Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
早速連続投稿です。今回はエピローグみたいなもんです…と次回へ続く話かな。
これでこの物語の1章が終了しました。
91
張譲との戦いの後はやはりバタバタと忙しかった。董卓達が。
なんせ、この朝廷には張譲ほどでは無いがまだまだ魑魅魍魎達が居るのだから。だが張譲が消えた今、残った魑魅魍魎達は牙を抜かれた獣のようなもの。
何進も張譲も居ない宮廷はがら空きだ。そこに董卓が入る形になっている。そしてこれからなるであろう彼女の役職ならば不正や賄賂などあくどいことをしていた者たちを罰せられる。
もうすぐ洛陽の宮廷で大粛清が始まる。
そんな中で藤丸立香達はというと、貂蝉達とこれからの事で打ち合わせをしていた。
「于吉だが去り際にこう言っていた。次は呉の地で策を用意していると」
「呉?…孫権とかの?」
「そうよ立香ちゃん」
朝廷で逃した于吉はどうやら呉に向かったということ。
しかもご丁寧に策を用意しているなんて罠そのものではないか。だけど呉に行かねばならない。
行かねば問題を解決できないのだから。
「罠だな」
「罠ねん」
「でも行かないといけないなら行くよ」
藤丸立香の言葉に皆が頷く。
次の目的地は三国志の代表の1つである呉。今はまだ大きな国ではない。これから大きく成っていく国。
呉でもきっと多くの縁によって多くの人物達に出会うだろう。
「じゃあ…名残惜しいけど月達ともお別れか」
「そうだねぇ。ま、しょうがないだろ…いずれはこの洛陽からは離れるんだ」
燕青の言う通りだ。この別れは決まっていたこと。
(まあ、この洛陽もそろそろ血生臭くなる…それなら早めに出立した方が良いだろうな)
この外史では献帝の時代に成ってくるというのならば董卓の時代という事だ。
これは董卓が洛陽で実権を握る前の出来事になるだろう。史実ではこれから董卓が暴政を起こすことになるが彼女が本当に暴政を起こすとは思えない。
だがどうなるかなんて未来の事は分からないものだ。史実は史実で、此処は外史。もしかしたら史実とは別の道を辿るかもしれないのだ。
92
出立の時。
「もう行ってしまわれるのですね…」
月の顔は残念というのを表している。せっかく真名を預け、信頼しあった仲に成ったのにもう洛陽から離れてしまうなんて本当に残念だ。
彼女としてはできれば彼等には残って欲しいというのが本心だ。だが彼らにも目的が有る。それを自分の我儘で邪魔なんてできないのが月である。
「またこの洛陽に来られたら顔を見せ来てくださいね。立香さんたちならいつでも大歓迎ですから」
「うん。その時はよろしくね月」
しっかりとお互いに握手をするのであった。
「また来たら本格的にウチの軍に入ってよね。そうすれば月も喜ぶしさ」
「また来てなー!!」
「お前たちならば歓迎しよう」
「恋待ってる」
「恋殿を悲しませたら、ちんきゅーきっくですぞ!!」
月達に見送りをされながらカルデア御一行は呉へと出立するのであった。
93
最初の策は成功した。悪龍となった張譲は負けたがこれは失敗ではない。なんせ今回の策は倒すということを目的としていない。
それは貂蝉たちを倒すことが出来たら良かったくらいしか思っていない。本当の目的はカルデアの戦力が知りたかっただけだ。
そのために張譲を利用したのだから。そしてどれほどの戦力か知れた。
やはり英霊達は驚異的な力の持ち主だ。悪龍となった張譲を倒したのだから普通に戦っても勝てない。ならばより驚異的な策を考えるまでだ。
倒せないことはやはり絶対にないのだから。
策は考えればいい。純粋に力が足りないのだ。その力を用意しなければならないだろう。
「あの地で彼女達を利用しますかね。特に彼女はこの外史でも異常な程の力の持ち主ですし」
この外史にいる力を持つ者たちとは一線を越える存在はいる。まるで生まれる世界を間違えたのではないかというほどの人物たち。
例えば洛陽に居た呂布。彼女こそが異常な力を持つ最たる例の1人だ。なんせたった1人で黄巾党の軍勢数万を倒したという功績がある。
今回の戦いでもその片鱗を見せてくれた。英霊達でさえ彼女の強さは認めていた。
呂布だから、という言葉で片づけないで欲しい。普通はたった1人で武器を持って数万の軍勢を倒すだなんて不可能である。
この外史では特異とも言える存在だろう。彼女も于吉にとって英霊や貂蝉達とは別に驚異として警戒されている。
この存在は呂布だけでは無い。他にも居る事が調べでは分かっている。
その他というのが次の目的だ。
「彼女の持前の力と太平要術の力なら化けるでしょう」
次の策はもう動き始めている。
