Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
さて、実は感想で藤丸立香が不自然に評価されてて違和感があると似たような感想がいくつかありました。
それが何度も続くのもどうかと思いますし、そのせいでFGOを知らない人は藤丸立香のキャラを誤解させてしまうかもしれません。
この指摘に気付かされて、自分の作品を読み返して確かにそうだなって思いましたので少しづつ直していこうと思います。
もしかしたら、またそういう場面を書いてしまうことがあるかもしれません。その時はすいません。過去の各話もいずれ修正していこうと思います。
私はどちらの作品も好きです。
この作品はFGOと恋姫のクロス作品。どちらの作品の登場キャラも活躍できるように書いていけるようにします。
前書きで長々と失礼しました。
83
宮廷で董卓にお世話になっていれば呂布やら張遼やら、まさかの何太后、霊帝や劉協と出会いもする。
そして今度は漢の大将軍の何進と出会ったのだ。
「お前が我が妹が言っていた藤丸立香とやらか」
洛陽にいるとは言え、まさかこうもこの国の重要人物たちに出会えるものであろうか。
運が良いの悪いのか分からないが、これも藤丸立香の縁を紡ぐ力の1つかもしれない。
「おい、まさか余のことが分からんとは言わんよな?」
「漢の大将軍の何進さんですよね」
「その通りだ。知っているのなら早く返事をせんか。あと様をつけろ」
早く返事をしろと言われたがいきなりだったから反応が遅れただけである。
それにしてもまさか漢の大将軍から直々に声をかけられるなんてそうそうない。一体何だろうかと思ったが彼には思い当たる節は案外ある。
「何ですか。何太后様のことですか、霊帝様のことですか、劉協様のことですか?」
何進に関係あると言ったら何太后たちだ。偶然か否か分からないがこの洛陽でトップ陣と知り合ったのだから。
「聞きたい事があるならどうぞ!!」
「お、おう。なかなか威勢が良いな…」
何進としては自分が出れば少しは怖気づくかと思ったがそうでもなかった。普通に話しかけてくる気骨がある。
これは妹である何太后から聞いた話だとや霊帝や劉協相手にも怖気づかずに話す気骨があるというのだ。報告でも聞いていたが霊帝には『ぷりん』なるお菓子を振舞って気に入られ、劉協には良い話相手になっていたりしている。
たかだか旅人であり、董卓のところの客将が国のトップにそこまで近づいたなんてあり得ないことだ。
「お前は確か董卓のところで客将をやっていたな」
「お世話になってます!!」
「堂々と言うなお前」
嘗められないように威圧的な態度でいるが何故か彼と話していると毒気を抜かれる。なんとも調子が狂うのだ。
「まあ良い。董卓のところなんかよりも余の下で働かんか?」
何進の目的は藤丸立香たちの陣営を董卓から奪おうとしているのだ。董卓の新たな客将について調べてみたところ余程の人材であること分かった。
ならば、何進としては彼らが董卓の所にいるのは勿体ないと思っている。そうなれば何進の下に引き込みたいのが本音だ。
「董卓のところ何ぞよりも余の下の方が良い目が見られるぞ?」
藤丸立香を主として数人の凄腕の人材が仕えている。ならば主である藤丸立香を籠絡すれば残りは全部引っ付いてくるという形だ。
「どうだ?」
何進は藤丸立香に接近し、自分の艶やかな肢体を使う。自分の魅力のことは一番分かっている。
だからどう使えば男が自分の手のひらに墜ちるか簡単だ。今までも男なんぞいくらでも堕としてきた。
だが、今回はより大胆に誘惑する。なんせあの何太后の誘惑を耐えたというからだ。
顔と顔が近く、足が股に入り込む。壁際に追い込まれて密着する。
何進の艶やかで悩まし気な魅力が全力で藤丸立香を襲う。だが色香で落ちる藤丸立香ではないのだ。
ハニートラップや誘惑、貞操の危機なんてカルデアでは日常茶飯事だ。それはそれで問題な気もするが。
