Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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こんにちは。
もう最近は暑くて溶けそうな日々です。

FGOで南溟弓張八犬伝クリアしました。いやあ、今回も面白かったです。
曲亭馬琴が、源為朝が良い!!
やっぱ源為朝がカッコよかった。まさか本当にロボとは予想外でしたよ。
速攻、ガチャりました。今年一番お迎えしたいっと思ったキャラですね。

曲亭馬琴は美人でカッコイイです。葛飾親子との会話も良いですね。
EXアタックで八犬の名前を口上しながら一緒に突撃するアレが好きです。

さて、前書きで書き過ぎるのはよろしくないでの本編へどうぞ。


蝋人形の洋館

740

 

 

謎の洋館内に悲鳴が響き渡った。

 

「きゃあああああああああああ!?」

 

悲鳴の主は桃香である。

原因は背後から追いかけてくる蝋人形の紫苑だ。無表情でカクカクと動きながら追ってくる蝋人形は軽くホラーである。

 

「う、動いた。動いたよユウユウちゃん!?」

「うん。知ってる」

 

今まさに追いかけられている。知り合いの姿をした蝋人形でも怖いものは怖くて、つい逃げてしまっている。

 

「蠟人形って動くものでしたっけ?」

 

楊貴妃は冷静に分析。

ゴースト系のエネミーならばいくらでも倒してきた。動く蠟人形で怖がっている場合ではない。

琵琶を出現させて対応しようとした瞬間に桃香たちと別に悲鳴が聞こえてきた。

 

「「うわああああああ!?」」

 

男性2人の悲鳴が正面から聞こえてきたのである。

この謎の洋館にいる男性は藤丸立香と北郷一刀だけだ。何事かと思って走りながら正面を見る。

 

「え、ご主人様?」

「マスター?」

 

2人が鬼気迫る顔で走って来ていた。

 

「「ん?」」

 

更に2人の背後を見ると彼らが鬼気迫る顔の理由が分かった。

何故なら蝋人形の貂蝉がカクカクしながら無表情で追いかけてきているからである。

 

「「わああああああああ!?」」

 

彼女たちは見ただけで悲鳴を上げてしまった。貂蝉に申し訳ないと思ってしまった瞬間である。

 

「ユウユウ!?」

「マスター、どっちも同じ状況です!!」

 

お互いの状況を確認。このままでは蝋人形に挟み撃ちにされてしまうのですぐに藤丸立香は状況打破を考えた。

 

「ユウユウ、ギリギリまで引き付けて跳ぶよ。桃香さんを抱えて」

「分かりました」

 

全速力で走って藤丸立香は魔術礼装を起動。

 

「瞬間強化」

 

己を強化して北郷一刀を抱えて一気に上に跳んだ。そして楊貴妃も桃香を抱えて跳ぶ。

追いかける相手が消えた蠟人形は真っすぐ動いたままで、急には止まれずに衝突した。

 

「今だユウユウ」

「はい。もっえろゴーゴー!!」

 

琵琶を弾くと蒼炎が出現して紫苑と貂蝉の蝋人形を燃やす。

蠟人形であるため、燃えるとドロドロになって溶けていくのであった。

 

「着地」

 

スタンっと無事に着地した2人。

 

「ありがとうユウユウちゃん」

「いえいえ~」

「助かったよ藤丸。それにしても身体能力凄いな」

「いや、これは魔術礼装のおかげだから」

 

北郷一刀は藤丸立香の先ほどの動きをカッコイイと思った。自分も何か活躍したいとも思ってしまう。

友人のカッコイイところを見ると感動するが何処か羨ましくも思ってしまう。これも男の嫉妬の1つかもしれない。

 

「どろどろ…」

「桃香ちゃん?」

 

蠟人形が溶けるとよりホラーだ。しかし桃香としては偽物と分かっていても仲間と同じ姿が攻撃されたのに心が痛んだのだ。

彼女は本当に優しい心の持ち主であるが、その優しさが仇とならない事を願うしかない。

 

「しっかし蠟人形が動くとはやっぱただの洋館じゃない」

「そうなると月と愛紗さんが心配だ。早く見つけないと」

 

洋館内に設置されている蝋人形が襲い掛かってくるのであればゆっくりとはしてられない。

早く行方不明の2人を見つけねばならない。

 

「そういえばあの部屋には星と地和の蝋人形もあった。それも消えていた」

「…早く探そう」

「うん。それに鈴々ちゃんも心配になってきたからまずは合流しようよ」

「桃香の言う通りだな。まあ、あの呂布奉先がいるから大丈夫な気がするけど」

 

