Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
最近は暑くなってきましたね。体調の変化には気を付けましょう。

FGOでは聖杯戦線にメモリアルクエストにアドバンスドクエストとやる事が多い。
ですが6月下旬より始まる期間限定イベント「南溟弓張八犬伝」が楽しみです!!
あの源為朝が実装されるのかどうか気になるところです!!

そんでもってぐっちゃんパイセン…自らシリウスライトを切除したって、ほんとに毎回驚かされます。


謎の洋館

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洋館とは、西洋の建築様式を用いた建物だ。

三国時代に洋館は存在しない。

 

「これ洋館だろ」

 

三国時代に存在しないはずの洋館が北郷一刀たちの目の前にある。

 

「変わった外装の屋敷だねご主人様」

「そ、そうだな」

 

桃香の感想から洋館はこの異世界である三国志でも認知されていないことが分かる。

不思議を通り越して怪しい。

 

「なあ藤丸。これってさ」

「どこからどう見ても洋館」

「だよな」

 

森の中にある洋館という時点で誰が何のために建てたのか分からない。

 

「見た目からして昔からある感じだ」

 

趣がある洋館と言うべきか、レトロな感じもある。

 

「愛紗たちもこの洋館を見つけたなら宿代わりにした可能性があるな」

「あっ」

「どうした桃香?」

「ご主人様窓を見て。さっき愛紗ちゃんがいたの」

 

すぐに洋館の窓を見るが誰もいない。

 

「あれ、さっきはいたのに。でも見間違いじゃないよ」

「ならやる事は1つだな」

 

洋館の中に愛紗たちが居る可能性があるならば洋館へ入るしかない。

 

(でも愛紗たちはなんで洋館から出ないんだ?)

 

気になる事はあるが今は洋館内に入るしかなかった。

 

「お邪魔しまーす」

 

扉を開けて洋館内に足を踏み入れる。

 

「わぁ。内装きれい」

「なんか高級っぽく感じるのだ」

 

貴族の館をイメージさせる内装だ。

 

「あっ、この取っ手は水晶だよ!?」

「窓の形や椅子のデザインも凝ってますね」

「窓硝子も綺麗すぎるよ。ご、ご主人様ここに住んでいる人ってすごいお金持ちなんじゃないかな」

 

勝手に入ってしまって怒られたりしないだろうかと頭によぎる。

 

「一応ちゃんと入る前に声はかけたから。それに桃香は蜀の王なんだから堂々としてないと」

「そ、そうだよね」

 

この森は蜀の領地にあたる。

地位を利用するというやり方は桃香にとって少し抵抗があるかもしれないが使えるなら使うべきだ。

仲間を探している最中で洋館を見つけて、もしかしたら寄ったかもしれないから。声をかけたけど返事がなかった。扉の鍵が開いていたから入ってまた声をかけた。

そのように言い訳すれば相手も多少は理解してくれるはずだ。

 

「てか、呂布奉先が入るときに扉ちょっと壊しちゃったけど」

「□□□(小さすぎる)」

「「……」」

 

呂布奉先が通るには小さい扉。

 

「家主がいたら謝ろうか」

「そうだね」

 

何はともあれ洋館内に入った北郷一刀たち。

家主と愛紗たちがいないか声をかけながら進んでいく。

 

「人の気配はしないけどな」

「マスターもそう思います?」

「うん」

「私は何か感じますね」

 

楊貴妃は何かを感じているが何かまでは分からない。桃香は外から窓に愛紗を見たというが見つかりもしない。

流石に洋館内に入ればすぐに見つかると思ったが予想が外れた。

コンコンと扉をノックしてから開放。部屋には誰も居ない。この繰り返しばかりだがやり続けるしかないのだ。

 

「外から見た屋敷の大きさとは裏腹に館内は異様に広く感じるな」

「ただの洋館じゃないのかもしれない」

「それってどういう意味だ藤丸?」

 

北郷一刀が追及しようかと思った時、桃香が「あっ」と声を出した。

 

「どうした桃香」

「紫苑さん?」

 

桃香が部屋の扉を開けて声を出したのは紫苑が居たからである。部屋の中は暗いが紫苑が居ると分かったのだ。

 

「紫苑さんもこの変わった屋敷に来ていたんですね。実は愛紗ちゃんが……紫苑さん?」

 

声をかけるが紫苑は何も返事を返さない。声が聞こえない距離ではないはずだと思いながらも桃香は近づきもう一度、声をかけた。

 

「あの、紫苑さん。もしかして聞こえなかった…って、え?」

 

桃香は一歩下がった。

 

「どうしたの桃香ちゃん?」

「ユウユウちゃん。この人、紫苑さんじゃないの」

 

紫苑だと思っていたら紫苑ではない。

藤丸立香は部屋に入ってカーテンを開くと太陽の光が部屋を照らす。

 

「これは人ですらないですね」

 

紫苑であるが紫苑でなく、人間ですらない。

 

「紫苑さんソックリな蠟人形ですね」

「蝋ってあの火を灯す蝋?」

「その蝋です」

 

まじまじと紫苑の蝋人形を見る。

 

