Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
3連続目です。今回はここで打ち止めです。

また本編に戻りました。
前回の賭博編で八傑衆(呉)編は終了していますので今回は八傑衆の話ではありません。
どのような話かは本編をどうぞ。

まあ、今回はちょっと短いですけどね。



息抜き?

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呉。建業。

現在、彼女が滞在している国あり、町。周囲を見渡すと三国が緊張状態であるというのに民たちはワイワイと活気を出している。

 

心の中では民たちはこれから呉はどうなっていくのかと、実は心配しているかもしれない。それでも民たちは孫呉がどうにかしてくれると無責任に思っているはずだ。

戦えない者は期待するしかない、勝手に押し付けるしかない、祈るしかできない。だからこそ戦える者が必要なのだ。

 

その戦える者こそが孫呉の者たち。

彼女たちは強い。魏と蜀と並び大陸の天下取りに加わる国にしたのだ。

呉の国は強国だと言う者は多いはずである。劉備や曹操も呉という国を強国だと認めている。しかし彼女は強国だと思ってなかった。

 

「相変わらず平和ボケした国だ」

 

弱い国だからこそ、弱い人間だからこそ大切な人を失う。弱いから己の主君を守れない。弱いから家族を失う。

二度と大切な人を、主君を、家族を失わないために強くなると言っておきながら結局は強くなれない。結果、全てを失う。

 

「弱い者は何も守れず、何も得られない」

 

この世は弱肉強食の世界。それが自然の摂理。全ては力のみ。

 

「武を持って覇を称える。そうでなければこの国は簡単に滅ぶ」

 

ただの独り言。彼女の独り言は誰にも聞こえない。

 

 

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虞美人は今日も今日とて部屋に引き籠っていた。項羽を探しに行くと言ったら、今すぐにでも扉をぶち抜いて外に出るはずだ。

早く項羽に会いたいが為に魏に行きたいが藤丸立香はまだ呉を出る気が無いので不貞腐れている。

 

「ったく、取り合えず八傑衆とやらは倒したんでしょ。なら、さっさと項羽様を探しに魏に行くべきでしょうが。そう思わない蘭陵王?」

「いえ、マスターには考えがあるのでしょう」

「んなわけあるか。あいつは何も考えてないわよ」

「それは言い過ぎでは…」

 

呉にて八傑衆を2人倒した。蜀でも2人倒しているので合計4人を倒した事になる。

八傑衆は文字通り8人で構成されているはずなので、倒した人数を引くと残り4人。

現在だと蜀、呉と2名ずつで襲い掛かってきている。予想すると魏にも2名暗躍している可能性が高いのだ。

 

そうなると残り2名は何処に向かっているか考える羽目になる。もしも残り2名が保険であると考えれば失敗した八傑衆たちの穴埋めだ。

予想が正解ならば蜀と呉で八傑衆を倒した後がどうなるか。

蜀で待機している諸葛孔明たちからは新たな八傑衆が襲ってきたという報告は無い。賭博場で倒したというよりも自滅した浮雲以降の八傑衆の情報は今のところ呉では流れてこない。

 

「今は待機してる時間なんですよ。これで何も起きなければマスターも司馬懿殿たちと合流するために魏に向かうでしょう」

「そうかしら」

「そうですよ」

 

コトっと淹れたお茶を机に置く。

 

「どうぞ」

 

ズズズっとお茶を啜る。

虞美人も蘭陵王の淹れたお茶ならば信頼して飲む。ここ最近はカルデアの料理も普通に食べている。

食事は必要ないが項羽と一緒にカルデアで食事する行為も1つの幸せなのだ。ある意味、カルデアに染まってきていると言うのかもしれない。

 

「気分転換に外で散歩してみるのも良いかもしれませんよ?」

「散歩~?」

 

部屋に引き籠ってばかりでは気分も変化は起きない。中にはずっと部屋に引き籠っている方が幸せだと言う人もいるが、人それぞれということだ。

何はともあれ、気分転換に外に一度出てみるというのは良い事なのは確かである。

 

