

 

「粋怜よ。そう言えばお主は浮雲のやつに、自分の情報を誰にも知らせないようにするやつだけど、賭博勝負の報酬にはきちんしてるって言っておったな」

「言ったけどそれがどうしたのふーやーちゃん」

「それは違うぞ。やつは賭博勝負の報酬の為に己の事を喋ったわけではない」

「……ああ、そういう事」

「分かったみたいじゃな。やつは己の情報を誰にも知らせん。なにせ、ここで妾たちの事を始末しようとしているのじゃからな」

 

粋怜たちの目の前に大きな鬼が現れた。

 

 

598

 

 

浮雲の横に大きな鬼が現れた。

現れたというよりも狒々が鬼になったというのが正しい。

 

「ぐるるるる」

「やっぱり君じゃ魔薬に飲み込まれちゃったか…強い精神力があれば理性を保てて鬼の力が自由自在だったのに。ま、調整しなきゃ狒々にさえ肉体を乗っ取られてた君じゃしょうがないか」

 

ケラケラと愉快そうな声。部下である狒々を理性なき鬼にしてしまっても罪悪感を感じていない。

 

「ほ、本当に怪物…鬼になった」

 

ポツリと呟いたのは明命だ。

妖魔という存在は信じている。特別な武器も信じている。しかし鬼になる薬は信じられなかった。

 

「ぐるるるるる」

 

信じられなかったが目の前で薬を飲んで鬼になった者がいる。これで信じないなんて事は言えない。

 

「どうだい。これで薬が本物だって信じただろう?」

 

飲めば強くなるが怪物になる薬ではなく、飲めば鬼になる薬。

 

「鬼の好物は人の肉だ。こいつ…狒々が鬼になったから狒々鬼って言えばいいか。狒々鬼の餌になってくれ」

「ほれみろ」

「ふーやーちゃんの言う通りね」

 

浮雲は自分の情報を出さないようにしていたからこそ、最初は誰も賭博場の元締めは分からなかった。

情報規制を徹底しているにも関わらず、彼は狒々が勝手に決めた報酬の為に奥から出てきてベラベラと喋った。

喋った理由が目の前にいる狒々鬼だ。簡単にまとめると浮雲は最初から始末するつもりだったというわけだ。

 

「自分の情報を喋った相手を始末すれば結局、情報は消える。そして賭博場すら混乱させて崩壊させてしまえばより浮雲の情報は分からなくなる」

「マスターも正解じゃ。もう奴はここに用は無いということじゃ」

 

仮面の奥から小さく笑い声が響いた。

 

「そうだね。もうこの賭博場に用はないや。資金も集まったし、充分な戦力もわっ!?」

 

浮雲が横から大きな手に掴まれた。

大きな手というのは言わずもがな狒々鬼のだ。狒々鬼がうめき声を出しながら浮雲を掴んで自分の正面に持って来る。

 

「狒々鬼。おい、離っ…!?」

 

狒々鬼は浮雲を頭からバリっと喰らった。

 

「なっ…」

 

目の前で鬼が人間を食っている光景が視界に映った。

 

「マスター」

「なに、武則天」

「もうアレは駄目じゃ。救おうと…元に戻そうと思ってるなら辞めよ」

「………分かってる」

 

目の前にいるのは人間でなく鬼。理性を無くした怪物。

助けたいと、元に戻したいと思うのは勝手であるが手遅れだ。

 

「鬼は人の肉が好きと言う。そして食い終わったら次の餌は決まっておる」

 

狒々鬼は視線を藤丸立香たちに向ける。

 

「ぐおあああああああああああ!!」

 

咆哮を上げる狒々鬼。

 

「ここにはオレらだけじゃない。一般客だっているんだぞ!?」

「約100人以上はいる。鬼にとっては絶好の餌場じゃな」

「浮雲のやつ…賭博場に用は無いって言ってたけど、まさか客まで始末しようって魂胆だったようね。因果応報で喰われたけど、浮雲は思ってた以上に冷酷なやつだったみたい」

 

粋怜たちは身構える。

 

「この鬼を賭博場から出しちゃいけない。いいえ、絶対にここで始末しないといけないわ!!」

 

ここで狒々鬼を逃せば賭博場の一般客を食い散らかす。戦争でもないのに人間が一晩で100人以上が死ぬかもしれない。

静かに武器を構える。

 

「今まで妖魔を倒してきた。今さら鬼相手なんてわけないわよ!!」

 

鬼退治。

藤丸立香も魔術礼装を起動させて全員の援護をしようとした矢先、奥から助けを求める悲鳴が聞こえた。

 

「た、助けてくれーー!?」

 

助けを求めているのは一般客。顔を青くして急いで逃げているようにも見える。

 

「こっちに来ちゃだめだ!!」

「ひえっ。こ、こっちにも化け物がぁ!?」

「こっちにもって…まさか!?」

 

狒々が鬼になる前に喧嘩賭博の方でも騒ぎがあったのを思い出す藤丸立香。

一般客が逃げてきた方向は喧嘩賭博がある方で、喋っていた台詞から騒ぎの理由も理解。

 

「鬼が最低でも2体いるって事か!?」

 

 

599

 

 

喧嘩賭博場。

燕青対兕と思春対ジャオレンの喧嘩試合は燕青と思春の勝利。しかし兕はその勝敗を認めなかった。

彼は謎の薬を飲み込み、肉体と骨格を変化させた。

 

