Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
もうすぐ2月ですね。
レディ・ライネスの事件簿復刻もそろそろ終了です。
という事はバレンタインイベントの時期ですね。
FGOも恋姫天下統一伝もバレンタインイベントが始まるのかな?

さて、曹操暗殺計画も駆け足で進んでいきます。
どのような展開になるかは本編をどうぞ。


曹操暗殺計画 -歓待という名の暗殺-

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歓待当日。曹操は使者に案内されて会場へと向かう。

 

「どんな歓待を受けると思う?」

「きっとつまらない歓待よ。ただ思ってもない褒め言葉を言われて、豪勢な料理を出されて、下心まる分かりに取り入ってくるんじゃないかしら」

 

使者に聞こえないように司馬懿(ライネス)と曹操はこれからの歓待に予想する。

 

「散々な言われようだな」

「朝廷は嫌いなのよ。いえ、権力争いをしている者どもが嫌いと言った方が正しいわね」

 

何もかも朝廷を嫌っているわけではない。曹操が嫌いなのは醜い権力争いをしている魑魅魍魎たちだ。

 

「司馬懿も分かってくれると思うのだけれど」

「まあ、分かるよ」

 

時計塔の上層部も魑魅魍魎だ。

曹操が思っている者たちよりも酷いかもしれない。

 

「言い過ぎですよ華琳さま。朝廷にもまともな人もいますよ」

「そのまともな人はまともでない人に潰されているのでしょうね。そう思わない燈?」

「華琳さまったら」

 

否定しないという事はあながち間違った事ではないのかもしれない。

『善人が痛い目を見る』というのは生きていれば聞く言葉。真面目な人ほど手を汚している者に使い潰される。

普通に考えれば納得がいかないはずだが、それで上手く回っているのだから不思議なものだ。

納得出来ないかもしれないが『綺麗ごとだけでは上手くいかない』というものだ。何が正しくて何が間違いか分からなくなってしまうものである。

 

(やっぱどの時代、どの世界であれ、こういうのはあるんだね)

 

魑魅魍魎たちと関わるのは時計塔だけで充分だと思ってしまう司馬懿(ライネス)であった。

 

「到着しました」

 

案内された場所は宮廷。魏の王を歓待するのだから当たり前の場所である。

そのまま宮廷内に入り、歓待場所まで案内される。

中に入れば宦官たちと1人だけ身分が違うと分かる老人が待っていた。更に豪華な食事や酒が色とりどりに並べられている。流石は朝廷お抱えの料理人が作ったものであり、ゴクリと喉を鳴らしそうになる。

この場に許緒がいれば涎をダラダラと垂らしていたかもしれない。

 

「曹操殿。遠い所よりはるばるよくお越しいただきました。本日の歓待を仕切らせていただきます董承と申します」

「董承殿。本日は歓待に招いてくれて感謝するわ」

「曹操殿にはこれからも漢帝国の為にお力添えを頂きたい。貴女を歓待したいと思うのは当然です」

 

当たり障りなく会話をしていく曹操と董承。

 

「いやはや曹操殿に司隷を守って下されば安泰ですな」

「曹操殿はこの大陸で一番の強さを持っておられる。蜀の劉備や呉の孫策も目ではありませんな」

「ささ。美味しい料理と酒もありますゆえ」

 

他の宦官たちがこれでもかというくらいに曹操をほめちぎっている。

 

「まあ、待て。まずは乾杯から始めようではないか」

 

宴席等において主導者の合図により、共に酒を飲む儀礼。

どの時代であっても始まりは乾杯から始まる。国によって乾杯の手順や所作は異なるが意味は同じだ。

曹操達は董承に座る席を説明され、素直に座っていく。

視界に入るのは色とりどりの料理と注がれた酒。何度も思ってしまうが食いしん坊ならばすぐにでも口にしたいはずである。

 

(この料理に酒。普通は美味しそうなんだけど場所が場所だから食べる気が起きないな)

 

どうしても毒が入っていると思ってしまう司馬懿(ライネス)。それは曹操や荀彧も思っているかもしれない。

 

「では曹操殿には楽しいひと時を。無論、曹操殿の臣下たちもです」

 

酒の杯を掲げて乾杯をする。董承は、宦官たちは酒を口に流し込んだ。

 

「おや。飲まれないのですかな?」

 

董承は曹操が酒を飲まないのに首を傾ける。

曹操だけでなく荀彧や司馬懿(ライネス)たちも飲んでいない。

 

「お酒が苦手でしたかな?」

「ええ。毒酒は好きではないわ」

 

