Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
FGOでは久しぶりの聖杯戦線ですね。
前回とはルールも少し変更されて、また違った楽しさがあります。
それにしてもBBちゃんは人気だなあ。ナビでボイス付きとか。

さて、此方の物語ではまた新たな話に入りました。
どのような物語かは本編をどうぞ


蔵で見つけた刀

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剣を振るう。

北郷一刀は剣を振るっていた。

 

「はっ!!」

 

振るう。

 

「エェェイ!!」

 

振るう。

 

「チェストォォォォォ!!」

 

修練場に気合の入った声が響いた。

 

「すぅー、はぁー」

 

呼吸を整え、剣を鞘に収める。

 

「こんな感じかな」

「お見事」

「中々の腕前だったぞ」

 

北郷一刀の剣を見ていたのは藤丸立香と俵藤太。

自分の剣を友人に褒められるのは恥ずかしいが嬉しく、東国の武芸の祖と崇められた英雄に「中々の腕前」と言われただけでも恐れ多いが嬉しい。

 

「前にも言っていたけど北郷は剣術を習ってたんだね」

「ああ。つっても無理やりだったけどな」

 

遠い空を見る。キツイ修行を思い出している顔だ。

 

「北郷は良い師匠に恵まれたな」

「良い師匠じゃないですよ俵さん。あれはただのスパルタじいちゃん」

 

北郷一刀の師匠は祖父。

小さいころから剣術を叩きこまれてきた。

大切で大好きな家族であるが、剣術の修行時だけは嫌いになるくらいスパルタであった。

おかげで身体は頑丈になり、体力もついている。結果、この異世界でも生きていけているのだからスパルタ修業は無駄ではなかったのだ。

 

「あれは剣道の域を超える修行だったからなあ。なんで剣道なのに蹴り技や関節技までやるんだよ」

「北郷の型を見るにただの剣道ではない。何か流派だろう」

「昔、じいちゃんが流派を口にしていたな。なんだっけ?」

「そこは覚えておこうよ北郷」

 

グサッ言葉が刺さる。

 

「しょうがないだろ。物心ついた時には既に修行させられてたんだから。特に流派とか聞かされてなかったんだよ」

 

孫を強く育ていたいという祖父の願い。

幼い頃から剣を教え込まれているがどんな流派かまでは聞いていない。そういうこともあるものだ。

 

「俺がもっともっと真剣だったら流派とか聞いてたかもな」

「北郷の祖父は流派を説明しなかったのか?」

「説明された記憶がないな。じいちゃんも剣の道に生きろって言ってたわけじゃないし…ただ強い子に育ってほしいって事で修行してた感じ」

 

北郷一刀の祖父は何も剣の道に生き、剣術道場を開けとは言っていない。

孫を愛しているからこそ強くなってほしい。それだけかもしれない。

 

「今更だけどじいちゃんに教えられた流派が気になるな」

「北郷の家系にヒントがあるかもよ」

「俺の家系か。嘘か本当か分からないけど、島津家家臣の有力一族だって聞いたか事があるな」

「あの島津」

「その島津」

 

島津氏。

鎌倉時代から江戸時代まで薩摩を領した一族。

 

「そういえば家紋も十字だったな」

「それ本当にそうなんじゃない?」

「いや、分からないな。実際に家系図を見たわけじゃないし」

 

自分の家系図を見た事がある者は現代でもいるかどうか。

現段階では北郷一刀が本当に島津家に縁のある人間かは分からない。

 

(北郷の独特な構え…右足前の構えに始まり、足前の構えに終わっていたな)

(なんかどこかで見たような動きだったような…確かアレは)

 

考察すれば北郷一刀の流派が分かるかもしれないが緊急性はない。

本人も分からなければ、分からないでいいといった感じである。

 

「ところで剣の腕は中々であったがどこか違和感がある動きであった。やはり剣か」

「そうですね。やっぱ大陸の剣と日本の刀じゃ違うので」

 

現在、使っている剣は大陸製。中国刀であって日本刀ではない。

北郷一刀は生粋の日本人であり、彼の流派が使うのは刀だ。

今まで日本刀を使った稽古していた為、中国刀を使うと違和感があるのだ。

 

「北郷は日本刀を使ってたんだ」

「いや、基本は竹刀や木刀だよ。じいちゃんがたまに触らさせてくれたんだ。今思うと、じいちゃんよく日本刀なんて持ってたな」

 

祖父が日本刀を持っていた事に今更ちょっと驚くのであった。

 

「まあ、やっぱ日本特有の剣がいいよ」

「ならこれ使ってみる?」

 

概念礼装『九字兼定』。

 

「それって大業物じゃないか?」

 

実際に刀を振るう。

 

「うん。やっぱなじむな。でも違う」

「違う?」

「ああ。これが良い刀ってのは分かる。ただ俺が使いこなせてないんだ」

 

自分に合った得物。

北郷一刀にとって九字兼定は使いこなせない。

 

