Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

220 / 296
こんにちは。

FGOでは第2部6.5章は6月上旬開催予定と情報が公開されましたね。
死想顕現界域 トラオム 或る幻想の生と死
どんな物語が気になります!!
そして登場サーヴァントのシルエットも気になります。
あのシルエットはどう見てもローラン。彼がついに実装か!!

6月上旬が待ち遠しいです!!



侍女物語-動き出す物品-

716

 

 

何故こんな事をするのか。

 

彼らは何も悪くない。ただ一生懸命に生きているだけだ。

それなのに奴らは彼らを傷つける。彼らはそんなにも悪いのか。

 

否、否、否、否、否、否、否、否。

彼らは悪くない。絶対に悪くない。何も悪くない。

 

奴らはまさに自分たちこそが大陸の支配者だと言わんばかりだ。奴らの勝手な生き方にはウンザリだ。もう黙ってはいられない。

 

同族たちの恨みを晴らす。そして我らの国を造る。手始めにこの国を頂く。

 

しかし力が足りない。力がもっと必要だ。もっともっと力を得なければならない。

 

おやおや。良い器を発見した。これは面白そうだ。

 

 

717

 

 

蜀に侍女ブームが来たというわけではないが新しい侍女が増えた。

美花や月、詠は元々として新しく増えたというのが傾や瑞姫、電々、雷々、愛紗、星、華雄。

元大将軍や武将たちが侍女をやっているというのはなかなか不思議なものである。色々と理由は様々であるが彼女たちはわけあって侍女をしているのだ。

 

「一時的とはいえ侍女が増えて少しは楽になったわよ。これでも感謝してるのよ華雄」

「本当か?」

「ほんとよ」

 

侍女の仕事は本当に大変だ。涼しい顔で仕事をしている美花が凄いのである。

 

「人手が足りないってのは本当に困るんだから。侍女の仕事を手伝ってくれてありがとね」

「むう…詠が素直に感謝してくるとはむず痒いな」

「どーいう意味よ」

 

ちょっとした軽口を叩き合う2人であった。

 

「そんな事よりも月が厨房で皿を洗っているから手伝いにいくわよ」

「まだ仕事があるのか…」

「今日はこれで終わりだから」

「しょうがない早く終わらせて晩酌するか。せっかくだから晩酌に付き合ってもらうぞ」

「ま、それくらいいいでしょ」

 

仕事終わりのお酒は格別なものだ。

 

「月に美味しいツマミでも作ってもらおうか」

「月の仕事を増やさない。自分で作れ」

「月が作るツマミの方が美味いんだからしょうがないだろ」

 

それは否定できない詠であった。

トコトコと厨房まで歩いて月と合流する。

 

「手伝いに来たわ月」

「ありがとう詠ちゃん、華雄さん」

「月よ。皿洗いは私らがやるからツマミを作ってくれ」

「え?」

「華雄がこの後一緒にお酒を飲もうってさ」

 

すぐに理解してニコっと笑う月。

昔の仲間と一緒にお酒を飲むのは悪くないものだ。昔話もまた酒の肴になる。

 

「うん。すぐに作るね」

「美味しいのを頼む」

 

皿洗いを詠と華雄が引き受けて、月が晩酌のツマミを作る準備を始める。

 

「何を作ろうかな…」

 

どんなツマミを作ろうかと考えながら調理器具に触ろうとした時、異変が起こる。

 

「きゃあっ!?」

 

月の短い悲鳴が聞こえた瞬間に詠と華雄は皿洗いを止めて駆けつける。

 

「月!?」

「どうした!!」

 

2人が目にした光景は月がペタンと尻もちをついて、浮いている食器や調理器具に驚いた姿だ。

 

「ちょっ!?」

「なんだコレは!?」

 

次に詠と華雄が驚いた。

 

 

718

 

 

夜間の厨房で怪異が起きた。

 

「それってポルターガイスト現象っぽいな」

「ぽるたぁがいすと?」

 

詠は昨日の厨房で起きた事件を北郷一刀と桃香に報告していた。

食器や調理器具がひとりでに動き、浮いた。これは『ポルターガイスト現象』に該当する。

どのような現象かと言われれば「勝手に物が動き出す」現象だ。心霊現象の一種で、そのまま幽霊などが原因と言われている。

 

「悪霊!?」

「そうなのご主人様!?」

「ああ」

 

幽霊、悪霊、怨霊といったものに良い思い出は無い詠。反董卓連合を裏で動かしていた怨霊を思い出してしまいそうになり、すぐさま頭を振る。

彼女自身よりも月の方がより思い出したくもないはずだ。

 