曹操が口にした「毒酒」という言葉で宦官たちは分かりやすくビクリと動揺した。

動揺していないのは董承だけだ。

 

「毒酒とは…曹操殿は冗談がお上手ですな」

「冗談で言ってないわ」

 

会場の空気は一変。

 

「朝廷で魑魅魍魎たちが実権を得る為に暗殺や謀殺が多いのはただ誇張された噂ですぞ。貴女様は司隷を守ってくれる者。酒に毒を入れるはずない」

「なら私の注がれた酒を飲んでみなさい」

 

曹操は自分の持った杯を董承の隣にいた宦官に向ける。

 

「そ、曹操殿。毒なんて入っておりません。董承殿が言った通り考えすぎです」

「なら飲んでみなさい。毒が入っていないなら飲めるでしょう。毒が入っていなかったら魏王である私が頭を下げるわ」

 

今度は別の宦官に酒の入った杯を向ける。

 

「どうした。毒が入っていないのなら飲めるだろう。そして私の頭を下げさせる事ができるぞ?」

 

口調を威圧的にしていく曹操。

毒酒でないのならば誰もが飲めるはずだ。しかし董承も宦官たちも誰も飲もうとしない。

実際に飲んで酒に毒が入っていなければ曹操は失礼な事をしたという失態が付く。そこから色々と風評を付けられる材料を渡してしまう事になる。

魏の王からしてきれば少しの失態でも大きく響いてしまうものだ。そして大きくなりつつある魏を貶める材料は朝廷側として欲しいものでもある。

 

「飲まないのか?」

 

曹操は董承に酒の入った杯を向ける。

董承も宦官たちは誰も飲もうとしない。これは毒が入っていると言っているようなものだ。

 

「これはどういう事だ董承殿。まさか歓待を受けに来たら毒殺されるとは思わなかったぞ」

 

曹操だけでなく荀彧も董承たちを睨む。

 

「我が王を毒殺しようとは…孟徳様は司隷を守る為にお体と精神を削っておられる。その恩がこれか!!」

 

恩を仇で返すとはよく言ったもの。

尤も司隷の管理を任されたのはつい最近であるため、そこまで肉体も精神も削っていない。

 

「お、落ち着いてくだされ。毒は入っておりませぬ」

「まだ言うか」

 

宦官たちはあくまで酒に毒が入っていないと言い切るが信じられるものではない。

ここまで分かりやすいとなると朝廷での腹の探り合いが簡単だと思ってしまう。

董承はまだ油断できないが他の宦官たちはもうボロも丸出しだ。

 

「………やはり簡単にはいかぬか」

 

ぼそりと呟いたのは董承。すぐに視線を向けると冷酷な目をしていた。

 

「やれ飛燕」

 

曹操は真上から殺気を感じ、目線を上げた。長い棒を持った男が天井から降って来ていたのだ。

 

「死ね曹操」

「させない」

 

横から飛び出して謎の男を蹴り飛ばしたのは哪吒。

 

「おっと」

 

蹴り飛ばされた謎の男は受け身を取って立ち上がる。

 

「今ので曹操を殺せたと思ったんだが案外うまくいかないもんだな」

 

奇襲に失敗したが特に気にしてない様子だ。飛燕は長い棒を肩にかけて楽な体勢をしている。

 

「曹操は良い護衛をお持ちだ」

 

ジロリと哪吒を見る。

 

「失敗しおって」

「実際は予想済みだろ董承殿?」

「ふん」

 

座っていた董承は立ち上がる。

 

「曹操。貴様は漢帝国をないがしろにしている。貴様のような奴がいるから漢帝国は再興しないのだ」

 

董承にとって曹操だけでなく劉備や孫策も漢帝国を再興させるのに邪魔だと思っている。

漢の周囲には魏、蜀、呉。この三国が膨れ上がれるにつれて漢帝国は押しつぶされるのだ。

三国の内、いずれかが二国を飲み込んだ瞬間が漢帝国の終わりである。そうさせないために董承は今一番の勢力である曹操を狙ったのだ。

 

「私が漢帝国を滅ぼす脅威になると?」

「そうだ」

「これでも朝廷に貢献しているのだけれどね」

「ふん。心に思ってないことを」

(まあ、確かにね)

 