「いや、遠慮します」
「な、何!?」
断られるなんて思ってもいなかった何進は後ずさる。
「何故だ。余は漢の大将軍だぞ!?」
「知ってる」
「そうではないっ!!」
大将軍から直々の誘いを蹴ったことに関してである。
「俺…俺たちには目的があるんだ。そのためには何処かの誰かの下にずっと仕えていることはできない。董卓さんの所もいずれは離れるつもりだよ」
藤丸立香がこの外史に転移した理由が于吉を貂蝉とともに倒すことだというのなら洛陽で目的は達する。そうしたら帰還できるはずだと思っている。
そのために目的を遠回りさせるような行動はできないのだ。もし何進の下について余計な仕事をしてしまえば目的から離れてしまう。
だから何進の誘いには乗れない。
「く、この…」
「でも何か困ったことがあったら力になるよ」
「はあ!?」
誘いには乗らないが、困った事があったら力になると言ってくる。ますます分からない男である。
ただ馬鹿なのかお人好しなのか、実は腹に何か隠しているのか。どれなのかすら判断がつかない。
(だが、この小僧は腹に何か隠しているようなタマではない)
本気で力になると言っている可能性もある。そうだったら物凄くお人好しな男になる。
「じゃ、そういうわけで」
そそくさと何進から離れようとするが、ガシリと肩を掴まれる。
「待て」
「この後、セキトの…犬の世話をしなくちゃけないんだ」
「余より犬の方が優先とか不敬であろうが!?」
追いかけっこ開始。
「逃がしたっ!!」
結局、藤丸立香を逃がした何進。それは途中で藤丸立香が燕青と出会って逃がしてもらったからだ。
もし燕青がいなくともエウリュアレを抱えてヘラクレスと追いかけっこをした彼なら逃げれたかもしれないが。
「あらあら、姉様ったら立香くんに振られちゃったのね」
「端姫」
気が付けば何太后が何進の傍に来ていた。手には水を用意してくれている。
追いかけっこしたら喉が乾く。そのための水である。まったくもってできた妹である何太后。
「どうだった姉様。変わった子でしょう?」
「あれはただのお人好しの小僧だろう。もしくは世間を知らない馬鹿か」
密着した時に身体が鍛えられているのは分かったが兵士に向いているとは思えない。
恐らく何進が本気を出さずとも戦えば倒せる。
だが確かに変わった奴ではあった。漢の大将軍に対して「何か困ったことがあれば力になる」なんて言えるものではないからだ。その事から悪い奴ではないと判断している。
「あと端姫だけでなく、私の誘惑まで効かなかったのが気に入らん」
「それはそうよね。私もそれは気に食わないわ。こうなると何が何でも彼を落としたくなるわ」
「うーん、あんな小僧は一晩中我ら2人が床の相手をしてやれば籠絡できそうなもんだがな」
「いずれはモノにしてあげるわ立香くん」
自分たちの女の色香が効かなかったのが女のプライドを刺激する。これは彼女たちの美しさや女性としての魅力があると自分で十分に分かっているからだ。
特に何太后は自分の美しさによって霊帝の妃まで上り詰めた程だ。
「ところで瑞姫よ。最近の私の様子はこの宮中ではどうなっているのだ?」
「姉様が思ってる通りよ」
「そうかそうか。なら良い」
何か良からぬことを考えている何姉妹。そのせいで彼女たちは女性のプライドによって本気で藤丸立香に目をつけたが、洛陽で彼を籠絡することはできない。
出来ない理由がある。なんせ彼女たちの足元には策と裏切りの混じった絡め手が近づいてきているのだから。
84
卑弥呼が妖馬兵を調べに行ってから太陽が何度も昇った頃、部屋でゆっくりしていたら扉が大きな開放音と共に開かれる。
いきなり扉を大きくこじ開けてきた漢女。卑弥呼の帰還である。
「今、帰ったぞ!!」
「おかえり」
「貂蝉よ、立香と華佗に手を出しておらんよな!!」
帰ってきて聞くのはいきなりソレかと思ってしまう。言うのは于吉についてではなかろうか。
「貂蝉よ、立香と華佗に手を出しておらんよな!!」
