Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
大宇宙冒険野郎が終わり、4月1日ではエイプリルイベントがありましたね。
私はエイプリルイベントが出来なかったので残念です。

しかし!!
次の新イベント「水怪クライシス」が楽しみです。
なかよしセイバーは一体誰なのか。配布サーヴァントは誰なのか。
特攻サーヴァントでモルガンがいたのでストーリーで活躍するのか。
気になる事が多すぎます!!

特攻サーヴァントは女王様系が多いですね。


さて、本編をどうぞ。



陳留での日常7-酒飲んで決めろ-

693

 

 

前回までのあらすじ。

ぐっちゃんパイセンが旦那を寝取られたと思って怒りのあまり爆散しようとした。

 

「ぐっちゃんパイセンどうどう」

「虞美人さん落ち着いて」

 

藤丸立香と玄奘三蔵が虞美人を何とか爆散を留める。

 

「どけ後輩。私は冷静だ・か・ら」

「導火線が既に着火している爆弾は穏やかじゃないよ」

 

血管が浮き出ているのが今にでも爆発しそうな傾向に見えてしまう。

魔力も徐々に高まってきている。このまま爆発してしまえば城が半壊し、呪いの崩城になりそうだ。

 

「もの凄い気が城中に漂ってきてるから何事かと思えば…修羅場?」

「わあ、凄い気」

「春蘭様が項羽さんと戦った時に放った技よりも大きくて禍々しいんですけど!?」

 

物凄い気というよりも殺気が城を充満しているので誰しもが気付く。曹操は徐晃と許緒を連れて赴いたのである。

 

「修羅場です華琳様」

「燈と喜雨も居たのね。修羅場?」

「はい。真桜さんが虞美人さんから項羽殿を寝取りました」

「真桜もやるわね」

 

カッと曹操に電流走る。本当であれば李典を尊敬する。

 

「で。実際は?」

「ただの誤解です。虞美人さんが真桜さんと項羽殿が仲良く会話をしていた姿を勘違いしたらしくて」

 

特に項羽へ抱き着いていたのが一番の理由だ。

 

「更に真桜さんが女の顔をしていたらしくて」

「意外ね」

 

女の顔(絡繰りの真髄に興奮)。

 

「でもそれだけで虞美人がここまでなるとは」

「愛とは怖いものね」

「愛?」

「愛って怖いものなの?」

「シャン、季衣。愛とは様々な形があるのよ」

 

愛の形は人それぞれ。

 

「でもこのままだと穏やかじゃないわね」

 

一番の解決方は旦那である項羽に止めてもらう事だ。

声をかける為に近づこうとすると虞美人に睨まれる。

 

「貴様も項羽様を寝取ろうとするかぁ!!」

 

曹操は下がる。

 

「近づけないわ」

 

虞美人の怒気は想像以上に強く、曹操ですら慄かせた。

男女のイザコザというものはどんな立場の人間であっても近づけないものである。

 

「よく真桜はあの怒りを受けても平然としてられるわね」

 

絡繰りの真髄に近づけるのであれば平気だという事かもしれない。

探求心が恐怖を打ち消しているのである。

 

「華琳さま。ぼくが項羽さんに言ってきますよ」

「シャンも」

 

成人である2人だが幼く見えるため虞美人のセンサーには引っかからないようだ。

トタトタと2人は項羽に近づいて話す。そして戻ってくる。

 

「えーっと。もう少しだけ虞美人さんの怒っている姿を見たいから現状維持だそうです」

「は?」

「虞が私の為に怒っている姿が愛いと言ってたよー」

「は?」

「これが修羅場というものか…って初めての状況を分析したいとの事でした」

「は?」

 

またも宇宙猫になる曹操。

本当に最近は己の理解が追い付かなくなる。

 

「……項羽って意外に恋人に甘いというか、虞美人の事になるとちょっと残念になるのかしら?」

 

曹操の言った事に関して否定は出来ない。

カルデアに召喚されてから項羽は様々な発見や体験をして珍しい反応をしており、その中でも特に珍しいもとい、彼にしてはまさかの行動をした事を燕青は知っている。

ある夏の時期(カルデア・サマーアドベンチャー)にて項羽は虞美人と宝探しをしたのである。それだけならば楽しいひと時に思えるが内容がなかなか面白い。

項羽自身が宝となり、地面の中に埋まって虞美人に発見してもらうという行動を起こしたのだ。燕青から内容を聞いた時は「マジか」とポツリと溢したほどである。

この内容を曹操が聞いたらまた宇宙猫状態になるかもしれない。

 