大陸の覇権を手に入れれば曹操が大陸の頂点になる。そうなれば漢は完全に終わるのは当然だ。

曹操が目指す覇道には漢帝国を終わらせるという事が含まれているのは理解している。そもそも反董卓連合が終わったのと同時に漢帝国は終わっているのだ。

曹操だけでなく、大陸全ての者が今の漢に力が無いというのは完全に周知されている。今の漢帝国に思う者はいない。

もしもいるのならば曹操の目の前にいる董承である。

 

「儂は栄華の時代であった漢帝国を再興させる。これからの時代は貴様らが作るものではない。これからも漢の時代が続くのだ!!」

「栄華の時代ね。それは霊帝を傀儡にして好き勝手していた時代の事を言っているのかしらね」

 

何を持って栄華と思っているかは人それぞれ。

霊帝を傀儡にしていた時代で甘い汁を啜っていた者たちはいた。その時が良かったと思えば確かに栄華の時代なのかもしれない。

 

「戯言を叩く口を閉じよ。貴様は魏王ではない。偽王だ」

「あんた。曹操様に向かってなんて口の利き方を!!」

 

曹操に心酔している荀彧からしてみれば董承の戯言の方が怒りを表してしまう。

 

「構わないわ。所詮は小物の戯言よ」

 

カチャリと得物である絶を構える。

 

「貴様らは魏の王である私を暗殺しようとした。司隷を守る立場でもある私をだ。ならばそれ相応の報いを受けてもらうぞ」

 

朝廷の膝元である司隷を守る立場であり、魏の王である曹操を暗殺しようとした事は謝って済まされるものではない。

目の前に董承や宦官たちはもはや逆賊と一緒である。今ここで処理しなければ曹操はいつまでたっても狙われるだけである。

 

「衛兵!!」

 

合図したと同時に兵士たちが歓待場になだれ込んでくる。

槍を董承と宦官たちへ向けてすぐにでも刺突できるような状況だ。宦官たちはみっともなく悲鳴を上げた。

 

「こういう事があると予想はしていた。だから兵士たちを潜ませてもらったわ。もう終わりよ」

「くっくっくっく…」

 

小さな笑い声が響く。笑っているのは董承だけであった。

 

「どうしたの。頭でもおかしくなった?」

「いや。予想通りに進んでいると思ってな」

 

手で目元を隠して笑っている董承は不気味なだけである。

 

「予想通り?」

「毒で殺せれば楽だった。飛燕の強襲で殺せれば部屋を汚すだけだった。しかしこれらは本来の計画にとって、もしも出来れば…というものだ」

 

曹操暗殺計画は瓦解していない。暗殺がバレても計画は止まらない。

 

「これで曹操暗殺計画は遂行する」

 

董承は手を合わせ何かを詠唱した瞬間に歓待場内に大きな術式が展開された。

 

「なっ、これは」

「なによコレ!?」

 

いきなり大きな術式が展開され驚く曹操と荀彧。

 

(この術式は…)

 

謎の術式の範囲は飛燕と哪吒以外を囲っていた。

 

「ははっ、計画通りだ。これで曹操は終わりだ」

「終わり?」

「アンタも終わりだ。この場にいる全員は殺す事になっているからな」

 

飛燕はまたギロリと哪吒を睨んだ。

 

「ひぃああああああ!?」

「な、なんだこれはああああああ!?」

 

悲鳴が響き渡たる。

 

「な、なによこれえええええ!?」

 

荀彧までも悲鳴を上げていた。

 

「これはしてやられたな」

 

今の状況は術式に入った者たちが触手に絡まれている状態だ。

曹操たち、兵士たち、宦官たちが触手で絡めてとられている。

 

「嫌っ、なにコレ!?」

「落ち着け荀彧殿。冷静になりたまえ」

「逆に何でアンタはこんなんで冷静なのよ!!」

「安心したまえ。私も驚いている」

「安心できないわよっ!!」

「男はこういう触手プレイというのが好きだったりするのかな」

「わけわかんない事を言ってるんじゃないわよ!!」

 

司馬懿(ライネス)は冷静に見えるが内心は焦っている。警戒はしていたがまんまと引っかかってしまってショックも受けている。

 

「これは驚かされたわ。こんな趣味の悪いものを出してくるなんてね」

 

冷や汗をポタリと垂らす。

 

「減らず口も終わりだ。貴様は食われる」

「と、董承殿。これは一体なんなんですか!?」

「た、助けてください董承殿!!」

 

謎の触手が曹操を殺すためのものであるならば宦官たちにまで絡みついている理由が謎である。しかし董承がすぐに答えを口にした。

 

「悪いが貴様らは曹操を殺す為に必要な犠牲だ」

「なっ…!?」

「董承殿!?」

 