「何故2回言ったし」
大事なことだから2回言ったのだ。
「安心しなさい手は出してないわよん。まあ、ちょっと私の漢女心が先走りそうになったけどねん…うふ!!」
「く、先っぽも手を出しておらんよな!!」
物の例えが酷い気がする。
取り合えず于吉について話を聞きたいため貂蝉と卑弥呼の言い合いを止める。早速会議を始めるのであった。
「まず結論から言おう。妖馬兵は既に于吉に取られてしまった」
「何ですって!?」
「そして于吉とも接触した」
「于吉は何て言ってたのかしらん?」
「この洛陽で相見えるとのことだ」
于吉は何でもこの洛陽で戦うことを選んだそうだ。
その意味は妖馬兵で攻めてくるということなのだろうか。もし、そうだったならば黄巾党の乱の時のように大きな戦いになるかもしれない。
「どう攻めてくるかまでは分からん。だが奴は確かにこの洛陽でワシらと戦うと言っていたぞ」
妖馬兵が大群で洛陽を落としに来るかもしれない。すぐにでも洛陽の周囲を警戒しないといけなくなる。
そして張譲にも目を光らせなければならない。なんせ張譲と于吉は手を組んでいるからだ。
まずは張譲のところに行って于吉の影が無いか調べてみるのも1つの手だろう。
「ついに動き出すか…」
ついに黒幕との戦いが始まる。それと同時にこの洛陽で大きな大事件が起こるのであった。
一方その頃。
「何進様が?」
「ええ、取り乱してしまって、もう大変だったわ」
「何進様は近頃、どこか様子がおかしいわよね?」
「お焦りなのでしょう。黄巾の乱が収束しても大陸の混沌は深まるばかり…」
皇甫嵩は何進の様子がここ最近おかしいと同僚の董卓と盧植に伝える。
何進の様子がおかしくなり始めたのは十常侍との間柄がより一層悪くなってきたからだ。少しでも何かがあれば十常侍に命を狙われていると言う始末らしい。
「そうね。諸侯は互いの領地を狙って、私闘に明け暮れている。私たちの調停にも耳を貸してくれないし」
「せっかく乱を治めたのに、漢の威信の低下は止まらない。どうにかしなければ…こんな折に何進殿があの様子ではね」
「でも十常侍が不当な動きをしているのは事実よね?」
何進も十常侍もおかしな動きをし始めているのは董卓達も気づいている。
「黄巾討伐の指揮ぶりは、お世辞にも褒められたものではなかったからね。私の働きの悪さを棚に上げる気はないけれど」
「いえ、楼杏さんは十分にご活躍されたと思います」
「ありがとう。そう言ってくれるのは月さんだけよ」
「しかし、趙忠は本気で何かを企んでいるのかしら?」
十常侍でも趙忠の動きが変わったのだ。あからさま、というわけではないが何かを企んでいるというのは分かる。
それが何かはだいたい予想できてしまう。何進と十常侍の関係を見てしまうとだ。
「ん~、先行きが心配ね」
「あの…楼杏さんは、もうすぐ出陣ですよね?」
「ええ、涼州討伐よ。今回は長くかかりそうだわ。私の留守中に都で何事も起きなければいいのだけれど…月さん、風鈴、天子様も頼んだわよ」
「ええ」
「は、はい」
皇甫嵩は新たな任務で洛陽から離れる。黄巾の乱が終わったと言っても次から次へと新たな問題は出てくるもの。
だけど、彼女がこの時期に洛陽から離れるのはある意味良かったかもしれない。
これから起きる大事件には関わらせない。
「涼州では、素敵な出会いが待ってるといいね」
「お、大きなお世話よ。いい加減、身を固めたいのは事実だけど戦、戦の毎日では難しい話ね」
「ふふふ」
「でも…ここでも良い人はいそうなのよね」
「あら、そうなの?」
「ほら、月さんのところで客将をやっている」
「立香さんたちのことですか?」
「あー、あの子たちね」
実は皇甫嵩も慮植も藤丸立香たちと面識はある。
深くは関わっていないのに深く印象に残っているのだ。
「あの子はなかなか良い子だったわね。他にも良い人もいたし…特に孔明って人は良いわね」
「私はあの子を見ていると昔の教え子を思い出すわ」