「でも今の時間帯は厨房が普通に動いてるけど」

「こういう時、餅は餅屋だ」

 

専門家に頼めという事だ。

 

「で、オレらが呼ばれたわけか。オレは専門家じゃないけど」

 

厨房で怪異が発生したという事で専門家が呼び出された。

 

「幽霊とか妖怪とかアタシに任せて。説法を説いてやるわ!!」

 

駄目であったら物理的に分からせる系のポジティブ僧侶。玄奘三蔵。

 

「三蔵だけじゃちと不安だからな。吾も付き合おう」

 

怪異退治ならドンと来い退魔の英雄。俵藤太。

 

(この2人がいれば大概の怪異や幽霊は大丈夫な気がする)

 

更に哪吒までいれば盤石な布陣である。そんな彼女は今、璃々と遊んでいる。

 

「よーっし。早速、厨房に行くわよー!!」

「厨房か。握り飯でも作るかな」

「ちょっと、飯を作りに行くんじゃなくて悪霊を退治してよ」

「焼き肉、サーモン、リンゴ。どれがいい?」

「アタシはりんご!!」

「オレは焼き肉!!」

「ちょっとアンタたち!!」

 

悪霊退治に行く雰囲気ではなく、これから昼食でも食べに行こうという雰囲気であった。

 

「そういえば月や華雄さんは?」

「月なら部屋で休ませてるわ。華雄に診てもらってる」

 

月は大丈夫と言っているらしいが心配症である詠が無理やり休ませたのだ。

華雄を護衛まで置かせるのは流石にやりすぎかもしれないが自分の命よりも大切だと思っている詠ならば仕方ない。

 

「その時はどんな状況だったんだ?」

「言った通りよ。食器が勝手に浮いていたのよ」

 

聞く限りはどう考えてもポルターガイスト現象。

 

「そっか。取り合えずに現場を見てみるか」

 

現場である厨房に到着した一行。到着時間は約数分。

 

「どお?」

「「何も感じない」」

 

玄奘三蔵も俵藤太も厨房からは怪異や悪霊といった類を全く感じないとの事。

 

「嘘でしょ」

「嘘じゃないわ。何も感じないわよ」

「感じるのはお腹を空かせた気配だな」

 

チラリと視線を動かすと鈴々と蒲公英、猪々子が此方を見ていた。単純に小腹が空いて厨房に顔を出しただけである。

 

「でも、確かにここで…」

「それは信じるよ。詠が嘘を付くとは思わないし」

 

詠が冗談で言うはずがないのは誰もが分かっている。

ポルターガイスト現象は本当に起きたのは確かなのだ。

 

「今が昼時だからかな?」

 

怪異や幽霊騒ぎというものは基本的に夜に起こるものだ。

朝や昼頃では何も起こらないかもしれない。昼は生者の時間、夜は得体の知れない者の時間という事かもしれない。

 

「じゃあ夜中に再度確認という事で」

 

藤丸立香も小腹が空いてきた。

 

「藤太。おにぎりチェーン店の開店をお願いします」

「おおともよ!!」

 

焼き肉おにぎり、サーモンおにぎり、リンゴおにぎり、どれも美味しいおにぎりだ。

鈴々たちもご相伴に預かった。

 

「早く解決して欲しいんだけど」

 

詠はグチるが怪異も悪霊も何も感じないのだからしょうがない。

 

 

719

 

 

今日は電々と雷々は北郷一刀と共に買い物をしていた。

雑貨屋や骨董品屋と周る3人の姿はちょっと視線を集める。主に付き従う可愛い侍女2人だ。

 

「ご主人さま。次はこっちこっち」

「早く早く~」

「そんな急がなくても大丈夫だって」

「そんな事ないよ。掘り出し物とかあったら誰かに買われちゃうよ」

 

可愛い侍女姿の2人に微笑ましくなる北郷一刀。

 

(良いなぁ……それと2人とも何処か変わった気がするな。なんて言うか佇まいが綺麗になった気がする)

 

最近の電々と雷々は姿勢に注意している。そのおかげで彼女たちは綺麗な姿勢を得たのだ。

その変化を北郷一刀は気付いていた。まさに美花の言う通りであり、2人とも手ごたえを感じたのだ。

 

(よしよしご主人様がわたしたちを見てる)

(次は言葉遣いだね!!)