「北郷に合った刀か。あっ、そういえば前に蔵で刀のような剣を見た事があるとかってあったよな。あれってどうなったんだ?」

「そういえば見つかってないな」

 

徐州に居た頃の話。

ここは徐州でなく益州であるため、星が見かけた刀は無い。

 

「でも徐州からここに来るまでに必要な物を蔵から持ってきたから…もしかしたらここの蔵にあるか?」

「もう一度探してみようか」

「いいのか?」

「いいとも」

 

早速3人は蔵へと向かう。

 

「さーて探す…って、あそこにいるのは」

 

蔵には既に先客がいた。

 

「風鈴じゃないか」

「あら、ご主人様に立香くん、俵さん」

「風鈴はここで探し…て、あー!?」

「急に声を出してどうしたの?」

 

声を上げたのは理由がある。何故なら風鈴が刀を持っていたからだ。

 

「そ、その刀は」

「ああ、この剣ね。倉庫で探し物をしていたら変わった中国刀を見つけたの」

 

見れば見るほど日本刀。

 

「風鈴その刀を見せてくれないか?」

「いいわよ。でもその刀、鞘から刀身が抜けないの」

「そうなのか?」

 

試しに抜こうとするがカチャっと虚しい音がなるだけであった。

藤丸立香と俵藤太も試してみるが同じ結果であった。

 

「錆ついてるのか?」

 

俵藤太が刀を見て一言。

 

「…この刀は何か特別な力が込められてるな」

「「え?」」

 

こういう時は専門家に頼むのが1番だ。

3人は謎の刀を持って諸葛孔明たちの元へと向かう。

 

「で、我々に見せに来たというわけか」

「そうです。孔明先生、師匠」

 

諸葛孔明たちに魔術的な目線で刀を鑑定してもらうのが一番だと判断したため、2人に会いに来たのである。

 

「ふむ。これは凄いな」

 

司馬懿(ライネス)の瞳の色が緋色へと変化した。

 

「確かにこの刀には魔力が込められてる」

 

刀を抜こうとするが抜けない。

 

「これは術式が込められているといったものじゃないな」

 

ヒョイと諸葛孔明に渡す。

 

「どれ、なるほど」

「分かるんですか?」

「これは宝具並だな」

「宝具!?」

 

宝具。

英霊が持つ切り札。人間の幻想を骨子に創り上げられた奇跡の武装。

 

「流石に神造兵器ではない。この刀は無名の魔剣や聖剣といったところだな」

「魔剣、聖剣」

「それと同じくらいのランクがあるということだ」

 

特別な力が込められた刀。現段階で分かるのはそれだけだ。

 

「でも抜けない理由は?」

「こういう剣や刀ってのは定番があるだろう。物語にもよくあるアレだ」

「そうそう。資格ある者しか抜けないってやつだよ」

 

 

736

 

 

特別な力が込められた刀は北郷一刀が持つ事になる。

何故か分からないが手に持つと馴染むのだ。

 

「資格がなければ抜けないか」

 

伝説の剣を抜くようなイメージ。それこそ聖剣エクスカリバーの逸話と似ている。

もしかしなくても資格ある者しか抜けないというのはエクスカリバーの逸話から広がっている。

 

「この刀が実は聖剣の類だったとして…俺は抜けないだろうな。だって英雄でもないし」

 

北郷一刀は一般人。

三国志の武将たちが女性になっている異世界に迷い込んだというだけ。

そんな自分が英雄なんてガラではない。

 

「俺じゃなくて愛紗たちなら抜けるのかな」

 

時間があるときに試してみるのもいいかもしれないと思った矢先、声を掛けられる。

 

「ちょっと」

「詠じゃないか。どした?」

「月を見なかった?」

「いんや。月がどうかしたのか?」

 

詠が月を探しているのだけは理解。

 

「実は月が昼に山菜を取りに森へ出かけてから帰ってきてないのよ」

「もう日が暮れるぞ」

 

日は沈みかけている。空は夕焼けだ。

 

「そうなのよ。夕方にもなって帰ってきてないって心配で」

「月1人なのか?」

「付き添いで愛紗も一緒なはずなんだけど」

 

夜の森は危険だ。

獣やら盗賊が出てもおかしくない。

愛紗の武力ならば平気そうではあるが、帰ってこないとなると迷っている可能性がある。

 

「探しに行くか」

「そうした方がいいわよね」

 

すぐに人数を集めて月たちが入った森を捜索する。

捜索を始めた時点で既に辺りは暗い。灯りを頼りに声を出しながら2人を探すが返事すら帰ってこない。

 

「いたか?」

「いないわ。月どこに行ったのよ」

「愛紗ちゃんもどこに行ったのかな」

 

山菜を取りに森の奥深くまで入ってしまったのかもしれない。

2人が見つからないとなると不安が心を支配する。

特に詠と桃香はより不安になっている。詠は月を、桃香は愛紗を大切に思っているのだから。

 

「駄目だ。これ以上は厳しい。明日の朝また探そう」

「何言ってんのよっ」

「ご主人様もっと探そうよ」

「俺だって続けたいけどもう夜中だ。むやみに探しても俺らが逆に迷う可能性がある。だったら明るい時に探した方がいい」

 