天下の飛将軍の実力は本物だ。

襲われても蠟人形をバラバラに砕くはずだ。そして鈴々だって弱くはないのも忘れてはいけない。

 

「確か鈴々たちは2階だったな」

「ん?」

「どうした桃香?」

「ううん。何でもない」

 

溶けた蝋人形が動いたように見えたがただの気のせいだ。

 

 

741

 

 

謎の洋館2階。

鈴々と呂布奉先は月と愛紗を探し回っているが見つからない。

厨房で月を見つけたと思っていたが蝋人形であった為、進歩は進んでいないのだ。

 

「見つからないのだー」

 

鈴々は呂布奉先の肩に乗ったまま。歩きは呂布奉先に任せているのであった。

 

「見つからないのだ呂布のおじちゃん」

「□□(軽すぎる)」

「お腹も空いたのだ」

「□□□(これでよく大きな得物を振るえるものだ)」

「さっきの肉まんが本物だったら良かったのにね呂布のおじちゃん」

「□□□(しかし異様な空間だ)」

 

会話出来ているように見えて実は出来ていない。

 

「それにしても広い屋敷なのだ。外からと内じゃ全然違うのだ」

 

鈴々も謎の洋館に空間に違和感を感じている。

外から見た外観と内側の広さが比例していない。内側だけが異様に広くなっているのだ。

 

「□□□□(ここはもしや異空間か)」

「屋敷の入口から別の広いお城とかに繋がってるか?」

「□□□(ここに陳宮がいれば良かったのだが)」

「うう~…ここに朱里や雛里がいればな~」

 

意外にも似たような会話をしている2人。

 

「んにゃ?」

 

ここで足音が聞こえてきた。ただ人間が歩くような足音ではない。

まるでただの物体がカタコトと動いているような音。

鈴々と呂布奉先は静かに構える。

 

「あれー…星と地和に月?」

 

無表情の星と地和、月が現れた。知り合いであっても2人は警戒を解かない。

 

「□□(来るぞ)」

「迎え撃つのだ呂布のおじちゃん」

 

会話成立。

 

「やあああ!!」

「□□!!」

 

2人は無言で襲い掛かって来た星と地和、月を叩き潰した。

 

「わっ、何か大きな音が聞こえたけど…鈴々ちゃ、きゃあああああああああああ!?」

 

桃香がヒョイと曲がり角を曲がると鈴々が地和の腹部を貫いているのと呂布奉先が星と月の頭を握り潰しているのを見て悲鳴をあげた。

 

「あ、桃香お姉ちゃん」

「り、鈴々ちゃ…」

「桃香。あれも蠟人形だから」

 

誤解する前に北郷一刀は状況を説明。

 

「そ、そうだよね」

 

仲間を簡単に殺すような人は蜀にはいない。確認するとやはり星と地和、月の蠟人形であった。

 

「鈴々、もしかしてこの蠟人形は…」

「うん。急に動いて襲い掛かって来たのだ」

 

北郷一刀たちと同じような状況であったようだ。

 

「やっぱ何かがおかしい…」

 

蠟人形が動いて襲ってくるなんて普通ではない。もはや怪異事件と言ってもいいほどだ。

 

「ここは思っているより危険かもしれない」

「藤丸の言う通りだ。これは応援を呼んだ方が良い」

 

未だに月と愛紗は見つからない。怪しい蠟人形の洋館に2人が本当にいるとすれば危険である。

早く救出しなければならないが現状況では応援を呼んだ方が良いと判断したのだ。

 

「この洋館に2人が確実にいるか分からないけど…怪しいのは確かだ」

「うん、そうだよね。一旦、外に出てみんなを呼ぼう」

 

全員で仲間を呼びにいく必要はない。

桃香と北郷一刀が仲間を呼びに行く。残りの藤丸立香たちは引き続き、洋館内で2人の捜索だ。

 

「行こう」

 

全員は洋館の入り口へと戻る。

その数分後に砕けた蠟人形の元に何かが這いずり来たのを彼らは気付かない。

 

 

742

 

 

洋館の出入り口に戻った北郷一刀たち。

 

「じゃあ詠たちを呼んでくる」

「気を付けてねみんな」

「ああ。こっちも注意しながら洋館内の捜索を続けるよ」

 

2人は洋館内から出る。

 

「よし。捜索を続けよ…」

 

1階の別の扉から北郷一刀と桃香が出てきた。

 

「…おかえり?」

「…ただいま?」

 

キョトンとする。

北郷一刀と桃香は入って来た扉へと戻ると出入り口から入ってくる。

 

「やっぱおかえり」

「やっぱただいま」

 

