Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
今年のFGOバレンタインイベントが楽しみです。
バレンタインイベントで活躍する新サーヴァントは一体誰なのか。
恋姫天下統一伝のバレンタインイベントも気になりますね。
誰がバレンタイン恋姫になるやら。
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化け物の軍勢が陳留に攻めて来た。
そのような報告を受けても意味が分からないが実際に化け物が攻めてきたのだから理解してもらわないといけない。
緊急性な事件であるため城の広間にて曹仁たちは集合する。
「報告をお願いします真桜さん」
「状況やけど化け物の大群は関を陥としながらこの陳留に向かっとる。大群は既に豫洲を抜けて苑州に入っとるで。この陳留に向けてすぐや」
陳留までの街道沿いに用意した関や砦を可能な限り無視か迂回路を取っている。どうしても攻略しなければならない関や砦に関しては予想以上に早く陥落させている。
「真桜さんは化け物の大群を見ているんですよね」
「見とるで」
「敵の強さ、数、動き、どのような作戦をして砦を陥落させていましたか?」
程昱は化け物の大群の状況を事細かくの説明を欲している。
「化け物の強さはホンマもんや。認めたく無いけど魏の兵より強いで。数は目測で五百いるかいないか。しかし知性があるようには見えんかった。ただ暴れ回るだけのバケモンや」
「なるほど。ただの力圧しで砦を陥落させてるのですか」
「化け物たちだけならな」
「他にもいると?」
「ああ。なんか化け物の中に1人だけ人間がおったで。たぶんソイツが化け物の大群を統率しとる」
力ある兵と敵軍の弱い部分を的確にぶつけて陥落させる。指揮として当然の考えだ。
人材不足で防備も少なくなっている魏では砦が厚いところもあれば薄い所もある。
薄い所を攻められているので一瞬で陥落させられている。
「無視された砦に深追いを避ける様に言ったのは正解ですね。もしもぶつかったらすぐにでも負けたでしょう」
「はい。徒に大事な兵士を殺されてましたね」
下手に手を出して噛まれるよりマシというものだ。
「……今からでも他の皆さんを呼び戻したとしても間に合うかどうかですねー」
曹操は洛陽へ。他の武将たちは手に入れた領地へと向かっている。
陳留より近くにいてある程度規模が大きい戦力を持っているのは河北の南にいる夏侯淵と徐州の曹洪だ。しかし呼び戻したとしても十日近くは掛かる計算である。
今の陳留の戦力は割かれており、化け物の大群を倒すには心もとないが今ある戦力でどうにかしなければならないのだ。
「揚州あたりにいる春蘭さまは連絡さえつけば早いでしょうけど、幽州の霞ちゃんはどうしようもありませんねー」
「それまでは籠城するしかないですね。もしくは迎え撃つか」
「ここを使いますかー?」
「ダメっす。ここだと被害が大きくなるっす」
「じゃあ何処にしますかー?」
「ここっす」
曹仁が指さしたのは陳留の近くにある出城の1つであった。化け物の大群が通る箇所にある。
「そうですねー。城の規模が小さい分、隅々まで兵を行きわたらせる事が出来ますし、街の人にも気を配らずに済みます」
出城で時間稼ぎをすれば戦力を呼び戻せる。負ければ化け物の大群に陳留を食い散らかさせる事になるという事だ。
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急いで出城に今ある戦力をかき集めて化け物の大群を迎え撃つ準備を行う。
敵の戦力は目測で五百はいるという事。魏の戦力からしてみれば少ないと思えるが今の陳留にいる戦力では脅威だ。
特に相手が人間でなく化け物であるため力は未知数だ。
「負けるわけにはいきません」
曹純は心臓の鼓動が早くなっているのを感じる。不安や焦りが身体と精神を蝕んでいるのが分かるのだ。
このような感覚は初めて戦争を体験した時以来である。厳しい戦いを越えてきたが今回のように未知な戦は少ない。