 

どんどんと大人の魅力を磨いていく2人。

 

(そして夜のご奉仕だね)

(美花ちゃんに教わった技術が光る時だね)

 

彼女たちが北郷一刀と結ばれるのも案外、近いかもしれない。

 

「雑貨屋さんにとうちゃ~く」

「あ、司馬懿さん。それに傾さんに瑞姫さんだ」

 

雑貨屋に到着したら知り合いがいた。

その光景は司馬懿(ライネス)に付き従う美人な侍女2人。3人とも美人なので道行く人たちからは視線を集めている。

 

「司馬懿さんたちも買い物か?」

「まあね。北郷殿は可愛い侍女2人とデートかな?」

「デートって…ただの買い物だよ買い物」

 

それは買い物デートと言うはずだ。

 

「おい。さっさと買い物を済ますぞ」

「分かってるよ傾殿」

 

6人仲良く雑貨屋に入る。

 

「色々とあるもんだなあ」

 

三国時代の雑貨屋も興味深い物がたくさんあるものだ。

 

「あ、コレ良いかもー」

「ね。何か侍女の持ち物っぽい」

 

電々と雷々からちょっと気になる台詞が聞こえてきた。

侍女の持ち物っぽいというのにちょっと首を傾けたのである。

 

「侍女っぽい物ってなん……え」

 

2人が手にしていたのは予想外の物であった。

 

「おいおい。三国時代の物じゃないだろ」

 

それはティーカップにティーポット、ケーキスタンドであった。

三国時代ではあるはずがない茶器や食器類だ。

 

「これまた面白いのがあったね」

「司馬懿さん。コレどういう事だと思う?」

「さあね」

 

何故、三国時代にティーポットなどが置いてあるか分からない。

雑貨屋の店主に話を聞いてもいつ手に入れたか覚えていないとの事だ。

この世界は三国志を元にした世界であるが、それだけではないのかもしれない。

 

「この世界はまだ分からない事だらけだね」

 

自分の住む世界も分からない事は多いのだ。三国志を元にした世界の謎が分かるはずがない。

 

「ま、このティーカップとかに変な感じはしないよ。2人が気に入ったら買ってあげたら?」

「そうだな」

 

雑貨屋で三国時代に似つかない茶器を買うのであった。

 

「司馬懿ちゃーん」

「なんだい瑞姫。そんな可愛い声出して」

「私も何か買って欲しいな~」

「どーしよっかな~」

「買ってやれ。可愛い瑞姫のお願いだぞ」

「そういう君が買い与えたまえよ。姉だろう?」

「当然だ!!」

 

シレっと傾は瑞姫の為に雑貨を買ってあげるのであった。

 

「ねえねえ。前に見せてくれた媚薬が欲しいな」

「ダメ」

「ケチぃ」

 

媚薬というか愛の霊薬。

美人な女性から媚薬なんて言葉を聞いてしまってちょっとドキリとした北郷一刀であった。

 

 

720

 

 

北郷一刀たちが雑貨屋で買い物をしていた頃、星と愛紗は鍛冶屋で武器を物色していた。

鍛冶屋に侍女(メイド)がいるという不思議な空間。

 

「本当は主と周りたかっただろう?」

「そ、そんな事はないぞ」

「悪ぃな」

「すまんな」

「謝るな燕青、李書文!!」

 

2人の付き添いで燕青と李書文(槍)もいる。簡単に言うと暇だった2人を荷物持ちにしたのである。

 

「良い武器あったか?」

「ここの鍛冶師は色々と新しい武器を作ったりするから見ていて飽きないんだ。青龍偃月刀の手入れも任せてる」

 

世の中には新しい物好きの人間がいるものだ。そんな人間が新しい物をどんどんと生み出していく。

 

「ほぉーん」

 

確かに色々と試しに作っている武器が置かれている。

 

(これなんか中国刀だけどサーベルっぽいな)

「他の得物も使うのか?」

「ああ。我が相棒は青龍偃月刀だが、戦いではどうなるか分からんからな。別の武器も扱えるようにはなっておきたい。李書文殿もそうだろう?」

「儂は槍がなければ拳で戦う」

 

戦いでは予測不能の事態が起こる事はある。例えば手に馴染んでいる武器が破損して使えない場合、もう戦えないとは言えない。

1つだけの武器よりも別の武器も扱える方が良いに決まっている。

 

「これは武器か?」

 

星が疑問を感じながら槍っぽい物を持つ。

 

「それモップじゃねえか」

「もっぷ?」

「掃除用具」

「ほほう」

 

何故かモップを振り回す星。和風メイドがモップを振り回す姿は何故かマッチしていた。

 