北郷一刀も2人が心配だ。もしも2人に何かあっていたら後悔しかない。しかし彼の言っている事は正論でもある。

夜の森で探すよりも昼の森で探す方が良い。このまま捜索を続けて自分たちが迷ってしまったら本末転倒だ。

 

「……分かった」

 

詠も桃香も渋々といった感じだ。もっと探したい、早く見つけたいという気持ちを抑えているのだ。

 

(無事でいてくれよ愛紗、月)

 

 

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朝早くから人数を集めて月と愛紗の捜索を再開。

 

「詠たちは向こうの方角を捜索してくれ」

「分かったわ」

「俺らも探そう」

 

今回は藤丸立香たちも捜索に加わり、2人を探す。

メンバーは藤丸立香、楊貴妃、呂布奉先、北郷一刀、桃香、鈴々。

 

「愛紗ったら何処にいったのだ。桃香お姉ちゃんとお兄ちゃんを心配させるなんてしょうがない愛紗なのだ」

 

憎まれ口を叩いているが鈴々も心配している。

 

「2人が森のどこまで行ったか分かればいいんだけど」

「山菜を探しに行ったしか分かんないからな」

 

森も広い。山菜が採取できるスポットがあるわけでもない。

もはや人海戦術。森の中をしらみつぶしに探すしかない。

 

「愛紗ちゃんも月ちゃんもどこに行ったんだろうね」

「そうだユウユウちゃん、楽器を弾いてみて。音色でわたしたちはここにいるよーって2人たちが気付くかも」

「いいよ」

 

笛を吹くと綺麗な音色が響く。

 

「このまま探そう」

「いや、もっと良い方法があるのだ」

 

何かを閃いた鈴々。

 

「こういう時は高い所から探すのが一番なのだ」

「高いとこって言うと木の上からかな鈴々ちゃん?」

「もっと高い所から!!」

 

もっと高いとなると山の上まで登るという事になる。

 

「山の頂上まで登る必要ないのだ。呂布のおじちゃん鈴々を高く飛ばしてなのだ」

「□□□」

 

鈴々をむんずっと掴んで空高く投げ飛ばす。

 

「鈴々は空を飛ぶー!!」

「あれは飛んだんじゃなくて投げられただな」

 

空高く飛んだではなく、投げられた鈴々。

 

「あ」

 

上から森を見渡した時、彼女は何かを見つけた。そして落ちていく。

 

「にゃああああああ」

「□□(豪胆な小さき武人だ)」

 

呂布奉先が鈴々をキャッチ。

 

「ありがとなのだ呂布のおじちゃん」

 

そのまま呂布奉先の肩に乗る。

 

「何か見えたか鈴々?」

「見えたのだ。向こうに大きな屋敷が見えたのだ」

「「「屋敷?」」」

 

鈴々が指を指す方向に大きな屋敷がある。

森の中に屋敷があるなんて不思議だ。

 

「北郷はこの森に屋敷があるなんて知ってた?」

「いや、知らない。この森に屋敷があるなんて報告は聞いた事もないぞ」

「わたしもないよ」

 

森の中に屋敷があるのは今まで報告に無かった。今この時に分かったという事になる。

 

「怪しいけど愛紗ちゃんたち、その屋敷に居たりしないかな?」

「ユウユウちゃんの言う通りかも。その屋敷で一晩過ごした可能性もあるしね」

 

可能性があるならば赴くべきだ。早速、北郷一刀たちは鈴々が見つけた謎の屋敷に向かう。

まるで誘い込まれるように森の中を進んでいくと件の屋敷が見えた。

 

「これは…洋館?」

 

三国時代にそぐわない洋館が森の中に建てられていた。

 




読んでくださってありがとうございました。
次回の更新も2週間以内を考えております。


735
北郷一刀
公式では語れてなかったような気がしますが、彼は島津家の有力一族の子孫という可能性があるとか考察されてました。
無印では旗印が十字で島津十字とも考察されてしましたね。
なのでこの物語ではそちらのネタを使わせていただいてます。

島津、剣術と言ったらやっぱ「示現流」
北郷一刀の祖父が教えていた剣術(剣道)は示現流だと思って書きました。
一刀…島津の関係者の子孫かもって知っておきながら剣術の流派が分からないってなんだか違和感あるな…。

北郷の剣術…そりゃ藤丸立香も見れば気づきますよ。

蔵で見つかった刀。
どんな刀か分かる人は分かるかもです。
まあ、少しオリジナル設定も組み込みましたけどね。

736
資格がないと抜けない剣や刀。
定番ですよね。やっぱ元ネタはエクスカリバーなのかな。

月と愛紗が行方不明。
う~ん…前回に続き月はトラブルに巻き込まれるのか。
(狙って書いてるわけではないんで)


737
月と愛紗を探します。
そしたら森の中に謎の洋館が…。
『謎の〇〇形の〇館編』の始まりです。

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