いつの間に彼女たちと接触したのだろうかと思う董卓だが、彼らは何だかんだでこの洛陽でも重要人物たちに接触していることを思い出す。
何太后に霊帝、劉協といった大物たち。彼らと言うよりも藤丸立香がいつも中心にいる。
人との縁の繋がりが多い男である。
「それじゃあ、私は出陣の支度があるから…」
「ええ、おやすみなさい」
「おやすみなさいませ」
部屋から出ていく皇甫嵩。
「…ねえ、月ちゃん。さっきの話だけど、十常侍の動きについてあなたは何か掴んでいる?」
「実はそのことで、大事なお話があります」
話を切り替えて盧植には大事な話をしなければならない。
更に宮中の別の場所では。
「はー…それにしても姉さまはもう駄目ですね。妾もほとほと愛想が尽きましたわ」
「では、私の話を考えてくださったのですね?」
「ええ、黄巾の乱での失態に、将軍たちの心も姉さまから離れています。その上、貴女たち十常侍まで敵に回そうとするなんて…」
いずれは謀反を起こされてしまうのは目に見えてしまう。
何太后の目から見ても最近の何進の様子がおかしいと思うのは明らかである。とても怯えているように見えるのだ。彼女はそういう風に見える。
「はい、何進殿が大将軍では漢王朝は持ちません。主上様の御為にも今、手を打っておかなければなりません」
「次の大将軍には誰を考えているのですか?」
「能力、人望から考えても皇甫嵩殿が適任かと」
「ふふっ、左様なことをおしゃいますが皇甫嵩殿は涼州へ出陣し、しばらく都を空けるのでしょう。その間に姉さまを排除し、貴女たち十常侍が権力を掌握した上で帰還した皇甫嵩殿には名ばかりの大将軍を命じるつもりかしら?」
「すべては主上様の御為です。愚かな武官どもがちからを握っている限り、この先も漢の国は乱れ続けるでしょう」
趙忠の行動は全て天子様である霊帝のため。
他の仲間である十常侍も関係ない。何もかも霊帝が最優先なのだ。
「ふふ、しょせん将軍は皆、戦したがりですものね。それで、妾にどうしろと仰るのです?」
「はい、近々、我ら十常侍は改めて黄巾討伐の功績をたたえ、何進殿をねぎらうための祝宴を催します。何太后様はその宴に何進殿を出席するよう何卒ご説得を」
「それはどうでしょうね。姉様は十常侍に命を狙われていると思っていますのよ?」
最近の何進は十常侍を恐れているようなのだ。そんな十常侍が催す宴にホイホイと来るとは思えない。
「この宴はまさにその誤解を解くためのものだと…十常侍には何進殿と敵対する意思はないと、くれぐれも妹君から何進殿を説き伏せてください」
何進を宴に参加させるために趙忠は何太后に近づいたのだ。彼女と手を取って、何進を宴に呼ばなければ意味は無い。
これで何進が宴に来なければ今まで準備してきた策が全て水の泡になる。
「まあ、出来る限りの説得はしてみましょう。それで宴の席で姉様を捕らえるのですね?」
「はい、そして天子様の勅をもって、大将軍の任を解きます。この洛陽からは追放ということにいたしましょう」
「その言葉に偽りはないでしょうね。姉様に怪我を負わせたり、命を奪ったりするようなことは…」
「ありえません。宮中での流血沙汰など、私も見たくありませんから」
何太后は自分の姉を殺そうなんて思っていない。趙忠の策には乗るが何進の命は奪わせない。
「ふふっ…貴女を信じておきましょうか」
何太后は趙忠を「信じる」と言った。その言葉がどれだけ重いか軽いかは彼女の心情でしか分からない。
読んでくれてありがとうございます。
次回もまたゆっくりとお待ちください。次回は早ければ来週。でなければ再来週予定。
でも来週か再来週はSINが配信かもしれないので…どうなるか。
SINの内容や新鯖によってはこの物語も変更や追加キャラもあるかも。
そうなるとまた…頑張ろう。
今回は最後に何進との話でした。それと本編へと繋がる話でした。
盧植や皇甫嵩の関わる話はまたいずれ書いていきたいです。
次回でやっと本編に戻ります。