蠟人形の洋館から出られないというのが分かってしまった。

 

「「マジかー…」」

 

少し脱帽してしまう。

応援は呼べなく、このまま洋館内を捜索するしかない。

 

「完全にこの洋館は異界だ」

「そうですねマスター。そうなるとこの洋館の主を見つけるか、洋館の核を見つけるしかないです」

 

蠟人形の洋館が異界となっている原因は術者か異界を構成している核が原因だ。どちらかをどうにかしなければ異界からは抜け出せない。

 

「月ちゃんたちの捜索と洋館の主を見つけないとダメですね」

 

見つけると言っても異界となっている洋館はどの扉を開けても何処に繋がっているか謎だ。

もうどのフロアの扉を開けても正規に繋がるとは思えない。

 

「もしも異界化している核がある部屋に行くとしたら何か手順があるのかもしれない」

「手順と言っても何も分からない状態だぞ」

 

先ほどまで普通に部屋に入れていたが出入り口を通った瞬間に別の所に出ていたのだ。

 

「別の扉でもう一度入ってみようか」

 

1階から3階の扉を開けて部屋に入ると普通に部屋に入れる。しかし出入口を通ろうとすると別の扉から洋館に戻ってしまう事が分かった。

 

「出られないという事だけが分かったな」

「ああ。そうなると最初に考えていたどの扉からもランダムに何処かの部屋に繋がっているという説は無くなった。ならまだ入っていない部屋が何処かにあると思う」

 

既に1階から3階にある部屋は全て調査済みだ。しかし洋館の主や異界化させている核となるような物は無かったのだ。

なればまだ見つけていない部屋がある。隠し部屋というものがあるかもしれないのだ。

それこそ魔術工房。簡単に見つかるような場所にあるわけがない。

 

「手分けしたいけど動く蠟人形の件がある。また襲ってくる可能性があるから全員で探そう」

「そうですねマスター」

 

いきなり虱潰しに探す前に何か気になった場所はないかと意見を出し合う。

洋館内には様々な部屋があった。

寝室や厨房、浴室、化粧室、食室、休憩室、書斎などだ。

 

「厨房では偽物の肉まんが置いてあったのだ」

「それは不味そうだな」

 

見た目は美味しそうな食品サンプルを思い出す。

 

「化粧室…トイレ。秘密の部屋」

「大きな蛇が出て来ても困るぞ藤丸」

 

秘密の部屋と言えばだ。

 

「ここに伊吹童子とかヴリトラとかゴルゴーンとかケツァルコアトルとか居れば平気だと思う」

「カルデアってヤバイな」

 

北郷一刀の中ではカルデアという組織がヤバイ。

 

「書斎とかも秘密の部屋がある定番だと思います」

「楊貴妃さんの言う通りだな」

 

本を押すと棚が動き出すというのは定番である。

 

「あとは絵画の裏に秘密の部屋を開くボタンとか」

「それも確認していくか」

 

どんどんと可能性の話を出していく。

 

(なんだか詳しいご主人様たち)

 

秘密の部屋とか絡繰りに詳しい北郷一刀たちに少しおいてかれる桃香であった。

 

「取り合えず定番の書斎を見に行ってみようか」

 

ゾロゾロと書斎へと向かう。カチャっと扉を開けると書斎特有の香りを鼻をくすぐる。

本の香りと言うべきか、何処か落ち着く。

 

「色々な本があるな」

 

よく見ると三国時代にはない本がたくさんある。何かの参考書や絵本、小説、哲学書等々。

もしもここに穏がいれば色々とテンションが上がったり、発情したりするかもしれない。

 

「さてと、こういう定番は本を押すと秘密の部屋が…」

 

楊貴妃が適当に本を押してみるが特に変化はない。

 

「簡単にはいかないかあ」

「こうやって本を押せばいいのユウユウちゃん?」

 

桃香も楊貴妃と同じように適当に本を押すとカチっと後ろへと押し込まれた。

 

「え?」

 

本棚が動き出すと秘密の部屋へと通じる階段が現れた。

 

「「おおー、定番」」

 

定番過ぎてちょっと感動する藤丸立香と北郷一刀であった。

カツンカツンと階段を登っていく。

 

「普通は地下に行くもんかと思ったけど上がるんだな」

 

定番だと地下室に行くものだが上階へと向かっている。そのまま扉が見えて、開けると廊下へと出た。

 

「洋館の正規では入れない場所ってとこか」

「またいくつか部屋があるのだ。また全部開けていくのかー?」

「そうだな。ただこっからはより注意が必要だからな鈴々」

「分かったのだ」

 