「私も付き合いますよ。項羽殿の代わりにはなれませんが…荷物運びくらいは出来ますので」

「何か買う物なんてないけど」

「……項羽殿に贈り物をするという体で町を散策してみては?」

「それいいわね」

 

本来ならば人混みの中に行きたくは無いが項羽に贈り物をするという意味で何か店を見るのは良いかもしれないと思う虞美人。

 

 

612

 

 

藤丸立香は珍しく1人で街を散策していた。途中で肉まんを買って食べたり、子供たちと遊んだりしている。

街は最初に訪れた時よりも賑やかになっている。三国が緊張状態になっているとはいえ民たちは関係無いとは言い切れないが何でもないような1日を平和に過ごしている。

 

「ねーねー」

「何かな?」

「天の御使い様ー!!」

 

子供たちに群がられる藤丸立香。気が付けば前に進めない程になってしまった。

しょうがないと思うしかない。子供に好意を持たれて集まって来てくれるのは悪い気はしない。

 

「今日は1人なのー?」

「いつもは誰かと一緒でしょー」

「今日は珍しく1人なんだ」

 

本当はもしかしたら誰かが見張ってたり、護衛をしていたりするかもしれない。

例えば燕青だったり、荊軻だったり。

 

「ねーねー」

「何かな?」

「天の御遣い様は誰と結婚するの?」

「んんー?」

 

子供は純粋な気持ちでどんな事でも聞いてくるものだ。

変な質問では無いが何故か答えにくい質問だと思ってしまった藤丸立香。

 

「孫策さまじゃない?」

「孫権さまだよー」

「いやいや。ほら、天の御遣い様の護衛の人。荊軻さまじゃないかなー」

「荊軻さまは愛人枠だよー。本妻は孫尚香さまだよー」

(ちょっと待て。今の子は何処でそんな言葉を覚えてるんだろう)

 

子供は何処からともなく様々な言葉を覚えてくるものだ。

 

「でも最近は新しい女の人も増えたよねー」

「あの紫髪の女の人と結婚するんじゃないかなー」

「違うよ。黄蓋さまだよー」

「程普さまだよー」

「違う違う。周泰さまだって」

 

子供たちに悪意は無い。本当に純粋な気持ちで言葉に出しているのだ。

 

「みんな、まだまだね」

「なんだとぅ」

 

ちっちっちっち、と言いながら1人の女の子が指を振る。

 

「全員とに決まってるじゃない」

「「「なるほどー」」」

 

何が「なるほど」なのか問い質したいが子供たちは特に深い考えはしていない。

ほぼ純粋に思った事を言葉に出しているだけだ。

 

「御遣いさま。みんなを幸せにしてね」

「「「してねー」」」

「あ、うん」

 

取り合えず返事をするしかない。

 

「むー、適当に返事しちゃだめだよー」

「そうだよ。全員を満足させるんだよー」

「自分の言葉にはせきにん持たなきゃだめだよー」

 

何故か子供たちに注意を受ける。

 

「自分の言葉に責任って…難しい言葉を知ってるね」

「色んな女性に甘い言葉を言ってなーい?」

「好意を持たせておいて、そのままにしてなーい?」

「そういうのを釣った魚にエサをあげないって言うんだよねー」

「「「ねー」」」

「………」

 

子供たちの言葉が心に何故か突き刺さる。

ありがたいというか、これからちゃんと向き合っていかなければならない事柄を認識。

近くのお店であんまんを買って子供たちに配ってから別れる。

 

「最近の子供たちは何と言うか…」

 

異世界で三国時代の子供たちも色々と知っているようだ。

自分用にも買ったあんまんを齧りながら街の散策に戻る。街は相変わらず活気があり、呉の民たちは元気だ。彼らの笑顔を守るためにも雪蓮たちは戦っている。

 

それは蜀の劉備と魏の曹操も同じ。同じ目的だが辿る道が違うために相容れない。

異世界とはいえ、この三国志の結末はどうなるのか。史実通りなのか、演義通りなのか、それとも異なる結末なのか。

こればっかりは藤丸立香たちが決めてはいけない。この異世界の時代の人間たちが決める事なのだから。

 