「あの怒気を前にして平気そうな真桜は凄いけど藤丸たちもよく平気ね」

「何か手慣れてますし藤丸さんに任せた方がいいんじゃないですかね?」

 

許緒の言葉に頷き、曹操は藤丸立香に近づく。

 

「藤丸。この騒動を治めておきなさい」

「出来れば手伝って欲しいんですけど」

 

項羽に関わった時の虞美人はとても強い(厄介)なのだ。

最悪の場合は項羽に止めてもらうという最終手段はあるが今の彼は天然発動中なので止められない。

 

「ほんまに一晩、旦那さん貸してくれへん?」

「まだ言うか!!」

 

真桜もこの状況でよく言うものだ。これでわざとじゃないというから不思議である。

それほどまでに彼女は項羽の身体(絡繰り)に興奮しているのだ。

 

「なら勝負しようや奥さん」

「あ?」

「ウチが勝負で勝ったら一晩旦那を貸して。ウチが負けたらそうやなぁ…この夏侯惇人形を」

 

スパーンと夏侯惇人形の首が切断された。

 

「あああああああああああ!?」

 

この場には居ない夏侯惇は首筋に悪寒を感じたそうだ。

 

「なんてことするねん!!」

「貴様がふざけた事を言ったからだ」

「本気やったんやけど!!」

 

夏侯惇人形は真桜が大事にする宝物の1つだ。絡繰りの知識を組み込んで作成したからである。しかし虞美人にとってはただのガラクタにすぎない。

 

「虞よ」

「項羽様!!」

「虞が勝てば何でも言う事を聞こう。私が」

「項羽様が私の言う事を何でも聞いてくださる!?」

 

頬を赤くさせる虞美人。色々と妄想が捗っているようだ。

 

「ああ、でも私が項羽様に命令するなんてそんな恐れ多い事を……」

 

一瞬だけ考える虞美人。

 

「勝負するわ。泥棒猫」

「よっしゃ」

「私は必ず勝つ。だって私は項羽様の妻だから!!」

 

何故か虞美人と李典の勝負が始まる。

 

「項羽もしかしてこの状況を楽しんでる?」

「虞のはしゃぎようが愛いのだ指導者よ」

「本当にお熱いことで」

 

絶対零度ですら溶かしてしまいそうな熱々カップルだ。

 

「でもどんな勝負で決めるのぐっちゃんパイセン?」

「いつも通りぶん殴って決めるわ」

 

前にも戦って決めた事があった。彼女だけでなく、基本的に問題は戦って決めることが多いが気にしないでおく。

 

「グチャっとしてやるわ」

「その擬音やめよう」

 

相手ではなく、虞美人がグチャっとなる可能性もある。主に宝具解放で。

 

「じゃあ、アンタが勝負内容決めなさい」

「オレが?」

「そうよ。私に有利な勝負にしなさい」

「贔屓しろと」

 

贔屓云々は置いておいて、あまり荒事にならない勝負方法を考える。

 

「飲み比べ」

「酒を飲めと…ま、良いんじゃない?」

「ウチもそれでいいで。昼間っから酒が飲めるなんて良いやん」

 

2人とも飲み比べ勝負で了承。

 

「速攻決めるわよ。後輩アレ用意しなさい」

「え。アレを?」

「そ。アレ」

「素材が…いや、分かったよ」

これより虞美人と李典の飲み比べ勝負が始まる。

 

 

694

 

 

城の庭にて飲み比べ勝負の準備が完了。

勝負内容はその名の通り酒の飲み比べ勝負だ。時間内に多く飲んだ方が勝利。またどちらかが酔い潰れた時点で勝負は終了となる。

優勝者には項羽に好きな事を何でもいう事を聞いてもらう権が授与される。2人もやる気がメラメラと燃えているようだ。

 

「準備出来たから席に座ってー」

 

律儀に席に座る虞美人と李典。そして荊軻と燕青と霞。

 