「良いかもな」

「良いんだ」

 

何故か気に入った星であった。しかし三国時代にモップなんてあったのかと思う燕青。

 

(似たようなもんがあったっけなぁ)

 

あるものはあるのだから深く考えない事にした。

 

 

721

 

 

夜間の厨房。昨夜にポルターガイスト現象が起きた場所。

昼では何も感じなかった厨房であるが夜ならば何か起きるかもしれないという事で再度、集結した藤丸立香たち。

 

「で、どうかな?」

「「何も感じない」」

 

玄奘三蔵と俵藤太は昼と同じ台詞を口にした。

 

「嘘でしょ」

「嘘じゃないわ。ここには妖怪も悪霊もいないわ」

 

玄奘三蔵が言うのだから本当の事だ。

 

「もしかして別の場所に移動しているのかも」

 

同じ場所に留まってる悪霊もいれば、移動する悪霊も存在する。

昨日はたまたま厨房にいただけかもしれない。

 

「ならこのまま屋内を探索してみるか」

 

夜の城を探索。少し不気味に感じるかもしれないが玄奘三蔵と俵藤太がいれば怖いものはない。

そもそも藤丸立香は今までの旅路で悪霊よりも怖い存在と出会っているのだから今さらである。

 

「月はもう平気かな詠」

「もう大丈夫よ。明日まで休んでも良かったのに、申し訳ないからって午後から美花と一緒に仕事してたわよ」

 

午後から仕事が再開できるくらいなのだからもう大丈夫だ。

 

「む」

 

ピタリと止まる俵藤太。

 

「トータ感じた?」

「うむ。向こうからだな」

 

玄奘三蔵と俵藤太が廊下を駆けだす。藤丸立香と詠も後を追いかける。

到着した場所は書物倉庫だ。急いで入ると書物がフヨフヨと浮いていた。

 

「ブック系のエネミー?」

 

藤丸立香たちにとっては馴染み深いエネミーだ。よく「禁断の頁」を回収していた。

 

「月、美花さん!!」

 

浮いた書物に囲まれていたのは月と美花であった。

 

「立香さん!!」

「今、助ける!!」

 

俵藤太が刀を抜こうとした瞬間にバサバサっと書物が落ちて動かなくなった。

 

「む?」

「あれ、気配が消えた」

 

落ちた書物を手に持つが普通の書物であった。

 

「怪我はない月?」

「うん。大丈夫だよ詠ちゃん」

「美花殿も大丈夫か?」

「ご心配ありがとうございます俵様。傷1つありませんわ」

「何があったの?」

 

美花と月が書物の整理をしていたら急に書物が動き出したらしいのだ。しかしただ2人を囲うように浮き上がっただけのようである。

厨房の時もだが襲い掛かってくるわけではなく、ただ物が動いたり、浮いたりするだけだ。今のところ実害はない。

 

「もしかして逃げた?」

「いや、逃げたというよりは消えた感じだな」

 

逃げたというのならば気配で何処に移動したか分かる。しかし気配がすうっと消えたように感じたらしいのだ。

 

(消えた…まるで隠れたようにも感じたな)

 

俵藤太は書物倉庫を見渡すが何も感じない。それは現状三蔵も同じようで周囲をキョロキョロと見渡していた。

この後、玄奘三蔵と詠が月と美花を自室まで送った。そして藤丸立香と俵藤太は探索を続けたかが何も見つからなかった。

 




読んでくださってありがとうございます。
次回の更新は1週間から2週間後予定。


716
誰かの声。


717~718
異変が起きました。ポルターガイスト現象。
5章のタイトルには怪異とありますからね。今回の章は怪異がよく起きます。
ポルターガイスト現象を起こしたのは妖怪か悪霊か。

専門家として玄奘三蔵と俵藤太。
もうこの2人がいれば怖いもんなしだと思います。
特に俵藤太は不死身の魔人を倒した英雄ですからね。

おにぎりチェーン店。食べてみたいものです。

719~720
三国時代には無い物がある。
天下統一伝ではどこからソレを手に入れたのって言いたくなる。

最近だと英雄譚4の公式ページにある画像一覧の1つに水着回のがあるのですが、綺麗なグラスだったり、ケーキスタンドなどがありました。
もしかして実は三国時代に似たような物があったのかな。
私が知らないだけかもしれません。でも流石にサングラスはなかったはず…

721
厨房の次は書物倉庫でポルターガイスト現象。
色んなところで発生中。
まだ解決はしませんので続きます。

次回、侍女物語-熱々のお茶は如何?-

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。