「ぐるるるる」

「おいおい。確かに飲めば強くなったが、本当に怪物になったな」

「鬼か…」

 

燕青たちの前には鬼がいる。兕が謎の薬を飲んで鬼になったのだ。

まるでサイが鬼になったような姿だ。

 

「兕が鬼になったから兕鬼ってところか」

 

観客たちが騒めいている。

謎の薬を飲んでいきなり人が鬼になれば誰だって理解が追い付かない。

 

『兕選手……いきなり謎の薬を飲んだかと思ったら…へ、変身した?』

 

審判実況の人も何が起きているか理解できていない。

 

「ぐるるるるるるる」

 

兕鬼は潰れていたジャオレンをヒョイと掴み、そのまま口元まで近づけていく。

誰かが「あ」っと呟いたかと思ったら悲鳴が響いた。

 

「うわああああああああああ!?」

「いやああああああああああ!?」

 

悲鳴の原因は兕鬼がジャオレンをバリゴリと喰らったからだ。

人間を食う、人間が食われるという行為は忌避感を抱く。観客たち全員に忌避感と恐怖が広がると起こるのはパニックだ。

 

「「「うわああああああああああああ!?」」」

 

パニックが起こると次に起こす行動は逃避だ。喧嘩賭博場の観客たちが雪崩のように我先と逃げ出していく。

その逃避行動と焦りと恐怖はどんどん広がっていき、喧嘩賭博場だけでなく賭博場全体に広がっていく。

 

「大混乱になっておるぞ!?」

「分かっておる。しかしこの混乱を鎮めたくとも原因をどうにかせんといかんぞ」

 

祭と李書文(殺)の目線は兕鬼に移す。

 

「ぐるるるるるるる」

「オレらを食いたそうに見てるぞ」

「私らだけじゃない。この賭博場にいる全員だ」

 

鬼は人を食うと言うが、まさにその通り。兕鬼にとってこの賭博場は絶好の餌場にしか見えていないかもしれない。

 

「ここで奴を倒さないと悲惨な事が起きる。絶対にここで仕留めるぞ」

「分かって…ん?」

「どうした?」

「いや、向こうからも何か悲鳴が聞こえってぇ!?」

 

別の方向からもパニック状態の客たちが雪崩れ込んできた。そして「こっちにも化け物が!?」という台詞が聞こえてくる。

パニック状態の客たちの後方に視線を向けると、藤丸立香たちが猿みたいな鬼に追いかけられていた。

 

「あっちゃー…鬼がもう一体いる」

 

賭博場に鬼が2体出現している。

 

「燕青っ…って、やっぱりこっちにも鬼が!?」

「やっぱりって事は…まあ、いいや。マスターの方も色々とあったみてえだな。説明をお互いに聞きたいだろーが」

「今はそんな事をしている時間はないぞ」

「あり、女帝様もいたんだ」

「くっふっふー。妾こそが今回の任務の中核ぞ…って、それも今はいい。まずはこの状況をどうするかじゃ」

 

狒々鬼と兕鬼が並んで藤丸立香たちを呻き声を出しながらじっとりと見ている。

 

「無事じゃったか粋怜、明命」

「祭もね。こっちは色々と解決したかと思ったらコレだからね」

「解決したじゃと?」

「いや、色々と問題は残ってるんだけどね。それよりもやる事があるでしょ」

「分かっておる」

 

いま為すべきことは2体の鬼を倒す事だ。

 

「明命。やれるな」

「はい、もちろんです!!」

 

思春と明命は武器を構える。

 

「マスターよ」

「何ですか老師?」

「周りには多くの客たちがおる。この人数だ。全員を救っている時間は無いぞ」

「分かっています。だから速攻で決めます」

 

藤丸立香たちは全員で8名。たった8名で2体の鬼から100人以上の一般人を守りながら戦うのは難しい。

守りながら戦うのが難しいのならば、守るのではなく攻める。鬼たちが一般客を喰らう前に倒すのである。

 

「速攻に倒すって言うがどうやって倒すのじゃ軍師立香よ」

「軍師じゃないんだけど……でもやります」

 

ここで祭が「軍師」と言った。その意味は2体の鬼を速攻で倒す策を考えろという事だ。

 

「みんな。準備をお願いします」

「良い采配を期待するぜマスター」

 

これから行うは鬼退治。

 




読んでくれてありがとうございました。
次回の更新は
1週間後から2週間後予定です。

597~598
賭博場の元締めは読者様たちも予想していたかもしれませんが…八傑衆の浮雲でした。
オリジナルキャラな感じになっていますが、彼は幼いようで冷酷さもある感じにしてみたんですが…どうだったでしょうか。

『魔薬』
人間を鬼にする薬。
はい、戦国恋姫をプレイしている人なら分かるでしょう。
既に分かっている読者もいましたしね。
その薬です。

狒々もとい山犬団の頭目。
すまない…利用されて鬼にされたという事になってしまって。
彼は浮雲に利用された人間になってしまった。彼だけでなく他の2人も…

因果応報。
浮雲は狒々鬼に食われた…?


599
喧嘩賭博場でも鬼が出現。
2体の鬼。賭博場はパニックです。

鬼という字を見ると、最近はどうしても鬼〇の刃がチラつく。
面白ですからね。二期も楽しみです。
(おっと…話が脱線した)

賭博編も佳境です。
次回にて鬼との戦い、そして決着です。
どのような戦いになるかゆっくりとお待ちください。
まあ、物語にあるように速攻で決めます。
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