「凄い。紫苑さんとそっくりだよ」

 

精巧な蠟人形は本物の人間と区別がつかないと言われる。

実際に本物と蝋人形を並べても遜色がない。しかし北郷一刀は腑に落ちない点がある。

三国時代で精巧な蝋人形を造れる技術があるとは思えないからだ。

 

(蝋人形はもっと後の代物のはずだ。この洋館といい、蝋人形といい…ここは何なんだ」

「あー!!」

「どうした鈴々?」

「星と地和までいるのだ」

 

紫苑の蝋人形に注目して分からなかったが星と地和の蝋人形まで置いてあったのだ。

同じく本物と見分けがつかないくらい精巧な造りである。

 

「星と地和ちゃんまであるなんて」

「驚いたというよりは怪しいよな藤丸」

 

藤丸立香も北郷一刀が考えた事を思っている。

最初から分かっていたが、謎の洋館はただの洋館ではないとより警戒する。

 

「それにしてもソックリなのだ」

 

蝋人形をペタペタと触る鈴々。

気になったものは取り合えず触ってしまうのは好奇心が強い証拠だ。

 

「ここ堅いのだ。紫苑のはもっと柔らかいのだ」

 

触っている箇所は胸。

 

((本物の胸は柔らかい))

 

男2人の考える事は同じ。

 

「それにしてもソックリですね」

 

もはや「そっくり」という言葉しか出てこない。紫苑、星、地和の蝋人形をじっくりと見てしまう北郷一刀たちだが本来の目的を思い出す。

行方不明になった愛紗と月を見つけなければならないのだ。もしも詠がここにいたら「さっさと月を探す!!」なんて怒られるかもしれない。

 

「蝋人形が何でこんな所にあるかは置いておいて愛紗たちを探すのに戻ろう」

「そうだねご主人様」

「それにしてもこの洋館は広いから手分けして探すのに移ろう」

 

外観とは裏腹に館内が異様に広く感じるのは気のせいではない。本当に広いのだ。

 

「うん。ってアレ…」

「どうした桃香?」

「ううん気のせいかな。何でもない」

「そっか。じゃあ手分けして探すぞ」

 

桃香が気のせいだと思ったのは紫苑の蝋人形。元々、配置されていた位置からズレていたような気がしたのだ。

まるで勝手に動いたかのようにも見えたのである。

 

 

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謎の洋館は3階建て。

現在の捜索人数は合計で6人。2人1組で各フロアを探す事に決定した。

北郷一刀と藤丸立香のペアは1階。鈴々と呂布奉先のペアは2階。桃香と楊貴妃のペアは3階。

謎の洋館1階。

 

「そう言えばさっき、この洋館はただの洋館じゃないって言ってたけどどういう意味なんだ?」

「この洋館が魔術的な意味を持っているなら、ここは一種の異界かもしれないって事だよ」

 

洋館の外観とは裏腹に館内が異様に広い。その理由が魔術等の影響によって館内を異界にしている可能性があるのだ。

 

「なるほど。異界にして広くしてるって事か。そういうのは聞いた事があるな」

 

フィクション等でもよくあるもので内部を異界にして広くするというものだ。

 

「そうなるとますます怪しいなここ」

「三国時代に洋館の時点でね」

 

魔術的な要素のある洋館に居るというだけで警戒度はより上がる。

 

「しかし洋館があるならば家主もいるはずだ。ただ今のところ人の気配は皆無なんだよな」

「それな。これだけ探し回って誰もいないって…留守なのか、本当に誰も住んでいないのか」

 

まだ分からない事が多すぎる洋館。注意しながら愛紗と月を探すしかない。

2人は次々に部屋の扉をノックしては開けて室内を確認していく。

 

「お、ここは浴室か」

「なんか水が流れる音がする」

 

浴室ならば誰かが風呂に入っているかもしれない。

愛紗か月がいるのかと思って声をかけるが返事は無いので浴室に近づく。

 

「愛紗、月?」

 

まだ返事は無い。湯浴み中で聞こえないのかもしれない。

悪いと思いつつ、心の何処かで下心もありながら浴室に入る。

 

「「……」」

 

蝋人形の貂蝉が湯浴み中であった。

 

「見つからないな」

「見つからない」

 

見なかった事にした。

すぐに浴室から退出。その際にカタっと音が聞こえた気がした。

 

「本当に見つからないし、広い」

 

簡単に見つかれば苦労はしない。

異界と化している洋館内と仮定するならば迷路のようになっている可能性もある。

愛紗と月も館内にいるならば迷っている可能性も考えられるのだ。

 

「地道に探すほかないのか」

「しかないな。この洋館の謎も解明した方がいいけど今は月と愛紗さんを見つける方が先決だ」

「あ、この通りは見たな。この部屋は蝋人形があった部屋だ」

 

何となくだが北郷一刀は蝋人形の置いてあった部屋を開ける。

 

「もしかしたら、あの部屋に何かあるかも」

「蝋人形に注目してたからな。室内までは見てなかったし」

「あれ、蝋人形が無くないか?」

 