曹純の記憶では普通ではない戦は反董卓連合や官渡の戦いくらいだ。
「大丈夫ですか曹純殿」
「あ、秦良玉さん」
不安そうな顔が出ていたのか秦良玉に心配される。
未知な戦に不安を感じるのは当然な事だ。戦争が怖い、不安と思う彼女の気持ちは誰も責められない。誰だって思う事だ。
「気休め程度の言葉にしかなりませんが…大丈夫ですよ。我々は負けません」
「秦良玉さん」
「我々は勝つ為に戦うのではありません。生き残る為に戦うのです」
既に陳留での緊急性を伝えるために兵士を散らばっている各武将たちの元へ向かわせている。
「我々の勝利条件は生き残る事ですよ」
「……はい。そうですね」
気休め程度の言葉。しかしそんな気休めが心に沁み込む時があるのだ。
「……来ましたね」
秦良玉の言葉に曹純は視線を出城の外に向けた。
出城の城壁の向こう側に広がるのは化け物の大群。化け物は人型であるが体型は様々で細い体型もいれば大きい体型のもいる。
肌の色はねずみ色、筋肉質、口からは鋭い牙を向き出している。誰でも恐怖してしまいそうな雰囲気を尋常なく醸し出している。
「あんなのを陳留に入れる事は出来ません」
曹純は恐怖を押し殺し、覚悟を決める。籠城か迎え撃つかで考えた結果、迎え撃つ事にしたのである。
曹操ならば「最初から守りに入るようでは覇者の振舞いとは言えないでしょう。そんな弱気な手を打ってはこれから戦う敵すべてに見くびられることになる」と言うはずだ。
ハッタリと効かせるのも1つの手ではある。しかし負ければ劣勢で攻めに出た暗君と言われるリスクもあるのも確かだ。
だからこそ勝利すれば魏軍の精強ぶりを一層天下に示す事が出来るのだ。
「各指揮はどうしますか」
「前曲はウチが率いるっす」
同じく覚悟を決めた曹仁が2人の前に歩いてきた。更に後ろからは玄奘三蔵や真桜たちも歩いてくる。
「なら私も行くわ姉さん。左は真桜さんと秦良玉さんお願いします。右は凪さん、沙和さんお願いします。本陣は風さん、喜雨さん、三蔵さんは城の防衛をお願いします」
テキパキと指示を出していく曹純。
「これは勝つ為じゃなくて生き残る為に」
全員の視線が外にいる化け物の大群に向かった。
「行きましょう」
化け物の大群との戦いが始まる。
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曹純と曹仁の目の前には化け物たちが唸り声を上げながら立ちはだかっていた。その中に1人だけ人間が混じっていた。
「貴方がこの大群の指揮者ですか」
「我が名は八傑衆が1人。張白騎だ」
白馬に乗っている張白騎は堂々と名乗り上げた。
(八傑衆。司馬懿さんが言っていた…)
八傑衆の目的は三国を陥落させる事。彼の目的は一瞬で分かった。
「目的は陳留を陥落させる事ですね」
「軍…群を率いて国の前まで進軍したのだ。分かり切った答えだろう」
何を当然な事を言っているんだという顔をしている。
「何の為に我が魏と戦うのですか」
「魏が…いや、三国が邪魔だからだ。これから来る時代は三国時代ではなく、神の時代だ」
(神の時代?)
張白騎の言っている事が気になったが一旦、置いておく。
「司馬懿さんが言っていましたが蜀や呉以外にも新たな勢力があるというのは本当だったみたいですね。その謎の勢力が今になって表に出てきたってところですね」
今の魏にとって敵は蜀と呉だ。他にもいない事はないが二国に比べれば小さいものたち。
そのような時に情報もないような謎の勢力に攻め込まれるとは頭が痛くなる。どの時代で大国であっても謎の勢力が攻めてくるというものは怖いものである。
「交渉も和平もない。我らはただ貴様らを食い散らかすだけだ」
張白騎は槍を曹純と曹仁に向ける。
「もう話す事は無い。貴様らはここで死ぬだけだ」
時間稼ぎの会話も成り立たず、敵の情報もあまり聞きだせない。相手はただただ仕事をこなすように殺しにかかるだけだ。
曹純たちは武器を構える。
「魏の兵を食い散らかせ鬼ども!!」
(あの化け物たちは鬼なの!?)