「もぐ」

 

あんまんを食べつくし、角道を曲がる。

 

「あてっ」

「きゃっ」

 

角道を曲がった瞬間に誰かとぶつかる。角道で誰かとぶつかるのは平原で北郷一刀以来だ。

誰かと思って確かめると体全体を覆うくらいのマントを纏った女性だった。

 

「あれ、蓮華さん?」

「貴方は…立香?」

 

何故か正体を隠すようにマントを羽織った蓮華がいた。

 

 

613

 

 

目の前にはマントを羽織った蓮華。頭まで被っているほどだ。

どこからどう見ても正体を隠しているようにしか見えない。

 

「蓮華さんどうしてそんな恰好を?」

「……」

「蓮華さん?」

 

蓮華は藤丸立香の顔をじぃっと見つめたまま。

 

「あの?」

「あ、ああ…悪いわね。ちょっと、ぼーっとしてたわ」

 

額を抑えて摩る。

 

「ごめん。もしかして顔にぶつかった?」

「いえ、大丈夫よ。ただの頭痛みたいなもの。ぶつかったのと関係ないわ」

 

額から手を離して何事も無かったように振舞う。

 

「てか、蓮華さんそんな恰好して何してるのさ」

「え、えーっと…街の視察よ」

「そんな恰好で?」

 

街の視察自体はおかしな事ではない。ただ気になるのは身体全体を覆うくらいのマントを身に着けている事だ。

視察するのにマントを羽織る意味が分からない。

 

「それは」

「あ、分かった」

「えっ」

「もしかしてお忍び…てか、仕事でもサボったのかな?」

 

街を視察という名のサボり。

真面目な蓮華からしてみれば考えられない事だが、血は争えないと言うべきかもしれない。

 

やはり姉妹なのか雪蓮もたまにサボって街を視察する事がある。

ただ違う部分はサボっている姿を誰にも知られたくないのかマントを羽織って正体を隠すという徹底ぶり。

変なとこで真面目な部分が出ているのかもしれない。

 

「ええ。実はそうなのよ」

「珍しい事もあるんだね」

「たまには息抜きしないと身体に悪いし」

「正論」

 

息抜きは大事だ。毎日真面目に気を張っているままだと精神的に辛いものがある。

だからこそたまには気を抜いて遊ぶも良し、ぐうたらするのも良しというやつだ。

 

「せっかくだし、立香。私の息抜きに付き合ってくれないかしら?」

「いいよ。このまま街を周ろうか。蓮華さんが行きたい場所とかある?」

「いいえ、立香に任せるわ」

 

蓮華と街の散策開始。これもある意味デートだ。

 

「さて、何処を周ろうかな。本屋だったり服屋、装飾品店とかかな?」

 

定番のラインナップだ。

 

「いいわね。順に周って行きましょう」

 

 

蓮華と街の散策が始まった。

 

 




読んでくれてありがとうございました。
次回の更新は未定です。最近は色々と忙しくて…


610
ここは誰かの心情みたいな話です。
さて、誰でしょうか。


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ぐっちゃんパイセンと蘭陵王。
2人のコンビも良いですよね。ぐっちゃんパイセンと項羽様の活躍も見たいけど、こっちのコンビの活躍もまた見たいものです。


612
藤丸立香、子供たちにズバズバと言われる。
どの時代にも大人びたというか、何処からか仕入れた余計な知識を持つ子供たちっていると思います。

藤丸立香は誰と結婚するのか。
まあ、一番の候補はマシュですよね。(ぐだ男だった場合は)

他には…受肉した英霊だったらたくさん候補がいるなあ。

藤丸立香が北郷一刀と同じ道を辿れば本当に蓮華たち全員と結婚するかもですね。


613
ぶつかった相手は蓮華。
意外すぎる彼女の行動…まさかのサボり。
本当にサボりという名の息抜きなのか?

さて、次回はそんな蓮華との町の散策(デート)です。

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