不穏に空気になる。すぐに部屋から出るとまさかの物を視認した。

 

謎の洋館2階。

 

「愛紗ー、月ー。何処にいるのだー」

 

呂布奉先の肩に乗って鈴々は愛紗と月を呼び続ける。

 

「美味しい肉まんとあんまんもあるのだ。早く出てこないと鈴々が全部食べちゃうのだー」

 

肉まんとあんまんに釣られて出てきたら2人はとんだ食いしん坊だ。

 

「呂布のおじちゃん。次はあっちに行くのだ」

「□□」

 

ズシンズシンと歩く呂布奉先。床が抜けるかもしれないが鈴々と呂布奉先は気に留めない。

ある部屋を開けると厨房の部屋だと確認。呂布は入ろうとすると扉を壊してしまうので鈴々だけが入る。

洋館内は異様に広いのに扉は普通サイズなのだ。

 

「わあ。美味しそうな肉まんとあんまんが置いてあるのだ」

 

近づいて食べてしまおうと思って、手に取った瞬間に分かってしまった。

 

「これ偽物なのだ」

 

肉まんとあんまんは柔らかいものだが鈴々が手に取ったものは硬かった。

蝋で出来た肉まんとあんまんだからだ。

 

「本物ならよかったのに」

 

偽物ならば食べられないので元の皿に戻す。

 

「んーー」

 

チラリと周囲を見渡すと厨房の奥で月を発見した。

 

「月!!」

 

やっと発見したと思って駆け寄るがピタリと止まる。

 

「これも人形なのだ」

 

見つけたのは月の蝋人形。

紫苑と星、地和の蝋人形を含めたら合計で4体。そしてまだ知らない貂蝉の蝋人形を含めたら5体になる。

知り合いの蝋人形ばかりが洋館に置いてあるのは不思議で異様だ。

蝋人形は誰かによって作られる。ならば誰が造ったのかが謎である。

 

「そういえばここにあるのは蝋ばかりなのだ」

 

蝋だらけ。そして蝋人形。

ここは蝋人形の館なのかもしれない。

 

謎の洋館3階。

 

「愛紗ちゃーん。月ちゃーん」

 

名前を呼び続けるが反応は無い。

ずっと呼び続けていると喉が枯れてきてしまう。

 

「ケホケホ」

「気持ちは分かりますがずうっと大声で呼び続けるのは喉を傷めますよ。これでもどうぞ」

 

楊貴妃が出したのは蜂蜜。

 

「いいの?」

「はい。蜂蜜は喉にいいみたいですから」

 

蜂蜜を舐めると甘味が広がる。何となくだが喉の痛みも治まっていく。

 

「そんなすぐには効かないですよ桃香さん」

「ううん治った。愛紗ちゃーん、月ちゃーん!!」

 

注意されても、我慢は出来ない。行方不明の2人の名前を大声で呼び続けてしまう。

 

「何処にいるのー!!」

 

部屋をガチャガチャと開けていっても2人は見つからない。何度も同じ作業の繰り返しだ。

開けては閉めて、開けては閉めて。

 

「うう、見つからない」

「頑張りましょう桃香さん」

「うん…ってわぁ!?」

 

急に驚いた声を上げた桃香。すぐに楊貴妃は振り向きながら楽器に手を伸ばす。

 

「え?」

 

廊下に何故か紫苑の蝋人形が置いてあった。

 

「2体目?」

「ごめん。急に置いてあったからびっくりしちゃった」

「なにも無い廊下に急に配置されてたら驚きますよ」

 

1階の部屋で見つけた蝋人形と同じであった。

 

「本当にそっくり」

「ですね」

 

何故、廊下に紫苑の蝋人形が置いてあったのか不思議である。

この洋館の主がそのように配置しているだけかもしれない。

 

「ちょっと驚いちゃったけど2人を探すのを続けよっかユウユウちゃん」

「そうですね…って、ん?」

「どうしたの?」

「いえ、今その蝋人形が動いた気がして」

「またまた~」

 

普通は蝋人形が動くはずがない。しかし目の前で紫苑の蝋人形がぎこちなく動き始めた。

 

「動いてるね」

「動いてますね」

 

紫苑の蝋人形が襲い掛かって来た。

 

「きゃあああああああ!?」




読んでくださってありがとうございました。
次回の更新も2週間以内を予定しています。


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謎の洋館に突入(侵入)
レトロな洋館をイメージください。

洋館内に蝋人形。
この段階で今回の話がある恋姫シリーズの「あの話」と気付く読者がいるかもしれません。
そして、あのホラー映画が元ネタなのかなって思ってしまいます。

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洋館内を3組に分かれて捜索開始。
色々と見つかります。

蝋を使って人形や置物を作るとすごく精巧ですよね。
蠟人形なんて本物と見間違うくらいの出来だってあるんですから。

蠟人形が動き出す…はい、怖いですよね。
そしてやっと『謎の〇〇形の〇館編』改め『謎の蠟人形の洋館編』が本格突入です。
やっぱあのホラー映画を想像する読者様がいるかもしれません。でもあまりオマージュはないはず。

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