化け物の正体は鬼。
曹純は鬼というものを初めて見たが想像と違っていた。
「行くっすよ!!」
まず一番槍に出たのが曹仁であった。
将が先鋒を切って戦うのは士気をあげるのには有効だ。
「てやあああああああああ!!」
「ぐがああああああああ!?」
曹仁の剣が鬼を斬る。
先陣を切って敵を倒すという行為もまた兵たちの士気を上げるのに効果はある。
実際に曹仁の勇士を見て兵士たちの士気は上がっている。勇気を貰い、彼女に続けと兵士たちが鬼たちに突撃していく。
「1人で戦っちゃだめっす。複数でかかるっすよー!!」
「「「おう!!」」」
(さすが姉さん)
姉の勇士は妹の心にも安心を染み渡らせてくれる。
「私も頑張らないと」
当然であるが最初から全力だ。
生き残るために戦う。敵を倒すのが勝利条件ではなく、時間稼ぎをすればいいのだ。
「……無意味な抵抗を」
張白騎は淡々と戦を見渡している。まるで勝負は最初から分かっているように。
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洛陽。
曹操たちは董承の策略に嵌ってしまっていた。
展開された術式からは謎の触手が生え出して曹操たちに絡みついている。
「私は死なないか…このような状況でよく言いおる」
「ほんとだな。もうすぐ生贄になるってのに。そして今頃陳留は張白騎たちに陥されてるってのに」
董承と飛燕は余裕そうな曹操に対して笑ってしまいそうだ。もはや風前の灯火というのに虚勢を張っているのが滑稽に見えるからだ。
「あんたはもう終わりだ。そして陳留は手薄。そんなところに攻められたら一瞬だろうに」
「手薄ってのは本当だけど分からないものよ。私の部下は諦めが悪いから」
「はっ、将と兵を急いで戻すだろうが揃うには時間がかかる。間に合うはずがない」
飛燕が集めた情報は確かだ。
陳留が手薄というのは本当で、鬼の大群を攻めさせれば陥落する計算になっている。
曹操の言う通り陳留に残った諦めの悪い戦力で応戦し、陥落できなくとも陳留はボロボロになる事は確かである。
「ま、陳留が守られてもあんたさえ殺せばいいんだ。あんた1人を殺せば魏は終わる」
魏は曹操を頂点とした厳格な組織の作りだ。曹操さえ討てば後は柱を失った天幕のごとく勝手に崩れ去る。
「もう一度言うけど私は死なないわ」
曹操は絶対に死なないという自信を持っている。それが全くもって気に入らない董承だ。
(曹操はこんな状況だっていうのに自信満々だね。まあ、私だってこんなところで死ぬ気はないけど)
司馬懿(ライネス)は董承が展開している術式を解析している。
悪魔(妖魔)召喚の為の生贄認定されてしまったが術式は完成していない。何故なら全員がまだ無事なのが証拠である。
触手に絡まれている状況であるが気付かれないよう術式を崩す術式を組み込んでいるのだ。
(まだ食われない今がチャンスだ。ここで悪魔(妖魔)が召喚されたらもっと面倒になるからな)
曹操が董承たちと会話しているのが司馬懿(ライネス)にとっては良い時間稼ぎだ。
(文句は言っていられないけど術式の解析と共に術式を瓦解させる術式を組むというのは面倒だな。)
異世界の術式解析は難しいと思っていたが元の世界の術式と似た部分があるため不可能というわけではない。
完全に別物というわけでないのが救いである。
(それにしても曹操の自信はどこからくるのか。虚勢を張っているわけではない。本当に今の状況を覆す何かを持っている顔だ)
まさか司馬懿(ライネス)頼りというわけでもない。もしもそうならば歓待が始まる前に説明が欲しい事になる。
(護衛を任されたけども)
護衛の中に術式等からも守るのも含まれていると言われてしまえば不満顔になりそうだ。
(でも、そんな感じでも無いんだよね。やはり曹操はこの状況を打破する何かを持ってるか)
同時に司馬懿(ライネス)を保険として傍に置いている可能性もあるのだ。
(この私を保険扱いってか。曹操もやるね)
なかなかの性格だと思って、とことん気が合いそうだとも思ってしまう。
(さーって。曹操がいつその打破する何かを……おや、これは)
術式を解析中にてある事を発見。
(はは~ん。なるほどね。そう言う事かあ)
曹操が狙っている事が理解できた。
「死なないと言うのならば試してみようではないか」
董承は既に勝利を確信している。
「燈よ術式を完成させるぞ。合わせろ!!」
「はい」
術式が光り出す。
「何よ!?」
「この術式は董承だけでなく陳珪殿の2人で展開されたものだよ荀彧殿」
悪魔(妖魔)召喚は2人の術者によって術式が展開されているのは解析済みだ。
「1人が董承。そしてもう1人が陳珪殿だ」
「そうじゃなくて光ってるのは!?」
「術式が完成する予兆じゃないかな」
「ちょっ」
謎の触手が増え身体に巻きついていく。
このままでは完全に触手に飲み込まれて終わりになる。これが食われるという事かもしれない。
「死ねぇい曹操ぉ!!」
曹操を暗殺する為に用意した悪魔(妖魔)召喚の術式が完成しようとしていた。
読んでくれてありがとうございました。
次回の更新も1週間~2週間後を予定しております。
655~657
曹操たちが洛陽で董承の罠に嵌ってしまった頃、陳留では鬼の軍団に攻められました。
首謀者は八傑衆の1人、張白騎。シンプルに陳留を食い散らかそうとします。
原作の革命でいうと劉備たちが陳留の手薄を狙って攻めて来た頃ですね。
今回はその役目が劉備でなく、張白騎だったという感じです。
更にオリジナル展開の董承が加わっているので原作よりもキツイ傾向です。
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曹操が自信満々なわけ。それは次回で分かります。
司馬懿(ライネス)は気付きました。