冷酷な口調で犠牲発言をした。

 

「この術式を展開するにあたって貴様らの犠牲も必要であったのだ。誇りに思うがいい。貴様らは逆賊曹操を討つ為に戦ったと後世に伝えておこう」

「と、董承ぉぉぉぉぉ!!」

 

宦官の1人が無理やり董承に手を伸ばそうとしたが手指が切り落とされた。

 

「あぎゃあああああ!?」

「近づくな」

 

妖術か何かで矛を取り出していた。

三国志で董承が妖術を使えたというのは聞いた事がない。しかし今は董承が妖術が使える云々は関係無い。

重要なのは如何に術式を解除するかである。

 

「この術式は……召喚術式みたいなものか」

「ほう、そこの女よく分かったな。曹操の臣下にも妖術に詳しい者がいたか」

 

司馬懿(ライネス)は展開された術式を解析していた。

 

「その通り。これは妖魔を召喚する術式だ」

「曹操を殺すために妖魔を呼び出すか。そうしないと暗殺できない人物になっているようだね」

「それほどまでの傑物になったと誇っていいのか分からないところね」

 

司馬懿(ライネス)の軽口に普通に返す曹操。お互いに冷静になるために言った軽口だ。

 

「尤も曹操を殺すために妖魔を呼び出すわけではないのだがな」

「なんですって?」

「儂が妖魔を呼び出すのは漢の再興を願うためだ。その対価に儂は曹操、他を捧げたにすぎん」

「なるほど。そういう方法か」

 

董承が言っていた事の意味を理解した司馬懿(ライネス)。

 

「どういう事?」

「定番さ。願いを叶える対価に魂を差し出すってやつだ。その方法を利用したもの」

 

悪魔(妖魔)に願いを叶えてもらう代わりに魂を奪われる。外史世界でも同じ術式が存在するようである。

 

「董承は漢を再興させるという願いを叶えるために自分ではなく、私たちを対価に差し出したって事だ」

 

曹操を暗殺するため悪魔(妖魔)に願うのではなく、漢を再興するために曹操を生贄に差し出す。

邪魔者を殺すだけならば願いを叶えるための材料した方が一石二鳥であるという事である。

 

「それも正解だ。殺すためだけの願いなぞ勿体ないだろう?」

「なら董承を殺せば」

「それではこの術式は止まらないよ荀彧殿」

「何でよ!?」

「奴の願いは漢の再興。そして対価は董承自身でなく曹操。あと追加で私たちだ。ここで重要なのが対価が私たちという部分だ」

 

悪魔(妖魔)と契約をしたのは董承であるが願いを叶える為に用意した生贄は曹操たち。董承を殺したところで契約は解除されない。何故ならば悪魔(妖魔)の対価である生贄は董承でないからだ。更に願いは漢の再興であるため董承の生死は関係無い。

董承が死のうが悪魔(妖魔)に生贄が捧げられれば漢再興への願いが叶うのである。そして生贄認定された曹操たちは悪魔(妖魔)から逃げられない。

 

「先ほど奴は私たちを捧げたと言っていた。もう私たちは悪魔(妖魔)の生贄になっている事になっているんだよ。この部分が最悪だ。悪魔(妖魔)は何が何でも我らを食うだろうな」

「はあっ!?」

「その証拠に董承には触手は絡みついてなく私たちだけに絡みついている。ま、董承以外にも触手が絡みついていないのがいるけどね」

 

司馬懿(ライネス)が視線を向けた先にいたのは陳珪であった。

 

「燈なんで!?」

 

わけが分からないと叫んだ荀彧。

術式の中にいる者たちで触手に絡まれていないのは董承と陳珪である。

 

「燈。どういう事かしら?」

「見て分かりませんか華琳さま」

「裏切ったとしか見えないわね」

「ならそうなのでしょうね」

 

陳珪が裏切ったという事に空いた口が閉じられない荀彧。

 

「何でよっ!?」

「くっくっくっく。陳珪殿は曹操よりも儂に、漢に忠誠を誓っているという事だ。お主の考えは正しいぞ陳珪殿。いや、燈殿」

「なっ、真名まで!?」

 

真名まで預けている。その意味はこの世界にいる者ならばすぐに理解できるはずだ。

 

「あんた…本当に華琳様を裏切ったの」

「何も言う事は無いわ」

 

陳珪は誰とも視線を合わせない。

 