「なんで3人までいるのさ」

「「「酒が飲めると聞いて」」」

「そうだけど今回はそういうんじゃない」

 

酒がある所に吞兵衛は集まるという事かもしれない。

 

「この勝負の趣旨分かってるの3人とも」

「酒飲んで主を好きに出来るんだろう?」

「違うよ荊軻」

 

もう最初から内容にズレが起きている。

 

「ともかく酒が飲めるのだろう?」

 

キラーンと決め顔の荊軻たち3人。

 

「くっ。まさか項羽様を狙う泥棒猫が3匹も追加されるとは!!」

「ぐっちゃんパイセン。この3人はただの吞兵衛だから」

 

項羽を好き勝手するのが目的ではなく酒が飲みたいが為に飲み比べに参加したいだけの3人だ。

 

「3人はただ飲ませておけばいいか。ぐっちゃんパイセンと李典はそのまま勝負を始めよう。先生お願いします!!」

「おう」

 

李書文(殺)は大きな酒壺を持ってきてドンっと机に置く。

 

「これを2人に飲ませていけばいいのだな」

「お願いします」

 

酒をコップに注いで2人に出す。

 

「おーい。オレらにも注いでくれや」

「なんか大層な酒壺やな」

「おお、アレは!!」

「知っているのか荊軻!!」

「アレは奇奇神酒だ!!」

「主も太っ腹だねぇ」

 

荊軻と燕青が喜色の笑みを浮かべる。

奇奇神酒。

大いなる神に捧げるために永い時を費やして造られた酒。この貴重な酒は人ならざる怪物や魔獣をも陶酔させると言う。

 

「聞いた事ない酒ね」

「あれ、曹操さんいつの間に」

「部下である真桜が虞美人と勝負するって言うから主として見ておかないとね」

 

単純に面白そうという事で見学したいという事だ。他にも「何だ何だ?」と集まってくる。

 

「面白い事をしているじゃないか弟子よ」

「師匠も見学?」

「面白そうな事を私が無視するはずがないじゃないか」

 

ニコニコと笑いながら用意した見学席に座る。

 

「あの3人が飲むんだ。私も飲みたい」

「飲み比べ勝負が試飲会になっていく」

「ねえ。そのきき…」

「奇奇神酒」

「それ。もしかして天の国のお酒かしら?」

 

曹操が興味深く奇奇神酒を見る。雰囲気で「私も飲みたい」と察する事が出来た。

 

「曹操さんも飲みます?」

「察しが良い者は嫌いではないわ」

 

ペロリとわざと舌を出す。

 

「天のお酒ですか~」

「正直なところ飲んでみたいですね」

「わあ。もっと集まってきた」

 

本当に試飲会になり始めた。

 

「試飲会は勝手にやってもらって、勝負を始めてもらおう」

 

早く勝負を始めないと虞美人が爆散しそうだ。

 

「じゃあ勝負をこれから始めるから酒を」

 

5人は酒を注いだコップを手に持つ。

 

「飲み比べ勝負始め!!」

 

手を掲げた瞬間に5人は口に酒を含んだ。

 

「「うっま!!」」

 

李典と霞が開口一番に絶賛した。

 

「「でもつっよ!?」」

 

次に酒精の強さに驚いた。

 

「こんな酒初めて飲んだわ。美味すぎる。強いけど」

「まさに神の酒ってやつやな。強いけど」

 

神様に飲んでもらう酒として造られたものだ。誰も想像できない程の美味である。

酒精は強すぎるのが難点であるが仕方ない。何故なら神様や怪物ですら酔わせるのだから。

 

「確かにこれは長期戦にはならへんな。でもウチは負けん。絶対に項羽はんの身体を隅々まで調べるんや!!」

「そんなこと絶対にさせん。項羽様のお体は私のものよ!!」

 

虞美人は奇奇神酒を一気に飲んでいく。

 

「おお。虞があのような事を言うとは…これが照れという感情か」

(嬉しそうな項羽)

 

本当に虞美人と項羽がカルデアで幸せなひと時を過ごしてもらいたいものだ。

 

「くう~。美味いねえ」

「おかわり!!」

「ホンマに美味すぎるんやけど。こりゃ後悔しないようにたくさん飲んどこ」

 

虞美人と李典の勝負に関係無い荊軻たちは純粋に奇奇神酒の味を楽しんでいた。

 