カチャっと扉を普通に開ける鈴々。

 

(無警戒に開けた気もしなくもないけど…ま、いっか)

「何もないのだー」

「残りの部屋を探そう」

 

洋館の秘密部屋を探していく。

ガチャっと開けて部屋を散策して何も無ければ別の部屋を探すの繰り返し。

今のところ何も見つからないがいずれは見つかるはずだ。それは突然だったりする。探し物とはそういうものだ。

カチャリと部屋を開け、入ると誰かが居た。

 

「お前は…」

 

急にバタンっと大きな音を立てて扉が閉まった。

 

「扉が!?」

 

部屋に閉じ込められたのは北郷一刀と藤丸立香。

北郷一刀は視線を部屋に居る誰かから離せない。

 

「休暇中だったんだがな」

「何でここに…」

「ふん。久しぶりだな北郷一刀」

「左慈」

 

部屋には北郷一刀にとって因縁の相手である左慈がいた。

 

 

743

 

 

藤丸立香と北郷一刀が部屋に閉じ込められた。

ガチャガチャ、ドンドンと部屋を開けようと叩くがビクともしない。それでも桃香は無理やり開けようとする。

 

「あ、開かない」

「桃香お姉ちゃん。鈴々に任せるのだ」

 

開かないのであれば破れば良い。鈴々だけでなく呂布奉先も拳を振り上げている。

 

「お願い鈴々ちゃん」

 

鈴々が力づくで扉をぶち破ろうとした瞬間に何かが這いずる音が聞こえてきた。

 

「んにゃ?」

 

這いずる音に反応した鈴々は拳をピタリと止める。

 

「どうしたの鈴々ちゃん?」

「何か来るのだ」

 

楊貴妃と呂布奉先も鈴々と同じ方向を向いている。気付いていないのは桃香だけだが周囲の空気の変わりようで変だとすぐに理解する。

 

「何か這いずるような音ですね」

 

ズルッズルッズル。ベチャッベチャッベチャ。ズルッズルッズル。ベチャッベチャッベチャ。

まるでどろどろしてような何かを思い浮かべてしまう音だ。あまり良いものが浮かび上がらない。

 

「何が来るの…」

「桃香お姉ちゃんは鈴々の後ろに」

 

鈴々も何か良くないモノが来ると感じ取っている。

 

「来ます」

 

ベチャリと現れたのは形容しがたいモノであった。

 

「ひっ…」

 

短い悲鳴を上げたのは桃香であった。

 

「うわぁ…」

 

楊貴妃は現れたモノを見て顔を顰めた。武則天であれば夜中に遭遇したら悲鳴を上げそうになる存在。

 

「気持ち悪いのだ」

 

現れた存在は蝋人形だ。ただ今まで破壊してきた紫苑や星たちの蠟人形がどろどろになって結合したモノ。

溶けた蝋人形の紫苑や地和、貂蝉たちの顔が頭部から背中にかけて列になって繋がっており、腕や脚も身体に対して変な方向から繋がっている。どろどろになって溶けた顔が異様に怖い。

言うなれば蠟人形結合体。

 

「ああ…」

 

見ただけで恐怖を増長させ、爆発させる。桃香はなんとか恐怖を飲み込んだのだから我慢した方だ。

 

「エルドリッチパワーが溜まりそぉ~」




読んでくださってありがとうございました。
次回の更新も2週間くらいを予定しております。


740~741
動く蝋人形。はいホラーですね。
ネタとしてしまいましたが筋骨隆々の貂蝉の蝋人形が動いたら怖い。
そんでもって溶かしちゃったユウユウ。蠟人形が溶けるとよりホラーに…

藤丸立香も魔術礼装を使用すれば普通に身体能力が上がると思って書いたシーンでした。
まあ、魔術礼装なしでももう身体能力は高い気がしますけどね。(今までの旅路を見て)

鈴々と呂布奉先のペア。案外珍しい組み合わせかな。
会話は出来てるようで出来てない。

仲間の蝋人形を容赦なく砕く2人に驚く桃香というシーンを書いてみたかった。


742
出入口を通ったら別の扉から出てきてしまって、外に出られない。
これも定番のものですよね。

隠し部屋への入り口
トイレや大きな絵画の裏、書庫室の棚の裏。どれも定番ですね。

色々と探索して、そして…北郷一刀は因縁の相手と出会う。
やっと北郷一刀メインの話が始まります。


743
北郷一刀と藤丸立香の2人と分断された桃香たち。
こっちはよりホラー展開になりました。
蠟人形結合体…ほんとドロドロで様々な蝋人形がくっついたモノをご自由に想像ください。

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