「胡散臭くて考えが読みにくいとは思ってたけど…それでも裏切るとは思ってなかったのに!!」

「くっくっくっく、彼女が曹操を裏切ったのは当然だ。魏が進む道は破滅しかない。ならば臣下たちが離れるのは当然だろう」

「お前っ!!」

 

叫びながら睨む荀彧だが誰も気にも留めない。

陳珪が曹操を裏切り、董承には貶されている事に対して悪魔(妖魔)に食われる恐怖よりも怒りが優先されている。

 

「貴様の臣下は品が無いな」

「私の可愛い臣下を貶さないでほしいわね」

「ふん。何度も言うが曹操よ貴様はもう終わりだ。そして魏も…陳留もな」

 

陳留も終わりという言葉にピクリと反応する。

 

「魏を潰すのは貴様を殺せればいい。だがより確実にするため陳留に今ごろ儂の軍が攻めてるだろうな」

「洛陽から軍が動いたなんて情報は無かったけれどね」

「そりゃそうさ。動いたのは朝廷の軍じゃないからな」

 

ここで話に割り込んだのは飛燕。

 

「董承殿。その軍はあんたのじゃないぞ。正確には俺らの軍だ」

 

更にただの軍隊ではなく鬼の軍隊である。

この事は曹操も荀彧も分かりはしない。

 

「順調に快調に勢力を広げ過ぎたせいで人材が間に合っていないだろ。有力人材は各地にばら撒いている。今の陳留は手薄だ」

 

手薄の国ほど攻められやすいものだ。

 

「ふふ」

「何故笑った?」

「確かに今の陳留は手薄よ。だからといって落とせるとは限らないわ」

「減らず口がほんとに絶えないな貴様は。もうすぐ死ぬというのに」

「いいえ、私は死なないわ。そして陳留も落ちはしない」

 

危機的な状況でも曹操の眼は何一つ諦めていないのを物語っている。

 

 

654

 

 

陳留にて。

カルデア組で陳留に留守番は秦良玉と玄奘三蔵。

 

「司馬懿殿たちが洛陽に向かって早数日。陳留では特に何もありませんね」

「そうね。八傑衆とやらも見つからないし」

 

秦良玉と玄奘三蔵は陳留で何事もなく過ごしていた。

彼女たちの目的は八傑衆の討伐か捕縛。しかし現段階では影すらつかめていない。

 

「このまま何も無いのがいいんだけど」

「そういうわけにはいかないでしょう。八傑衆の目的は三国を落とす事です。いずれは攻めてきます」

「……何で人間は争うのかしら」

「難しい質問ですね」

 

2人は陳留の街を警邏中。

人材が少ない為、雑用で何でも手伝わされているのだ。

 

「あ、リャンっちー。三蔵っちー」

 

街中を歩いていると前から曹仁が手を振りながら駆け寄って来た。

 

「警邏お疲れっすー」

「お疲れ様ー!!」

 

パチンと手を合わせる曹仁と玄奘三蔵。彼女たちはお互いにポジティブな性格なので仲が良くなるのはすぐであった。

 

「何事も無かったわよ」

「なら良かったっす。今日も無事平和ってことっすね」

 

平和が一番。しかしこういう事を話している時に限って緊急性の事件が起こるものだ。

 

「ん?」

 

伝令らしき少数の騎馬の一団が玄奘三蔵たちの脇を全力で駆け抜けていった。

 

「なんだか物々しいですね」

「なんかあったんすかね?」

 

あまりの勢いに話の続きも忘れて呆然と見送るだけだったが、一団のうちの一騎が隊列から離れると馬首を翻して此方に戻ってくる。

 

「丁度ええ所に!!」

「李典殿。何があったのですか?」

「教えて欲しいっす」

「それがな。ちいっと耳貸しぃ」

 

こしょこしょこしょと耳打ちをする。

 

「え?」

 

まさかの報告。

 

「化け物の大群?」

「急いで城に集まるっす」

 




読んでくれてありがとうございました。
次回の更新は1週間~2週間を予定しております。


653
歓待場に案内されたら暗殺会場だった。この一言ですね。

毒殺や襲撃はブラフで本命は悪魔(妖魔)の生贄にされるという暗殺でした。
生贄認定されて狙われる…最悪のパターンだと思います。
一番のとばっちりはモブの宦官たち。

謎の触手。
これがどうなるかは続きをお待ちください。

陳珪(燈)が裏切り!?
これもどうなるかは続きをお待ちくださいね。


654
陳留に化け物の大群。
此方でも戦いが始まります。
という事で洛陽側と陳留側の2か所で戦いが始まっていきます。


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