「これは…凄いわね。こんな酒は初めてよ。いえ、今まで飲んできた酒の中で1番ね」

 

奇奇神酒の試飲会も好評である。

曹操は美食家でもあり、そんじょそこらの酒では彼女の舌を唸らせる事はできない。しかし奇奇神酒は曹操に何1つ文句を言わせない程の美味であったのだ。

この酒をどうにか製造できないかと考えるまでに至る。ポツリと「この酒はどうやって造られたのかしら?」等とブツブツと言いながら考える。

 

「ははは。この酒を再現しようとしているのかい?」

「こんな酒を出されたら誰でも再現しようと考えるわよ…って、早いわね司馬懿」

 

司馬懿(ライネス)はクピクピと奇奇神酒を飲んでいく。

 

「貴女って酒に強かったのね」

「それなりには強いくらいだよ」

「この酒精の強さでそれなりは相当だと思うわよ」

「もう結構キテるけどね」

「ほんとに顔が赤くなってきてるじゃない。まあ、この酒精の強さじゃしょうがないわよね」

 

酒精の強さはピカイチだ。しかし味は最高である。

 

「本当にこの酒の製造方法が知りたいわね。ねえ藤丸」

「知らないよ」

「まだ何も言ってないわよ。でも知らないのね。残念」

「頑張って造ってください」

 

本当に製造した曹操は天才である。

 

「それにしても試飲会が成功している」

 

彼女の舌を唸らせた奇奇神酒だ。酒が苦手な人でなければ絶賛しているのも当然である。

 

「美味しいですけど強い~」

「風は飲みすぎに注意ですよ。そして何で回っているんですか。より酔うからやめなさい」

 

何故かくるくると回る程昱を抑える郭嘉。

 

「美味しい。シャンもっと飲む」

「うう…ぼくには強すぎる」

「季衣、無理して飲まない方がいいよ」

「流琉は平気なの?」

「わたしもちょっとキツイかな。美味しいんだけど」

 

身長が小さい徐晃たちが酒を飲んでいる姿を見ると駄目な気がしてくるが彼女たちは成人しているので問題はない。

国によってルールは違うかもしれないが、その1つとしてお酒は二十歳になってからだ。

 

「典韋殿。美味しくても飲み過ぎはよくないですよ。明日に響かない程度にしましょう」

「は、はい蘭陵王さん」

 

頬を赤くする典韋。酒のせいかどうかは分からない。

 

「それにしても虞美人さんと真桜さん凄いですね。この酒精の強さなのにどんどん飲んでます」

「2人とも明日が心配です。きっと二日酔いが酷いですよ」

 

二日酔いは恐ろしいものだ。もはや己の体内に地獄が生まれたような状況。

酒が飲める者にしか分からない辛さであり、二日酔いは歴戦の英雄ですら膝をつかせる。飲み過ぎで酷く後悔してもまた懲りずに酒を飲むのは好きだからだ。酒が好きなのは止められない。

 

「大丈夫だー!!」

「け、荊軻殿?」

 

急に荊軻が手を上げる。

 

「二日酔いの時は迎え酒だー!!」

「それ駄目な奴ですよ荊軻殿!?」

 

既にデキあがっている荊軻であった。

 

「美味い美味い。いくらでも飲めるぞー!!」

「ホンマやー!!」

「デキあがってきたねえアンタも。荊軻の姐さんは既にデキあがってるけど」

 

荊軻と霞が二日酔いなんて恐れずにカパカパと飲んでいく。恐らく明日は酷い事になるのは確実だ。

ケラケラと笑っている燕青も何だかんだでゴクゴクと飲んでいる。

 

「頑張って勝って主を好きにしてやるぞー!!」

「ウチが勝ったら何を命令しよっかなー。おもろい事してもらおっかなー」

「膝枕でもしてもらおうかなー。前は私がやってあげたしー!!」

 

酒を飲みながらキャイキャイと盛り上がる。その盛り上がりの横で仁義なき飲み比べ勝負が続いている。

 

「まだまだぁ!!」

「おかわりや!!」

「ほれ」

 

李書文(殺)はおかわりの酒を虞美人と李典に出す。おかわりの酒を一瞬で飲み干す。

 