「それに最初の策は潰れましたが…潰れたと同時に時限式の策が洛陽に設置されました。その策は恐らくこの大陸が群雄割拠の時代に入る前に起こるあの大きな戦で起動するでしょう」
もう2つも策を用意している。その2つともこの外史では歴史的に影響を与える策である。
今回の最初の策もそうだった。張譲が死なずに勝っていたら、この三国志の外史は別の歴史を歩んでいたかもしれない。
「張譲が勝っていたら…董卓も天子も消して自分が帝となったかもしれませんね」
張譲は役目を果たした。なら次も期待しようと思う。
「あの地で行う次の策は面白いですよカルデアの皆さん。それに貂蝉に卑弥呼。フフフフフフ」
この外史は次のステージへと進む。
藤丸立香たちが洛陽から出発したと同時に他の場所でも英雄となる者たちも少しずつ動いているのだ。
覇王たる少女。
「あの大将軍の何進が死んだのね?」
「はい。あと十常侍も全員粛清されたと…」
「まあ、いずれはそうなると予測は出来ていたけどね」
朝廷の内情を少しでも知っていれば予想は容易である。遅かれ早かれ今の漢王朝は崩壊する。そして新たな時代が始まる。
この大陸で一番目を光らせている少女こそが曹操。彼女には野心がある。
この大陸の覇権を手に入れるという野心が。それはこの大陸の平和を手に入れるというもののため。
自らがこの大陸の覇王となり大陸の民たちを平和へと導く。そのために戦って勝ち続けるしかない。
それに一番近づけるのが曹操なのだ。
「我が覇業はまだ始まったばかりよ」
曹操の覇業はこれからだ。その覇業への道は厳しく険しい。
その厳しく険しい道の中には何があるのかはまだ今の曹操には分からない。
絆の強さはどこの国も負けない一族。
「黄祖か…」
彼女達の所にはまだ何進や十常侍が死んだ情報は流れていない。その訳がある。
洛陽での情報が入る前に一大事と言える事件が起きているのだから。その大事件は大将軍の何進が死んだという情報や朝廷が変化したことよりも重要案件。
それはまさに孫呉にとって生き残るか滅ぶかの問題なのだ。
今までも無茶な事はあったが、全て自分の力と仲間の絆と持前のデカイ自信によって解決してきた者が孫呉に居る。
その者はこの大陸に生きる者たちの中でも豪傑で恐ろしくも美しさを持つ。力も常軌を超えた者だ。彼女が孫呉の礎を築いたと言っても良い。
彼女がいれば何もかも上手くいくと部下たちに思わせるほどの豪傑。そんな存在でさえ、何かキナ臭いモノを感じ取っている。
「何か嫌な予感がするな…。それと変わった出会いもある気がするぜ」
南海覇王を握る豪傑は夜空を見ながら静かに呟く。
平和を望む優しき少女と、その子のために力になると決めた誠実な少年。
「黄巾の乱が終わっても…大陸は平和じゃないんだねご主人様」
「ああ。これから大陸はもっと荒れると思う」
「それって天の御使いとしての予言?」
「んー…そうかも」
劉備の横にいる天の御使いである北郷一刀。彼はこれから起こるであろう出来事が大まかに分かる。
実際にその予想が正確かと言われれば確実性はない。だがこの世界が彼の知る三国志の歴史と似たように辿るならば大体は正解なのだ。
「ま、今やる事はこの平原で治安を良くする事だけどね」
「そうだよね。もう、初めての事ばかりで大変だよ」
黄巾の乱で活躍した成果で平原の相となった劉備。最初はたった3人で盗賊退治をしていた劉備が平原の相までのし上がったのは大出世も良いとこだ。
だが劉備の快進撃はまだまだこれからなのだ。それに彼女の隣には信頼でき、大切であり、大好きな天の御使いがいる。
彼と一緒に、大切な仲間たちと劉備は大陸の平和のために頑張り続ける。
「はは、俺も頑張るから桃香も頑張ろうな」
「うん。ご主人様!!」
劉備は平和のため努力する。そして北郷一刀は彼女達の夢の手助けをする。
彼の運命は劉備に出会った事で決まった。だがこの外史での彼の運命の中にはある特異とも言える人物達と出会うことになる。
他の外史ではあり得ない出会い。この外史だからこそあり得た出会い。
その出会いが彼の運命を変える。そして、その出会う人物達も。
北郷一刀と藤丸立香の出会いも徐々に近づいていく。
読んでくれてありがとうございました。
次回もゆっくりとお待ちください。次回の更新は未定です。
FGO本編でSINが始まりそうなので、そっちに集中しちゃうかもなので。
SINの内容によっては今考えている構想も変更しちゃうかもなあ。
まだ先ですけど革命の劉備編も気になる…
次の更新は未定ですけど12月中にはしたいと思ってます。
2章はこの話を読んで分かるように孫呉での話を予定しています。
どんな内容かはゆっくりとお待ちください。
W主人公のもう1人である一刀はまだちょっと先ですね。
私の今の構想だと3章で出したいと思ってます。はやく立香と一刀2人の話を書きたいもんです。