「「次ぃ!!」」

「ほれ」

 

どんどんと飲み干していく2人。

 

「さっさと負けを認めなさい!!」

「嫌や。項羽はんの身体を隅々まで調べるんや!!」

「この雌狐がぁ!!」

 

もはや飲むというよりは口に酒という液体を放水しているが如く。

 

「ウチは負けん。項羽はんは凄いんやから!!」

「項羽様が凄いのは当然でしょうが!!」

「下半身の騎馬形態。立派な上半身から伸びる力強い4本の腕。凛々しく厳つい顔。どれも最高や!!」

「当然よ。雌狐のくせに分かってるじゃない!!」

「項羽はんこそ唯一の存在!!」

「そうよ。項羽様こそ至高の存在!!」

「あれ…ちょっと仲良くなってる?」

 

妙な一体感が生まれた2人。

 

「ああ…項羽はんに全ての絡繰りの真髄が込められていると思うと脳汁が滲み出るわ」

 

実際に脳汁が出ているのかもしれない。

 

「時間はもう少し…これ決着つくかな?」

 

2人とも飲みペースは落ちない。

 

「引分けになった場合はどうしよう」

 

決着が着かなかった場合を考えていると藤丸立香の横からにゅうっと手が伸びてくる。

 

「弟ー子」

「わ、師匠?」

 

グイっと引っ張ってきたのは司馬懿(ライネス)であった。

 

「ふっふ~」

「飲み過ぎですよ師匠」

 

もう酔っているようでフラフラしていた。

酔いが回って高揚しているのかお触りが多くなってきた。頬をプニプニしてきたり、お腹をぐりぐりしてきた。

 

「まあ、こういう時だから聞きたい事があるんだよ」

「何ですか?」

「君にとっての一番の師匠は誰かをね?」

「ンンッ!?」

 

芦屋道満の口癖が出てしまった。

 

「ソレあたしも知りたーい!!」

 

玄奘三蔵も参戦。

 

「ここ最近のマスターは師匠多い問題がどんどんと大きくなっているのよ!!」

「そ、そんな事を言われても…」

「貴方はあたしの弟子でもあるんだから浮気は御仏的に駄目よ」

「いや、浮気なんてしてないんだけど三蔵ちゃん」

「してるだろうこの師匠誑しめ」

「師匠誑しって…」

 

藤丸立香にはカルデアに師匠がたくさんいる。師匠と言わずとも先生と呼ぶ英霊も多い。

誑し込んでいるわけではないが気が付けば弟子が様々な達人や偉人に弟子入りしていたら1人の師匠として面白くはない。

正確には別の者に弟子を取られるのが気に食わないというものだ。

 

「今の立香はあたしの一番弟子なんだからね」

「おや、それは違うぞ三蔵殿。彼は私の一番弟子だよ」

 

何故か両腕を引っ張られる藤丸立香。これもある意味、両手に花状態である。

 

「って、言い合っている場合じゃなかった。こういう時は弟子に聞くのが一番だ」

「そうね。誰が一番の師匠か決めてもらいましょうか」

「ンン~~!?」

 

決めづらい質問が繰り出されてしまった。

 

「先生と呼んでいる者は外そうか。君が師匠と呼んでいる者から選んでくれ」

 

藤丸立香の師匠。

師匠は誰かと思えば何人も出てくる。メディアやスカサハ、玄奘三蔵、司馬懿(ライネス)、鬼一法眼等々。

先生呼びも出て来れば諸葛孔明や李書文たちもだ。李書文に関してはたまに師匠と呼ぶ時もあるが先生呼びが多い。

 

「さあ、誰かな。まあ君が誰を選ぶかは分かりきっているけれどね」

「あたしよね!!」

「ンン~~~~!?」

 

悩みに悩む。しかし藤丸立香が異性で一番好きな人を答える質問よりかは楽である事は違いない。

 

「あらあら。こっちもある意味修羅場ね」

「みたいね。司馬懿も三蔵も藤丸じゃなくて私を取り合ってくれないかしら?」

 

陳珪と曹操が奇奇神酒を飲みながら新たな修羅場を肴にしていた。

 

「母さんも華琳様も止めないの?」

「止めないわよ。見ていて面白いからね。喜雨もそう思わない?」

「華琳様は良い性格してるよほんと」

 

飲み比べ勝負と試飲会も気が付けば宴会へと変わっていく。

庭でガヤガヤと騒いでいれば何かと思って人が集まるのは当然の事。そして珍しいお酒があれば飲んでみたいと思うのも当然の事だ。

次々と奇奇神酒が注がれて、飲まれていく。気が付けば来ていた夏侯惇はグビグビと飲んでいた。

 

「で、誰が一番の師匠なんだね?」

「オレにとって一番の師匠…それは」

 

「「だーーーーーーーーー!!」」

 

空のコップを机に叩きつける。

 

「「おかわり!!」」

「もう空だな。追加の奇奇神酒を頼むマスター」

「あ、はーい」

 

追加の奇奇神酒をそそくさと持って行く藤丸立香。

 

「「あ、逃げるなっ!!」」

 

一旦逃げるのであった。

 

「2人で一壺飲み干したな」

「これ決着つかないかな?」

「いや。そうでもないぞ」

「そうなの老師?」

「おう。もう限界だろう」

 

限界なのは李典の方だ。

よく見るとぷるぷると震えている李典。彼女の双巨峰もぷるぷる震えている。

 

「あー…アレはもう確かに限界だ」

「これ以上飲んだら流石にマズイだろう。終了だな」

 

李書文(殺)は李典がコップを取る前に掠め取る。

 

「あー何すんねん!?」

「これ以上は飲むな。もう限界だろう」

 

実際に李典はもう飲めない。

身体が酒を受け付けないのだ。しかし絡繰りの真髄を求める欲求だけが身体を無理やり動かす。

 

「まだや」

「なに?」

「まだや。ウチは負けれんのや」

 

李典は李書文(殺)から酒の入ったコップを奪い返す。彼女の眼は覚悟の炎を燃やしていた。

自分がどうなろうが絡繰りの真髄に近づけるのならば構わない。まさに戦場へと臨む姿だ。

 

「ウチはこの勝負に勝って項羽はんの身体を隅々までイジくるんやーーー!!」

「誤解を招く言い方っ!!」

 

絡繰りへの真髄を求める欲求は身体の限界を超えてみせる。

 

「飲んだでー!!」

「うむ。あっぱれ」

「どうやーーー!!」

「だがその間に虞美人は10杯は飲んでおるぞ」

「ごぱぁっ!?」

 

李典は机に突っ伏した。

 

「私の勝ちだぁぁぁ!!」

 

虞美人はガッツポーズを決めた。

飲み比べ勝負の勝者は虞美人であった。

 

 

695

 

 

顔を真っ赤にした虞美人は勝利に震えていた。酒の飲み過ぎで震えているのもある。

これで項羽に何でも命令できる権を手に入れた。恐れ多くも何を命令しようかと妄想してしまう。

 

「虞よ」

「はうっ。こ、項羽様」

 

乙女顔の虞美人。顔が赤いのは酒のせい。

 

「見事な飲みであった」

「ああ…そんなこと」

「虞よ。私に何でも命令するとよい」

「ああっ。項羽様に何でも命令してもよいなんて」

 

くねくねと恥ずかしそうにしていた。

彼女は勝者であり、項羽が何でも命令してよいと言っているのだ。勝者の特権と言うものである。

 

「虞よ」

 

項羽は虞美人を抱き抱える。

 

「ひゃ、ひゃいっ。項羽様!?」

 

より乙女顔になる虞美人。

 

「どうやら飲みすぎのようだ。今は休憩する事を推奨する。その後、私に何でも命令するといい虞よ」

 

ハートがたくさん飛び出ていた虞美人。ここで項羽はシグルドと会話した記憶を思い出す。

 

「虞よ。我が愛」

「ひゃいわぁっ!?」

 

ボンっと顔から恋する乙女の湯気が出た。

 

「本当にお熱い2人だ」

「そうだのう」

 

いつの間にか現れた始皇帝。

藤丸立香と始皇帝は2人のやり取りを見ていて笑みを浮かべた。

後輩として2人にはもっと幸せになってほしいものだ。

 

「あーっ!!」

「む?」

「始皇帝めー。コロコロしてやるー!!」

「うわぁ」

 

へべれけ荊軻が始皇帝をロックオン。

 

「待て待てー!!」

「ははは。こっちだぞう~」

 

荊軻はガチ。始皇帝は戯れ。

 

「大丈夫だよな…」

 

何はともあれ虞美人と李典の修羅場は治まった。端っこの方で荊軻と始皇帝の修羅場(暗殺)が起きるかもしれないが大丈夫だろうと勝手に信じ込む。

 

「でもこれからみんなを介抱しないとなあ」

 

奇奇神酒の酒精は強い。美味しくてカパカパ飲んでいるとすぐに酔いが回ってしまうものだ。

既にフラフラの足取りの者や呂律が回っていない者もいる。

藤丸立香はまだ無事な者たちを集めて酔いどれたちを介抱するのであった。誰もが予想した通り、奇奇神酒を飲み過ぎた者たちは明日で地獄を体験した。

 

「時に弟子よ」

「何ですか師匠?」

「結局、君にとって誰が一番の師匠なんだい?」

 

司馬懿(ライネス)はニヤニヤしながら聞き出す。酔っていても可愛くてイジりがいのある弟子を困らせるのは止めない。

藤丸立香は何とか有耶無耶にした思っていたが彼女がそれを許さない。

 

「さあ、誰かな~?」

 

小悪魔尻尾と小悪魔スマイル。

アタフタする弟子を見て楽しもうとするがまさかの返しが来る。予想しなかった解答に司馬懿は固まった。

 

「師匠ですよ」

「え?」

「オレにとって一番の師匠は師匠です。司馬懿さん…じゃなくてライネス師匠です」

「え。あ…そ、そっか」

 

こういう時は何だかんだで有耶無耶になったり、はぐらかされる事が多いのだ。もしくは誰かの邪魔が入ったりと。しかし今回は真っすぐと答えてくれた。

小悪魔尻尾がくねくねと動いている。そして彼女の顔が赤いのはお酒のせいだけではない。

 

「師匠?」

「そ、そうかそうか。私が一番か~」

 

何処か恥ずかしそうで照れてるように口が歪んでいた。それから数日、司馬懿(ライネス)は上機嫌であったという。




読んでくださってありがとうございました。
次回の更新は2週間くらいを予定しております。


693~694
ぐっちゃんパイセンと真桜と項羽。勘違いからの修羅場。
華琳も流石に近づけない。というか男女のイザコザは遠慮したいというのは当然です。

項羽様。
ぐっちゃんパイセンが絡むとちょっとポンコツ?になる。
サマーアドベンチャーのは笑っちゃいました。意外すぎる!!

飲み比べ勝負開始。
出されたお酒は「奇奇神酒」。
大丈夫。人間が飲んでも大丈夫。だって現代にはスピリタスというお酒があるのだから(アルコール度数96)

こんなお酒が出たら吞兵衛たちが黙っていられるわけがない。
ぐっちゃんパイセンと真桜との飲み比べ勝負の横で勝手に飲み会が始まる。
そして華琳も無視できない。試飲会も開始。

司馬懿(ライネス)ってお酒がけっこう飲めるものだと思ってクピクピ飲んでいる事にしました。
アニメでワインを早いペースで飲んでましたからね。
まあ、ワインと奇奇神酒は全然違うと思いますけど。

お酒は美味しいけど二日酔いは怖い。
ほんとアレって地獄です。

酒を飲んでれば少しは仲良くなれる?
まあ、ぐっちゃんパイセンも旦那の良い所を褒められるのは怒る事ではないですからね。


695
真桜ちゃん頑張ったけどぐっちゃんパイセンの勝利です。

ぐっちゃんパイセンも項羽の前では恋する乙女です。
もっともっと公式で2人のラブラブっぷりと出して欲しい。無糖のコーヒー飲みながら物語を楽しみたいです!!

藤丸立香にとって1番の師匠は誰か。
師匠、先生と呼ぶ英霊は多すぎます。おそらくこれからも増える可能性がありますよね。

こればっかりは皆さんが思う師匠が挙げられるので様々ですね。

完全に個人的です。
この物語では司馬懿(ライネス)にしました。
まあ、これも藤丸立香×司馬懿(ライネス)。ぐだライって奴ですかね。

三蔵ちゃんゴメン。でも立香と三蔵ちゃんの話も書く予定です。


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